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建築構造

【令和8年度】一級建築士 学科「構造」直前予想問題15問|解答・解説付き

一級建築士学科試験の「構造」は、力の釣り合いという基礎から、荷重・耐震設計、RC造・S造・木造という各種構造系まで、出題範囲が広く積み上げ型の理解が求められる科目です。直前期になると新しい単元に手を広げるより、頻出分野を横断的に復習し、初見の問題文にも対応できる形で知識を確認しておくことのほうが得点に直結すると筆者は考えています。

この記事では、令和8年度(2026年)の学科試験を数週間後に控えた受験生を対象に、構造科目の頻出分野をカバーした予想問題15問を、解答・解説つきで掲載します。四肢択一のうち3問は力学の計算問題、残り12問は各分野の文章題という構成にしており、本試験の構造科目(力学系の計算問題が6問前後、残りが文章題という配分)を意識した比率にしています。

問題を解いたあとは、必ず解説とあわせて根拠となる法令・設計原則まで確認し、間違えた論点は当サイトの単元記事に戻って周辺知識まで復習することをおすすめします。1問ずつ丁寧に解くよりも、まず15問を通しで解いて自分の弱点分野を把握し、その分野だけ単元記事で補強するという使い方が、直前期には効率的です。

なお、本問題集は筆者(当サイト)が独自に作成した予想問題であり、実際の試験問題の的中や出題を保証するものではありません。受験にあたっては最新の法令・公式発表をご確認ください。


出題傾向と予想の考え方

近年の構造科目は、力学系の計算問題(断面性能・応力度・たわみ・ラーメン・トラス・座屈など)が全体の2割前後を占め、残りは荷重・耐震設計・各種構造系・構造材料からまんべんなく出題される傾向が続いていると筆者は見ています。以下の表は、今回の15問がどの分野に対応しているかを整理したものです。

分野 頻出度 対応する問題番号 関連記事
構造力学(断面性能・応力度・たわみ・ラーメン・トラス・座屈・全塑性モーメント) ★★★ 問1〜問6 構造力学の基礎 / たわみ・座屈・不静定構造の基礎 / 静定ラーメン・トラスの解き方
荷重・外力(地震力・風圧力・積雪荷重) ★★★ 問7・問8 荷重・地震力と耐震設計の基礎 / 風荷重・積雪荷重の基礎
耐震設計(層間変形角・剛性率・偏心率・保有水平耐力) ★★★ 問9 構造計画の基礎 / 荷重・地震力と耐震設計の基礎
RC造 ★★☆ 問10 鉄筋コンクリート構造(RC造)の基礎
S造 ★★☆ 問11 鉄骨構造(S造)の基礎
木造 ★★☆ 問12 木造建築の構造の基礎
基礎・地盤 ★★☆ 問13 基礎と地盤の基礎
免震・制振 ★★☆ 問14 免震・制振構造と建物の振動の基礎
構造材料(コンクリート・鋼材・木材) ★★☆ 問15 建築材料の基礎

力学系は毎年ほぼ確実に出題される「取りこぼせない」分野です。荷重・耐震設計も出題数が多く、係数の意味(何を、なぜ、どちらの方向に補正するのか)を理解しているかが問われます。各種構造系・構造材料は1分野1〜2問程度の出題が中心ですが、範囲が広いため、比較の視点で横断的に整理しておくことが得点につながります。


予想問題15問

問1(構造力学:断面性能)

幅b=200mm、せい(高さ)h=300mmの長方形断面がある。この断面の図心を通る水平軸まわりの断面二次モーメントIと断面係数Zの組み合わせとして、正しいものはどれか。

  1. I=4.5×10⁸mm⁴、Z=1.5×10⁶mm³
  2. I=4.5×10⁸mm⁴、Z=3.0×10⁶mm³
  3. I=2.0×10⁸mm⁴、Z=2.0×10⁶mm³
  4. I=5.4×10⁹mm⁴、Z=3.6×10⁷mm³

解答・解説

正答: 2

長方形断面の断面二次モーメントは I=bh³/12、断面係数は Z=I/(h/2) で求めます。

  • I=bh³/12=200×300³/12=200×27,000,000/12=450,000,000mm⁴=4.5×10⁸mm⁴
  • Z=I/(h/2)=450,000,000/150=3,000,000mm³=3.0×10⁶mm³

よって選択肢2が正しい組み合わせです。

  • 選択肢1は、正しいIを求めたあとにZ=I/hとして(h/2ではなくhで除して)計算してしまった場合の値で、断面係数の定義を誤っています。
  • 選択肢3は、bとhを取り違えてI=hb³/12として計算した場合の値で、幅とせいの区別を誤っています。
  • 選択肢4は、I=bh³/12の「12で除す」操作を忘れてbh³をそのままIとした場合の値で、以降のZも誤った値を引き継いでいます。

断面二次モーメントと断面係数は、たわみ・応力度計算の全ての土台になる最も基本的な計算であり、令和8年度も単独の計算問題として、あるいは応力度・たわみ問題の一部として出題される可能性が高いと筆者は考えています。詳しくは構造力学の基礎で解説しています。


問2(構造力学:曲げ応力度)

スパンL=6mの単純梁に、等分布荷重w=4kN/m(長期荷重)が作用している。梁の断面は幅b=200mm、せいh=300mmの矩形とする。このとき、梁に生じる最大曲げ応力度として、正しいものはどれか。ただし、自重は無視する。

  1. 4N/mm²
  2. 6N/mm²
  3. 8N/mm²
  4. 12N/mm²

解答・解説

正答: 2

単純梁に等分布荷重が作用する場合、最大曲げモーメントは中央点に生じ、M=wL²/8で求められます。

  • M=wL²/8=4×6²/8=4×36/8=18kN・m=18×10⁶N・mm
  • Z=bh²/6=200×300²/6=200×90,000/6=3,000,000mm³=3.0×10⁶mm³
  • σ=M/Z=18×10⁶/3.0×10⁶=6N/mm²

よって選択肢2が正しい値です。

  • 選択肢1(4N/mm²)は、最大曲げモーメントを両端固定梁の中央モーメント式M=wL²/12(=12kN・m)と誤って用い、断面係数は正しくZ=3.0×10⁶mm³として計算した場合の値です。単純梁と固定梁のモーメント式を混同する誤りにあたります。
  • 選択肢3(8N/mm²)は、選択肢1と同じ誤ったM(=12kN・m)に加えて、断面係数もZ=bh²/12(=1.5×10⁶mm³、断面二次モーメントの式と混同)として計算した場合の値です。
  • 選択肢4(12N/mm²)は、正しいM(=18kN・m)を用いながら、断面係数をZ=bh²/12(=1.5×10⁶mm³)と誤って計算した場合の値です。

曲げ応力度の計算は、荷重条件からモーメントを求める力学の知識と、断面性能を求める知識の両方が問われる複合問題であり、令和8年度も出題可能性が高いと筆者は予想しています。関連知識は構造力学の基礎を参照してください。


問3(構造力学:たわみ)

長さL=3mの片持ち梁の自由端に、集中荷重P=6kNが作用している。部材の曲げ剛性をEI=6.0×10⁴kN・m²とするとき、自由端に生じるたわみ量として、正しいものはどれか。

  1. 0.3mm
  2. 0.9mm
  3. 1.8mm
  4. 2.7mm

解答・解説

正答: 2

片持ち梁の自由端に集中荷重が作用する場合、自由端のたわみ量はδ=PL³/(3EI)で求められます。

  • δ=PL³/(3EI)=6×3³/(3×6.0×10⁴)=6×27/(180,000)=162/180,000=0.0009m=0.9mm

よって選択肢2が正しい値です。

  • 選択肢1(0.3mm)は、L³ではなくL²を用いてδ=PL²/(3EI)として計算した場合の値(6×9/180,000=0.0003m=0.3mm)で、次数を誤っています。
  • 選択肢3(1.8mm)は、係数を3EIではなく1.5EIとして計算した場合の値(162/90,000=0.0018m=1.8mm)で、公式の係数を誤っています。
  • 選択肢4(2.7mm)は、「3」を掛け忘れてδ=PL³/EIとして計算した場合の値(162/60,000=0.0027m=2.7mm)で、公式の分母を誤っています。

たわみの公式は荷重の種類・支持条件(片持ちか単純梁か、集中荷重か等分布荷重か)ごとに異なるため、代表的な組み合わせを正確に暗記しているかが問われます。詳しくはたわみ・座屈・不静定構造の基礎で整理しています。


問4(構造力学:ラーメンの応力)

静定ラーメンの応力性状に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 静定ラーメンでは、反力を求めたあと、任意の断面で切断し、その断面より外側にある外力との釣り合いから応力を求めることができる。
  2. 水平荷重を受けるラーメンでは、柱脚の支持条件(ピン支持か固定支持か)によって生じる応力分布が異なる。
  3. 水平荷重を受けるラーメンの柱に生じる軸方向力は、その柱が支持する上部の鉛直荷重の総和にほぼ等しく、水平荷重の影響はほとんど受けない。
  4. 静定構造物では、応力は部材の断面や材料の弾性係数(ヤング係数)に関係なく、外力と支点条件のみから一意に定まる。

解答・解説

正答: 3

選択肢3が不適当です。水平荷重を受けるラーメンでは、水平荷重による転倒モーメントに抵抗するために柱に軸方向力が生じます。門形ラーメンを例にとると、水平荷重を受ける側の柱には引張力が、反対側の柱には圧縮力が生じるという形で、水平荷重は柱の軸方向力に大きな影響を与えます。したがって「水平荷重の影響はほとんど受けない」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、静定構造物の解法における基本原則(切断法の考え方)であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、柱脚の支持条件によってモーメント分布・せん断力分布が変わるという静定・不静定構造の基本的な性質であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、静定構造物の定義そのもの(応力が部材剛性に依存せず、力の釣り合いのみで決まる)であり正しい記述です。

ラーメンの応力性状は、力学の中でも特に「なぜそうなるか」という理屈を問う出題が多い論点です。水平力による柱の軸方向力は、耐震設計の保有水平耐力計算や偏心率の考え方にもつながる重要な視点であるため、令和8年度も狙われやすいと筆者は考えています。静定ラーメン・トラスの解き方もあわせて確認してください。


問5(構造力学:トラス)

トラスの解法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. トラス部材は両端がピン接合されているものとして扱い、部材には軸方向力のみが生じ、曲げモーメントは生じないと仮定して解析する。
  2. 節点に外力が作用しない場合で、3部材が集まる節点のうち2部材が一直線上にあるとき、残りの1部材の軸力は必ずゼロとなる。
  3. 節点法は、着目する節点に集まる部材の軸力を未知数とし、その節点における力の釣り合い(ΣX=0、ΣY=0)から求める方法である。
  4. 切断法は、求めたい部材を含む位置でトラス全体を切断し、切断面に生じる曲げモーメントの釣り合いのみから、すべての未知軸力を一度に求める方法である。

解答・解説

正答: 4

選択肢4が不適当です。切断法(断面法)は、切断面に現れる複数の未知軸力を、モーメントの釣り合い(ΣM=0)だけでなく、水平方向・鉛直方向の力の釣り合い(ΣX=0、ΣY=0)も合わせた3つの釣り合い式を使って求める方法です。一般に、切断面に現れる未知軸力の部材数が3つ以下になるように切断位置を選び、モーメントの中心点を工夫することで1つずつ軸力を求めていきます。「モーメントの釣り合いのみからすべての未知軸力を一度に求める」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、トラス解析における最も基本的な仮定(ピン接合・軸力のみ)であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、いわゆるゼロメンバー(零部材)の判定ルールであり正しい記述です。
  • 選択肢3は、節点法の定義そのものであり正しい記述です。

トラスの解法(節点法・切断法)は毎年のように出題される頻出論点で、特に切断法の釣り合い式の使い方を誤解しているケースが多いと筆者は感じています。ゼロメンバーの判定と合わせて確実に押さえておきたい単元です。詳しくは静定ラーメン・トラスの解き方を参照してください。


問6(構造力学:座屈・全塑性モーメント)

座屈および全塑性モーメントに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 弾性座屈荷重(オイラー座屈荷重)は、部材の座屈長さの2乗に反比例する。
  2. 全塑性モーメントは、断面全体が降伏応力度に達した状態で生じる曲げモーメントであり、その値は弾性限界モーメント(降伏モーメント)よりも小さい。
  3. 座屈長さは部材端部の支持条件によって変化し、両端固定の場合は両端ピンの場合より座屈長さが短くなり、座屈荷重は大きくなる。
  4. 鋼構造の梁が全塑性モーメントに達した後は、変形が進んでも抵抗モーメントはほぼ一定のまま推移し、この性質が保有水平耐力計算の前提となる。

解答・解説

正答: 2

選択肢2が不適当です。全塑性モーメントMpは、断面の縁の応力度が降伏に達した時点の弾性限界モーメント(降伏モーメント)My よりも大きくなります。断面の外側から徐々に降伏域が広がり、最終的に断面全体が降伏応力度に達することで全塑性モーメントに至るため、Mp>Myの関係になります(この比Mp/Myを形状係数と呼び、矩形断面で1.5程度、H形断面で1.1〜1.2程度になります)。「弾性限界モーメントよりも小さい」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、オイラー座屈荷重の式Pcr=π²EI/lk²(lk:座屈長さ)そのものであり正しい記述です。
  • 選択肢3は、座屈長さが端部拘束条件によって変化するという基本原則であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、鋼材の全塑性状態における挙動(塑性ヒンジの形成)であり、保有水平耐力計算・塑性設計の前提となる正しい記述です。

座屈と全塑性モーメントは、力学系から耐震設計・保有水平耐力へとつながる橋渡しの論点であり、令和8年度も概念理解を問う形で出題されやすいと筆者は考えています。


問7(荷重・外力:地震力)

地震力の算定に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 地震層せん断力係数Ciは、Ci=Z・Rt・Ai・Coの式で表され、Coは標準せん断力係数で、一次設計では原則0.2以上とする。
  2. 地震地域係数Zは0.7〜1.0の範囲で定められており、沖縄など一部地域で最小値0.7が適用される。
  3. 地震層せん断力分布係数Aiは、建物の上層になるほど大きな値となり、下層ほど小さくなる。
  4. 構造特性係数Dsは、建物の靭性が高い(粘り強い)ほど大きな値となり、必要保有水平耐力を割り増す必要がある。

解答・解説

正答: 4

選択肢4が不適当です。構造特性係数Dsは、建物の靭性(粘り強さ、エネルギー吸収能力)が高いほど「小さく」なり、必要保有水平耐力は「低減」されます。逆に、靭性に乏しく脆性的な破壊(せん断破壊など)が生じやすい構造ほどDsは大きくなり、必要保有水平耐力の割増しが必要になります。「靭性が高いほど大きな値となり、割り増す必要がある」という記述は、関係が逆になっており誤りです。

  • 選択肢1は、地震層せん断力係数の算定式と一次設計の基準(Co≧0.2)であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、地域係数Zの範囲と適用例であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、地震層せん断力分布係数Aiの性質(上層ほど大きい)であり正しい記述です。

地震力の算定式は各係数の意味と方向性(大きくなる条件・小さくなる条件)をセットで理解しているかが問われる頻出論点です。特に構造特性係数Dsは靭性との関係を逆に覚えている受験生が多く、令和8年度も引っかけとして狙われやすいと筆者は考えています。荷重・地震力と耐震設計の基礎で確認しておいてください。


問8(荷重・外力:風圧力・積雪荷重)

風圧力および積雪荷重に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 速度圧qは、地表面粗度区分・基準風速V0、建物の高さや周辺状況を反映した係数などから求められ、一般に建物の高さが高くなるほど大きくなる。
  2. 風力係数は、風上壁面では正の値(押す力)、風下壁面や側面・屋根面では負の値(吸う力)となることが多い。
  3. 積雪荷重は、垂直積雪量に単位荷重・屋根形状係数を乗じて算定し、屋根勾配が急になるほど屋根形状係数は大きくなり、積雪荷重も増大する。
  4. 多雪区域では、積雪の単位荷重や垂直積雪量が特定行政庁により地域ごとに定められ、一般区域より積雪荷重の影響が大きくなる。

解答・解説

正答: 3

選択肢3が不適当です。屋根形状係数は、屋根勾配が急になるほど「小さく」なります。勾配が急な屋根は積もった雪が滑り落ちやすいため、勾配に応じて積雪荷重を低減する係数として屋根形状係数が定められており、一定の勾配(一般に60度程度)を超えると係数はゼロに近づきます。「勾配が急になるほど屋根形状係数は大きくなり、積雪荷重も増大する」という記述は、関係が逆になっており誤りです。

  • 選択肢1は、速度圧の算定要素と建物高さによる増大傾向であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、風上・風下・側面での風力係数の正負の傾向であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、多雪区域における積雪荷重の地域別規定であり正しい記述です。

風圧力・積雪荷重は係数の名称と数値そのものを問う出題より、「何によって係数が大きくなり、何によって小さくなるか」という方向性を問う出題が多い印象です。屋根勾配と積雪荷重の関係は特に逆転させた誤答が作りやすく、令和8年度も注意したい論点です。風荷重・積雪荷重の基礎で整理しておいてください。


問9(耐震設計:層間変形角・剛性率・偏心率・保有水平耐力)

耐震設計上の各指標に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 層間変形角は、各階の水平変位をその階の高さで除した値であり、一次設計では原則1/200以内に収めることが目安とされる。
  2. 剛性率は、各階の層間変形角の逆数をその階の高さで除して求め、剛性率が1.2を上回る階では地震時の変形が集中しやすいため注意が必要である。
  3. 偏心率は、重心と剛心のずれを建物の階高で除して算定し、偏心率が0.3を下回る場合にねじれ変形の検討が必要となる。
  4. 保有水平耐力は、一次設計の段階で確保すべき水平耐力の基準であり、二次設計で確認する必要はない。

解答・解説

正答: 1

選択肢1が正しい記述です。層間変形角は「その階の層間変位/その階の高さ」で表され、一次設計(許容応力度計算)における目安は原則1/200以内(仕上材等に支障がないことが確認できれば1/120まで緩和可)とされています。

  • 選択肢2は誤りです。剛性率は「各階の層間変形角の逆数を、全階の層間変形角の逆数の平均値で除して」求める指標であり、階高で除すのではありません。また、注意が必要となるのは剛性率が「0.6を下回る」場合であり、1.2を上回る場合ではありません(数値の方向も逆です)。
  • 選択肢3は誤りです。偏心率は「重心と剛心のずれ(偏心距離)を弾力半径で除して」算定する指標であり、階高で除すのではありません。また、ねじれ変形への注意が必要となるのは偏心率が「0.15を超える」場合であり、0.3を下回る場合ではありません。
  • 選択肢4は誤りです。保有水平耐力は、層間変形角・剛性率・偏心率の確認を経たうえで、二次設計(保有水平耐力計算等)において確認する指標であり、一次設計で確保すべき基準ではありません。

層間変形角・剛性率・偏心率・保有水平耐力は、それぞれ算定式の分母(何で除すか)と、注意が必要となる数値の方向を混同しやすい論点です。4つをセットで正確に区別できているかが問われるため、令和8年度も選択肢を横断する形での出題が予想されます。構造計画の基礎で整理しておくことをおすすめします。


問10(RC造)

鉄筋コンクリート構造(RC造)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 鉄筋コンクリート構造は、圧縮に強いが引張に弱いコンクリートと、引張に強い鉄筋を組み合わせ、双方の短所を補い合う構造である。
  2. あばら筋(スターラップ)は梁のせん断破壊を防止し靭性を高めるために配筋され、帯筋(フープ)は柱について同様の役割を果たす。
  3. 柱の帯筋比を大きくする(帯筋の間隔を密にする)ほど、柱のせん断耐力と靭性が向上し、脆性的な破壊であるせん断破壊が生じにくくなる。
  4. コンクリートのかぶり厚さは、鉄筋の防錆・耐火性確保等のため最小限度が定められているが、かぶり厚さを厚くするほど鉄筋とコンクリートの付着強度は低下し、部材の靭性は損なわれる。

解答・解説

正答: 4

選択肢4が不適当です。かぶり厚さは、鉄筋の防錆(中性化・塩害からの保護)や耐火性能を確保するために最小限度が定められているものであり、かぶり厚さを厚くすること自体が鉄筋とコンクリートの付着強度を低下させ、部材の靭性を損なうという直接的な関係はありません。むしろかぶり厚さの不足は、コンクリートの剥落やひび割れ、鉄筋の早期腐食を招き、耐久性・構造性能の低下につながるため、必要なかぶり厚さの確保は基本的に構造性能上望ましいものとされています。

  • 選択肢1は、RC造の基本原理(コンクリートと鉄筋の役割分担)であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、あばら筋・帯筋の役割(せん断補強)であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、帯筋比とせん断耐力・靭性の関係であり正しい記述です。

RC造は「なぜその配筋・仕様が必要か」という理由を問う出題が中心です。かぶり厚さは規定数値そのものより、防錆・耐火という目的と、確保しないことによるリスクの方向を正しく理解しているかが問われやすい論点だと筆者は考えています。鉄筋コンクリート構造(RC造)の基礎もあわせてご確認ください。


問11(S造)

鉄骨構造(S造)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 鋼材は材質が均質で強度が高く靭性に富む材料であるが、断面が薄い部材では局部座屈が生じやすく、幅厚比を制限することで発生を防ぐ。
  2. H形鋼の梁が横座屈(材軸まわりのねじれを伴う座屈)を起こす危険性は、圧縮側フランジが十分に横補剛されていない場合に高まるため、横補剛材の設置間隔等を適切に検討する必要がある。
  3. 高力ボルト摩擦接合は、ボルトを締め付けることで生じる部材間の摩擦力によって応力を伝達する接合方法であり、ボルト軸部のせん断力によって応力を伝達する接合ではない。
  4. 鋼構造の柱脚は露出柱脚・根巻き柱脚・埋込み柱脚に大別されるが、一般に埋込み柱脚よりも露出柱脚の方が剛性・耐力に優れ、より強固な固定度が得られる。

解答・解説

正答: 4

選択肢4が不適当です。柱脚形式の剛性・固定度の序列は、一般に「埋込み柱脚>根巻き柱脚>露出柱脚」の順であり、埋込み柱脚が最も剛性・固定度に優れます。露出柱脚はアンカーボルトとベースプレートで応力を伝達する形式で、他の2形式に比べて固定度が低く、その分アンカーボルトの設計や柱脚の回転を考慮した設計が重要になります。「露出柱脚の方が埋込み柱脚より剛性・耐力に優れる」という記述は、序列が逆になっており誤りです。

  • 選択肢1は、鋼材の特性と局部座屈対策(幅厚比制限)であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、横座屈と横補剛の関係であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、高力ボルト摩擦接合の伝達機構であり正しい記述です。

柱脚の剛性序列は数値ではなく相対的な大小関係を問う出題が多く、暗記があいまいだと逆に覚えてしまいがちな論点です。露出柱脚が最も一般的に使われる形式であることと、剛性が最も低い形式であることを混同しないよう注意が必要です。詳しくは鉄骨構造(S造)の基礎で解説しています。


問12(木造)

木造建築の構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 木材は繊維方向とその直交方向で強度性状が大きく異なる異方性材料であり、繊維方向の引張・圧縮強度は、繊維に直交する方向の強度より大きい。
  2. 在来軸組工法における耐力壁の性能は壁の種類ごとに定められた壁倍率で評価され、必要壁量は建物の階数・屋根の重さ・地震力や風圧力に応じて算定される。
  3. 木造建物の耐震性を確保するには、耐力壁の量だけでなく、その配置バランス(四分割法等による偏心の確認)も重要であり、バランスが悪いと耐力壁の量が十分でも耐震性が低下する。
  4. 木造の床組・屋根面における水平構面の剛性(床倍率)は、地震力・風圧力を耐力壁へ伝達する上で重要な要素であるが、水平構面の剛性が低くても耐力壁の耐震性能には全く影響を及ぼさない。

解答・解説

正答: 4

選択肢4が不適当です。水平構面(床・屋根面)の剛性が低いと、地震力や風圧力が耐力壁へ効率よく伝達されず、力が特定の耐力壁に偏って伝わったり、耐力壁が本来持つ性能を発揮できなくなったりします。水平構面の剛性を床倍率という指標で評価し、必要な床倍率を確保することが求められているのはこのためであり、「水平構面の剛性が低くても耐力壁の性能に全く影響しない」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、木材の異方性(繊維方向と直交方向での強度差)であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、壁量計算の考え方(壁倍率・必要壁量)であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、耐力壁の配置バランス(四分割法)の重要性であり正しい記述です。

木造は耐力壁の量だけに注目しがちですが、実際には水平構面がその力を耐力壁まで伝える「橋渡し役」を担っており、この関係を見落とすと壁量計算だけでは説明できない被害が生じることがあります。令和8年度も、耐力壁単体ではなく水平構面との関係を問う形での出題が予想されます。木造建築の構造の基礎で確認しておいてください。


問13(基礎・地盤)

基礎・地盤に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 直接基礎は独立フーチング基礎・布基礎・べた基礎などに分類され、良好な支持地盤が浅い位置にある場合に適した基礎形式である。
  2. 支持杭は杭周面の摩擦力によって主に荷重を支持する杭であり、摩擦杭は杭先端が支持層に到達し、先端支持力によって荷重を支持する杭である。
  3. 液状化は密実な砂質地盤や粘性土地盤で地震時に生じやすい現象であり、地下水位が低い地盤ほど発生しやすい。
  4. 不同沈下は基礎形式によってのみ発生の有無が決まり、建物重量の偏りや地盤の不均一性とは無関係である。

解答・解説

正答: 1

選択肢1が正しい記述です。直接基礎は上部構造の荷重を比較的浅い地盤に直接伝達する基礎形式で、独立フーチング基礎・布基礎・べた基礎などに分類され、良好な支持地盤が浅い位置にある場合に適しています。

  • 選択肢2は誤りです。定義が逆になっており、杭先端が支持層に到達して先端支持力で荷重を支持するのが「支持杭」、杭周面と地盤との摩擦力によって荷重を支持するのが「摩擦杭」です。
  • 選択肢3は誤りです。液状化は、地下水位が高く緩い砂質地盤が地震動を受けた際に間隙水圧が上昇し、地盤のせん断強度を失う現象であり、密実な砂質地盤や粘性土地盤では一般に生じにくいとされています。「密実な砂質地盤や粘性土地盤で生じやすく、地下水位が低いほど発生しやすい」という記述は、条件が逆になっており誤りです。
  • 選択肢4は誤りです。不同沈下は、建物重量の偏り、地盤の不均一性、地盤改良の有無など複数の要因が影響して生じるものであり、基礎形式のみによって発生の有無が決まるわけではありません。

基礎・地盤の分野は、支持杭と摩擦杭のように似た用語の定義を入れ替えた誤答や、液状化のように発生条件を逆にした誤答が作りやすく、令和8年度も定義・条件の正確な理解を問う出題が予想されます。基礎と地盤の基礎で用語を整理しておいてください。


問14(免震・制振)

免震構造・制振構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 免震構造は建物の下部(基礎と上部構造の間など)に免震層を設け、積層ゴム系や滑り系の免震装置により建物の固有周期を長周期化し、地震動が建物に伝わりにくくする構造である。
  2. 免震構造は、短周期成分が卓越する直下型地震や、長周期地震動が卓越する地盤・地震動に対しては免震効果が限定的になる場合があるため、対象とする地震動の特性を検討する必要がある。
  3. 制振構造は建物内にダンパー(制振部材)を組み込み、地震時の振動エネルギーを吸収することで応答を低減する構造であり、ダンパーには鋼材系・オイル系・粘性系・粘弾性系など様々な種類がある。
  4. 免震構造を採用すれば地震力そのものを完全に建物に伝えない構造となるため、上部構造の耐震設計における層間変形角や必要保有水平耐力の検討は一切不要となる。

解答・解説

正答: 4

選択肢4が不適当です。免震構造は建物の固有周期を長周期化し、地震動が上部構造に伝わりにくくする仕組みですが、地震力を完全にゼロにするものではありません。免震構造でも上部構造の耐震設計(層間変形角や必要保有水平耐力の確認)や、免震層の変位に応じたクリアランス(可動範囲)の確保、設備配管・エキスパンションジョイントへの配慮などは必要であり、「検討が一切不要になる」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、免震構造の基本的な仕組み(長周期化による地震動の低減)であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、免震構造が苦手とする地震動(直下型・長周期地震動)についての正しい記述です。
  • 選択肢3は、制振構造とダンパーの種類であり正しい記述です。

免震構造は「地震力をゼロにする魔法の構造」と誤解されやすい分野ですが、実際には得意・不得意な地震動があり、上部構造の設計や維持管理上の配慮も必要になります。この「万能ではない」という視点は近年繰り返し問われている論点で、令和8年度も同様の出題が予想されます。免震・制振構造と建物の振動の基礎もあわせてご確認ください。


問15(構造材料)

構造材料(コンクリート・鋼材・木材)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. コンクリートの圧縮強度は一般に材齢とともに増加し、設計基準強度Fcは材齢28日における圧縮強度を基準として定められることが多い。
  2. 水セメント比が小さいほど、一般にコンクリートの強度は高くなり、耐久性(中性化抵抗性等)も向上する傾向がある。
  3. 鋼材の弾性係数(ヤング係数)は、鋼材の強度種別(SS400やSN490など)によって大きく異なり、高強度の鋼材ほど弾性係数も大きくなる。
  4. 木材の含水率が低下し繊維飽和点を下回ると、含水率の低下に伴って木材の強度が増加する傾向がある。

解答・解説

正答: 3

選択肢3が不適当です。鋼材のヤング係数(弾性係数)は、SS400やSN490といった強度種別(降伏点や引張強さの違い)にかかわらず、おおむね2.05×10⁵N/mm²程度でほぼ一定です。強度が異なっても、応力とひずみの比例関係を表すヤング係数自体は変化しないという点は、構造材料の性質として繰り返し問われる基本事項です。「強度種別によって大きく異なり、高強度なほど弾性係数も大きくなる」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、コンクリートの材齢と強度の関係、設計基準強度の考え方であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、水セメント比と強度・耐久性の関係であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、木材の含水率と強度の関係(繊維飽和点以下での強度増加)であり正しい記述です。

「強度が変わってもヤング係数は変わらない」という鋼材の性質は、構造材料の分野で最も出題頻度が高い論点のひとつだと筆者は考えています。コンクリートは強度によってヤング係数が変化する(強度が高いほど大きくなる)のに対し、鋼材は強度種別によらずほぼ一定という対比で覚えておくと、選択肢の正誤判断がしやすくなります。建築材料の基礎で他の材料の性質もあわせて確認しておいてください。


直前チェックリスト

15問で扱いきれなかった論点も含め、直前期に暗記・確認しておきたい項目を整理しました。

  • 断面二次モーメント・断面係数の公式(矩形断面:I=bh³/12、Z=bh²/6)を即座に書けるか
  • 単純梁・片持ち梁それぞれのたわみ公式(荷重条件別)を区別できているか
  • トラスのゼロメンバー判定ルールと、節点法・切断法の使い分けができているか
  • オイラー座屈荷重の式と、支持条件による座屈長さの変化を理解しているか
  • 全塑性モーメントMpと弾性限界モーメントMyの大小関係(Mp>My)と形状係数の意味
  • 地震層せん断力係数Ci=Z・Rt・Ai・Coの各係数の意味と方向性
  • 構造特性係数Ds(靭性が高いほど小さい)と必要保有水平耐力の関係
  • 速度圧・風力係数の正負(風上は正圧、風下・側面・屋根は負圧が多い)
  • 屋根形状係数と屋根勾配の関係(勾配が急なほど係数は小さい)
  • 層間変形角・剛性率・偏心率の算定式(何で除すか)と基準値(1/200、0.6、0.15)
  • 保有水平耐力は二次設計で確認する指標であること
  • RC造のあばら筋・帯筋の役割と、かぶり厚さの目的(防錆・耐火)
  • S造の柱脚形式の剛性序列(埋込み>根巻き>露出)
  • 木造の水平構面(床倍率)が耐力壁の性能発揮に不可欠であること
  • 支持杭・摩擦杭の定義、液状化が生じやすい地盤条件(緩い砂質地盤・高い地下水位)
  • 免震構造が万能ではないこと(直下型地震・長周期地震動への留意、上部構造設計の必要性)
  • 鋼材のヤング係数は強度種別によらずほぼ一定であること

まとめ

直前期の構造科目は、新しい知識を増やすことよりも、力学系の計算問題を確実に得点し、荷重・耐震設計・各種構造系の頻出論点で取りこぼしをなくすことが得点の安定につながると筆者は考えています。試験本番では、計算問題に時間をかけすぎて文章題の見直し時間がなくなるケースが多いため、まず全問に目を通して解ける問題から解答し、時間のかかりそうな計算問題は最後にまとめて取り組むといった時間配分を、あらかじめ決めておくことをおすすめします。今回の15問で間違えた論点があれば、当日までに単元記事に戻って必ず復習しておいてください。


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