【令和8年度】一級建築士 学科「法規」予想問題 第5集|建築士法・関係法令20問
第1集では法規科目全体を幅広くカバーし、第2集では単体規定(一般構造・防火・避難)、第3集では集団規定(道路・用途地域・形態制限)に的を絞りました。さらに第4集では手続き規定・構造強度・建築設備関係規定を扱っています。この第5集では範囲をもう一度切り替え、建築基準法そのものではなく、建築士法を中心とした「関係法令」に焦点を当てて20問を新たに用意しました。
関係法令は建築基準法ほど条文数は多くないものの、建築士法・バリアフリー法・耐震改修促進法・品確法・長期優良住宅法・建設業法・都市計画法・消防法など、法令ごとに目的も所管も異なる複数の法律を横断して問われるため、「どの法律の、どの制度の話をしているか」を素早く切り分ける力が求められる分野だと筆者は考えています。特に建築士法は、実務者自身の資格・業務範囲・契約に直結する法律であり、令和7年4月に施行された業務範囲の見直しなど、比較的新しい改正点も含めて出題されやすい単元です。この第5集をもって、第1〜4集とあわせて法規科目の予想問題は合計約100問の体制となります。
本問題集は筆者(当サイト)が独自に作成した予想問題であり、実際の試験問題の的中や出題を保証するものではありません。関係法令は改正が比較的頻繁に行われる分野でもあるため、本記事の内容も参考情報の一つとして、受験にあたっては必ず最新の法令・国土交通省の公表資料・ご自身の法令集と照らし合わせてご確認ください。特に金額・面積・年月日等の数値は、法令集の該当条文で必ず裏取りしてから覚えるようにしてください。
使い方は第1〜4集と同じです。次の章で出題傾向と本記事の対応関係を確認し、自分が手薄だと感じる分野から解いてください。各問題は四肢択一形式で、解答のあとに正誤の理由をまとめています。間違えた問題や理解があいまいだった論点は、解説内でリンクしている当サイトの単元記事に戻って、条文の位置関係を確認しながら復習することをおすすめします。
出題傾向と予想の考え方
関係法令は、建築士自身の資格・業務・契約に関わる建築士法と、それ以外の目的別の個別法(バリアフリー法・耐震改修促進法・品確法・長期優良住宅法・建設業法・都市計画法・消防法等)に大きく分けられます。この記事の20問は、次の9つの分野に整理して構成しました。
| 分野 | 頻出度 | 対応する問題番号 |
|---|---|---|
| 建築士法(免許・業務・設計受託契約・建築士事務所) | ◎ | 問1〜問6 |
| バリアフリー法 | ○ | 問7〜問9 |
| 耐震改修促進法 | ○ | 問10・問11 |
| 品確法(住宅性能表示制度・紛争処理) | ○ | 問12・問13 |
| 長期優良住宅法 | ○ | 問14・問15 |
| 建設業法 | ◎ | 問16・問17 |
| 都市計画法 | ○ | 問18 |
| 消防法 | ○ | 問19 |
| 住宅関連法令総合(住宅瑕疵担保履行法) | ○ | 問20 |
建築士法は関係法令の中でも配点の比重が高く、この記事でも重点的に問題数を割いています。建設業法についても、令和6年の法改正(令和7年12月全面施行)という比較的新しい論点を含むため、あえて2問を用意しました。その他の法令は1〜2問ずつですが、いずれも「この法律は何を目的として、誰に何を義務づけているか」という骨格を押さえておけば対応しやすい構成にしています。
予想問題20問
問1 建築士免許の欠格事由と登録事項の変更届出
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 建築士法又は建築基準法の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者は、建築士の免許を受けることができない。
- 精神の機能の障害により建築士の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができないおそれがある者として国土交通省令で定めるものは、免許を受けることができない場合がある。
- 建築士は、氏名又は住所等、建築士名簿の登録事項に変更が生じたときは、遅滞なく、その旨を届け出なければならない。
- 建築士名簿の登録事項の変更の届出は、建築士本人の任意の判断に委ねられており、法令上の義務ではない。
解答・解説
正答:4
- 1〜3は正しい記述です。建築士法上の欠格事由には、この法律又は建築基準法違反による罰金刑からの一定期間や、心身の故障に関する国土交通省令で定める事由が含まれ、名簿の登録事項に変更が生じた場合には遅滞なく届け出る義務があります。
- 4は誤りです。登録事項の変更の届出は建築士法上の義務であり、「任意の判断に委ねられている」という説明は誤りです。
欠格事由と届出義務はいずれも建築士制度の信頼性を担保するための規定であり、免許を取得した後も継続的に守るべきルールとして出題されやすい論点です。
問2 建築士の業務範囲(二級建築士・木造建築士)
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 二級建築士は、都道府県知事の免許を受けた者であり、一級建築士でなければ設計・工事監理を行うことができない大規模な建築物を除き、住宅等の設計・工事監理を行うことができる。
- 令和7年4月に施行された建築士法の改正により、二級建築士が簡易な構造計算等により設計できる木造建築物の規模は、それまでの「高さ13m以下・軒高9m以下」から「階数3以下・高さ16m以下」に拡大された。
- 木造建築士は、延べ面積・階数にかかわらず、木造の建築物であればどのような規模のものでも単独で設計・工事監理を行うことができる。
- 一級建築士でなければ設計・工事監理を行うことができない建築物の範囲は、用途・規模(延べ面積・高さ・階数等)に応じて建築士法で定められている。
解答・解説
正答:3
- 1・2・4は正しい記述です。二級建築士の業務範囲は令和7年4月施行の建築士法改正で見直され、木造建築物について簡易な構造計算等で設計できる規模が「階数3以下・高さ16m以下」に拡大されました。一級建築士専用の範囲は用途・規模に応じて建築士法で定められています。
- 3は誤りです。木造建築士は、木造の建築物のうち延べ面積・階数が一定規模以下(小規模な平屋・2階建て等)のものに限り、単独で設計・工事監理を行うことができ、規模にかかわらずどのような建築物でも扱えるわけではありません。「どのような規模のものでも単独で設計・工事監理を行うことができる」という説明は誤りです。
一級・二級・木造という3区分の業務範囲は、上位資格ほど扱える範囲が広いという原則と、令和7年施行の改正のように制度が見直される場合があるという2点をセットで押さえておく必要があります。
問3 設計受託契約・工事監理受託契約の重要事項説明
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 建築士事務所の開設者は、設計受託契約又は工事監理受託契約を建築主と締結しようとするときは、あらかじめ、建築主に対し、管理建築士その他当該建築士事務所に属する建築士をして、契約の内容及びその履行に関する事項を記載した書面を交付して説明させなければならない。
- この重要事項説明は、口頭のみで行うことが認められており、書面の交付は義務づけられていない。
- 重要事項説明を行う者は、建築士事務所に属する建築士であればよく、必ずしも管理建築士自身が説明を行う必要はない。
- 重要事項説明の対象となる事項には、業務の実施の方法や報酬の額及び支払の時期等が含まれる。
解答・解説
正答:2
- 1・3・4は正しい記述です。重要事項説明は、管理建築士その他事務所に属する建築士が、契約内容・業務の実施方法・報酬の額及び支払時期等を記載した書面を交付して行うものです。
- 2は誤りです。重要事項説明は書面を交付して行うことが義務づけられており、口頭のみで足りるものではありません。「書面の交付は義務づけられていない」という説明は誤りです。
重要事項説明は、建築主が専門的な内容を理解しないまま契約してしまうことを防ぐための規定であり、宅地建物取引における重要事項説明と似た趣旨を持つ制度として整理しておくと理解しやすくなります。
問4 建築士事務所の登録・管理建築士
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 建築士事務所を開設しようとする者は、当該事務所を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。
- 建築士事務所の登録の有効期間は5年であり、有効期間の満了後も引き続き業務を行おうとする者は更新の登録を受けなければならない。
- 建築士事務所には専任の管理建築士を置かなければならず、管理建築士は建築士としての一定の実務経験を経た後、所定の講習を修了した者でなければならない。
- 管理建築士は、複数の建築士事務所の管理建築士を兼務することが認められており、専任性は求められていない。
解答・解説
正答:4
- 1〜3は正しい記述です。建築士事務所の登録は都道府県知事が行い、有効期間5年で更新が必要であり、管理建築士には実務経験と講習修了という要件が課されています。
- 4は誤りです。管理建築士は各建築士事務所に専任で置かれる必要があり、複数の事務所を兼務することは認められていません。「専任性は求められていない」という説明は誤りです。
管理建築士の専任性は、建築士事務所の技術的な管理体制を実効性のあるものにするための要件であり、名義貸しのような形式的な配置を防ぐ趣旨を持っています。
問5 建築士事務所の業務に関する図書の保存・帳簿・標識
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 建築士事務所の開設者は、その事務所の業務に関して作成した設計図書等の一定の図書を、一定期間保存しなければならない。
- 建築士事務所の開設者は、業務に関する事項を記載した帳簿を備え付け、これを保存しなければならない。
- 建築士事務所の開設者は、公衆の見やすい場所に、その事務所の名称・登録番号等を記載した標識を掲げなければならない。
- これらの図書の保存義務・帳簿の備付け義務は努力義務にとどまり、違反しても罰則の対象とはならない。
解答・解説
正答:4
- 1〜3は正しい記述です。建築士事務所の開設者には、業務に関する図書の保存、帳簿の備付け・保存、標識の掲示が義務づけられています。
- 4は誤りです。これらの義務は単なる努力義務ではなく法令上の義務であり、違反した場合には監督処分や罰則の対象となり得ます。「努力義務にとどまり、罰則の対象とはならない」という説明は誤りです。
図書の保存・帳簿の備付けは、建築士事務所の業務の適正性を事後的に検証できるようにするための規定であり、建築主の保護という観点からも重要な制度です。
問6 建築士に対する懲戒処分
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 国土交通大臣又は都道府県知事は、建築士が建築士法又は建築基準法等に違反した場合、戒告、1年以内の業務の停止、免許の取消しのいずれかの処分をすることができる。
- 一級建築士に対する懲戒処分は都道府県知事が行い、二級建築士・木造建築士に対する懲戒処分は国土交通大臣が行う。
- 建築士が受けた懲戒処分の内容は、原則として公告される。
- 建築士事務所の開設者に対しても、都道府県知事による指示・登録の取消し・閉鎖命令等の監督処分の制度が設けられている。
解答・解説
正答:2
- 1・3・4は正しい記述です。懲戒処分の種類(戒告・業務停止・免許取消し)、処分内容の公告、建築士事務所に対する監督処分の制度は、いずれも建築士制度の実効性を担保する仕組みです。
- 2は誤りです。一級建築士に対する懲戒処分は国土交通大臣が行い、二級建築士・木造建築士に対する懲戒処分は都道府県知事が行うのであり、説明が逆になっています。免許の付与主体(一級=大臣、二級・木造=知事)と懲戒処分の主体は対応関係にあります。
免許の付与主体と懲戒処分の主体が一致するという構造を理解しておくと、この種の「主体が逆」という引っかけに対応しやすくなります。
問7 バリアフリー法の特定建築物・特別特定建築物
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 病院、劇場、百貨店等の特別特定建築物で床面積の合計が政令で定める規模以上のものを新築する場合、建築物移動等円滑化基準に適合させなければならない。
- 特別特定建築物より広い概念である特定建築物については、建築物移動等円滑化基準への適合が努力義務とされている場合がある。
- 建築物移動等円滑化基準は新築の場合にのみ適用され、増築・改築や用途変更によって特別特定建築物に該当することとなる場合には適用されない。
- 特定建築物の建築主等が、建築物移動等円滑化誘導基準に適合する計画について所管行政庁の認定を受けた場合、容積率の特例等の措置を受けられることがある。
解答・解説
正答:3
- 1・2・4は正しい記述です。特別特定建築物の新築時の基準適合義務、特定建築物の努力義務、認定建築物への容積率特例は、バリアフリー法の代表的な仕組みです。
- 3は誤りです。建築物移動等円滑化基準は新築の場合だけでなく、増築・改築や用途変更によって特別特定建築物に該当することとなる場合にも適用されます。「新築の場合にのみ適用される」という説明は誤りです。
新築限定ではなく、増改築・用途変更も対象に含まれるという点は、単体規定・集団規定の多くが新築を基本形として想定しているのとは異なる視点として押さえておくとよいでしょう。
問8 バリアフリー基準の改正(令和7年6月施行)
次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 令和6年に改正された政令・告示に基づき、令和7年6月1日から、便所・駐車場に係るバリアフリー基準の見直しと、劇場等の客席に係るバリアフリー基準の創設が施行された。
- この改正では建築物移動等円滑化誘導基準(任意の誘導基準)のみが見直され、義務基準である建築物移動等円滑化基準には変更が加えられていない。
- この改正による便所に係る基準の見直しは、車椅子使用者用便房の設置義務を撤廃する方向の緩和である。
- この改正による劇場等の客席に係る基準の創設は、既存の劇場・映画館等の既存不適格の状態を遡って是正することを直接義務づけるものである。
解答・解説
正答:1
- 1は正しい記述です。令和6年に改正された政令・告示により、便所・駐車場に係るバリアフリー基準の見直しと、劇場等の客席に係るバリアフリー基準の創設が、令和7年6月1日から施行されています。
- 2は誤りです。この改正は義務基準である建築物移動等円滑化基準にも及んでおり、誘導基準のみを対象としたものではありません。
- 3は誤りです。便所に係る基準の見直しは、車椅子使用者用便房等の設置をより求める方向の見直しであり、設置義務を撤廃する方向の緩和ではありません。
- 4は誤りです。基準の改正それ自体が既存建築物に対する遡及的な是正義務を直接生じさせるものではなく、既存不適格の扱いは建築基準法上の一般原則に沿って整理されます。
近年施行された改正は、法令の枠組み(義務基準か誘導基準か、新築時のみか増改築時も含むか)を正確に読み取れるかどうかが問われやすい論点です。
問9 移動等円滑化経路・エレベーターの構造
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 特別特定建築物には、道等から利用居室までの経路のうち1以上を、移動等円滑化経路として整備しなければならない。
- 移動等円滑化経路を構成する出入口の幅・廊下の幅・傾斜路(スロープ)の勾配等については、政令で具体的な基準が定められている。
- エレベーターを設置する場合、かご及び昇降路の出入口の幅、かご内の設備等についても、車椅子使用者の円滑な利用に配慮した基準が定められている。
- 移動等円滑化経路の基準は、階段や段差の解消(スロープ・エレベーター等の設置)に限られ、案内設備や視覚障害者誘導用ブロック等は基準の対象に含まれない。
解答・解説
正答:4
- 1〜3は正しい記述です。特別特定建築物には移動等円滑化経路の整備が求められ、出入口・廊下・傾斜路・エレベーターの構造について政令で具体的な基準が定められています。
- 4は誤りです。移動等円滑化経路の基準には、段差の解消だけでなく、視覚障害者誘導用ブロックや案内設備の設置なども含まれます。「案内設備や視覚障害者誘導用ブロック等は基準の対象に含まれない」という説明は誤りです。
移動等円滑化経路は車椅子使用者だけでなく、視覚障害者を含む多様な利用者を想定した経路である、という点を押さえておくと選択肢の正誤判断がしやすくなります。
問10 特定既存耐震不適格建築物と耐震診断の義務
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 耐震改修促進法は、地震に対する安全性の向上を目的として、既存建築物の耐震診断・耐震改修の促進のための措置を定めている。
- 学校、病院、百貨店等、多数の者が利用する一定規模以上の既存耐震不適格建築物は「特定既存耐震不適格建築物」とされ、その所有者には耐震診断を行い、その結果を所管行政庁に報告する等の努力義務又は義務が課される場合がある。
- 特定既存耐震不適格建築物のうち、都道府県が指定する道路(緊急輸送道路等)に接する一定の建築物は、耐震診断の実施及びその結果の報告が義務づけられる場合がある。
- 耐震診断の結果、耐震性が不足すると判定された建築物は、耐震改修促進法により直ちに除却が義務づけられる。
解答・解説
正答:4
- 1〜3は正しい記述です。耐震改修促進法は既存建築物の耐震診断・耐震改修の促進を目的とし、多数の者が利用する一定規模以上の建築物や、緊急輸送道路等に接する建築物について、耐震診断の実施・報告に関する義務又は努力義務が課されています。
- 4は誤りです。耐震診断の結果、耐震性が不足すると判定された場合であっても、耐震改修促進法によって直ちに除却が義務づけられるわけではなく、所管行政庁による指導・助言、必要に応じた指示等を通じて耐震改修等が促進される仕組みです。「直ちに除却が義務づけられる」という説明は誤りです。
耐震改修促進法は「診断・報告・指導」という段階的な仕組みを通じて耐震化を促す法律であり、いきなり強制的な除却を命じる制度ではないという点が誤解されやすいポイントです。
問11 耐震改修促進計画と耐震改修計画の認定
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 都道府県は耐震改修促進計画を定めなければならず、市町村は耐震改修促進計画を定めるよう努めるものとされている。
- 建築物の耐震改修の計画について所管行政庁の認定(耐震改修計画の認定)を受けた場合、建築基準法の一部の規定について緩和等の特例を受けられる場合がある。
- 耐震改修促進法に基づく耐震診断が義務づけられた建築物の所有者がこれに従わない場合、所管行政庁は指示をすることができ、正当な理由なく指示に従わないときはその旨を公表することができる。
- 耐震改修促進計画の策定は、都道府県・市町村のいずれも完全に任意とされており、耐震改修促進法上の根拠規定は存在しない。
解答・解説
正答:4
- 1〜3は正しい記述です。都道府県には耐震改修促進計画の策定義務、市町村には努力義務が課され、耐震改修計画の認定を受けた建築物には建築基準法上の特例が認められる場合があります。診断義務に従わない所有者への指示・公表という仕組みも設けられています。
- 4は誤りです。都道府県の耐震改修促進計画の策定は耐震改修促進法上の義務として定められており、「完全に任意で、根拠規定は存在しない」という説明は誤りです。
耐震改修促進計画は、耐震診断・改修の個別の義務づけを支える上位の計画であり、都道府県・市町村それぞれの役割の違い(義務か努力義務か)を押さえておくことが重要です。
問12 住宅性能表示制度
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 住宅性能表示制度は、品確法に基づき、構造の安定・火災時の安全・省エネルギー対策等の性能について、共通の基準(日本住宅性能表示基準)により評価・表示する任意の制度である。
- 新築住宅の住宅性能評価には、設計図書の段階で評価を行う設計住宅性能評価と、施工・完成段階で現地検査を行う建設住宅性能評価の2種類がある。
- 住宅性能評価書は、評価対象の住宅性能表示事項について評価した結果を表示するものであり、当該住宅の売買契約・請負契約に添付するかどうかにかかわらず、常にその内容が契約内容とみなされる。
- 建設住宅性能評価を受けた新築住宅に関する紛争は、指定住宅紛争処理機関によるあっせん・調停・仲裁を利用することができる。
解答・解説
正答:3
- 1・2・4は正しい記述です。住宅性能表示制度は任意の制度であり、設計・建設の2段階で評価が行われ、建設住宅性能評価を受けた住宅は指定住宅紛争処理機関の紛争処理の対象となります。
- 3は誤りです。住宅性能評価書に表示された性能を有する住宅を建設・供給することを契約したものとみなす規定が適用されるのは、評価書を契約書に添付する等、一定の要件を満たした場合に限られ、添付の有無にかかわらず常に契約内容とみなされるわけではありません。「かかわらず、常に契約内容とみなされる」という説明は誤りです。
住宅性能評価書と契約内容の関係は、評価を受けただけで自動的に契約内容化するわけではないという条件面が問われやすいポイントです。
問13 指定住宅紛争処理機関
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 指定住宅紛争処理機関は、弁護士会等が国土交通大臣の指定を受けて設置する機関であり、建設住宅性能評価書が交付された住宅に関する紛争のあっせん・調停・仲裁を行う。
- 指定住宅紛争処理機関を利用できるのは、原則として建設住宅性能評価書の交付を受けた住宅に限られる。
- 指定住宅紛争処理機関へのあっせん・調停・仲裁の申請には、原則として一定の手数料を納付する必要がある。
- 指定住宅紛争処理機関の紛争処理の対象は、住宅の構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分の瑕疵に関する紛争に限られ、それ以外の事項に関する紛争は一切対象とならない。
解答・解説
正答:4
- 1〜3は正しい記述です。指定住宅紛争処理機関は弁護士会等が国土交通大臣の指定を受けて設置し、建設住宅性能評価書の交付を受けた住宅について、手数料を納付してあっせん・調停・仲裁を申請できる仕組みです。
- 4は誤りです。指定住宅紛争処理機関の紛争処理の対象は、当該住宅に係る建設工事の請負契約又は売買契約に関する紛争全般であり、構造耐力上主要な部分等の瑕疵に関する紛争に限定されるものではありません。「限られ、それ以外の事項に関する紛争は一切対象とならない」という説明は誤りです。
指定住宅紛争処理機関は、瑕疵に限らず住宅の性能表示に関する幅広いトラブルを裁判外で解決するための仕組みである、という対象範囲の広さが誤解されやすいポイントです。
問14 長期優良住宅の認定基準
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 長期優良住宅の認定を受けるためには、劣化対策・耐震性・維持管理及び更新の容易性・省エネルギー性等について、長期使用構造等としての基準に適合する必要がある。
- 認定を受けた住宅の建築・維持保全を行おうとする者は、認定計画に基づき、点検の実施等の維持保全を行わなければならない。
- 長期優良住宅の認定は新築の住宅のみを対象としており、増改築を伴わない既存住宅がこの認定を受けることは制度上認められていない。
- 認定長期優良住宅については、住宅ローン減税をはじめとする税制優遇措置が設けられている。
解答・解説
正答:3
- 1・2・4は正しい記述です。長期優良住宅の認定基準には劣化対策・耐震性・維持管理及び更新の容易性・省エネルギー性等が含まれ、認定を受けた者には維持保全の実施義務が課され、税制優遇措置も設けられています。
- 3は誤りです。令和4年10月施行の改正により、増改築の行為を伴わない既存住宅についても、維持保全計画のみで長期優良住宅の認定を受けられる制度が創設されており、「増改築を伴わない既存住宅がこの認定を受けることは制度上認められていない」という説明は誤りです。
新築だけでなく既存住宅も対象になったという改正は、既存ストックの活用という近年の住宅政策の方向性を反映した論点として押さえておくとよいでしょう。
問15 長期優良住宅法の令和4年改正のポイント
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 令和4年10月の改正長期優良住宅法の施行により、増改築等の行為を伴わない既存住宅について、維持保全計画のみで認定を受けられる制度が新たに設けられた。
- この改正では、断熱等性能等級・一次エネルギー消費量等級について、いわゆるZEH水準に対応する上位等級が新たに認定基準に位置づけられた。
- この改正により、認定基準における共同住宅等の一戸当たりの面積基準は、それまでの55㎡以上から40㎡以上に合理化された。
- この改正により、長期優良住宅の認定権者は市町村長から都道府県知事に一元化された。
解答・解説
正答:4
- 1〜3は正しい記述です。令和4年10月施行の改正では、既存住宅の認定制度創設、ZEH水準に対応する上位等級の位置づけ、共同住宅等の面積基準の合理化(55㎡以上→40㎡以上)が行われました。
- 4は誤りです。長期優良住宅の認定を行う所管行政庁(多くの場合は市町村長)が都道府県知事に一元化されるという改正は行われておらず、認定権者の一元化という説明は誤りです。
法改正では「基準の中身」が変わることが多い一方で、「誰が認定・許可を行うか」という主体そのものが変わることは比較的まれです。主体と基準のどちらが変わった改正かを区別して覚えておくと、この種の引っかけに対応しやすくなります。
問16 建設業許可・主任技術者と監理技術者
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 建設業を営もうとする者は、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、国土交通大臣又は都道府県知事の許可を受けなければならない。
- 2以上の都道府県に営業所を設けて営業する場合は国土交通大臣の許可、1つの都道府県内にのみ営業所を設けて営業する場合は当該都道府県知事の許可を受ける。
- 建設業の許可を受けた建設業者は、請け負った建設工事を施工するときは当該工事現場に主任技術者を置かなければならず、発注者から直接請け負い、下請代金の総額が一定額以上となる場合には、主任技術者に代えて監理技術者を置かなければならない。
- 主任技術者・監理技術者は、いかなる工事においても工事現場ごとに専任で配置しなければならず、他の工事現場との兼務は一切認められていない。
解答・解説
正答:4
- 1〜3は正しい記述です。建設業許可の種類(大臣許可・知事許可)、軽微な建設工事の例外、主任技術者・監理技術者の設置区分は、建設業法の基本的な枠組みです。
- 4は誤りです。専任での配置が求められるのは公共性のある一定規模以上の重要な工事に限られ、それ以外の工事や、一定の要件(近接した複数現場の兼任制度等)を満たす場合には専任配置の例外・兼務が認められる場合があります。「いかなる工事においても」「一切認められていない」という言い切りは誤りです。
主任技術者・監理技術者の専任配置は、担い手不足への対応から近年見直しが進められている分野でもあり、「原則専任だが、一定の例外がある」という構造で理解しておくことが重要です。
問17 建設業法の改正(令和6年改正・令和7年12月全面施行)
次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 令和6年に改正された建設業法に基づき、中央建設業審議会が「労務費に関する基準」(標準労務費)を作成・勧告する仕組みが設けられ、令和7年12月の勧告を経て、同月中に改正建設業法が全面施行された。
- 標準労務費を著しく下回る労務費による見積り・契約締結の禁止は、公共工事に限って適用され、民間工事や下請契約には適用されない。
- この改正では、原価割れ契約の禁止は注文者(発注者)側にのみ課され、受注者側の見積り・契約締結行為は規制の対象外とされている。
- この改正にあわせて、特定建設業許可が必要となる下請代金額の基準は据え置かれ、令和7年2月以降も従来の金額のまま変更されていない。
解答・解説
正答:1
- 1は正しい記述です。令和6年改正の建設業法に基づき、中央建設業審議会が標準労務費を作成・勧告する仕組みが設けられ、令和7年12月の勧告を経て同月中に全面施行されました。
- 2は誤りです。標準労務費を著しく下回る労務費による見積り・契約締結の禁止は、公共工事・民間工事の別を問わず、下請契約を含むすべての建設工事の請負契約に適用されます。
- 3は誤りです。この改正では、原価割れ契約の禁止について注文者側だけでなく受注者側にも新たに導入されており、受注者側の行為も規制の対象に含まれます。
- 4は誤りです。特定建設業許可が必要となる下請代金額の基準は、令和7年2月1日から引き上げられており、従来の金額のまま据え置かれてはいません。
建設業法の令和6年改正は、労務費の適正化・取引の適正化・工期ダンピング対策という複数の柱で構成されており、「誰に、どの行為が禁止されたか」という主体と行為の対応関係を正確に押さえておくことが重要です。
問18 都市計画法の開発許可制度
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 都市計画法に基づく開発許可制度は、市街化区域内で一定規模以上の開発行為を行う場合等に、都道府県知事等の許可を要する仕組みである。
- 市街化調整区域内における開発行為は、市街化を抑制すべき区域という趣旨から、市街化区域内よりも許可の要件が厳格に定められている。
- 開発許可を受けた開発区域内において建築物を建築しようとする場合、開発行為に関する工事完了の公告前は、原則として建築物の建築が制限される。
- 開発許可制度における「開発行為」とは建築物の建築のみを指し、特定工作物(コンクリートプラント等)の建設を目的とする土地の区画形質の変更は含まれない。
解答・解説
正答:4
- 1〜3は正しい記述です。開発許可制度は市街化区域内の一定規模以上の開発行為等を対象とし、市街化調整区域内ではより厳格な要件が定められ、工事完了公告前は建築が制限されます。
- 4は誤りです。開発許可制度上の「開発行為」には、建築物の建築を目的とする土地の区画形質の変更だけでなく、特定工作物の建設を目的とする土地の区画形質の変更も含まれます。「建築物の建築のみを指し、特定工作物の建設を目的とする変更は含まれない」という説明は誤りです。
「開発行為」の定義に特定工作物が含まれるという点は、建築物中心に考えがちな受験生が見落としやすいポイントです。
問19 消防法の防火管理者・消防用設備等の点検報告
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 一定規模以上の防火対象物の管理について権原を有する者は、防火管理者を定め、消防計画の作成、消火・避難訓練の実施等の防火管理上必要な業務を行わせなければならない。
- 消防用設備等の技術上の基準が改正された場合、既存の防火対象物については原則として改正後の基準に遡って適合させる義務はない(既存不遡及)が、一部の設備については遡及適用される。
- 一定の防火対象物の関係者は、消防用設備等について定期に点検を行い、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。
- 防火対象物点検資格者による点検報告の制度は、すべての防火対象物に例外なく義務づけられており、防火管理体制が優良な防火対象物であっても点検報告の頻度が軽減されることはない。
解答・解説
正答:4
- 1〜3は正しい記述です。防火管理者による消防計画の作成・訓練の実施、消防用設備等の既存不遡及の原則とその例外(スプリンクラー設備・自動火災報知設備等の一部設備)、消防用設備等の定期点検・報告義務は、消防法の基本的な仕組みです。
- 4は誤りです。防火対象物点検資格者による点検・報告の対象は一定規模・用途の防火対象物に限られ、さらに防火管理体制が優良であると認定された防火対象物には、点検報告の頻度が軽減される特例(優良防火対象物認定表示制度)が設けられています。「例外なく義務づけられており、頻度が軽減されることはない」という説明は誤りです。
既存不遡及の原則と、その例外として遡及適用される設備の区別、そして優良な防火対象物への点検報告の軽減特例は、いずれも「原則と例外」を意識して整理しておきたい論点です。
問20 住宅瑕疵担保履行法(特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律)
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 新築住宅を引き渡す建設業者・宅地建物取引業者は、品確法上の瑕疵担保責任の履行を確保するため、保証金の供託又は住宅瑕疵担保責任保険への加入のいずれかの資力確保措置を講じなければならない。
- この資力確保措置は、新築住宅の構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分の瑕疵に関する担保責任の履行に備えるものである。
- 資力確保措置の状況は、基準日(年2回)ごとに、免許行政庁又は許可行政庁に届け出なければならない。
- 資力確保措置を講じていない建設業者・宅地建物取引業者であっても、新築住宅の請負契約・売買契約の締結自体は制限されず、契約後に任意のタイミングで資力確保措置を講じればよい。
解答・解説
正答:4
- 1〜3は正しい記述です。住宅瑕疵担保履行法は、品確法上の10年間の瑕疵担保責任の履行を実効性のあるものにするため、保証金の供託又は保険加入という資力確保措置を建設業者・宅地建物取引業者に義務づけ、基準日ごとの届出を求めています。
- 4は誤りです。基準日において資力確保措置が講じられていない建設業者・宅地建物取引業者は、新たな新築住宅の請負契約又は売買契約を締結することができないという制限が設けられており、「契約の締結自体は制限されず、契約後に任意のタイミングで講じればよい」という説明は誤りです。
住宅瑕疵担保履行法は品確法とセットで理解する必要がある法律であり、「10年間の担保責任を定める品確法」と「その履行を金銭的に裏付ける住宅瑕疵担保履行法」という役割分担を押さえておくと、関係法令全体の見通しがよくなります。
直前チェックリスト
- 建築士の欠格事由(罰金刑・心身の故障等)と、建築士名簿の登録事項変更の届出義務を説明できるか
- 令和7年4月施行の建築士法改正による二級建築士の業務範囲の見直し(木造建築物「階数3以下・高さ16m以下」)と、木造建築士の業務範囲の限定を説明できるか
- 設計受託契約・工事監理受託契約の重要事項説明(管理建築士等による書面交付)の内容を説明できるか
- 建築士事務所の登録(都道府県知事・有効期間5年)と、専任の管理建築士の要件を説明できるか
- 建築士事務所の図書の保存・帳簿の備付け・標識の掲示義務が法令上の義務であることを説明できるか
- 建築士の懲戒処分(戒告・業務停止・免許取消し)の主体(一級=大臣、二級・木造=知事)を説明できるか
- 特定建築物・特別特定建築物の基準適合義務と、増改築・用途変更にも適用される点を説明できるか
- 令和7年6月施行のバリアフリー基準改正(便所・駐車場の見直し、劇場等客席の基準創設)の内容を説明できるか
- 移動等円滑化経路の基準(出入口・廊下・傾斜路・エレベーターに加え案内設備等も対象)を説明できるか
- 特定既存耐震不適格建築物の耐震診断義務・報告義務と、除却までは義務づけられていないことを説明できるか
- 耐震改修促進計画(都道府県は策定義務、市町村は努力義務)と耐震改修計画の認定による特例を説明できるか
- 住宅性能表示制度(設計・建設の2種類の評価、評価書と契約内容の関係)を説明できるか
- 指定住宅紛争処理機関の紛争処理対象が瑕疵に限られない点を説明できるか
- 長期優良住宅の認定基準と、令和4年改正による既存住宅の認定制度創設・面積基準合理化(55㎡→40㎡)を説明できるか
- 建設業許可の区分(大臣許可・知事許可)と、主任技術者・監理技術者の専任配置の原則・例外を説明できるか
- 令和6年建設業法改正(令和7年12月全面施行)の標準労務費・原価割れ契約禁止・特定建設業許可の下請代金基準引上げを説明できるか
- 都市計画法の開発許可制度における「開発行為」の定義(特定工作物の建設目的も含む)を説明できるか
- 消防法の既存不遡及の原則とその例外、防火対象物点検報告制度・優良認定による軽減特例を説明できるか
- 住宅瑕疵担保履行法の資力確保措置(保証金供託・保険加入)と、未措置の場合の契約締結制限を説明できるか
まとめ
関係法令は、建築基準法のように一つの法律を深く掘り下げる分野とは異なり、複数の法律の目的・所管・仕組みの違いを横断的に整理できているかが得点を左右する分野だと筆者は考えています。今回の20問では、建築士自身の資格・業務・契約に関わる建築士法を中心に、バリアフリー法・耐震改修促進法・品確法・長期優良住宅法・建設業法・都市計画法・消防法という関係法令を幅広く取り上げましたが、いずれの法律も「誰に」「何を」義務づけているのかという骨格を意識すれば、初見の選択肢にも対応しやすくなります。特に令和7年4月の建築士法改正や、令和6年改正・令和7年12月全面施行の建設業法のように、施行から日が浅い制度は要注意です。この第5集をもって法規科目の予想問題は第1〜4集とあわせて約100問の体制となりました。直前期は、間違えた論点を暗記するのではなく、必ず自分の法令集・関係法令の条文に立ち返り、法律ごとの目的の違いを自分の言葉で説明できる状態に仕上げておくことをおすすめします。
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