建築設備.tech
建築計画

【令和8年度】一級建築士 学科「計画」直前予想問題15問|解答・解説付き

一級建築士の学科試験まで残り時間が少なくなってきたこの時期は、新しい参考書に手を広げるよりも、頻出分野を絞り込んで実戦形式で知識を確認することのほうが得点に直結しやすいと筆者は考えています。この記事では、令和8年度(2026年)の学科試験「計画」を想定し、筆者が独自に作成した予想問題を15問収録しました。

計画科目は、住宅・事務所・商業・医療・福祉・公共文化施設という用途別建築計画を中心に、都市計画、日本と西洋の建築史、人間工学と寸法計画、ユニバーサルデザイン、既存建築の保存・再生、建築生産・積算・マネジメントという性格の異なる分野が同居しているのが特徴です。本記事では、この構成を踏まえて分野ごとにバランスよく問題を配置し、直前期に「どこが手薄になっているか」を自己点検できる形にまとめました。

出題形式は本試験にあわせて「最も不適当なものはどれか」を基本とし、一部「正しいものはどれか」型を混ぜています。各問には正答番号だけでなく、なぜその選択肢が誤り(あるいは正しい)なのか、根拠となる考え方とあわせて解説を付けました。間違えた問題は解説を読んで終わりにせず、関連する当サイトの単元記事にも戻って知識を補強していただくことをおすすめします。

なお、本問題集は筆者(当サイト)が独自に作成した予想問題であり、実際の試験問題の的中や出題を保証するものではありません。受験にあたっては最新の法令・公式発表をご確認ください。


出題傾向と予想の考え方

計画科目は本試験で20問出題されます。近年の出題傾向を踏まえ、本記事の15問は下表のような配分で構成しました。用途別建築計画(住宅・事務所商業・医療福祉・公共文化)が科目全体の中心であることは変わらず、建築史・寸法計画とUDも安定して出題数が多い分野です。都市計画・建築生産・保存再生は用途別建築計画ほど問題数は多くないものの、毎年確実に出題される分野なので手薄にしないことが大切です。

分野 頻出度 本記事の対応問番号
用途別建築計画(住宅・集合住宅) ★★★★★ 問1・問2
用途別建築計画(事務所・商業建築) ★★★★★ 問3・問4
用途別建築計画(医療・福祉施設) ★★★★★ 問5・問6
用途別建築計画(公共・文化施設) ★★★★☆ 問7・問8
都市計画 ★★★★☆ 問9
建築史(日本建築史・西洋建築史) ★★★★★ 問10・問11
人間工学・寸法計画・ユニバーサルデザイン ★★★★★ 問12・問13
建築の保存・再生・リノベーション ★★★☆☆ 問14
建築生産・積算・マネジメント ★★★★☆ 問15

この表を見ると分かるとおり、用途別建築計画だけで科目全体の3割前後を占めるため、直前期にまず優先すべきはこの分野です。一方で、建築史や寸法計画・UDも出題数が安定して多いため、「範囲が広いから」と後回しにするのは得策ではないと筆者は考えています。


予想問題15問

問1 住宅・集合住宅の計画①(住棟形式とアクセス方式)

集合住宅の住棟形式・アクセス方式に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. 階段室型は、各住戸が階段室に直接面してアクセスする形式で、共用廊下を介する形式に比べて住戸のプライバシーを確保しやすい。
  2. 片廊下型は、住棟の片側に共用廊下を配置する形式で、住戸のプライバシーや通風の面では階段室型に劣るが、1つの階段・エレベーターで多くの住戸にアクセスできるため効率的な運用がしやすい。
  3. 中廊下型は、住棟の中央に共用廊下を配置し、廊下の両側に住戸を配置する形式で、片廊下型に比べて住戸あたりの採光・通風条件にすぐれるが、同一面積での住戸数は少なくなる傾向がある。
  4. スキップフロア型は、エレベーターを2〜3層ごとに停止させる形式で、共用廊下の面積を削減できる一方、停止しない階の住戸は専用の階段を介してアクセスする必要があり、住戸内に段差が生じる。

解答・解説

正答は3です。

1は正しい記述です。階段室型は共用廊下を介さず階段室から直接住戸に入るため、通行人の視線にさらされにくく、プライバシーの確保に優れた形式とされています。

2も正しい記述です。片廊下型は共用廊下に多くの住戸が面するため、階段室型に比べるとプライバシー・通風の面では劣りますが、1つの縦動線(階段・エレベーター)で効率的に多数の住戸にアクセスできるという利点があります。

3が誤りです。中廊下型は住棟の中央に共用廊下を配置し、その両側に住戸を配置する形式であるため、片廊下型よりも同一面積でより多くの住戸を計画できる反面、廊下側に面した住戸や片側の住戸では採光・通風の条件が悪化しやすいという課題があります。設問文はこの因果関係を逆に説明しているため不適当です。

4は正しい記述です。スキップフロア型はエレベーターの停止階数を減らすことで設置コストや共用廊下面積を抑えられますが、停止しない階の住戸は住戸内または専用階段を介してアクセスする必要が生じます。

住棟形式・アクセス方式の比較は、計画科目の中でも定番中の定番であり、令和8年度も出題可能性は高いと筆者は予想しています。それぞれの形式のメリット・デメリットを表や図で整理しておくことをおすすめします。


問2 住宅・集合住宅の計画②(新しい住まい方)

集合住宅の新しい住まい方に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. コーポラティブハウスとは、住宅供給を行う事業者が単独で企画・設計・分譲を行う方式の集合住宅を指し、入居希望者は建物の完成後に一般の分譲住宅として購入する。
  2. SI(スケルトン・インフィル)住宅とは、住棟の外壁仕上げと設備配管を分離する工法を指し、構造躯体の計画とは直接関係しない概念である。
  3. コレクティブハウジングとは、各住戸が独立した専用の生活空間を持ちながら、食堂や台所などの共用空間を住民同士で共同利用し、家事や育児等の負担を分かち合うことを意図した居住形態である。
  4. シェアハウスは、居住者ごとに専用の浴室・キッチンを備え、共用部分をほとんど持たない住まい方であり、コーポラティブハウスとほぼ同じ概念として扱われる。

解答・解説

正答は3です。

1は誤りです。コーポラティブハウスは、入居希望者があらかじめ組合を結成し、共同で土地取得・設計者選定・建設発注までを主体的に行う方式の集合住宅であり、事業者が単独で企画し完成後に一般販売する通常の分譲マンションとは異なる仕組みです。

2は誤りです。SI住宅は、構造躯体(スケルトン)と内装・設備(インフィル)を分離して計画する考え方で、構造躯体に手を入れずに将来の間取り変更やリフォームを行いやすくすることを目的の一つとしています。設問の説明は概念そのものを取り違えています。

3が正しい記述です。コレクティブハウジングは、各住戸に独立した専用の生活空間(個室・水回り等)を確保したうえで、食堂・台所・団らん室などの共用空間を住民同士が共同で利用し、家事・育児・介護等の負担を分かち合うことを意図した居住形態として知られています。

4は誤りです。シェアハウスは一般に個室以外の浴室・キッチン等を共用とする住まい方で、各居住者が専用の水回りを持つという設問の記述は実態と異なります。また、入居希望者が主体的に事業に関わるコーポラティブハウスとは性格が異なる概念です。

新しい住まい方の用語問題は、定義を正確に区別できるかがポイントです。似た言葉の意味の違いを整理しておくと得点源にしやすい分野だと筆者は考えています。


問3 事務所建築の計画(コア配置とレンタブル比)

事務所建築の計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. レンタブル比とは、延べ面積に対する貸室面積(有効面積)の割合を示す指標であり、事務所ビルの収益性を左右するため、基準階では一般に70%台後半から80%程度を目安に計画されることが多い。
  2. センターコアタイプは、基準階の中央にエレベーター・階段・トイレ等のコアをまとめて配置する形式で、大規模な事務所ビルに多く採用され、コアの周囲にワンフロア一体の執務空間を確保しやすい。
  3. 偏心コアタイプは、基準階の中央以外(妻側等)にコアを配置する形式で、比較的小規模な事務所ビルに採用されることが多く、執務空間を柱の少ない広いワンルームとして計画しやすい。
  4. 両側コアタイプ(分離コア)は、コアを基準階の両端に分離して配置する形式で、2つの階段室を近接させて配置できるため、二方向避難の観点から他の形式より有利になる。

解答・解説

正答は4です。

1は正しい記述です。レンタブル比は事務所ビルの収益性に直結する指標で、基準階では概ね70%台後半から80%程度を目安に計画されることが多いとされています。

2・3も正しい記述です。センターコアは大規模ビルで採用されることが多く執務空間を一体的に確保しやすい形式、偏心コアは比較的小規模なビルで柱の少ない広い執務空間を確保しやすい形式として整理されます。

4が誤りです。両側コアタイプは、コアを基準階の両端に離して配置することで、2方向の階段室が離れた位置に確保され、一方の階段が使用できない場合でももう一方の階段へ避難しやすくなる、という分離すること自体が二方向避難上のメリットです。設問文は「近接させて配置できる」としており、両側コアの利点を生む配置の考え方を逆に説明しているため不適当です。

コア配置とレンタブル比の関係は、事務所建築の計画で最も出題頻度が高いテーマの一つです。それぞれの形式がどのような規模・用途に向くかを、メリット・デメリットとあわせて整理しておくとよいでしょう。


問4 商業建築の計画(売場計画と動線)

商業建築の計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. 商業施設における顧客動線の計画では、主要な売場を回遊させて購買機会を高める一方、バックヤード動線(搬入・在庫管理等)は顧客動線と交錯しないよう分離して計画するのが基本である。
  2. 百貨店等の大規模商業施設では、上層階に食堂・催事場等の目的性の高い売場を配置し、顧客を上層階まで誘導したうえで下層階に向けて回遊させる計画手法がとられることがある。
  3. スーパーマーケットの売場計画では、来店頻度の高い最寄品(日用品・生鮮食品等)を入口付近に集中配置し、来店客の店内滞在時間を短縮して回転率を高めることを最優先に計画するのが一般的である。
  4. 商業建築における避難計画では、売場からの歩行距離や避難口の有効幅員を建築基準法・消防法等に基づき確保する必要があり、什器レイアウトの変更によって避難経路が確保できなくなることのないよう計画段階から配慮する。

解答・解説

正答は3です。

1・2は正しい記述です。顧客動線とバックヤード動線の分離は商業建築の基本であり、上層階に目的性の高い売場を配置して顧客の回遊性を高める手法(いわゆるシャワー効果)も百貨店計画でよく用いられる考え方です。

3が誤りです。実際の売場計画では、来店頻度の高い最寄品をあえて奥(店内の遠い位置)に配置し、来店客に店内全体を歩かせることで、他の商品にも目を触れさせて購買機会を増やす計画手法が一般的です。滞在時間を短縮することを最優先にするという設問の説明は、実際の売場計画の考え方と逆になっているため不適当です。

4は正しい記述です。避難計画は法令に基づく確保が前提であり、什器レイアウトの変更によって避難経路が事実上ふさがれることのないよう、計画・運用の両面で配慮する必要があります。

商業建築の売場計画は数値よりも「顧客にどう歩いてもらうか」という考え方を問う出題が多い分野です。動線の意図を理解しておくと初見の問題にも対応しやすくなります。


問5 医療施設の計画(病院の部門構成と動線分離)

病院建築の計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. 病院の部門構成は、外来診療部門・中央診療部門(手術部・検査部等)・病棟部門・供給部門・管理部門等に大別され、各部門の配置関係や動線計画が施設全体の効率性を左右する。
  2. 患者動線・医療従事者動線・物品動線(給食・洗濯物・廃棄物等)は、感染防止や運用効率の観点から、可能な限り交錯しないよう分離して計画するのが基本である。
  3. 手術部門は、一般病棟や外来からのアクセスのしやすさを最優先し、患者・面会者の動線と可能な限り近接させて計画するべきであり、清潔区域と非清潔区域を明確に区分する必要はない。
  4. 看護単位は、1人の看護師長が管理する病棟の単位を指し、一般病棟ではおおむね30〜50床程度を1看護単位とすることが多いが、患者サービス向上の観点からより少ない病床数とする例もみられる。

解答・解説

正答は3です。

1・2は正しい記述です。病院の部門構成の理解と、患者・職員・物品動線の分離は、病院計画の最も基本的な考え方です。

3が誤りです。手術部門は感染管理上、清潔区域・準清潔区域・非清潔区域を明確に区分し、患者・面会者の一般的な動線からは切り離してアクセスを制限する必要があります。面会者の動線に近接させることを最優先にするという記述、および清潔・非清潔区域の区分が不要とする記述はいずれも誤りであるため不適当です。

4は正しい記述です。一般病棟の看護単位は概ね30〜50床程度とされることが多いですが、患者サービス向上の観点からより小さな単位とする例も見られます。

医療施設の計画は、動線分離の考え方さえ押さえれば選択肢の正誤判断がしやすい分野です。特に手術部門・分娩部門など清潔度管理が重要な部門は、令和8年度も引き続き狙われやすいと筆者は予想しています。


問6 福祉施設の計画(高齢者施設とユニットケア)

高齢者福祉施設の計画に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 特別養護老人ホームのユニット型施設における1ユニットの入居者数は、おおむね10人以下を基本とし、15人を超えないものとされている。
  2. グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、要介護度を問わずすべての高齢者を対象とした施設であり、1ユニットあたりの定員に上限は設けられていない。
  3. 有料老人ホームは老人福祉法に基づく公的施設であり、入居費用は国が定める基準により全国一律とされている。
  4. サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、専用部分の面積基準や安否確認・生活相談サービスの提供義務がなく、事業者の任意により自由に運営できる住宅である。

解答・解説

正答は1です。

1が正しい記述です。ユニット型特別養護老人ホームにおける1ユニットの入居者数は、おおむね10人以下を基本とし、15人を超えないものとする考え方が示されています。少人数の生活単位を基本とすることで、個別ケアと家庭的な雰囲気を実現することがユニットケアの狙いです。

2は誤りです。グループホームは認知症の高齢者を対象とした施設であり、要介護度を問わず全ての高齢者を対象とする施設ではありません。また1ユニットあたりの定員にも上限(少人数の単位とすること)が定められています。

3は誤りです。有料老人ホームの多くは民間事業者が運営する施設であり、入居費用は施設ごとに異なります。老人福祉法に基づく公的な全国一律の費用基準が定められているわけではありません。

4は誤りです。サービス付き高齢者向け住宅は、専用部分の面積基準(原則として一定の面積以上を確保すること)が設けられているほか、安否確認・生活相談サービスの提供が義務付けられている点が特徴で、単なる自由な運営に委ねられた住宅ではありません。

高齢者福祉施設は制度名と施設の性格を対応付けて覚える必要がある分野です。「誰を対象とするか」「どこまでが義務か」という切り口で施設ごとの違いを整理しておくと得点しやすくなります。


問7 公共施設の計画(学校の教室運営方式)

学校建築における教室運営方式に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. 総合教室型は、学級ごとに専用の教室を割り当て、教科の授業も原則としてその教室で行う方式であり、生活と学習の場が一体となるため低学年に適した方式とされる。
  2. 特別教室型は、普通教室のほかに理科・音楽・図工等の特別教室を設け、教科に応じて教室を移動する方式で、教科教育の専門性を高めやすい一方、教室移動に伴う管理面の負担が生じる。
  3. プラトーン型は、学級を2グループに分け、一方が普通教室を、他方が特別教室を使用し、時間割にあわせて入れ替える方式で、教室の稼働率を高めることを意図した方式である。
  4. オープンスクール型は、学級と教室を固定的に1対1で対応させ、可動間仕切りを設けずに独立した閉鎖的な空間を確保することで、学級ごとの独立性を最大限に高める方式である。

解答・解説

正答は4です。

1〜3は正しい記述です。総合教室型・特別教室型・プラトーン型は、いずれも学校建築の教室運営方式として定番の出題テーマであり、それぞれの特徴(低学年向き、教科専門性、稼働率向上)が正しく説明されています。

4が誤りです。オープンスクール型は、学級と教室を固定的に1対1で対応させるのではなく、可動間仕切りやオープンスペースを活用し、複数学級が学習内容に応じて空間を柔軟に使い分けることを意図した方式です。学級ごとの独立性を最大限に高める方式とする設問の説明は、オープンスクール型の本来の趣旨と正反対であるため不適当です。

教室運営方式は名称と特徴を一対一で結び付けて覚えるだけでなく、「教室と学級の対応関係が固定的か柔軟か」という軸で整理すると、初見の設問にも対応しやすくなります。


問8 文化施設の計画(劇場・ホールの形式)

劇場・ホール建築の計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. プロセニアム形式の劇場は、舞台と客席の間にプロセニアムアーチ(額縁)を設け、客席側から一方向に舞台を見る形式で、舞台機構(迫り・吊物等)を発達させやすい。
  2. アリーナ形式は、客席が舞台や演技空間を360度、あるいはそれに近い形で取り囲む形式で、演者との一体感を得やすい一方、舞台美術や照明計画には制約が生じやすい。
  3. オープンステージ形式は、プロセニアムを設けず舞台と客席が連続する形式で、客席の一部が舞台を三方から囲むように配置されることがある。
  4. 客席計画において、フォーカルポイント(舞台上の基準となる注視点)から最も遠い客席までの許容視距離は、俳優の表情を読み取る必要がある演劇よりも、オペラ・音楽会のほうが短く計画される。

解答・解説

正答は4です。

1〜3は正しい記述です。プロセニアム形式・アリーナ形式・オープンステージ形式は、それぞれ客席と舞台の関係性が異なる代表的な劇場形式として整理されています。

4が誤りです。客席からの許容視距離は、演者の表情や細かい所作を読み取る必要がある演劇のほうが最も短く計画され、オペラ・音楽会は視覚的な情報よりも聴覚的な情報の比重が大きいため、演劇に比べて許容視距離は長く計画される傾向があります。設問文はこの関係を逆に説明しているため不適当です。

劇場・ホール計画は実例とともに視覚・聴覚条件の違いを問う問題が多い分野です。「何を見る・聞く必要があるか」という観客の要求水準の違いから、客席条件の厳しさの順番を理解しておくと応用が利きます。


問9 都市計画の基礎

都市計画に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. エベネザー・ハワードが提唱した田園都市論は、既存の大都市内部において老朽化した密集市街地を高層化・高容積化することで再生する考え方を示したものである。
  2. クラレンス・ペリーが提唱した近隣住区論は、小学校を中心に一定の徒歩圏を1つの住区単位とし、住区の内部に幹線道路を通過させることで利便性を高めることを基本原則とした。
  3. 用途地域は、都市計画法に基づき土地利用の混在を防ぐために指定される地域地区の一つであり、2018年の田園住居地域の追加により、現在は13種類に区分されている。
  4. 市街化区域と市街化調整区域の区域区分(線引き)は、都市計画法に基づきすべての都市計画区域において義務付けられている制度である。

解答・解説

正答は3です。

1は誤りです。田園都市論は、大都市の過密問題を解決するため、人口規模を抑えた新たな都市を郊外につくり、職住近接と周囲の農地・緑地帯(グリーンベルト)による囲い込みを図る考え方であり、既存市街地の高層化・高容積化による再生を意図したものではありません。

2は誤りです。近隣住区論は、住区の内部に通過交通を入れないことを基本原則の一つとしており、幹線道路は住区の外周に配置し、住区内部には通過させないことで、住区内の安全性と生活環境を確保する考え方です。設問文はこの原則を逆に説明しています。

3が正しい記述です。用途地域は都市計画法上の地域地区の一つで、2018年4月に施行された田園住居地域の追加により、現在は13種類に区分されています。

4は誤りです。区域区分(線引き)は都市計画区域内で市街化区域と市街化調整区域を分ける制度ですが、すべての都市計画区域で義務付けられているわけではなく、線引きを行わない非線引き都市計画区域も存在します。

都市計画は理論と制度がセットで問われる分野です。誰がどのような問題意識から何を提唱したのか、その理論がどのような制度につながっているのかを結び付けて覚えることをおすすめします。


問10 建築史①(日本建築史・実例建築物)

日本の建築史に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. 伊勢神宮正殿は、掘立柱・切妻造・平入を特徴とする神明造の代表例であり、20年ごとに社殿を建て替える式年遷宮の制度で知られる。
  2. 法隆寺西院伽藍は、現存する世界最古の木造建築群として知られ、エンタシス(胴張り)を持つ柱等、飛鳥建築の特徴を有する。
  3. 桂離宮は、書院造と数寄屋造の要素を併せ持つ近世の代表的な建築であり、回遊式庭園と建物群が一体となった構成が高く評価されている。
  4. 姫路城は、独立した1つの天守のみで構成される独立式天守の代表例であり、大天守と小天守を渡櫓で接続する連立式天守とは異なる形式を採用している。

解答・解説

正答は4です。

1〜3は正しい記述です。伊勢神宮(神明造・式年遷宮)、法隆寺西院伽藍(現存最古の木造建築群・エンタシス)、桂離宮(書院造・数寄屋造・回遊式庭園)は、いずれも日本建築史の代表的な実例として頻出のテーマです。

4が誤りです。姫路城は、大天守と複数の小天守を渡櫓で接続する連立式天守の代表例として知られており、独立式天守ではありません。設問文は姫路城の天守形式を逆に説明しているため不適当です。

建築史の実例問題は、建物名・様式名・特徴を単語カードのように覚えるだけでなく、「なぜその特徴を持つのか」という背景とセットで押さえておくと、初見の建物が出題されても類推が利きやすくなります。


問11 建築史②(西洋建築史・実例建築物)

西洋の建築史に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. パルテノン神殿は、古代ギリシャのドーリス式(ドーリア式)オーダーを代表する神殿建築で、柱にエンタシスを設ける等の視覚的な補正が施されていることで知られる。
  2. パンテオン(ローマ)は、無筋コンクリートによる大規模なドームを持つ建築で、頂部にオクルスと呼ばれる開口を設け、そこからの採光を行っている。
  3. シャルトル大聖堂に代表されるゴシック建築は、リブヴォールトとフライングバットレス(飛梁)を用いることで、壁を薄くし開口部を大きくとることを可能にした。
  4. ル・コルビュジエが提唱した近代建築の5原則(ピロティ・屋上庭園・自由な平面・水平連続窓・自由なファサード)について、サヴォア邸はこれらの原則をほとんど備えていない初期の実験的な作品として位置づけられる。

解答・解説

正答は4です。

1〜3は正しい記述です。パルテノン神殿(ドーリス式・視覚補正)、パンテオン(無筋コンクリートドーム・オクルス)、ゴシック建築(リブヴォールト・フライングバットレス)は、いずれも西洋建築史の定番の実例です。

4が誤りです。サヴォア邸は、ピロティ・屋上庭園・自由な平面・水平連続窓・自由なファサードという近代建築の5原則をすべて体現した代表作として位置づけられており、原則をほとんど備えていない作品ではありません。設問文はサヴォア邸の建築史上の位置づけを逆に説明しているため不適当です。

近代建築の分野は、サヴォア邸のほかファンズワース邸(ミース・ファン・デル・ローエ)や落水荘(フランク・ロイド・ライト)等、代表建築と設計者・特徴のセットで問われることが多いため、あわせて確認しておくとよいでしょう。


問12 人間工学と寸法計画

人間工学と寸法計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. モデュロールは、ル・コルビュジエが人体寸法と黄金比を基に考案した寸法体系であり、建築の各部寸法を決定するための基準寸法列として提案された。
  2. 車椅子使用者が方向転換を行うために必要な平面上のスペースは、一般に直径150cm程度の円が確保できる広さが目安とされる。
  3. 階段の勾配(蹴上げと踏面の関係)は、蹴上げが高く踏面が狭いほど昇降時の身体的負担は小さくなり、勾配は緩やかになる。
  4. 車椅子使用者対応の便房は、一般的な便房に比べて内法寸法を大きく確保し、車椅子の回転・移乗動作に必要なスペースを設ける必要がある。

解答・解説

正答は3です。

1・2・4は正しい記述です。モデュロールの考え方、車椅子の回転に必要な平面スペースの目安、車椅子対応便房の考え方は、いずれも寸法計画・UDの基本知識として頻出です。

3が誤りです。階段の蹴上げが高く踏面が狭いほど、勾配は急になり、昇降時の身体的負担は大きくなります。設問文はこの関係を逆に説明しています。蹴上げ・踏面の寸法は、単独の数値としてではなく、「歩幅に対して勾配がどう変化するか」という関係で理解しておくと、条件が変わった設問にも対応しやすくなります。

寸法計画は数値を丸暗記するのではなく、動作をイメージしながら「なぜその寸法が必要か」を理解しておくことが、令和8年度の対策としても有効だと筆者は考えています。


問13 ユニバーサルデザイン

ユニバーサルデザインに関する記述として、正しいものはどれか。

  1. ユニバーサルデザインの7原則は、ロナルド・メイスらによって提唱され、「誰にでも公平に利用できること」「使う上で自由度が高いこと」等の原則から構成される。
  2. ユニバーサルデザインは、障害者や高齢者等の特定の利用者を対象に、専用の設備・空間を付加的に設ける考え方であり、バリアフリーと同義の概念である。
  3. ハートビル法は、住宅の性能表示に関する制度であり、高齢者等の移動等円滑化には関与しない法律である。
  4. 案内表示(サイン計画)におけるユニバーサルデザインでは、文字情報のみで構成することが望ましく、ピクトグラム(絵文字)の使用は避けるべきとされる。

解答・解説

正答は1です。

1が正しい記述です。ユニバーサルデザインの7原則は、ロナルド・メイスらが提唱したもので、公平性・自由度の高さ等の考え方から構成されています。

2は誤りです。ユニバーサルデザインは、障害の有無や年齢等にかかわらず、できるだけ多くの人が利用しやすいように、はじめから計画段階で配慮するという考え方であり、特定の利用者向けに専用の設備を付加的に設けるバリアフリーの考え方とは、対象の捉え方において区別される概念です。

3は誤りです。ハートビル法(高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律)は、不特定多数が利用する建築物における高齢者・身体障害者等の利用円滑化を目的とした法律で、後にバリアフリー法に統合されました。住宅の性能表示制度とは異なります。

4は誤りです。ピクトグラムは、言語や文字の理解によらず情報を伝達できる手段として、言語の異なる利用者や文字の判読が難しい利用者への配慮の観点からむしろ推奨される表現手法です。

ユニバーサルデザインは、バリアフリーとの違いや関連法制度の変遷(ハートビル法・交通バリアフリー法からバリアフリー法への統合)を問う出題が多い分野です。用語の対象範囲の違いを整理しておくことをおすすめします。


問14 建築の保存・再生とリノベーション

既存建築の保存・再生に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. コンバージョンとは、既存建築物の用途を変更しつつ改修する手法を指し、オフィスビルを住宅に用途変更する事例などが代表例として挙げられる。
  2. レトロフィットとは、既存建築物に新たな機能や性能を付加する改修を指し、既存建物に免震装置を後付けする免震レトロフィットはその代表例の一つである。
  3. 保存修理における「復元」とは、後世の改変部分も含めてすべてそのままの状態で保存することを指し、建設当初の姿に近づける改修行為は「復元」とは呼ばない。
  4. 既存建築ストックの活用が求められる社会的背景の一つに人口減少・空き家の増加があり、既存建物の用途転換やリノベーションによる再生が政策的にも推進されている。

解答・解説

正答は3です。

1・2・4は正しい記述です。コンバージョン(用途変更を伴う改修)、レトロフィット(新たな機能・性能の付加、免震レトロフィット)、既存ストック活用の社会的背景(人口減少・空き家増加)は、いずれも保存・再生分野の基本用語・背景知識です。

3が誤りです。保存修理における「復元」とは、失われた部分や改変された部分について、史料的根拠に基づき建設当初(またはある時点)の姿に戻す行為を指します。改変部分も含めて現状のまま保存する考え方は「現状保存」にあたり、設問文はこの2つの用語の意味を取り違えているため不適当です。

保存・再生の分野は、コンバージョン・レトロフィット・リノベーション・現状保存・復元といった似た言葉の意味の違いを正確に区別できるかが最初のハードルになります。用語の対象範囲や目的の違いを表などで整理しておくとよいでしょう。


問15 建築生産・積算・マネジメント

建築生産・発注方式に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. 設計施工分離方式は、発注者が設計者と施工者を別々に選定する方式で、発注者が設計内容を第三者的立場から確認できる利点がある一方、設計と施工の連携には工夫が必要となる。
  2. 設計施工一括方式(デザインビルド)は、設計と施工を同一の主体が担う方式で、工期短縮やコスト管理の一体化を図りやすい一方、発注者による設計内容のチェック機能が働きにくい面がある。
  3. CM(コンストラクション・マネジメント)方式は、CMr(コンストラクション・マネージャー)が発注者の立場に立って工程・品質・コスト管理等を行う方式であり、CMrは工事の請負契約の当事者として施工そのものの責任を負う。
  4. 積算とは、設計図書に基づいて工事に必要な数量を算出し、これに単価を乗じる等して工事費を算定する業務であり、発注者の予算策定や施工者の見積の基礎となる。

解答・解説

正答は3です。

1・2・4は正しい記述です。設計施工分離方式とデザインビルドの特徴の対比、積算の役割は、建築生産分野の基本知識として頻出です。

3が誤りです。ピュア型のCM方式では、CMrは発注者の代理人・補助者としての立場で工程・品質・コスト管理等の技術的なマネジメント業務を行いますが、工事の請負契約の当事者とはならず、施工そのものの責任は個別の工事請負者が負うのが基本的な仕組みです。CMrが施工の請負責任まで負うとする設問文は、CM方式と元請施工者(ゼネコン)の役割を混同しているため不適当です。

発注方式の違いは、「誰が何を決定し、誰がコストとリスクを負うのか」という構造で整理すると、CM方式・デザインビルド・PFI等の違いが理解しやすくなります。建築生産分野は数値よりも仕組みの理解を問う出題が中心なので、令和8年度に向けてもこの視点で復習しておくことをおすすめします。


直前チェックリスト

本記事の15問がカバーする論点に加えて、直前期に暗記の抜け漏れがないか確認しておきたい重要論点を、チェックリストとしてまとめました。

  • 集合住宅の住棟形式(階段室型・片廊下型・中廊下型・スキップフロア型)のメリット・デメリット
  • コーポラティブハウス・SI住宅・コレクティブハウジング・シェアハウスの定義の違い
  • 事務所建築のコア配置(センターコア・偏心コア・両側コア)とレンタブル比の目安
  • 商業建築の顧客動線とバックヤード動線の分離、回遊性を高める売場配置の考え方
  • 病院の部門構成、患者・職員・物品動線の分離、看護単位の考え方
  • 高齢者福祉施設(特養・グループホーム・有料老人ホーム・サ高住)の制度上の違い
  • 学校建築の教室運営方式(総合教室型・特別教室型・プラトーン型・オープンスクール型)
  • 図書館・美術館・博物館の展示・保存に関わる動線計画
  • 劇場・ホールの客席形式(プロセニアム・アリーナ・オープンステージ)と視距離の考え方
  • 田園都市論・近隣住区論などの近代都市計画の理論と、用途地域・区域区分等の制度
  • 日本建築史(神社建築・寺院建築・城郭建築等)の代表建築と様式の対応関係
  • 西洋建築史(古代ギリシャ・ローマ、ゴシック、ルネサンス、近代建築)の代表建築と様式の対応関係
  • モデュロール、人体寸法・動作寸法、車椅子使用者に配慮した各部寸法の考え方
  • ユニバーサルデザインの7原則とバリアフリーとの違い、関連法制度の変遷
  • コンバージョン・レトロフィット・現状保存・復元等、保存再生に関する用語の区別
  • 設計施工分離・デザインビルド・CM方式など発注方式ごとの役割とリスク分担

まとめ

計画科目は範囲が広く、用途別建築計画・都市計画・建築史・寸法計画とUD・保存再生・建築生産という性格の異なる分野が並んでいますが、直前期にやるべきことは新しい知識を増やすことよりも、頻出分野の理解の抜け漏れを確認し、似た用語・概念の違いを整理し直すことに尽きると筆者は考えています。試験本番では、時間配分を意識しながらまず解ける問題から確実に得点し、判断に迷う設問には印をつけて後回しにする、というやり方を徹底することをおすすめします。当日は焦らず、ここまで積み上げてきた知識を信じて、落ち着いて一問ずつ取り組んでいただければと思います。


あわせて読みたい

参考書籍でさらに学ぶ

※ この欄は書籍のアフィリエイト広告(Amazon・楽天)を含みます。価格・在庫・最新の年度版はリンク先でご確認ください。

  • 一級建築士 学科 計画 テキスト/問題集

    建築計画・各種建築・建築史・積算などの対策に。最新年度版を。

→ 建築設備士のおすすめ参考書まとめ

関連記事