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環境工学

【令和8年度】一級建築士 学科「環境・設備」予想問題 第4集|空調・給排水衛生設備20問

環境・設備の直前予想問題(第1集)第2集第3集では、伝熱・結露・温熱環境・換気という環境工学Iと、日照・採光・照明・色彩・音響という環境工学IIに絞って問題を収録してきました。この2つで環境工学の主要分野はひととおり網羅できましたが、環境・設備という科目にはもう一つ、配点の大きな柱が残っています。空調設備と給排水衛生設備を中心とする「建築設備」の領域です。

この第4集からは環境工学を離れ、建築設備の分野に本格的に踏み込みます。空調設備では熱源方式(中央熱源・個別分散、吸収冷凍機・ターボ冷凍機、コージェネレーション)、空調方式(全空気方式・水方式・個別方式、二重ダクト方式)、換気(局所換気・全般換気の使い分け、ダクトの風速区分)、搬送(水搬送と空気搬送のエネルギー効率、ポンプ・送風機の比例則)を、給排水衛生設備では給水方式(クロスコネクション・逆流防止、ウォーターハンマー)、給湯(局所式・中央式、レジオネラ対策)、排水通気(トラップの封水破封、通気管の種類、排水勾配)、衛生器具(大便器の洗浄方式・節水化)、浄化槽(単独処理・合併処理)を扱い、あわせて20問を筆者が独自に作成しました。厨房換気の必要換気量算定(NKQ法)、ポンプ・送風機の比例則、事務所ビルの給水量算定という3問の計算問題も組み込み、いずれも清書する前に筆者自身で数値を検算しています。

なお本問題集は筆者(当サイト)が独自に作成した予想問題であり、実際の試験問題の的中や出題を保証するものではありません。受験にあたっては最新の法令・公式発表をご確認ください。数値基準や法令については2026年7月時点の情報をもとに作成していますが、実際の試験前には必ずご自身でも最新の公式情報をご確認いただくようお願いします。

環境・設備という科目全体の位置づけを先に確認しておきたい方は、一級建築士「環境・設備」の学習ガイドを一度確認しておくと、この記事の20問がどの単元に対応しているかが把握しやすくなります。


出題傾向と予想の考え方

建築設備の分野は、環境工学のような「因果関係の逆転」だけでなく、「方式同士の比較(どちらが何に向いているか)」「実務上の判断基準(どちらを優先すべきか)」を問う出題が多いと筆者は捉えています。中央熱源と個別分散、全空気方式と水方式、局所式給湯と中央式給湯のように、優劣が一律に決まらない「使い分け」のテーマが多いぶん、それぞれの方式が持つメリット・デメリットの対応関係を正確に押さえておくことが得点につながると考えています。

分野 テーマ 頻出度の目安 対応する問番号
空調(熱源方式) 中央熱源方式・個別分散方式 問1
空調(熱源方式) 冷凍機の種類(吸収冷凍機・ターボ冷凍機) 問2
空調(熱源方式) コージェネレーションシステム 問3
空調(空調方式) 全空気方式・水方式・個別方式の比較 問4
空調(空調方式) 二重ダクト方式 問5
空調(搬送) 水搬送と空気搬送のエネルギー効率 問6
空調(換気) 局所換気・全般換気の使い分け 問7
空調(搬送) ダクトの風速区分・アスペクト比 問8
空調(換気) 厨房換気の必要換気量計算(NKQ法) 問9
空調(搬送) ポンプ・送風機の比例則計算 問10
給排水衛生(給水) クロスコネクション・逆流防止 問11
給排水衛生(給水) ウォーターハンマー(水撃作用) 問12
給排水衛生(給湯) 給湯方式(局所式・中央式) 問13
給排水衛生(給湯) レジオネラ属菌対策 問14
給排水衛生(排水通気) トラップの封水破封 問15
給排水衛生(排水通気) 通気管の種類 問16
給排水衛生(衛生器具) 大便器の洗浄方式・節水化 問17
給排水衛生(浄化槽) 単独処理浄化槽・合併処理浄化槽 問18
給排水衛生(給水) 給水量計算(事務所ビル) 問19
給排水衛生(排水通気) 排水横管の勾配 問20

以下の20問は、この表の順に沿って出題しています。計算問題は問9・問10・問19の3問で、いずれも清書する前に筆者自身で数値を検算しています。


予想問題20問

問1(熱源方式:中央熱源方式と個別分散方式)

空調設備の熱源方式である中央熱源方式と個別分散方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 中央熱源方式は、建物内の機械室に集約した熱源機から、配管を通じて建物全体に冷水・温水を供給する方式である。
  2. 個別分散方式(ビル用マルチエアコン等)は、室外機と室内機を冷媒配管で直接つなぎ、フロアやテナントごとに独立した運転・制御を行いやすい方式である。
  3. 病院や大規模商業施設のように熱負荷が年間を通じて安定している建物では、中央熱源方式の運転効率を発揮しやすい傾向にある。
  4. 個別分散方式は熱源機器を集約しない方式であるため、テナントごとの使用時間や設定温度の違いに応じた個別対応には、中央熱源方式よりも適さない。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。中央熱源方式は機械室に集約した熱源機から建物全体へ冷温水を配管供給する方式です。
  2. 正しい記述です。個別分散方式(ビルマル等)は冷媒配管で室外機と室内機を直接つなぐ方式です。
  3. 正しい記述です。熱需要が安定している建物では中央熱源方式が効率を発揮しやすいとされています。
  4. 誤りです。個別分散方式は、フロア・テナントごとに小型の熱源機(室外機)を分散配置しているからこそ、使用時間帯や設定温度が異なるテナントへの個別対応に強みを発揮する方式です。「中央熱源方式よりも適さない」という記述は、この方式の特徴と逆になっています。

出題根拠: 中央熱源方式・個別分散方式それぞれの得意分野(安定負荷か部分負荷対応か)は、熱源計画の基礎として頻出です。詳しくは熱源設備計画の基礎で解説しています。


問2(冷凍機の種類:吸収冷凍機とターボ冷凍機)

冷凍機の種類(吸収冷凍機とターボ冷凍機(遠心冷凍機))に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 吸収冷凍機は、冷媒を圧縮する電動の圧縮機を持たず、主に蒸気・温水・ガスの直接燃焼といった熱を動力源として冷凍サイクルを成立させる機器である。
  2. ターボ冷凍機(遠心冷凍機)は、電動機で駆動する遠心式の圧縮機を用いて冷媒を圧縮する機器であり、同じ冷凍能力あたりの消費電力は、吸収冷凍機よりも大きくなる傾向がある。
  3. 契約電力(受電容量)を抑えたい建物では、電力消費の大きいターボ冷凍機の方が、熱を主なエネルギー源とする吸収冷凍機よりも選定されやすい。
  4. 吸収冷凍機は電力消費が少ない一方で、ターボ冷凍機と比較して機器が大型になりやすく、同じ冷凍能力を得るために必要な冷却塔の能力も大きくなる傾向がある。

解答・解説

正答は3です。

  1. 正しい記述です。吸収冷凍機は電動圧縮機を持たず、熱源(蒸気・温水・ガス燃焼等)で冷凍サイクルを成立させる機器です。
  2. 正しい記述です。ターボ冷凍機は電動機駆動の遠心圧縮機を用いるため、吸収冷凍機と比較して消費電力が大きくなる傾向があります。
  3. 誤りです。契約電力を抑えたい建物では、電力消費の少ない吸収冷凍機の方が選定されやすく、電力消費の大きいターボ冷凍機が選ばれやすいという記述は関係が逆です。廃熱・未利用熱を活用できる建物でも同様に吸収冷凍機が選ばれることがあります。
  4. 正しい記述です。吸収冷凍機は電力消費が少ない反面、機器や付帯設備(冷却塔等)が大型化しやすいという特徴があります。

出題根拠: 吸収冷凍機とターボ冷凍機の一次エネルギー(電力・熱)の使い分けは、熱源機器選定の基礎として頻出です。詳しくは熱源設備計画の基礎で解説しています。


問3(コージェネレーションシステム)

コージェネレーションシステム(熱電併給)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. コージェネレーションは、発電時に生じる排熱を給湯・冷暖房等の熱需要に活用することで、電気と熱を別々に作る場合よりも燃料あたりの総合エネルギー効率を高めることを狙った設備である。
  2. 熱電比とは、建物側が必要とする熱需要と電力需要の比率のことであり、コージェネ機器側の熱電比とかけ離れているほど、電気・熱のいずれかが余りやすく、効率を発揮しにくくなる。
  3. コージェネレーションは、非常用発電機としての役割も期待でき、平常時の省エネ効果とあわせてBCP(事業継続計画)上の価値を持つ設備として位置づけられることがある。
  4. コージェネレーションは、建物の熱需要の大きさや安定性に関わらず、発電した電気さえ使い切れれば必ず高い省エネ効果を発揮する設備である。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。排熱の有効利用により総合エネルギー効率を高めることがコージェネの本質です。
  2. 正しい記述です。建物側とコージェネ機器側の熱電比が乖離しているほど、電気か熱のどちらかが余りやすくなります。
  3. 正しい記述です。コージェネは平常時の省エネ効果に加え、非常用電源としてのBCP上の価値も持ちます。
  4. 誤りです。コージェネの省エネ効果は、発電した電気を使い切れるかだけでなく、回収した排熱を建物側が使い切れるかによって大きく左右されます。熱需要が小さい・不安定な建物では排熱を持て余しやすく、電気だけ使い切れても高い省エネ効果は得られません。

出題根拠: コージェネの効果が排熱利用の有無に左右されるという理解は、導入判断の基礎として頻出です。詳しくはコージェネレーションシステムの計画で解説しています。


問4(空調方式の分類:全空気方式・水方式・個別方式)

事務所ビルで採用される空調方式(全空気方式・水方式・個別方式)の特徴に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 空調機(AHU)とVAVユニットを組み合わせた全空気方式は、中央の空調機でつくった調和空気をダクトで各室に送る方式であり、ゾーンごとの温度制御を重視する大規模オフィスで採用されることがある。
  2. ファンコイルユニット方式は、各ゾーンに設置したファンコイルに冷温水を循環させて個別制御する水方式であり、全空気方式と比較して、同じ熱量を運ぶために必要な搬送用の配管スペースが大きくなる傾向がある。
  3. 個別分散方式(ビル用マルチエアコン等)は、冷媒を室外機と室内機の間で直接やり取りする方式であり、テナントごとに使用時間や電力料金を分けて管理したい賃貸オフィスビルで採用されることがある。
  4. 全空気方式は、空調機で外気処理や加湿・除湿までまとめて行いやすい方式であり、水方式(ファンコイルユニット方式)と比較して、室内の温湿度管理をまとめて制御しやすいという特徴がある。

解答・解説

正答は2です。

  1. 正しい記述です。AHU+VAV方式は全空気方式の代表例で、大規模オフィスのゾーン制御に採用されます。
  2. 誤りです。水は空気と比較して単位体積あたりの熱容量が大きいため、同じ熱量を運ぶ場合、水方式(冷温水配管)の方が全空気方式(ダクト)よりも搬送に必要な断面・スペースを小さく抑えやすい傾向があります。「配管スペースが大きくなる」という記述は関係が逆です。
  3. 正しい記述です。個別分散方式はテナントごとの独立運用に向いた方式です。
  4. 正しい記述です。全空気方式は空調機側で外気処理・加湿除湿まで一括で行いやすく、温湿度管理をまとめて制御しやすい方式です。

出題根拠: 全空気方式・水方式・個別方式それぞれの得意分野の比較は、事務所ビルの空調計画の基礎として頻出です。詳しくは事務所ビル(オフィス)の設備計画で解説しています。


問5(二重ダクト方式)

全空気方式の一種である二重ダクト方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 二重ダクト方式は、あらかじめ冷風と温風をそれぞれ別系統のダクトで送り、各室・各ゾーンに設けた混合ユニット(ミキシングボックス)で必要な割合に混合してから吹き出す方式である。
  2. 二重ダクト方式は、室(ゾーン)ごとに冷風と温風の混合比を変えられるため、単一ダクト方式(VAV方式等)と比較して、個別の温度制御性に優れる面がある。
  3. 二重ダクト方式は、冷風と温風という2系統のダクトを必要とするため、単一ダクト方式と比較して、天井裏に必要なダクトスペースが大きくなりやすい。
  4. 二重ダクト方式は、冷風と温風を混合ユニットで混ぜ合わせる際に熱の相殺(冷風を温めて温風を冷ますような現象)が生じないため、単一ダクト方式よりもエネルギー効率に優れた方式とされている。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。二重ダクト方式は冷風・温風を別系統で送り、混合ユニットで調整して吹き出す方式です。
  2. 正しい記述です。ゾーンごとに混合比を変えられるため、個別の温度制御性には優れます。
  3. 正しい記述です。2系統のダクトが必要なため、単一ダクト方式よりダクトスペースが大きくなりやすくなります。
  4. 誤りです。二重ダクト方式は、あらかじめ作った冷風と温風を混合ユニットで混ぜ合わせるため、冷やした空気を再び温めて調整するような熱の相殺(混合ロス)が生じやすく、単一ダクト方式と比較してエネルギー効率の面では不利になりやすい方式です。「混合による熱の相殺が生じない」「エネルギー効率に優れる」という記述はいずれも誤りです。

出題根拠: 二重ダクト方式の個別制御性の高さと、混合ロスによるエネルギー効率の低さという二面性は、空調方式の実務的な理解を試す論点として令和8年度も出題が予想されます。


問6(搬送動力:水搬送と空気搬送のエネルギー効率)

熱を運ぶ媒体としての水と空気の搬送動力に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 水は空気と比較して単位体積あたりの熱容量(比熱×密度)が大きいため、同じ熱量を運ぶ場合、水搬送は空気搬送よりも少ない体積・流量で足りる。
  2. 同じ熱量を運ぶ場合、水搬送(冷温水配管によるポンプ搬送)は、空気搬送(ダクトによる送風機搬送)と比較して、一般に搬送動力を小さく抑えやすい傾向がある。
  3. ファンコイルユニット方式のような水方式は、この搬送動力の優位性を活かした方式であり、配管スペースをダクトよりコンパクトに計画しやすい。
  4. 水は空気よりも単位体積あたりの熱容量が小さいため、同じ熱量を運ぶには空気よりも大きな流量・配管断面積が必要になる。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。水は空気よりも単位体積あたりの熱容量が大きく、少ない流量で多くの熱を運べます。
  2. 正しい記述です。この熱容量の差により、水搬送は空気搬送より搬送動力を抑えやすい傾向があります。
  3. 正しい記述です。ファンコイルユニット方式はこの水搬送の優位性を活かした水方式です。
  4. 誤りです。選択肢1〜3の内容と矛盾しており、水は空気よりも単位体積あたりの熱容量が大きいため、同じ熱量を運ぶには空気よりも小さい流量・配管断面積で足ります。設問は熱容量の大小関係を逆にしています。

出題根拠: 水搬送と空気搬送のエネルギー効率の違いは、空調方式の選定・搬送設備計画の基礎として頻出です。詳しくはポンプ・送風機の基礎で解説しています。


問7(局所換気・全般換気の使い分け)

換気設備における局所換気と全般換気の使い分けに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 局所換気は、汚染物質・熱・水蒸気等の発生源の近くで直接捕集して排出する換気方式であり、厨房の排気フードやトイレの換気扇などが代表例である。
  2. 全般換気(希釈換気)は、室全体の空気を入れ替えることで、室内に拡散した汚染物質の濃度を薄める換気方式であり、事務所や教室のような一般室で広く用いられる。
  3. 局所換気と全般換気は互いに排他的な考え方であり、厨房のように局所換気(排気フード)を設ける室では、全般換気(室全体の給排気バランス)を別途考慮する必要はない。
  4. 局所換気は、汚染物質が室内全体に拡散する前に捕集できるため、同程度の汚染物質を処理する場合、一般に全般換気よりも少ない風量で効果を得やすいとされている。

解答・解説

正答は3です。

  1. 正しい記述です。局所換気は発生源の近くで直接捕集する方式で、厨房の排気フード等が代表例です。
  2. 正しい記述です。全般換気は室全体の空気を入れ替えて濃度を薄める方式です。
  3. 誤りです。局所換気(排気フード等)で室内の空気を大量に排出する室では、それに見合う給気を確保できているかという給排気バランスの検討が別途必要になります。局所換気を設けているからといって室全体の給排気バランスを考慮しなくてよいわけではなく、両者は排他的な関係ではありません。
  4. 正しい記述です。局所換気は発生源近くで捕集するため、一般に全般換気より少ない風量で効果を得やすいとされています。

出題根拠: 局所換気を設けた室でも給排気バランスの検討が不可欠であるという点は、厨房換気等の実務で重要な論点です。詳しくは換気の基礎厨房換気・排気フードの基礎で解説しています。


問8(ダクトの風速区分・アスペクト比)

ダクト設計における風速区分・アスペクト比に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 低速ダクトは、目安としておおむね風速15m/s以下で計画されるダクトであり、一般の事務所・学校・病院等の空調で広く採用されている。
  2. 高速ダクトは、低速ダクトより高い風速域で計画することで断面積を小さく抑えられる一方、圧力損失や騒音が増えやすいという特徴がある。
  3. アスペクト比(断面の縦横比)は、天井懐が限られる現場で断面を扁平にするために大きくとりたくなる場面があるが、大きくしすぎると圧力損失や板厚の増加につながるため、実務では小さく(正方形に近く)抑えることが望ましいとされる。
  4. アスペクト比は断面積・風速とは無関係な形状のみの指標であるため、アスペクト比を変えても圧力損失が変化することはない。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。低速ダクトはおおむね風速15m/s以下で計画され、一般空調に広く採用されています。
  2. 正しい記述です。高速ダクトは断面を小さくできる一方、圧力損失・騒音が増えやすくなります。
  3. 正しい記述です。アスペクト比が大きい(扁平な)断面は圧力損失や板厚の増加につながるため、実務では小さく抑えることが望ましいとされます。
  4. 誤りです。選択肢3の内容と矛盾しており、アスペクト比を大きくすると断面積が同じでも内壁の表面積が増え、摩擦による圧力損失が大きくなりやすくなります。アスペクト比は形状だけでなく圧力損失にも影響する指標です。

出題根拠: アスペクト比と圧力損失の関係は、ダクト設計の基礎として頻出です。詳しくはダクト設備の基礎で解説しています。


問9(計算:厨房換気の必要換気量/NKQ法)

都市ガスを用いる調理用コンロ(燃料消費量Q=10kW)を設置する厨房の必要換気量に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、理論廃ガス量K=0.93m³/(kW・h)とし、必要換気量VはV=NKQ(Nは排気フードの有無・型式に応じた係数)で算定できるものとする。

  1. 排気フードを設けない場合の必要換気量は、N=40としてV=40×0.93×10=372m³/hと算定される。
  2. I型フードを設置する場合の必要換気量は、N=30としてV=30×0.93×10=279m³/hと算定される。
  3. II型フードを設置する場合の必要換気量は、N=20としてV=20×0.93×10=186m³/hと算定される。
  4. 排気フードの型式による必要換気量の違いは捕集効率の違いを反映したものであるが、フードなし・I型・II型のいずれを選んでも、算定される必要換気量の値は変わらない。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。40×0.93×10=372m³/hとなります。
  2. 正しい記述です。30×0.93×10=279m³/hとなります。
  3. 正しい記述です。20×0.93×10=186m³/hとなります。
  4. 誤りです。1〜3の計算が示すとおり、係数N(フードなし=40、I型=30、II型=20)が異なれば算定される必要換気量も372m³/h・279m³/h・186m³/hとそれぞれ異なります。フードの捕集効率が高いほど係数Nが小さくなり、必要換気量も少なく算定できるという関係が、この式の意味するところです。

出題根拠: NKQ法による厨房の必要換気量算定は、建築基準法施行令20条の3に基づく計算問題として頻出です。フードの型式(フードなし・I型・II型)によって係数が40・30・20と変わる関係は、令和8年度も出題が予想されます。詳しくは厨房換気・排気フードの基礎で解説しています。


問10(計算:ポンプ・送風機の比例則)

あるポンプをインバータ制御によって回転数を80%(0.8倍)に低下させて運転する場合の性能変化に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、羽根車の形状は変えないものとし、比例則(相似則)が成り立つものとする。

  1. 流量は回転数比に比例するため、回転数を0.8倍にすると流量もおよそ80%になる。
  2. 揚程(圧力)は回転数比の2乗に比例するため、0.8²=0.64からおよそ64%になる。
  3. 軸動力は回転数比の3乗に比例するため、0.8³=0.512からおよそ51%になる。
  4. 軸動力は流量と同じく回転数比の1乗に比例する量であるため、流量が80%になれば軸動力もそのまま80%になる。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。比例則により流量は回転数比の1乗に比例し、0.8倍でおよそ80%になります。
  2. 正しい記述です。揚程は回転数比の2乗に比例し、0.8²=0.64でおよそ64%になります。
  3. 正しい記述です。軸動力は回転数比の3乗に比例し、0.8³=0.512でおよそ51%になります。
  4. 誤りです。選択肢3の内容と矛盾しており、軸動力は流量と同じ1乗比例ではなく、回転数比の3乗に比例します。軸動力が流量と同じ80%になるという記述は、比例則の指数(流量は1乗、揚程は2乗、動力は3乗)を取り違えています。

出題根拠: ポンプ・送風機の比例則(流量は1乗、揚程は2乗、動力は3乗に比例)を用いたインバータ制御時の性能換算は、搬送設備の省エネ効果を説明する計算問題として頻出です。回転数を下げると動力が3乗で大きく減ることは、インバータ制御による省エネ効果の根拠にもなっています。詳しくはポンプ・送風機の基礎で解説しています。


問11(クロスコネクション・逆流防止)

給水設備におけるクロスコネクションと逆流防止に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. クロスコネクションとは、飲料水の配管系統と、井戸水・工業用水・排水等の他の系統とが誤って接続されてしまう状態をいい、水質事故につながるおそれがあるため厳に避けるべきものとされている。
  2. 吐水口空間は、給水管の吐水口と水があふれる高さ(あふれ縁)との間に一定の空気の隙間を確保することで、逆サイホン作用が生じても水が給水管側へ吸い戻されないようにする、逆流防止の基本的な考え方である。
  3. 吐水口空間を確保できる箇所であっても、逆流防止の信頼性を高めるため、バキュームブレーカを優先的に採用し、吐水口空間による対策は補助的な位置づけとするのが実務上の基本的な考え方である。
  4. バキュームブレーカは、吐水口を水面下に沈めて使うホース接続水栓や洗浄弁式便器のように、吐水口空間を確保しにくい箇所で、逆サイホン作用が生じたときに空気を取り込んで逆流を断つための器具である。

解答・解説

正答は3です。

  1. 正しい記述です。クロスコネクションは飲料水系統と他系統の誤接続であり、水質事故につながるため避けるべきものです。
  2. 正しい記述です。吐水口空間は物理的な空気の隙間による、もっとも確実な逆流防止の考え方です。
  3. 誤りです。設計段階では、まず吐水口空間を確保することを優先し、構造上どうしても吐水口空間を確保できない箇所にバキュームブレーカのような機械式の逆流防止器具を補完的に用いる、という順序で考えるのが実務上の基本です。バキュームブレーカを優先し吐水口空間を補助的な位置づけとする記述は、優先順位が逆になっています。
  4. 正しい記述です。バキュームブレーカは吐水口空間を確保しにくい箇所で用いられる機械式の逆流防止器具です。

出題根拠: 吐水口空間とバキュームブレーカの優先順位(まず吐水口空間、次に機械式器具)は、給水設備の衛生管理の基礎として頻出です。詳しくは給水設備の計画で解説しています。


問12(ウォーターハンマー:水撃作用)

給水管内で生じるウォーターハンマー(水撃作用)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. ウォーターハンマーは、水栓や弁を急に閉止した際に、管内を流れていた水の運動エネルギーが急激な圧力変化に変わることで生じる現象である。
  2. 管内の流速が速いほど、また弁の閉止に要する時間が短いほど、ウォーターハンマーによる圧力上昇は大きくなる傾向がある。
  3. ウォーターハンマーの対策としては、水撃防止器(エアチャンバー等)の設置や、急閉止しにくい構造の水栓・弁を採用すること等が挙げられる。
  4. ウォーターハンマーは配管内の圧力変化にとどまる現象であり、配管の破損や継手のゆるみ、騒音・振動といった物理的な被害を引き起こすことはない。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。水栓・弁の急閉止による運動エネルギーの急激な圧力変化がウォーターハンマーの発生原理です。
  2. 正しい記述です。流速が速く、閉止時間が短いほど圧力上昇は大きくなります。
  3. 正しい記述です。水撃防止器の設置や急閉止しにくい水栓・弁の採用は代表的な対策です。
  4. 誤りです。ウォーターハンマーによる急激な圧力上昇は、配管の破損・継手のゆるみ、騒音・振動といった物理的な被害を引き起こすことがあり、対策を怠ると設備の劣化・故障につながります。「物理的な被害を引き起こすことはない」という記述は誤りです。

出題根拠: ウォーターハンマーの発生原理と対策は、給水設備の実務トラブルとして頻出の論点であり、令和8年度も出題が予想されます。詳しくは給水設備の計画で解説しています。


問13(給湯方式:局所式・中央式)

給湯設備の方式(局所式・中央式)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 局所式は、使用箇所の近くに小型の給湯器を個別に設置する方式であり、使用箇所が少ない小規模な建物に適した方式とされる。
  2. 中央式は、建物内の1カ所(機械室等)にまとめた熱源機器から、配管を通じて各使用箇所へ湯を送る方式であり、使用箇所が多く同時使用が見込まれる大規模建物に適した方式とされる。
  3. 中央式は配管が長くなる分、末端までの熱損失や、蛇口をひねってから湯が出るまでの湯待ち時間が課題になりやすく、これを解決する仕組みとして循環配管(返湯管)が用いられる。
  4. 局所式は給湯箇所ごとに機器を分散配置する方式であるため、中央式と比較して、配管による熱損失や湯待ち時間の課題がむしろ大きくなる傾向がある。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。局所式は使用箇所ごとに小型給湯器を設置する方式で、小規模建物に適しています。
  2. 正しい記述です。中央式は熱源機器を集約し、配管で各所へ送る方式で、大規模建物に適しています。
  3. 正しい記述です。中央式は配管が長くなる分、熱損失や湯待ち時間が課題になりやすく、循環配管で対応します。
  4. 誤りです。局所式は使用箇所のすぐ近くに給湯器を設置するため、配管が短く、中央式と比較して熱損失や湯待ち時間の課題はむしろ小さくなる傾向があります。設問は関係を逆にしています。

出題根拠: 局所式・中央式それぞれの配管長さに起因する熱損失・湯待ち時間の違いは、給湯設備計画の基礎として頻出です。詳しくは給湯設備の計画で解説しています。


問14(レジオネラ属菌対策)

中央式給湯設備におけるレジオネラ属菌対策に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. レジオネラ属菌は、給湯設備や冷却塔などの水系で増殖することが知られている細菌であり、高温環境では増殖しにくいという性質がある。
  2. レジオネラ属菌対策としては、貯湯槽・配管内に湯を長時間滞留させないことに加えて、貯湯温度を一定以上の高温に保つ管理が重要とされている。
  3. 具体的な管理温度や点検頻度の基準は、建物用途・関連法令によって定められる事項であり、設計・維持管理にあたっては所轄官署や専門家に確認することが基本とされている。
  4. レジオネラ属菌は低温環境で活発に増殖する性質を持つため、対策としては貯湯温度をできるだけ低く保ち、常温に近づけることが有効とされている。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。レジオネラ属菌は高温環境では増殖しにくいことが知られています。
  2. 正しい記述です。湯の滞留を避けることと、貯湯温度を高温に保つ管理の両方が対策として重要です。
  3. 正しい記述です。具体的な管理温度・点検頻度は法令・所轄官署の基準に基づいて確認する必要があります。
  4. 誤りです。選択肢1・2の内容と矛盾しており、レジオネラ属菌対策は貯湯温度をできるだけ低くすることではなく、一定以上の高温に保つことが基本です。「常温に近づけることが有効」という記述は対策の方向性が逆になっています。

出題根拠: レジオネラ属菌対策としての貯湯温度管理(高温維持・滞留防止)は、給湯設備の衛生管理として頻出の論点です。詳しくは給湯設備の計画で解説しています。


問15(トラップの封水破封の原因)

排水トラップの封水破封の原因に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 自己サイホン作用は、器具からの排水時に排水管内が満水状態に近くなってサイホン状態になり、その勢いで封水まで一緒に吸い出されてしまう現象である。
  2. 長期間使用していない排水口の封水は、蒸発によって減少することはなく、通気管が正常に機能していれば封水切れが生じることはない。
  3. 誘導サイホン作用は、同じ排水系統の別の箇所で大量の排水が生じた際に、その勢いにつられて別の排水口の封水が吸い出されてしまう現象である。
  4. 毛管現象による封水切れは、トラップ内に髪の毛や糸くず等が引っかかることで、その繊維を伝って水が少しずつ排水管側へ吸い出されていく現象である。

解答・解説

正答は2です。

  1. 正しい記述です。自己サイホン作用は排水時の勢いで封水まで吸い出される現象です。
  2. 誤りです。長期間使用していない排水口の封水は、水面からの蒸発によって少しずつ減少し、最終的に封水がなくなることがあります。この蒸発による破封は「排水管内の空気の圧力変化」とは別の原因であるため、通気管が正常に機能していても防げるものではありません。
  3. 正しい記述です。誘導サイホン作用は、別の排水口での大量排水につられて封水が吸い出される現象です。
  4. 正しい記述です。毛管現象は髪の毛や糸くずを伝って水が少しずつ吸い出される現象です。

出題根拠: 封水破封の5つの原因(蒸発・自己サイホン作用・誘導サイホン作用・毛管現象・はねだし作用)のうち、蒸発は通気管では防げないという点は頻出のひっかけです。詳しくは排水トラップと通気の基礎で解説しています。


問16(通気管の種類)

排水通気設備における通気方式の種類に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 各個通気方式は、器具ごとのトラップから個別に通気管を立ち上げる方式であり、圧力変動を最も確実に緩和できる一方で配管本数が多くなる。
  2. ループ通気方式は、複数の器具の排水管をまとめたうえで1本の通気管でループ状に処理する方式であり、集合住宅やオフィスの共用系統など器具がまとまって配置される場面で多く採用される。
  3. 伸頂通気方式は、排水立て管をそのまま延長して屋上まで立ち上げ、通気管を兼ねさせる方式であり、通気専用の配管スペースを別途確保しにくい戸建て住宅や小規模建物で用いられる。
  4. 通気方式の違いは配管の取り回しだけの違いであり、いずれの方式を採用しても、圧力変動の緩和効果や適用できる建物規模に違いは生じない。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。各個通気方式は圧力変動を最も確実に緩和できますが、配管本数は多くなります。
  2. 正しい記述です。ループ通気方式は器具がまとまった共用系統で多く採用されます。
  3. 正しい記述です。伸頂通気方式は通気専用スペースを確保しにくい小規模建物で用いられます。
  4. 誤りです。選択肢1〜3の内容と矛盾しており、各個通気・ループ通気・伸頂通気はそれぞれ圧力変動の緩和効果や適用しやすい建物規模が異なります。「違いは生じない」という記述は誤りです。

出題根拠: 通気方式ごとの緩和効果・適用規模の違いは、排水通気設備計画の基礎として頻出です。詳しくは排水通気設備の計画で解説しています。


問17(大便器の洗浄方式・節水化)

大便器の洗浄方式と節水化に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 洗浄弁式(フラッシュバルブ式)は、水道本管等の水圧を利用して洗浄する方式であり、連続使用がしやすいためオフィスビル等の共用トイレで多く採用される。
  2. ロータンク式(洗浄水槽式)は、各器具に設けたタンクに水を貯めてから流す方式であり、水圧が低い場所でも使用できる一方、連続使用時には再貯水の時間が必要になる。
  3. 洗浄弁式の大便器は、吐水口が水中に沈む構造になりやすいため、逆サイホン作用による逆流を防ぐバキュームブレーカの設置が求められる。
  4. 大便器の節水化が進んだ結果、現在ではJISの区分上、洗浄水量が13L程度の大便器が、節水形として広く新規に採用されている。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。洗浄弁式は水道本管の水圧を利用し、連続使用しやすいためオフィスビル等の共用トイレに多く採用されます。
  2. 正しい記述です。ロータンク式はタンクに貯めた水を使うため水圧が低くても使用でき、連続使用には再貯水の時間が必要です。
  3. 正しい記述です。洗浄弁式は吐水口を水中に沈める構造になりやすく、バキュームブレーカの設置が求められます。
  4. 誤りです。洗浄水量13L程度は節水化が進む前の旧来の一般形の水準であり、JIS A 5207の改正では洗浄水量8.5L超の一般形区分が廃止され、節水形は洗浄水量6.5L以下(II形)等に区分されるようになっています。13L程度の大便器を「節水形として広く新規に採用されている」とする記述は、現在の節水化の水準と矛盾します。

出題根拠: 大便器の洗浄水量の節水化(旧一般形13L程度から節水形6.5L以下等への移行)は、衛生器具の実務知識として近年出題が増えている論点です。給水設備の節水の実務全般については給水設備の計画もあわせてご覧ください。


問18(浄化槽:単独処理浄化槽・合併処理浄化槽)

浄化槽(合併処理浄化槽・単独処理浄化槽)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 単独処理浄化槽は、トイレの汚水のみを処理し、台所・浴室等の生活雑排水は未処理のまま放流する構造の浄化槽である。
  2. 浄化槽法の改正により、平成13年(2001年)4月以降、単独処理浄化槽の新設は認められなくなり、現在新たに設置できる浄化槽は合併処理浄化槽に一本化されている。
  3. 既に設置されている単独処理浄化槽は、浄化槽法の改正後も引き続き新設が認められており、合併処理浄化槽への転換は法令上まったく求められていない。
  4. 合併処理浄化槽は、トイレの汚水と生活雑排水をあわせて処理する構造であり、一般に放流水のBOD除去率はおおむね90%以上の高い処理性能が求められる。

解答・解説

正答は3です。

  1. 正しい記述です。単独処理浄化槽はトイレの汚水のみを処理し、生活雑排水は未処理のまま放流します。
  2. 正しい記述です。平成13年(2001年)4月以降、単独処理浄化槽の新設は認められていません。
  3. 誤りです。既存の単独処理浄化槽は直ちに使用が禁止されるわけではありませんが、新設が認められているわけではなく、既に設置されているものを使い続けられるにとどまります。また浄化槽法上、所有者には合併処理浄化槽への転換の努力義務が課されており、「転換は法令上まったく求められていない」という記述は誤りです。
  4. 正しい記述です。合併処理浄化槽は生活雑排水も含めて処理し、高い処理性能(BOD除去率おおむね90%以上)が求められます。

出題根拠: 単独処理浄化槽の新設禁止(2001年4月〜)と、既存分への転換の努力義務は、浄化槽法の基礎知識として頻出です。詳しくは浄化槽の基礎で解説しています。


問19(計算:給水量計算/事務所ビル)

在勤者200人の事務所ビルにおいて、設計用給水量を1人1日当たり80L(在勤者1人1日当たりの使用水量の目安とされる60〜100L/日の範囲内の値)とし、使用時間を9時間とした場合の使用水量の算定に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 一日当たりの使用水量は、200人×80L/人・日から16,000L(16m³)と算定される。
  2. 時間平均予想給水量は、一日使用水量16,000Lを使用時間9時間で除して、およそ1,778L/h(約1.8m³/h)と算定される。
  3. 在勤者数が同じであっても、1人1日当たりの使用水量の設定を大きくすれば、算定される一日使用水量・時間平均予想給水量はいずれも増加する。
  4. 時間平均予想給水量は、実際にトイレ利用や給湯室利用が集中する時間帯の給水量をそのまま表しており、ピーク時にはこれを下回る給水量で対応できる。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。200×80=16,000L(16m³)となります。
  2. 正しい記述です。16,000÷9≒1,777.8で、およそ1,778L/h(約1.8m³/h)となります。
  3. 正しい記述です。1人当たりの使用水量の設定が大きくなれば、一日使用水量・時間平均予想給水量はいずれも増加します。
  4. 誤りです。時間平均予想給水量は、あくまで1日の使用水量を使用時間で均等に割った平均値であり、始業直後や昼休み前後のようにトイレ・給湯室の利用が集中する時間帯の実際の給水量(ピーク需要)は、この平均値を上回るのが通常です。ポンプ能力や受水槽容量の計画では、こうした利用の集中を踏まえて時間平均予想給水量を上回る対応力を見込む必要があり、「ピーク時にはこれを下回る給水量で対応できる」という記述は誤りです。

出題根拠: 一日使用水量から時間平均予想給水量を求める計算と、時間平均値がピーク需要をそのまま表すものではないという理解は、給水設備の計算問題として頻出です。詳しくは給水設備の計画で解説しています。


問20(排水横管の勾配)

排水横管の勾配に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 排水横管は自然流下によって排水を流すため、管の太さ(管径)に応じた適切な勾配を確保することが基本の考え方である。
  2. 勾配が緩やかすぎる(水平に近い)排水横管は、流速が不足しやすく、固形物が管内に残留しやすくなる傾向がある。
  3. 勾配が急すぎる排水横管は、水だけが先に流れてしまい、固形物が管内に取り残されやすくなる現象が生じることがある。
  4. 排水横管の勾配は急であるほど自浄作用が高まり詰まりにくくなるため、実務上は可能な限り勾配を急にすることが望ましいとされている。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。排水横管は自然流下が基本であり、管径に応じた適切な勾配の確保が求められます。
  2. 正しい記述です。勾配が緩やかすぎると流速不足で固形物が残留しやすくなります。
  3. 正しい記述です。勾配が急すぎると水だけが先行し、固形物が取り残されやすくなります。
  4. 誤りです。選択肢3の内容と矛盾しており、勾配は急であるほど良いわけではありません。急すぎる勾配はかえって固形物の取り残しを招くため、管径に応じたバランスの取れた勾配を確保することが実務上の基本であり、「可能な限り急にすることが望ましい」という記述は誤りです。

出題根拠: 排水横管の勾配は緩やかすぎても急すぎても不具合が生じるという「バランス」の理解は、排水設備計画の基礎として頻出です。詳しくは排水通気設備の計画で解説しています。


直前チェックリスト

20問で扱った論点に加え、直前期にあわせて確認しておきたい重要論点を以下にまとめます。

  • 中央熱源方式は安定した熱負荷の建物で、個別分散方式はテナントごとに使用時間・設定温度が異なる建物で効率を発揮しやすいこと
  • 吸収冷凍機は熱を主なエネルギー源とし電力消費が少ない反面、機器・冷却塔が大型化しやすいこと。ターボ冷凍機は電力消費が大きい反面コンパクトであること
  • コージェネレーションの省エネ効果は、発電した電気だけでなく回収した排熱を使い切れるかどうかに左右されること
  • 全空気方式・水方式(ファンコイルユニット方式)・個別方式(ビルマル)それぞれの得意分野と、水方式が搬送スペースの面で有利な理由
  • 二重ダクト方式は個別制御性に優れる反面、冷風・温風の混合ロスによりエネルギー効率では不利になりやすいこと
  • 水は空気より単位体積あたりの熱容量が大きく、同じ熱量を運ぶなら水搬送の方が搬送動力・スペースを抑えやすいこと
  • 局所換気と全般換気は排他的ではなく、局所換気を設けた室でも室全体の給排気バランスの検討が必要なこと
  • 低速ダクトの目安風速(おおむね15m/s以下)と、アスペクト比が大きいほど圧力損失が増えるという関係
  • 厨房換気のNKQ法(V=NKQ、フードなしN=40・I型N=30・II型N=20)による必要換気量の算定
  • ポンプ・送風機の比例則(流量は回転数の1乗、揚程は2乗、動力は3乗に比例)とインバータ制御による省エネの原理
  • クロスコネクションの防止と、吐水口空間を優先しバキュームブレーカを補完的に用いるという逆流防止の順序
  • ウォーターハンマー(水撃作用)は流速が速く閉止時間が短いほど大きくなり、配管の破損・振動等の物理的被害につながること
  • 局所式給湯は配管が短く熱損失・湯待ち時間の課題が小さい一方、中央式は循環配管(返湯管)で対応する必要があること
  • レジオネラ属菌対策は貯湯温度を高温に保ち湯の滞留を避けることが基本であり、低温に保つことは逆効果であること
  • 封水破封の5原因(蒸発・自己サイホン作用・誘導サイホン作用・毛管現象・はねだし作用)のうち、蒸発は通気管では防げないこと
  • 通気方式(各個通気・ループ通気・伸頂通気)ごとに圧力変動の緩和効果・適用規模が異なること
  • 大便器の洗浄水量は旧一般形の13L程度から節水形(おおむね6.5L以下等)へ移行していること
  • 単独処理浄化槽は新設が認められておらず、既存分には合併処理浄化槽への転換の努力義務があること
  • 時間平均予想給水量は1日の使用水量を使用時間で均等に割った値であり、利用が集中するピーク時にはこれを上回る需要が生じること
  • 排水横管の勾配は緩やかすぎても急すぎても不具合が生じ、管径に応じたバランスの取れた勾配が必要であること

まとめ

第4集で扱った空調設備・給排水衛生設備は、環境工学のような「因果関係の逆転」に加えて、「どちらの方式がどんな建物・場面に向いているか」という実務上の使い分けを問う出題が多い分野だと筆者は考えています。中央熱源と個別分散、全空気方式と水方式、局所式給湯と中央式給湯のように、一律の優劣ではなく建物の使われ方によって答えが変わる論点が多いぶん、それぞれの方式のメリット・デメリットをセットで押さえておくことが得点につながります。この20問で誤答した論点があれば、単発の暗記に戻るのではなく、関連する単元記事に戻って前後の関係ごと確認しておくことをおすすめします。試験本番では、計算問題は焦って途中式を飛ばさず、単位を書きながら一段ずつ計算する習慣が、NKQ法や比例則のような「係数・指数の取り違え」を防ぐ最も確実な方法になります。


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