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環境工学

【令和8年度】一級建築士 学科「環境・設備」予想問題 第2集|伝熱・結露・温熱環境・換気20問

環境・設備の直前予想問題(第1集)では環境工学と建築設備の両方から15問を出題しましたが、環境工学Iの中でも配点の厚い「伝熱・断熱」「湿り空気と結露」「温熱環境指標」「換気」をもう一段深く復習したいという声があるのではないかと筆者は考えています。

この第2集では、その4分野に絞って筆者が独自に作成した予想問題を20問収録しました。第1集と重複する論点は避け、伝熱では熱伝導率や中空層の放射特性、結露では防止策の具体例や防湿層の透湿抵抗、温熱環境指標ではPMVの構成要素や作用温度、換気では機械換気方式の実務選定や中性帯の面積比の効果など、より踏み込んだ内容を中心に構成しています。熱貫流率・作用温度・必要換気量の計算問題も3問組み込み、いずれも数値を自分で検算したうえで出題しています。

なお本問題集は筆者(当サイト)が独自に作成した予想問題であり、実際の試験問題の的中や出題を保証するものではありません。受験にあたっては最新の法令・公式発表をご確認ください。数値基準や法令については2026年7月時点の情報をもとに作成していますが、実際の試験前には必ずご自身でも最新の公式情報をご確認いただくようお願いします。

環境・設備という科目全体の位置づけや、この記事がどの単元に対応しているかを先に把握したい方は、一級建築士「環境・設備」の学習ガイドを先に確認しておくと、この先の20問に取り組みやすくなります。


出題傾向と予想の考え方

環境工学Iに分類される伝熱・断熱・結露・温熱環境・換気は、単独の暗記事項というより「因果関係」を問う設問が多い分野だと筆者は捉えています。特に、AとBのどちらが原因でどちらが結果かを入れ替えたひっかけ、比例関係を平方根比例と混同させるひっかけ、似た指標同士(PMVとSET*、第1種と第2種換気など)の性質を取り違えさせるひっかけの3パターンが繰り返し出題される傾向にあります。

分野 テーマ 頻出度の目安 対応する問番号
伝熱 熱伝導率と材料特性 問1
伝熱 熱貫流率の計算 問2
伝熱 熱橋(ヒートブリッジ) 問3
伝熱 中空層の熱抵抗と放射率 問4
断熱 外断熱・内断熱の違い 問5
断熱 断熱性能と熱容量・時間遅れ 問6
結露 表面結露の防止策 問7
結露 内部結露と防湿層・通気層 問8
湿り空気 顕熱比(SHF)と冷房プロセス 問9
湿り空気 加湿方式(気化式・蒸気式)の違い 問10
温熱環境指標 PMVの構成要素 問11
温熱環境指標 作用温度・グローブ温度 問12
温熱環境指標 SET*とETの違い 問13
温熱環境指標 ドラフト・気流分布 問14
換気 必要換気量・換気回数の計算 問15
換気 機械換気方式の実務選定 問16
換気 シックハウス対策 問17
換気 中性帯と開口面積比 問18
換気 風力換気と風圧係数 問19
換気 換気効率(置換換気・混合換気) 問20

以下の20問は、この表の順に沿って出題しています。計算問題は問2・問12・問15の3問で、いずれも清書する前に筆者自身で数値を検算しています。


予想問題20問

問1(熱伝導率と材料特性)

材料の熱伝導率に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 一般に、金属材料の熱伝導率は、グラスウール等の繊維系断熱材の熱伝導率よりも小さい。
  2. 静止した空気の熱伝導率は多くの固体材料より小さく、断熱材の多くはこの空気を材料内部に閉じ込めることで断熱性能を高めている。
  3. 木材の熱伝導率は、一般に同じ厚さの鉄筋コンクリートの熱伝導率よりも大きい。
  4. 材料の熱伝導率は、材料の密度が高くなるほど常に小さくなる。

解答・解説

正答は2です。

  1. 誤りです。金属は熱の良導体であり、熱伝導率はグラスウール等の断熱材よりはるかに大きい値です。
  2. 正しい記述です。断熱材は繊維系・発泡系を問わず、熱伝導率の小さい静止空気を内部に細かく閉じ込める構造により断熱性能を得ています。
  3. 誤りの内容です(この設問では2が正答のため誤りの選択肢として扱います)。木材の熱伝導率は一般にコンクリートより小さく、木造が断熱上有利とされる一因です。
  4. 誤りの内容です。一般に材料の密度が高いほど内部の空隙が減り、熱伝導率は大きくなる傾向があります。断熱材が低密度で空気を多く含むのはこのためです。

出題根拠: 熱伝導率と密度・材料種別の関係は、断熱材の原理そのものを問う基礎論点として毎年出題が予想されます。詳しくは伝熱と断熱の基礎で解説しています。


問2(熱貫流率の計算)

外壁の熱抵抗が下記の条件であるとき、この壁の熱貫流率(U値)の算定過程に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

条件:室内側表面熱伝達抵抗0.11 m²K/W、断熱材(厚さ50mm、熱伝導率0.05 W/mK)、コンクリート(厚さ120mm、熱伝導率1.2 W/mK)、室外側表面熱伝達抵抗0.04 m²K/W

  1. 断熱材部分の熱抵抗は、厚さ0.05mを熱伝導率0.05 W/mKで除して1.0 m²K/Wと求められる。
  2. コンクリート部分の熱抵抗は、厚さ0.12mを熱伝導率1.2 W/mKで除して0.1 m²K/Wと求められる。
  3. 壁全体の熱抵抗は、室内外の表面熱伝達抵抗と各層の熱抵抗を合計し、1.25 m²K/Wとなる。
  4. この壁の熱貫流率は、壁全体の熱抵抗の値をそのまま用いて1.25 W/m²Kとなる。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。0.05÷0.05=1.0 m²K/Wと求められます。
  2. 正しい記述です。0.12÷1.2=0.1 m²K/Wと求められます。
  3. 正しい記述です。0.11+1.0+0.1+0.04=1.25 m²K/Wとなります。
  4. 誤りです。熱貫流率は熱抵抗の合計の逆数(U=1/R)で求めるものであり、1÷1.25=0.8 W/m²Kが正しい値です。熱抵抗と熱貫流率の関係を取り違えた記述です。

出題根拠: 熱抵抗の直列合成から熱貫流率を求める計算は、環境工学の計算問題として頻出です。「熱抵抗は足し算、熱貫流率はその逆数」という関係の取り違えは繰り返し狙われるひっかけです。詳しくは伝熱と断熱の基礎で解説しています。


問3(熱橋・RC造)

鉄筋コンクリート造建築物における熱橋(ヒートブリッジ)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. RC造の外壁と床スラブが交わる部分は、コンクリートが断熱層を貫通する形になりやすく、熱橋の代表例とされる。
  2. バルコニーが外壁から片持ちで室内側のスラブと連続している場合、バルコニー部分が熱橋となって熱が逃げやすくなることがある。
  3. 熱橋部分は周囲より熱貫流率が大きくなるため、冬期には周囲よりも室内側表面温度が低くなりやすい。
  4. 内断熱工法(断熱材を室内側に設ける工法)は、外断熱工法と比較して、外壁と床スラブの交差部における熱橋を生じにくい工法である。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。床スラブが外壁の断熱層を貫通する部分は熱橋の代表例です。
  2. 正しい記述です。片持ちバルコニーは構造上スラブが連続するため熱橋になりやすい部分です。
  3. 正しい記述です。熱橋部分は表面温度が低下しやすく、結露のリスクも高まります。
  4. 誤りです。内断熱工法は各階ごとに断熱材が途切れやすく、外壁と床スラブの交差部で熱橋を生じやすい工法です。建物全体を外側から連続して覆う外断熱工法の方が、この種の熱橋を抑えやすいとされています。

出題根拠: 内断熱・外断熱と熱橋の生じやすさの関係は、実務上の設計判断にも直結する頻出論点です。詳しくは伝熱と断熱の基礎で解説しています。


問4(中空層と放射率)

中空層(空気層)を有する壁体の断熱性能に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 中空層における熱の移動は、対流だけでなく、両側の面の間で生じる熱放射によっても行われる。
  2. 中空層の片面に放射率の低い材料(アルミ箔等)を張ると、面間の放射による熱移動が抑えられ、中空層の熱抵抗を高める効果が期待できる。
  3. 中空層内の対流を抑えるため、薄い中間膜等で中空層を細かく分割することは、断熱性能の向上に有効な手法の一つとされている。
  4. 中空層の断熱性能は放射率の影響を受けず、専ら対流によってのみ決まるため、表面処理の違いによって断熱性能が変化することはない。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。中空層内の熱移動は対流と放射の両方が関与します。
  2. 正しい記述です。低放射(Low-E)処理は面間の放射熱移動を抑え、中空層の熱抵抗を高める効果があります。
  3. 正しい記述です。中空層の分割は対流の発生を妨げ、断熱性能の向上に寄与します。
  4. 誤りです。選択肢2の内容と矛盾しており、中空層の断熱性能は対流だけでなく放射の影響も受けるため、反射率の高い材料を用いることで性能を高められます。

出題根拠: 中空層の断熱性能を高める手法(低放射処理・分割)は、断熱材料の選定実務にも関わる論点で、令和8年度も出題が予想されます。


問5(外断熱・内断熱の違い)

外断熱工法と内断熱工法の違いに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 外断熱工法は、構造体の外側を断熱材で連続的に覆うため、外壁と床スラブの交差部などにおける熱橋を抑えやすい。
  2. 内断熱工法は、各階ごとに断熱材を室内側に張るため、外断熱工法と比較して施工が容易でコストを抑えやすい傾向がある。
  3. 外断熱工法は、構造体そのものが断熱層の内側(室内側)に含まれる形になるため、構造体の蓄熱を室温の安定化に利用しやすい。
  4. 内断熱工法は、構造体が断熱層の内側に含まれるため、外断熱工法よりも構造体の熱容量を活かした室温の安定化に優れている。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。外断熱は構造体を連続的に覆うため熱橋を抑えやすい工法です。
  2. 正しい記述です。内断熱は各階独立で施工でき、コスト面で採用しやすい傾向があります。
  3. 正しい記述です。外断熱は構造体が断熱層の室内側にあるため、蓄熱を室温安定化に利用しやすくなります。
  4. 誤りです。内断熱工法では構造体が断熱層の**外側(室外側)**に位置する形になるため、構造体の蓄熱を室温の安定化に活かしにくい工法です。蓄熱を活かしやすいのは外断熱工法の側であり、設問は関係を逆にしています。

出題根拠: 外断熱・内断熱それぞれの熱橋・蓄熱への影響の違いは、問3とあわせて出題されやすい複合論点です。


問6(断熱性能と熱容量・時間遅れ)

断熱性能と熱容量(蓄熱性)の関係に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 断熱性能(熱貫流率の小ささ)と熱容量(蓄熱のしやすさ)は、どちらも室内の温熱環境に影響するが、性質の異なる別々の要素である。
  2. 熱容量の大きい重量構造(RC造等)は、外気温の変動が室温に伝わるまでに時間的な遅れ(タイムラグ)が生じやすい。
  3. 熱容量の小さい軽量構造(木造の充填断熱住宅等)は、空調のオン・オフに対する室温の応答が速く、間欠運転の空調と相性が良いとされる。
  4. 壁体の熱貫流率(U値)を小さくするほど、その壁体の熱容量も比例して大きくなる。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。断熱性能と熱容量は別々の物理量であり、両方を意識して設計する必要があります。
  2. 正しい記述です。重量構造は蓄熱により温度変化が緩やかになり、時間的な遅れが生じやすくなります。
  3. 正しい記述です。軽量構造は熱容量が小さいため空調への応答が速く、間欠運転向きとされます。
  4. 誤りです。U値と熱容量は別の物理量であり、U値を小さくしたからといって熱容量が比例して大きくなるわけではありません。むしろ軽量な断熱材はU値を下げやすい一方で熱容量は小さいままです。

出題根拠: 断熱性能と熱容量を混同させる出題は環境工学の定番のひっかけであり、令和8年度も出題が予想されます。


問7(表面結露の防止策)

表面結露の防止に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 複層ガラス(ペアガラス)は、単層ガラスと比較して室内側のガラス表面温度を室温に近づけやすく、表面結露の抑制に有効とされている。
  2. Low-E(低放射)ガラスは面間の放射による熱の出入りを抑える効果があり、複層ガラスと組み合わせることで断熱性能をさらに高める効果が期待できる。
  3. 建具(サッシ)を熱伝導率の小さい樹脂製・木製とすることは、アルミ製サッシと比較して枠部分の表面温度を室温に近づけやすく、結露防止に有効とされている。
  4. 室内の相対湿度を高く保つことは、室内側表面温度を露点温度より低く保ちやすくなるため、表面結露の防止に有効な手法の一つである。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。複層ガラスは中空層により室内側表面温度を室温に近づけやすくなります。
  2. 正しい記述です。Low-Eガラスは放射による熱移動を抑え、断熱性能の向上に寄与します。
  3. 正しい記述です。樹脂・木製サッシはアルミ製より熱伝導率が小さく、枠部分の結露防止に有効です。
  4. 誤りです。室内の相対湿度を高く保つと、その分だけ露点温度自体が上昇し、表面結露のリスクは高まります。表面結露の防止には、除湿や換気によって室内の相対湿度を適切な水準に保つことが有効です。

出題根拠: 表面結露を防ぐ具体的な建材・手法の知識は、令和8年度も実務的な観点から出題が予想される論点です。詳しくは結露が起きる仕組みと対策の考え方で解説しています。


問8(内部結露と防湿層・通気層)

内部結露の防止に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 内部結露は、壁体内部を水蒸気が透過していく過程で、その部分の温度がその場所の露点温度を下回ることによって生じる。
  2. 防湿層は、水蒸気を通しにくい材料(気密シート等)を用いて、水蒸気が壁体内部へ侵入する量そのものを減らす役割を担っている。
  3. 外壁の断熱層の屋外側に通気層を設け、壁体内に入り込んだ水蒸気や湿気を屋外へ排出しやすくすることは、内部結露対策の一つとして広く用いられている。
  4. 防湿層の透湿抵抗は低いほど内部結露の防止に効果的であり、透湿抵抗の高い材料は防湿層として適さない。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。壁体内部で水蒸気圧が飽和水蒸気圧を上回る(温度が露点を下回る)と内部結露が生じます。
  2. 正しい記述です。防湿層は水蒸気の侵入量を抑える役割を担っています。
  3. 正しい記述です。通気層は壁体内の湿気を屋外へ逃がす経路として広く採用されています。
  4. 誤りです。防湿層は透湿抵抗が高い(水蒸気を通しにくい)材料であるほど防湿効果が高くなります。透湿抵抗が低い材料は水蒸気を通しやすく、防湿層としては不適です。

出題根拠: 防湿層の透湿抵抗の大小と防湿効果の関係は、防湿層の設置位置(第1集で既出)とあわせて理解しておきたい論点です。詳しくは結露が起きる仕組みと対策の考え方で解説しています。


問9(湿り空気線図・顕熱比)

湿り空気線図における冷房時の状態変化に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 顕熱比(SHF)は、除去する熱量全体(顕熱+潜熱)に対する顕熱の割合を表す値である。
  2. 顕熱比が1に近いほど、除去する熱量に占める潜熱(除湿)の割合が小さいことを意味する。
  3. 湿り空気線図上では、顕熱比が大きい(潜熱負荷が小さい)冷房プロセスほど、状態変化を表す線の傾きは水平に近くなる。
  4. 顕熱比が小さい(潜熱負荷の割合が大きい)室ほど、湿り空気線図上での状態変化を表す線は水平に近くなる。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。SHFは全熱に対する顕熱の割合として定義されます。
  2. 正しい記述です。顕熱比が1に近いほど潜熱(湿度変化)の寄与は小さくなります。
  3. 正しい記述です。顕熱比が大きい(温度変化が主体)プロセスでは、絶対湿度の変化が小さく線は水平に近づきます。
  4. 誤りです。顕熱比が小さい(潜熱負荷の割合が大きい)場合、絶対湿度の変化が大きくなるため、状態変化を表す線はむしろ垂直に近くなります。選択肢3の内容と矛盾する記述です。

出題根拠: 顕熱比と状態変化線の傾きの関係は、空調設計の計算問題の前提知識として頻出です。詳しくは湿り空気線図の読み方で解説しています。


問10(加湿方式の違い)

加湿方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 気化式(水噴霧式等)の加湿は、水が気化する際に周囲の熱(気化熱)を奪うため、加湿と同時に空気の乾球温度がやや低下する傾向がある。
  2. 蒸気加湿は、あらかじめ気化させた水蒸気を空気中に供給する方式であり、気化式と比較して加湿に伴う空気の乾球温度の低下は小さい。
  3. 気化式の加湿プロセスは、湿り空気線図上でおおむね湿球温度が一定に近い変化として表されることが多いとされている。
  4. 蒸気加湿・気化式加湿のいずれも、加湿に伴って空気の絶対湿度は変化せず、相対湿度のみが上昇する。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。気化式は気化熱を奪うため乾球温度が低下しやすい方式です。
  2. 正しい記述です。蒸気加湿はすでに気化した水蒸気を供給するため、乾球温度への影響は小さくなります。
  3. 正しい記述です。気化式の加湿プロセスは断熱変化に近く、湿球温度がほぼ一定のまま推移するとされています。
  4. 誤りです。加湿とは空気中に含まれる水蒸気量、すなわち絶対湿度を増加させる操作そのものです。絶対湿度が変化しないという記述は加湿の定義と矛盾します。

出題根拠: 気化式・蒸気式それぞれの加湿プロセスの違いは、空調設備の計算・図読み取り問題の前提として出題が予想されます。詳しくは湿り空気線図の読み方で解説しています。


問11(PMVの構成要素)

PMV(予測平均温冷感申告)の算定に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. PMVは、気温・湿度・気流・放射という環境側の4要素に加え、代謝量・着衣量という人体側の2要素も考慮して算定される。
  2. 代謝量はmet(メット)という単位で表され、活動量が大きくなるほど、体内で発生する熱量は大きくなる。
  3. 着衣量はclo(クロ)という単位で表され、着衣量が大きい(厚着である)ほど、同じ気温でも温かく(暑く)感じやすい方向にPMVが変化する。
  4. PMVの算定において、代謝量と着衣量は算定を簡略化するため常に同一の標準値に固定された定数として扱われ、実際の値によって変化することはない。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。PMVは温熱6要素すべてを取り込んだ指標です。
  2. 正しい記述です。metは活動量に応じた代謝熱量の単位です。
  3. 正しい記述です。cloは着衣による断熱性を表す単位で、値が大きいほど温かく感じやすくなります。
  4. 誤りです。PMVの算定式では代謝量・着衣量は実際の値を変数として入力するものであり、固定された定数ではありません。代謝量・着衣量を一定の標準値に固定して比較に用いるのはSET*(標準新有効温度)の考え方であり、両者を混同した記述です。

出題根拠: PMVは実測値を入力する指標、SET*は標準値に固定して比較する指標、という違いは頻出の混同ポイントです。詳しくは温熱環境の快適指標の基礎で解説しています。


問12(作用温度・グローブ温度の計算)

気流の影響がほとんどない室(気流速度0.2m/s未満)において、気温24℃、平均放射温度18℃であるときの作用温度(OT)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 気流の影響が小さい場合、作用温度は気温と平均放射温度の重みづけがほぼ等しくなり、単純平均に近似できる。
  2. この条件での作用温度は、(24+18)÷2からおよそ21℃と算定される。
  3. 気流が強くなるほど、作用温度における気温(対流)の重みは大きくなる方向に変化する。
  4. 作用温度は、気温・平均放射温度に加えて、室内の相対湿度も重みづけして算出される指標である。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。気流が小さい条件では対流と放射の重みがほぼ等しくなり、単純平均で近似できます。
  2. 正しい記述です。(24+18)÷2=21℃となります。
  3. 正しい記述です。気流が強まると対流の影響が相対的に大きくなり、気温側の重みが増します。
  4. 誤りです。作用温度は気温と平均放射温度を対流・放射の重みで組み合わせた指標であり、相対湿度は考慮していません

出題根拠: 作用温度の算定と、湿度を考慮しないという性質の理解は、PMV・SET*との違いを問う出題の前提として頻出です。詳しくは温熱環境の快適指標の基礎で解説しています。


問13(SET*とETの違い)

新有効温度・標準新有効温度に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 有効温度(ET)は、気温・湿度・気流の組み合わせによる体感を、1つの温度指標として表そうとする考え方に基づいている。
  2. SET*(標準新有効温度)は、着衣量・代謝量を含めた温熱6要素すべてを、標準的な条件(着衣量・代謝量等を一定値に固定した基準環境)に置き換えて表す指標である。
  3. SET*を用いることで、気温や湿度の組み合わせが異なる複数の環境間でも、体感の程度を同じものさしで比較しやすくなる。
  4. SET*は気温のみを基準環境に置き換えた指標であり、湿度・気流・代謝量・着衣量は考慮されていない。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。ETは気温・湿度・気流の組み合わせによる体感を表そうとした指標です。
  2. 正しい記述です。SET*は代謝量・着衣量を含む標準環境に置き換えて表す指標です。
  3. 正しい記述です。標準化された条件に置き換えることで、異なる環境間の体感を比較しやすくなります。
  4. 誤りです。SET*は温熱6要素すべてを考慮した包括的な指標であり、湿度・気流・代謝量・着衣量を考慮しないという記述は明らかな誤りです。

出題根拠: SET*が考慮する要素の広さ(6要素すべて)を、作用温度等の限定的な指標と混同させる出題は頻出です。詳しくは温熱環境の快適指標の基礎で解説しています。


問14(ドラフト・気流分布)

室内気流・ドラフトに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. ドラフトとは、局部的な気流によって、体の一部が想定以上に冷やされることで生じる不快感のことをいう。
  2. 同じ風速であっても、気温が低い環境ほど、また気流の乱れが大きいほど、ドラフトによる不快感を生じやすいとされている。
  3. 空調の吹出し口の設計においては、居住域における気流速度を一定以下に抑えることが、ドラフトによる不快感を避けるうえで配慮される。
  4. 気流は体感温度に影響を与えないため、室内の気流分布は空調計画において考慮する必要はない。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。ドラフトは局部気流による過度な冷却感を指します。
  2. 正しい記述です。低温・乱流ほどドラフト感が強まるとされています。
  3. 正しい記述です。吹出し口の設計では居住域の気流速度への配慮がなされます。
  4. 誤りです。気流は対流による熱の奪われやすさに直結し、体感温度・不快感に大きく影響するため、空調計画において気流分布は重要な検討項目です。

出題根拠: 気流と体感温度の関係は、温熱6要素の理解の応用として出題されやすい論点です。


問15(必要換気量・換気回数の計算)

床面積40㎡、天井高さ2.5mの会議室に在室者10人がいる場合の必要換気量・必要換気回数の算定過程に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、1人当たりの必要換気量は30㎥/hとする。

  1. この室の室容積は、床面積40㎡に天井高さ2.5mを乗じて100㎥と求められる。
  2. 在室者10人分の必要換気量は、1人当たり30㎥/hとして300㎥/hとなる。
  3. この室の必要換気回数は、必要換気量300㎥/hを室容積100㎥で除して3.0回/hとなる。
  4. 必要換気回数は在室者数に関係なく、室容積のみによって決まる一定の値である。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。40×2.5=100㎥となります。
  2. 正しい記述です。30×10=300㎥/hとなります。
  3. 正しい記述です。300÷100=3.0回/hとなります。
  4. 誤りです。必要換気回数は「必要換気量(在室者数に応じて変わる)÷室容積」で求まる値であり、在室者数が変われば必要換気量も変わるため、室容積のみで一定に決まるものではありません。上記の計算過程そのものが、在室者数に依存することを示しています。

出題根拠: 必要換気量から必要換気回数を求める2段階の計算は、換気設備の計算問題として頻出です。詳しくは室内空気環境の基礎で解説しています。


問16(機械換気方式の実務選定)

機械換気方式の実務上の使い分けに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 住宅の便所・浴室など臭気の発生源となる室は、室内を周囲より低い圧力(負圧)に保ちやすい第3種換気とすることが一般的である。
  2. 手術室・クリーンルームなど、外部からの汚染空気の侵入を防ぎたい室は、給気・排気の両方を機械で行う第1種換気とするのが基本とされている。
  3. 第2種換気は排気のみを機械で行う方式であり、室内が負圧になりやすいため、汚染源のある室への採用が一般的である。
  4. 換気方式の選定では、室の用途(汚染源の有無・清浄度を保ちたいか等)にかかわらず、常に同一の方式を採用するのが合理的である。

解答・解説

正答は1です。

  1. 正しい記述です。便所・浴室等は室内を負圧に保ち、臭気が他室へ流出しにくい第3種換気が一般的です。
  2. 誤りです。手術室・クリーンルームは、外部からの汚染空気の侵入を防ぐため、室内を正圧に保ちやすい第2種換気(機械給気・自然排気)とするのが基本です。
  3. 誤りです。第2種換気は給気を機械、排気を自然で行う方式であり、室内は正圧になりやすいため、汚染源のある室にはむしろ不向きです。
  4. 誤りです。換気方式は室の用途・汚染源の有無・清浄度の要求水準に応じて選定するのが合理的です。

出題根拠: 第1種・第2種・第3種換気の定義(第1集で既出)を、実際の室用途への当てはめとして問う出題は令和8年度も予想されます。


問17(シックハウス対策)

シックハウス対策に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 建築基準法上、居室の必要換気回数はおおむね0.5回/h以上を確保することとされており、24時間換気設備等によって常時稼働させることが求められている。
  2. 内装材料に使用されるホルムアルデヒド発散建材は、発散量に応じた等級表示(F☆☆☆☆等)により使用面積等が制限されている。
  3. 天井裏・床下等の空間についても、建材から発生する化学物質が居室に流入しないよう、気密層の設置や換気経路の確保等の措置が必要とされる場合がある。
  4. 24時間換気設備は、在室者がいない夜間や外出時には稼働を停止し、間欠的に運転することが基準上求められている。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。0.5回/h以上の常時換気が建築基準法上求められています。
  2. 正しい記述です。F☆☆☆☆等の等級表示により建材の使用が制限されています。
  3. 正しい記述です。天井裏等からの化学物質の流入対策も必要とされる場合があります。
  4. 誤りです。ホルムアルデヒド等の化学物質は在室の有無にかかわらず継続的に発生するため、24時間換気設備は在室していない時間帯も含めて常時稼働させることが前提とされています。

出題根拠: シックハウス対策としての24時間換気の常時稼働という前提は、換気方式(第1集既出)とあわせて頻出の論点です。詳しくは室内空気環境の基礎で解説しています。


問18(中性帯と開口面積比)

温度差換気における中性帯に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 上下に設けた開口部の実効面積が等しい場合、中性帯はおおむね上下開口の中間の高さに位置する。
  2. 下部開口の実効面積を上部開口より大きくすると、中性帯は下部開口に近づく方向に移動する傾向がある。
  3. 中性帯が下部開口に近づくと、上部開口からみた中性帯までの高低差は相対的に大きくなる方向に働く。
  4. 中性帯の位置は、上下開口の実効面積の大小にかかわらず、常に建物高さの中央に固定される。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。上下開口の面積が等しい場合、中性帯はほぼ中間に位置します。
  2. 正しい記述です。中性帯は実効面積の大きい開口に近づく傾向があります。
  3. 正しい記述です。中性帯が下部に寄ると、上部開口側の実質的な高低差が広がる方向に働きます。
  4. 誤りです。選択肢2・3の内容と矛盾しており、中性帯の位置は上下開口の実効面積比によって変化します。

出題根拠: 中性帯の位置が開口面積比によって変化するという点は、上下の流出入方向(第1集既出)とあわせて理解しておきたい論点です。詳しくは通風・自然換気の基礎で解説しています。


問19(風力換気と風圧係数)

風力換気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 風力換気による換気量は、開口部の実効面積及び風速に比例する関係にあるとされる。
  2. 風力換気による換気量は、風上側と風下側の風圧係数の差に比例する関係にあるとされる。
  3. 風上側の壁面は風圧係数がプラス側に、風下側の壁面はマイナス側になる傾向があり、この差を大きく確保することが風力換気を効かせる基本である。
  4. 片側の壁面にしか開口がない片側換気であっても、わずかながら換気は生じるが、風上・風下に開口を分けた通り抜け換気と比較すると換気量は小さくなる傾向がある。

解答・解説

正答は2です。

  1. 正しい記述です。換気量は実効面積・風速に比例します。
  2. 誤りです。換気量は風圧係数の差に比例するのではなく、その差の平方根に比例する関係にあります。面積・風速の単純比例と、圧力差の平方根比例を混同した記述です。
  3. 正しい記述です。風上側はプラス、風下側はマイナスの風圧係数になる傾向があります。
  4. 正しい記述です。片側換気は通り抜け換気より換気量が小さくなる傾向があります。

出題根拠: 換気量が風圧係数の差に「比例」するのか「平方根比例」するのかという区別は、計算問題・正誤問題の両方で狙われる頻出の論点です。詳しくは通風・自然換気の基礎で解説しています。


問20(換気効率・置換換気)

換気方式(換気効率)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 混合換気(希釈換気)は、給気と室内空気をよく混合させることで、室内の汚染物質濃度を均一に薄めることを狙った換気方式である。
  2. 置換換気は、室温より低温の新鮮空気を床面付近から低い風速で供給し、人体等の発熱による上昇気流を利用して汚染物質を上方へ押し上げ、天井付近から排出する方式である。
  3. 置換換気は、居住域(人がいる高さ)の空気質を混合換気と比較してより新鮮に保ちやすいとされ、換気効率の観点で有利とされる場合がある。
  4. 置換換気は室内の空気を大きくかき混ぜることを目的とした方式であり、混合換気と比較して居住域の汚染物質濃度を必ず均一化できる点で優れている。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。混合換気は給気と室内空気を混合し、濃度を均一に薄める方式です。
  2. 正しい記述です。置換換気は温度成層を利用し、下部から上部へ汚染物質を押し上げる方式です。
  3. 正しい記述です。置換換気は居住域の空気質を新鮮に保ちやすいとされています。
  4. 誤りです。置換換気は室内の空気を積極的にかき混ぜないことで温度成層を作り出す方式であり、「均一化」ではなく「成層化」が特徴です。かき混ぜて濃度を均一化するのは混合換気の考え方であり、設問は両者の性格を取り違えています。

出題根拠: 混合換気と置換換気の原理の違い(均一化と成層化)は、省エネ換気手法として近年出題が増えている論点です。


直前チェックリスト

20問で扱った論点に加え、直前期にあわせて確認しておきたい重要論点を以下にまとめます。

  • 熱伝導率(材料固有の値)・熱伝達率(表面と空気の間)・熱抵抗(区間の伝わりにくさ)・熱貫流率(壁全体の指標)の関係と、それぞれの逆数・足し算の扱い方
  • 熱抵抗の直列合成から熱貫流率を求める際、最後に逆数をとる手順を忘れないこと
  • 熱橋が生じやすい部位(床スラブ・バルコニー等)と、外断熱・内断熱による熱橋の生じやすさの違い
  • 断熱性能(U値)と熱容量(蓄熱性)は別の物理量であり、重量構造・軽量構造でそれぞれ空調運転方式との相性が異なること
  • 表面結露を防ぐ具体的な建材・手法(複層ガラス・Low-Eガラス・樹脂サッシ・湿度管理)
  • 防湿層は透湿抵抗が高いほど防湿効果が高く、通気層は壁体内の湿気を屋外へ排出する役割を担うこと
  • 顕熱比(SHF)が大きいほど状態変化線は水平に近づき、小さいほど垂直に近づく関係
  • 気化式加湿は乾球温度が低下しやすく、蒸気加湿は乾球温度への影響が小さいという違い
  • PMVは代謝量・着衣量を実測値として入力する指標、SET*はそれらを標準値に固定して比較する指標であるという違い
  • 作用温度(OT)は気温と平均放射温度の重みづけ平均であり、相対湿度を考慮しないこと
  • 気流分布・ドラフトが体感温度・快適性に与える影響
  • 必要換気量から必要換気回数を求める2段階の計算(必要換気量÷室容積)
  • 第1種・第2種・第3種換気それぞれの正圧・負圧の傾向と、手術室(第2種)・便所や浴室(第3種)といった実務上の使い分け
  • シックハウス対策としての24時間換気(0.5回/h以上)は在室の有無にかかわらず常時稼働が前提であること
  • 中性帯は開口部の実効面積が大きい側に近づくという定性的な関係
  • 風力換気の換気量は実効面積・風速に比例し、風圧係数の差には平方根比例すること
  • 置換換気(温度成層を利用)と混合換気(希釈により均一化)の原理の違い

まとめ

環境工学Iの伝熱・結露・温熱環境・換気は、それぞれ独立した単元に見えて、実は「何が原因で何が結果か」「単純比例なのか平方根比例なのか」「似た指標・似た方式のどこが違うのか」という共通の視点で整理できる分野だと筆者は考えています。この20問で誤答した論点があれば、単発の暗記に戻るのではなく、関連する単元記事に戻って前後の関係ごと確認しておくことをおすすめします。試験本番では、選択肢を読みながら「この記述は因果関係が逆になっていないか」を意識するだけでも、ひっかけ選択肢に気づきやすくなります。


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