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環境工学

【令和8年度】一級建築士 学科「環境・設備」直前予想問題15問|解答・解説付き

令和8年度の一級建築士学科試験を目前に控えたこの時期、「環境・設備」の仕上げをどう進めるか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。この科目は環境工学と建築設備の2本柱で構成されており、範囲が広いぶん、直前期に何を優先して復習すべきかが分かりにくい科目でもあると筆者は感じています。

この記事では、環境・設備の頻出分野をもとに、筆者が独自に作成した予想問題を15問収録しました。四肢択一形式で、本試験と同じく「最も不適当なものはどれか」を基本としつつ、一部「正しいものはどれか」型も混ぜています。各問には解答番号と詳しい解説を付けているので、解いて終わりではなく、解説まで読み込んで知識の抜けを埋める使い方をおすすめします。

なお本問題集は筆者(当サイト)が独自に作成した予想問題であり、実際の試験問題の的中や出題を保証するものではありません。受験にあたっては最新の法令・公式発表をご確認ください。数値基準や法令については2026年7月時点の情報をもとに作成していますが、実際の試験前には必ずご自身でも最新の公式情報をご確認いただくようお願いします。

環境・設備の科目全体の位置づけや単元マップを先に確認しておきたい方は、一級建築士「環境・設備」の学習ガイドもあわせて確認しておくと、この予想問題がどの単元に対応しているかが把握しやすくなります。


出題傾向と予想の考え方

環境・設備は本試験で20問出題される科目です。近年の出題傾向を振り返ると、環境工学分野(伝熱・結露・温熱指標・音響・日照採光・空気環境など)と建築設備分野(空調・給排水衛生・電気・防災・省エネ)からほぼ均等に出題される構成が続いていると筆者は捉えています。この記事の15問は、その中でも特に頻出度が高いと考えられるテーマに絞って構成しました。

分野 テーマ 頻出度の目安 対応する問番号
環境工学(熱) 伝熱・断熱 問1
環境工学(熱・湿気) 結露 問2
環境工学(空気) 湿り空気線図 問3
環境工学(温熱) 温熱環境の快適指標(PMV・PPD・SET*) 問4
環境工学(音) 音響(吸音・遮音・残響) 問5
環境工学(光) 日照・日射・日影 問6
環境工学(光) 採光・昼光率 問7
環境工学(光) 色彩・測光(照度・輝度・色温度) 問8
環境工学(空気) 室内空気質・必要換気量 問9
環境工学(空気) 通風・自然換気 問10
建築設備 空調設備 問11
建築設備 給排水衛生設備 問12
建築設備 電気設備 問13
建築設備 防災設備 問14
建築設備 省エネルギー・環境性能評価(ZEB・BEI) 問15

環境工学は「なぜそうなるか」という因果関係を問う出題が多く、選択肢の一部だけ因果が逆転しているパターンが頻出だと筆者は考えています。建築設備は方式同士の比較や、法令上の基準値の正確な記憶を問う出題が中心です。この2つの出題のクセを意識しながら、以下の15問に取り組んでみてください。


予想問題15問

問1(伝熱・断熱)

木造建築物の伝熱・断熱に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 熱貫流率(U値)が小さいほど、壁体の断熱性能は高い。
  2. 中空層を有する壁体の熱抵抗は、中空層の厚さを増すほど際限なく大きくなる。
  3. 木造の外壁において、断熱材が柱等の構造材で分断される部分は、熱橋(ヒートブリッジ)となって断熱性能が低下しやすい。
  4. 開口部(窓)の熱損失を評価する際は、ガラス面だけでなく、断熱性能が相対的に低い框(サッシ)部分も含めて評価する必要がある。

解答・解説

正答は2です。

  1. 正しい記述です。熱貫流率(U値)は熱の伝わりやすさを表す指標であり、値が小さいほど熱が伝わりにくく、断熱性能が高いことを意味します。
  2. 誤りです。中空層の熱抵抗は、中空層内の対流の影響により、ある程度の厚さ(おおむね2〜3cm程度)を超えると頭打ちになり、厚さを増やしても際限なく大きくなるわけではありません。「厚くするほど無制限に断熱性能が上がる」という誤った因果関係を含む選択肢は、伝熱の単元で繰り返し狙われるパターンです。
  3. 正しい記述です。木造の充填断熱では柱・間柱等の構造材部分で断熱材が連続せず、熱橋となって熱損失が大きくなりやすいことはよく知られています。
  4. 正しい記述です。窓全体の熱損失を評価する際は、ガラス面の熱貫流率だけでなく、サッシ部分を含めた窓全体(建具)の熱貫流率で評価するのが基本的な考え方です。

出題根拠: 伝熱・断熱は環境工学の中でも計算・概念の両面から毎年出題されている頻出単元であり、令和8年度も出題が予想されます。中空層の熱抵抗が厚さに比例して無限に増加しないという性質は、過去にも繰り返し問われている論点です。詳しくは伝熱・断熱の基礎で解説しています。


問2(結露)

結露に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 表面結露は、室内側の表面温度が、室内空気の露点温度を下回った場合に生じる。
  2. 内部結露を防止するためには、断熱材の室内側(高温・高湿側)に防湿層を設けることが有効とされている。
  3. 冬期において、断熱材の室外側(低温側)に防湿層を設けると、内部結露のリスクがかえって高まりやすい。
  4. 同じ室内温湿度条件であれば、壁体の断熱性能を高めるほど、室内側表面での結露は生じやすくなる。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。表面結露は、材料表面の温度が、その場所の空気の露点温度以下になったときに空気中の水蒸気が凝縮することで生じます。
  2. 正しい記述です。防湿層は水蒸気が壁体内部に侵入するのを防ぐためのものであり、水蒸気圧の高い室内側(高温・高湿側)に設けるのが基本的な考え方です。
  3. 正しい記述です。防湿層を低温側(室外側)に設けてしまうと、室内側から入り込んだ水蒸気が壁体内部で行き場を失い、冷えた部分で凝縮しやすくなるため、内部結露のリスクがかえって高まります。
  4. 誤りです。断熱性能を高めると、室内側の表面温度が室内空気の温度に近づくため、露点温度を下回りにくくなり、むしろ表面結露は生じにくくなります。「断熱性能を高めると結露しやすくなる」という因果関係の逆転は要注意のひっかけパターンです。

出題根拠: 結露は伝熱・断熱の理解とセットで出題されることが多く、令和8年度も高い頻度での出題が予想されます。防湿層の設置位置と結露の関係は特に頻出の論点です。詳しくは結露が起きる仕組みと対策の考え方で解説しています。


問3(湿り空気線図)

湿り空気線図に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 乾球温度が一定であれば、相対湿度が高くなるほど、その空気の絶対湿度は高くなる。
  2. 露点温度とは、湿り空気を冷却していったときに、水蒸気の凝縮(結露)が始まる温度のことをいう。
  3. 絶対湿度が一定の空気を加熱すると、その空気の相対湿度は上昇する。
  4. エンタルピーは乾き空気1kgあたりに含まれる熱量として表され、湿り空気線図上の状態点から読み取ることができる。

解答・解説

正答は3です。

  1. 正しい記述です。乾球温度が同じであれば、相対湿度が高いほど、空気中に含まれる水蒸気量(絶対湿度)は多くなります。
  2. 正しい記述です。露点温度は、その空気が持つ水蒸気量のまま冷却したときに飽和状態に達し、結露が始まる温度を指します。
  3. 誤りです。絶対湿度が一定のまま加熱すると、その温度における飽和水蒸気量が増えるため、相対湿度はむしろ低下します。「加熱すると相対湿度が上がる」という記述は湿り空気線図の基本的な読み方と逆であり、頻出のひっかけです。
  4. 正しい記述です。湿り空気線図では、乾球温度・湿球温度・相対湿度・絶対湿度・エンタルピーなどが1つの状態点として整理されており、いずれか2つの値が分かれば他の値も読み取ることができます。

出題根拠: 湿り空気線図は計算問題として単独で出題されるほか、結露・空調設備の理解の前提としても問われる単元です。加熱・冷却時の相対湿度の変化方向は、令和8年度も狙われやすい論点と考えられます。詳しくは湿り空気線図の読み方で解説しています。


問4(温熱環境の快適指標)

温熱環境の快適指標に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. PMV(予測平均温冷感申告)は、気温・湿度・気流・放射という物理的要素に加え、着衣量や代謝量も考慮した温熱快適指標である。
  2. PMVが0に近い環境ほど、その環境を不快と感じる人の割合を表すPPD(予測不満足者率)は高くなる。
  3. ISO7730では、PMVがおおむね-0.5から+0.5の範囲にあることを、快適域の目安の一つとしている。
  4. SET*(標準新有効温度)は、気温・湿度・気流等の条件が異なる複数の環境間で、体感的な暑さ・寒さを比較するために用いられる指標である。

解答・解説

正答は2です。

  1. 正しい記述です。PMVは気温・湿度・気流・放射(周囲表面温度)という4つの物理環境要素に加え、着衣量・代謝量という人体側の要素も組み込んだ指標です。
  2. 誤りです。PMVは-3(寒い)から+3(暑い)までの尺度で表され、0が「どちらでもない」という中立点です。PMVが0に近いほど、その環境を不快と感じる人の割合(PPD)は最も低くなる関係にあり、逆にPMVが0から離れるほどPPDは高くなります。設問の記述は因果関係が逆です。
  3. 正しい記述です。ISO7730では、快適域の目安としてPMVが-0.5〜+0.5の範囲にあることを示しています。
  4. 正しい記述です。SET*は、異なる温度・湿度・気流条件の環境を、基準となる標準環境における等価な温度に換算して比較するための指標です。

出題根拠: 温熱環境の快適指標は環境工学の中でも特に頻出の単元であり、PMV・PPD・SET*の相互関係を問う出題は令和8年度も高い確率で出ると筆者は予想しています。詳しくは温熱環境の快適指標の基礎で解説しています。


問5(音響)

音響(吸音・遮音・残響)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 吸音率の高い材料を用いても、遮音性能(透過損失)が必ずしも高いとは限らない。
  2. 残響時間は、室容積が大きいほど長くなり、また室内の総吸音力が大きいほど長くなる。
  3. 二重壁(乾式二重壁等)は、同じ質量の単層壁と比較して、遮音性能を高めやすい構造とされている。
  4. 床衝撃音には軽量床衝撃音と重量床衝撃音があり、それぞれ有効な対策方法が異なる。

解答・解説

正答は2です。

  1. 正しい記述です。グラスウールなどの多孔質材料は吸音率が高い一方で、音を透過させやすく遮音性能(透過損失)は低い場合が多いため、吸音性能と遮音性能は必ずしも比例しません。
  2. 誤りです。残響時間は室容積に比例して長くなる一方、室内の総吸音力(吸音率×面積の総和)が大きいほど、音が早く吸収されるため残響時間は短くなります。「吸音力が大きいほど残響時間が長くなる」という記述は、残響時間の基本式(室容積に比例、吸音力に反比例)と逆の内容です。
  3. 正しい記述です。二重壁は空気層を介することで、同じ質量の単層壁よりも遮音性能を高めやすい構造とされています。
  4. 正しい記述です。軽量床衝撃音(食器を落とす音等の高周波域)と重量床衝撃音(子供の飛び跳ね等の低周波域)では、有効な対策(表面仕上げ、床構造の乾式・湿式など)が異なります。

出題根拠: 音響は残響時間の式(室容積に比例、吸音力に反比例)の理解を問う出題が定番であり、令和8年度も継続して出題が予想される単元です。詳しくは音響(遮音・吸音・残響)の基礎で解説しています。


問6(日照・日射・日影)

日照・日射・日影に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 日本国内において、夏至の南中時における太陽高度は、冬至の南中時における太陽高度より高い。
  2. 日影規制は、冬至日を基準日として、一定時間以上日影となる範囲を制限するものである。
  3. 建物の南面に設ける庇(ひさし)は、太陽高度の高い夏期の日射を遮り、太陽高度の低い冬期の日射を室内に取り込みやすくする効果が期待できる。
  4. 終日日影とは、夏至において、1日を通じて日影となる部分のことをいう。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。日本のような北半球の中緯度地域では、夏至の南中高度が最も高く、冬至の南中高度が最も低くなります。
  2. 正しい記述です。日影規制は、影が最も長くなる冬至日を基準として、一定時間以上日影となる範囲を制限する制度です。
  3. 正しい記述です。太陽高度が季節によって変わることを利用し、南面の庇は夏期の高い日射を遮りつつ、冬期の低い日射は室内に取り込みやすくする設計手法として広く使われています。
  4. 誤りです。終日日影は、影が最も長くなる冬至において、1日中日影となる部分について検討される概念です。夏至の記述は誤りで、日影規制・日影図の検討基準日(冬至)を問う定番のひっかけです。

出題根拠: 日照・日影は日影規制の基準日(冬至)を問う出題が頻出であり、令和8年度も基準日の取り違えを狙った選択肢が出やすいと筆者は予想しています。詳しくは日照・日射・日影の基礎で解説しています。


問7(採光・昼光率)

採光・昼光率に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 昼光率は、室内のある点における照度と、屋外の全天空照度との比で表される指標である。
  2. 昼光率は、天候や時刻による全天空照度そのものの変化の影響を受けにくい指標である。
  3. 側窓のみによる採光の場合、一般に窓から離れた位置ほど昼光率は高くなる。
  4. 建築基準法上、住宅の居室には採光に有効な開口部の確保が求められている。

解答・解説

正答は3です。

  1. 正しい記述です。昼光率は「室内のある点の照度/屋外の全天空照度×100(%)」で定義される、自然光の入りやすさを表す指標です。
  2. 正しい記述です。昼光率は比(割合)で表されるため、全天空照度そのものが天候や時刻で変動しても、室内照度も同じ比率で変動する限り、昼光率自体は大きく変わりません。
  3. 誤りです。側窓のみによる採光では、窓から離れるほど光が届きにくくなり、昼光率は一般に低下します。窓からの距離と昼光率の関係を逆にした記述は頻出のひっかけです。
  4. 正しい記述です。建築基準法第28条では、住宅等の居室に採光のための開口部を設けることが規定されています。

出題根拠: 昼光率の定義と、窓からの距離による分布の傾向は、採光・昼光率の単元で繰り返し問われる基本論点です。令和8年度も出題が予想されます。詳しくは採光・昼光率の基礎で解説しています。


問8(色彩・測光)

色彩・測光に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 照度は、ある面が受ける光の量を表す指標であり、単位はルクス(lx)で表される。
  2. 輝度は、光源やある面から観測者の方向へ向かう光の強さを表す指標であり、グレア(まぶしさ)の評価に関係する。
  3. 色温度が低い光源ほど、青白く感じられる光になる傾向がある。
  4. 演色性は、光源が物体の色をどれだけ自然に見せるかを表す性質であり、平均演色評価数(Ra)等で表される。

解答・解説

正答は3です。

  1. 正しい記述です。照度はある面に入射する光の量を表す指標で、単位はルクス(lx)です。
  2. 正しい記述です。輝度は光源や反射面から特定の方向へ向かう光の強さを表す指標であり、値が高いほどまぶしさ(グレア)の原因となりやすくなります。
  3. 誤りです。色温度は、低いほど赤みを帯びた暖色系(電球色に近い)の光となり、高いほど青白い(昼光色に近い)光になります。設問は色温度と色みの関係を逆にしています。
  4. 正しい記述です。演色性は光源が物体本来の色をどれだけ忠実に見せるかを表す性質で、平均演色評価数(Ra)が指標として用いられます。

出題根拠: 色温度と光の色みの関係(低いほど赤み、高いほど青白い)は、照明計画の実務とも直結する頻出論点であり、令和8年度も出題が予想されます。詳しくは色彩・測光・照度の基礎で解説しています。


問9(室内空気環境・必要換気量)

室内空気環境・必要換気量に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 建築物衛生法に基づく建築物環境衛生管理基準では、居室の二酸化炭素の含有率はおおむね1,000ppm以下とすることが求められている。
  2. 室内の二酸化炭素濃度をおおむね1,000ppm以下に維持するための必要換気量は、在室者1人あたりおおむね30㎥/hが目安の一つとされている。
  3. 建築基準法上、居室には原則としてその床面積の1/20以上の換気に有効な開口部を設けるか、換気設備を設置することが求められている。
  4. 第3種換気方式は、給気・排気の両方を機械(ファン)により行う方式であり、室内を正圧に保ちやすい。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。建築物衛生法に基づく建築物環境衛生管理基準では、特定建築物の居室における二酸化炭素の含有率について、1,000ppm以下とする基準が定められています。
  2. 正しい記述です。在室者1人あたりの呼気由来の二酸化炭素発生量から逆算すると、室内のCO2濃度を1,000ppm以下に維持するための必要換気量は、おおむね30㎥/h・人が目安として用いられています。
  3. 正しい記述です。建築基準法第28条第2項では、居室に換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積を床面積の1/20以上としなければならないと規定されています(火気使用室等は別途換気設備が必要です)。
  4. 誤りです。給気・排気の両方を機械で行うのは第1種換気方式です。第3種換気方式は排気のみを機械(排気ファン)で行い、給気は自然給気口に頼る方式であり、室内は負圧になりやすいという特徴があります。設問は第1種と第3種の特徴を取り違えています。

出題根拠: 換気方式の種別(第1〜3種)と、それぞれの正圧・負圧の傾向を問う出題は建築設備の定番論点であり、令和8年度も出題が予想されます。詳しくは室内空気環境と必要換気量の考え方で解説しています。


問10(通風・自然換気)

通風・自然換気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 風力換気は、建物の風上側と風下側に生じる風圧力の差を利用した自然換気方式である。
  2. 温度差換気は、室内外の空気の密度差(浮力)を利用した自然換気方式であり、給気口と排気口の高低差が大きいほど換気量は大きくなる傾向がある。
  3. 温度差換気において室内温度が室外温度より高い場合、中性帯より下部の開口部からは室内の空気が屋外へ流出する。
  4. 通風は室内空気質の改善だけでなく、夏期における体感温度の低減にも効果があるとされている。

解答・解説

正答は3です。

  1. 正しい記述です。風力換気は建物表面に生じる風圧力の差(風上側は正圧、風下側は負圧)を駆動力とする自然換気方式です。
  2. 正しい記述です。温度差換気は室内外の空気の密度差による浮力を駆動力とし、給気口・排気口の高低差(開口部間の垂直距離)が大きいほど換気量は増加する傾向があります。
  3. 誤りです。室内温度が室外温度より高い場合、暖かく軽い室内の空気は上昇しようとするため、中性帯より上部の開口部から室内の空気が流出し、中性帯より下部の開口部からは外気が流入します。設問は上下の関係が逆です。
  4. 正しい記述です。通風は室内の汚染物質の排出だけでなく、皮膚表面の気流による体感温度の低減効果もあるとされています。

出題根拠: 温度差換気における中性帯を挟んだ気流の向き(上部流出・下部流入)は、自然換気の単元で繰り返し出題される定番論点です。詳しくは通風・自然換気の基礎で解説しています。


問11(空調設備)

空調設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 全熱交換器は、排気と外気の間で顕熱だけでなく潜熱(水分)も交換することで、外気導入に伴う熱負荷を低減する機器である。
  2. VAV(変風量)方式は、負荷変動に応じて送風量を変化させる方式であり、一般にCAV(定風量)方式より省エネ性に優れる傾向がある。
  3. 氷蓄熱システムは、夜間の割安な電力等を利用して氷を製造し、昼間の冷房負荷に充てる方式であり、電力負荷の平準化に寄与する。
  4. 空気熱源ヒートポンプは、一般に外気温度が低くなるほど、暖房時の能力・効率(COP)が向上する傾向がある。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。全熱交換器は顕熱(温度)だけでなく潜熱(湿度・水分)も交換できるため、外気負荷の低減効果が顕熱交換器より大きくなります。
  2. 正しい記述です。VAV方式は負荷変動に応じて送風量そのものを絞ることができるため、常に一定風量を送り続けるCAV方式より、一般に省エネ性に優れます。
  3. 正しい記述です。氷蓄熱システムは夜間電力を利用して氷を作り、昼間の冷房需要に充てることで、電力需要のピークシフト・負荷平準化に貢献する方式です。
  4. 誤りです。空気熱源ヒートポンプは、外気から熱をくみ上げて暖房に利用する仕組みのため、外気温度が低くなるほど、くみ上げられる熱量が減り、暖房能力・効率(COP)は低下する傾向があります。設問は関係が逆です。

出題根拠: 空調方式の比較(VAVとCAV、氷蓄熱の目的、ヒートポンプの外気温依存性)は建築設備の頻出論点であり、特に空気熱源ヒートポンプの外気温特性は令和8年度も狙われやすいと筆者は予想しています。


問12(給排水衛生設備)

給水方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 高置水槽方式は、受水槽に貯めた水をポンプで屋上等の高置水槽に揚水し、その後重力により各所へ給水する方式である。
  2. 水道直結増圧方式は、受水槽を介さずに水道本管の水圧を増圧ポンプで直接高めて給水する方式であり、断水時にも受水槽方式より多くの残水を利用できる点が優れている。
  3. ポンプ直送方式は、受水槽に貯めた水を給水ポンプで直接各所へ送る方式であり、高置水槽が不要となる。
  4. 受水槽を用いる方式は、水道本管の断水時や水質事故発生時にも、受水槽内の水を一定時間利用できるという特徴がある。

解答・解説

正答は2です。

  1. 正しい記述です。高置水槽方式は受水槽・揚水ポンプ・高置水槽を組み合わせ、高置水槽からの自然流下で各所に給水する伝統的な方式です。
  2. 誤りです。水道直結増圧方式は受水槽そのものを介さない方式のため、断水時に利用できる貯留水がありません。断水時にも一定量の水を確保しやすいのは、受水槽(貯留槽)を持つ高置水槽方式やポンプ直送方式の側の利点であり、設問はこの優劣関係を逆にしています。
  3. 正しい記述です。ポンプ直送方式は受水槽の水を給水ポンプで直接送水する方式であり、高置水槽を必要としません。
  4. 正しい記述です。受水槽を備える方式は、断水時や水質事故時にも、受水槽内に貯留された水を一定時間は利用できるという利点があります。

出題根拠: 給水方式ごとの特徴・メリットデメリットの比較は建築設備で毎年のように出題される定番論点であり、直結増圧方式と受水槽方式の断水時の扱いの違いは令和8年度も出題が予想されます。


問13(電気設備)

電気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 契約電力がおおむね50kW以上となる建物では、一般に高圧受電となり、敷地内に受変電設備(キュービクル等)の設置が必要となる。
  2. 高圧で受電した電力は、建物内の変圧器で100V・200V等の低圧に変換したうえで、幹線を通じて各階の分電盤等へ供給される。
  3. 幹線の太さ(サイズ)は、接続される負荷の容量が大きいほど、一般に太くする必要がある。
  4. 非常用の予備電源設備は、停電時の信頼性を高めるため、常用の変圧器・幹線と共用の回路から電源を供給するのが原則である。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。契約電力がおおむね50kW以上になると高圧受電の対象となり、需要家側の敷地内に受変電設備を設置する必要があります。
  2. 正しい記述です。高圧で受電した電力は建物内の変圧器で低圧(100V・200V等)に変換され、幹線を通じて各階の分電盤等に配電されます。
  3. 正しい記述です。幹線は接続される負荷容量に応じたサイズ(太さ)とする必要があり、負荷が大きいほど太い幹線が必要になります。
  4. 誤りです。非常用の予備電源設備は、常用電源が停電した場合でも確実に電力を供給できるようにするため、常用回路とは**別系統(専用回路)**とするのが原則です。常用回路と共用してしまうと、常用側の事故・停電の影響を受けてしまい、非常用電源としての信頼性が確保できません。

出題根拠: 非常用電源設備の系統分離(常用回路との独立性)は防災・電気設備の複合領域として頻出であり、令和8年度も出題が予想される論点です。


問14(防災設備)

自動火災報知設備の警戒区域に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 自動火災報知設備における一の警戒区域の面積は、原則として600㎡以下とすることとされている。
  2. 警戒区域の一辺の長さは、原則として50m以下とすることとされている。
  3. 防火対象物の主要な出入口からその内部を見通すことができる場合には、警戒区域の面積を1,000㎡以下とすることができる。
  4. 警戒区域は、防火区画・階段等の位置にかかわらず、必ず建物の1フロア全体をもって1警戒区域としなければならない。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。消防法施行規則に基づき、一の警戒区域の面積は原則として600㎡以下とすることとされています。
  2. 正しい記述です。警戒区域の一辺の長さは原則として50m以下とされています(光電式分離型感知器を設置する場合は100m以下となる特例があります)。
  3. 正しい記述です。防火対象物の主要な出入口からその内部を見通せる場合には、警戒区域の面積を1,000㎡以下まで拡大できる特例があります。
  4. 誤りです。警戒区域は原則として2の階にわたらないように設定するなど、建物の階数・面積・区画の状況に応じて分割して設定するものであり、「必ず1フロア全体を1警戒区域とする」という一律の規定はありません。フロア面積が広い場合には、同一階内でも複数の警戒区域に分割されます。

出題根拠: 警戒区域の面積・一辺の長さの基準(600㎡・50m、例外1,000㎡)は防災設備の頻出中の頻出論点であり、令和8年度も出題が予想されます。詳しくは自動火災報知設備の警戒区域と感知器選定で解説しています。


問15(省エネルギー・環境性能評価)

省エネルギー・環境性能評価に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. ZEB Readyは、再生可能エネルギーによる創エネルギー分を除いた一次エネルギー消費量を、基準一次エネルギー消費量と比べて50%以上削減した建築物として位置づけられている。
  2. Nearly ZEBは、ZEB Readyの水準を満たしたうえで、再生可能エネルギー等を含めて75%以上の一次エネルギー消費量の削減を実現した建築物として位置づけられている。
  3. BEI(Building Energy Index)は、設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で除した値であり、値が小さいほど省エネルギー性能が高いことを示す。
  4. ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)は、再生可能エネルギーを含めずに一次エネルギー消費量を正味ゼロとした建築物として定義されている。

解答・解説

正答は4です。

  1. 正しい記述です。ZEB Readyは、創エネルギー分を除いた一次エネルギー消費量を基準比で50%以上削減した建築物として位置づけられています。
  2. 正しい記述です。Nearly ZEBは、ZEB Readyの省エネ水準を満たしたうえで、再生可能エネルギー等の導入により、75%以上100%未満の削減を実現した建築物として位置づけられています。
  3. 正しい記述です。BEIは設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で割った値で表され、1.0未満であれば基準よりも省エネであることを示し、値が小さいほど省エネ性能が高いことになります。
  4. 誤りです。ZEBは、再生可能エネルギー(創エネルギー)を含めて、年間の一次エネルギー消費量を正味ゼロとすることを目指す建築物として定義されています。「再生可能エネルギーを含めずに正味ゼロ」という記述は、ZEBの定義そのものと矛盾します。

出題根拠: ZEBの区分(ZEB Oriented・ZEB Ready・Nearly ZEB・ZEB)とBEIの定義は、省エネルギー・環境性能評価の単元で近年頻出化している論点であり、令和8年度も出題が予想されます。詳しくは建築物のZEBと省エネBEIと省エネ基準でも解説しています。


直前チェックリスト

15問で扱った論点に加え、直前期にあわせて確認しておきたい重要論点を以下にまとめます。

  • 熱貫流率(U値)が小さいほど断熱性能が高いこと、中空層の熱抵抗が厚さに比例して無制限に増加しないこと
  • 内部結露を防ぐための防湿層の設置位置(高温・高湿側=室内側が基本)
  • 湿り空気線図における加熱・冷却時の相対湿度・絶対湿度の変化方向
  • PMV・PPD・SET*の相互関係(PMV=0付近でPPDが最小になること)
  • 残響時間の基本式(室容積に比例、総吸音力に反比例)
  • 日影規制の基準日が冬至であること、終日日影・永久日影の考え方
  • 昼光率の定義(室内照度/全天空照度)と、窓からの距離による分布の傾向
  • 色温度と光の色みの関係(低いほど暖色、高いほど寒色)、演色性(Ra)の意味
  • 建築物衛生法上の二酸化炭素濃度基準(1,000ppm)と必要換気量の目安
  • 換気方式の種別(第1種:給排気とも機械/第2種:給気機械・排気自然/第3種:給気自然・排気機械)と正圧・負圧の傾向
  • 温度差換気における中性帯を挟んだ気流の向き(上部流出・下部流入)
  • 空気熱源ヒートポンプの外気温依存性(外気温が低いほど能力・効率は低下)
  • 給水方式(高置水槽・水道直結増圧・ポンプ直送・受水槽方式)ごとの特徴と断水時の対応力
  • 非常用予備電源設備の系統分離(常用回路と別系統とすること)
  • 自動火災報知設備の警戒区域の基準(600㎡以下・一辺50m以下・例外1,000㎡)
  • ZEBの区分(ZEB Oriented・ZEB Ready・Nearly ZEB・ZEB)とBEIの定義

まとめ

環境・設備は環境工学と建築設備という性質の異なる2つの分野で構成されているため、直前期は「因果関係が逆になっていないか」を意識しながら選択肢を読む練習を重ねることが得点につながりやすいと筆者は考えています。この15問で正答できなかった論点があれば、単元記事に戻って周辺知識まで確認し、試験本番では時間配分を意識しながら、確信の持てる選択肢から解答していくことをおすすめします。


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