【令和8年度】一級建築士 学科「法規」予想問題 第2集|一般構造・防火・避難の単体規定20問
第1集の直前予想問題15問では、用語の定義や面積・高さの算定、確認申請の手続き、防火区画や避難施設の全体像、集団規定、関連法規まで、法規科目全体を幅広くカバーしました。この第2集では範囲をあえて絞り込み、建築基準法の「単体規定」の中でも一般構造・防火・避難に関する分野に的を絞って、20問を新たに用意しました。単体規定は個々の建築物が最低限満たすべき性能を定めた分野であり、集団規定や手続き規定に比べて条文数が多く、学科試験でも安定して出題数が多い領域です。
単体規定は「採光は1/7」「天井高さは2.1m」といった数値の暗記に意識が向きがちですが、実際に得点を分けるのは、その数値が「どの居室・どの構造に、どんな緩和・適用除外とセットで定められているか」を正確に押さえているかどうかだと筆者は考えています。この記事では、原則となる基準だけでなく、緩和規定や適用除外にもあえて焦点を当てた問題を多く用意しました。
本問題集は筆者(当サイト)が独自に作成した予想問題であり、実際の試験問題の的中や出題を保証するものではありません。受験にあたっては最新の法令・公式発表を必ずご確認ください。単体規定は改正や運用の変更が生じやすい分野でもあるため、本記事の内容も参考情報の一つとして、ご自身の法令集・国土交通省の公表資料と照らし合わせながら学習を進めてください。
使い方は第1集と同じです。まず次の章で出題傾向と本記事の対応関係を確認し、自分が手薄だと感じる分野から解いてください。各問題は四肢択一形式で、解答のあとに正誤の理由と、なぜその論点を令和8年度の予想論点として選んだかという根拠をまとめています。間違えた問題や理解があいまいだった論点は、解説内でリンクしている当サイトの単元記事に戻って、条文の位置関係を確認しながら復習することをおすすめします。
出題傾向と予想の考え方
単体規定は範囲が広い分、試験でも「原則を知っているか」より「緩和・適用除外のパターンを知っているか」を問う設問が増える傾向にあると筆者は考えています。この記事の20問は、次の5つの分野に整理して構成しました。
| 分野 | 頻出度 | 対応する問題番号 |
|---|---|---|
| 一般構造(採光・換気・天井高・床高・階段・廊下・便所・無窓居室) | ◎ | 問1〜問6 |
| 構造強度関係の基本(木造の基礎・土台・筋かい等の仕様規定) | ○ | 問7・問8 |
| 耐火・防火区画・防火設備(面積区画・竪穴区画・異種用途区画・防火壁) | ◎ | 問9〜問13 |
| 内装制限(火気使用室・緩和規定) | ○ | 問14・問15 |
| 避難規定(避難階段の構造・排煙・非常用照明・敷地内通路・特別避難階段) | ◎ | 問16〜問20 |
一般構造・避難規定は例年出題数が多い分野であり、この記事でも重点的に問題数を割いています。一方で、構造強度・内装制限は単体規定の中では出題数がやや少なめですが、「原則と緩和のセット」という単体規定全体に共通する考え方を確認するうえで重要な分野だと筆者は考え、あえて外さずに組み込みました。
予想問題20問
問1 居室の天井の高さ
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 居室の天井の高さは、床面から測って2.1m以上としなければならない。
- 一室の中で天井の高さが異なる部分がある場合、その室の天井の高さは、それぞれの部分の高さのうち最も低い箇所の高さによって判定しなければならない。
- 天井の高さに関する規定は、居住・執務・作業・集会・娯楽その他これらに類する目的で継続的に使用される「居室」を対象としており、物置など居室に該当しない室や廊下には適用されない。
- 天井の高さの規定は、建築物の用途や構造の種類にかかわらず、居室である限り共通して適用される一般構造の基準である。
解答・解説
正答:2
- 1は正しい記述です。居室の天井の高さは2.1m以上という基準は、一般構造の中でも最も基本的な数値の一つです。
- 2は誤りです。一室の中で天井の高さが異なる部分がある場合は、最も低い箇所ではなく、平均の高さによって判定します。「最も低い箇所」で判定するという説明は誤りです。
- 3は正しい記述です。天井の高さの規定は「居室」を対象としており、物置・廊下など居室に該当しない部分には適用されません。
- 4は正しい記述です。天井の高さの基準は、居室である限り用途・構造を問わず共通して適用される一般構造の基準です。
天井高さは数値そのものよりも「平均の高さ」という算定方法が繰り返し狙われる論点です。
問2 居室の床の高さ及び防湿方法
次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 最下階の居室の床が木造である場合、その直下の地面からの床の高さは、原則として45cm以上としなければならない。
- 外壁の床下部分に設ける換気孔は、壁の長さにかかわらず、建築物1棟につき1か所設ければ足りるとされている。
- 床下をコンクリート・たたき等の防湿性の高い仕上げで覆った場合であっても、床の高さ・換気孔に関する規定は例外なく適用される。
- 床下換気孔にねずみの侵入を防ぐための設備を設けることは、この規定の対象外である。
解答・解説
正答:1
- 1は正しい記述です。最下階の居室の床が木造である場合の床の高さは、直下の地面から45cm以上とすることが原則です。
- 2は誤りです。外壁の床下部分の換気孔は、壁の長さ5m以下ごとに、面積300cm²以上設けることが求められており、1棟に1か所で足りるものではありません。
- 3は誤りです。床下をコンクリート・たたき等で覆う場合には、この床の高さ・換気孔の規定が適用除外となる仕組みがあります。現在の木造住宅の多くはべた基礎であるため、この適用除外に該当するケースが多くなっています。
- 4は誤りです。床下換気孔には、ねずみの侵入を防ぐための設備(金網等)を設けることが求められています。
現代の主流である基礎パッキン工法による床下換気も、この規定の趣旨を踏まえた実務上の工夫の一つとして押さえておくとよいでしょう。
問3 階段各部の寸法・踊り場
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 階段及びその踊場の幅、踏面・蹴上げの寸法は、住宅・共同住宅の共用階段、学校の児童用・劇場等の客用階段など、用途・規模に応じて複数の基準に区分されている。
- 学校の児童用・劇場等の客用階段など、特定の用途に該当する階段で高さ3mを超えるものは、高さ3m以内ごとに踊り場を設けなければならない。
- 2以外の一般的な階段で高さ4mを超えるものは、高さ4m以内ごとに踊り場を設けなければならない。
- 直階段に設ける踊り場の踏幅については、寸法の基準は特に定められておらず、設計者の判断に委ねられている。
解答・解説
正答:4
- 1〜3は正しい記述です。階段各部の寸法は用途・規模ごとに区分されており、高さによる踊り場の設置基準も、対象となる階段の種類によって3mまたは4mという違いがあります。
- 4は誤りです。直階段に設ける踊り場の踏幅は、120cm以上とすることが基準として定められており、「基準は特に定められていない」という説明は誤りです。
階段の分野は、寸法そのものよりも「どの用途の階段に、どの基準が当てはまるか」という対応関係が問われやすい単元です。
問4 廊下の幅員
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 病院における患者用の廊下、共同住宅で住戸の床面積の合計が100㎡を超える階の共用廊下、居室の床面積の合計が200㎡(地階にあっては100㎡)を超える階の廊下等については、廊下の幅に関する規定が適用される。
- 両側に居室がある廊下は、片側にのみ居室がある廊下よりも、必要とされる幅の基準値が大きい。
- 両側に居室がある廊下の幅の基準値は1.6m以上、その他の廊下(片側居室等)の幅の基準値は1.2m以上である。
- 廊下の幅に関する規定は、延べ面積や用途にかかわらず、すべての建築物の廊下に一律に同じ基準値で適用される。
解答・解説
正答:4
- 1〜3は正しい記述です。廊下の幅に関する規定は、病院の患者用廊下や、一定規模を超える共同住宅・その他の建築物の廊下を対象としており、両側居室の廊下は1.6m以上、その他は1.2m以上という基準値が設けられています。
- 4は誤りです。廊下の幅の規定は、対象となる用途・規模の組み合わせに該当する場合にのみ適用されるものであり、すべての建築物の廊下に一律に同じ基準値が適用されるわけではありません。
廊下幅は「両側居室のほうが片側居室より厳しい」という方向性と、適用対象となる用途・規模の組み合わせをセットで覚えておくと得点しやすい論点です。
問5 便所(水洗化・処理区域内の扱い)
次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 下水道法に規定する処理区域内においては、汲み取り便所など水洗便所以外の便所とすることは原則として認められない。
- 便所の構造・水洗化に関する規定は建築基準法には一切定められておらず、下水道法のみに基づくものである。
- 処理区域内で汲み取り便所を設置している既存建築物は、下水道法上、いつまでも水洗化しなくてよいとされている。
- 公共下水道の処理区域外であれば、汚水を公共下水道以外に排出する場合でも、浄化槽等の処理設備を設ける必要は一切ない。
解答・解説
正答:1
- 1は正しい記述です。下水道法に規定する処理区域内では、水洗便所(下水道に連結されたもの)以外の便所とすることは原則として認められません。
- 2は誤りです。便所の水洗化に関する規定は、建築基準法にも定められており(下水道法とあわせて根拠となります)、下水道法のみに基づくものではありません。
- 3は誤りです。処理区域内で汲み取り便所を使用している既存建築物についても、下水道法上、処理開始の公示から一定期間内に水洗化する義務が課されています。
- 4は誤りです。処理区域外で公共下水道以外に汚水を排出する場合には、一定の技術基準に適合する浄化槽等を設ける必要があります。
便所の規定は建築基準法と下水道法にまたがる分野であり、「どちらの法令の話をしているか」を意識して整理しておくことが実務・試験の両面で役立ちます。
問6 無窓居室(採光関係・排煙関係)
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 採光に有効な部分の面積の合計が、当該居室の床面積の20分の1未満である居室は、採光関係の無窓居室として扱われる。
- 排煙上有効な開口部の面積の合計が、当該居室の床面積の50分の1未満である居室は、排煙関係の無窓居室として扱われ、原則として排煙設備の設置が必要となる。
- ある居室が採光関係の無窓居室に該当するかどうかと、排煙関係の無窓居室に該当するかどうかは、同一の開口部の面積・位置であれば、常に同じ判定結果になる。
- 無窓居室に該当するかどうかの判定は、居室の用途や規模とは関係なく、開口部の面積という客観的な基準に基づいて行われる。
解答・解説
正答:3
- 1・2は正しい記述です。採光関係の無窓居室は床面積の1/20未満、排煙関係の無窓居室は床面積の1/50未満という、それぞれ別の基準で判定されます。
- 3は誤りです。採光に有効な開口部と、排煙上有効な開口部とでは、評価の対象となる開口部の要件(位置・高さ・開放できるかどうかなど)が異なるため、同一の開口部でも採光関係と排煙関係の判定結果が一致するとは限りません。「常に同じ判定結果になる」という説明は誤りです。
- 4は正しい記述です。無窓居室の判定基準(1/20・1/50)自体は、居室の用途・規模にかかわらず一律に適用される客観的な面積比較の基準です。
無窓居室は「採光」と「排煙」という2種類が代表的で、それぞれ独立して判定される点が、この分野の定番の引っかけポイントです。
問7 木造建築物の基礎
次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 木造建築物の基礎は、建築物に作用する荷重・外力を安全に地盤に伝える構造とすることが求められ、布基礎・べた基礎など複数の構造形式が用いられる。
- 木造建築物の基礎に関する規定は建築基準法施行令には設けられておらず、各特定行政庁の任意の指導によってのみ定められている。
- 木造建築物の基礎の構造形式は、建築物の規模・構造にかかわらず、常に一つの形式のみが認められている。
- 基礎は上部構造からの荷重を地盤に伝達できればよく、不同沈下(建築物が不均等に沈下すること)を防止する観点からの検討は求められていない。
解答・解説
正答:1
- 1は正しい記述です。木造建築物の基礎は、荷重・外力を安全に地盤に伝えることを目的とし、布基礎・べた基礎などの構造形式が用いられます。
- 2は誤りです。木造建築物の基礎に関する規定は、建築基準法施行令に明文で定められており、特定行政庁の任意の指導のみによるものではありません。
- 3は誤りです。基礎の構造形式は建築物の規模・地盤の状況等に応じて複数の形式から選択されるものであり、常に一つの形式のみが認められているわけではありません。
- 4は誤りです。基礎の設計では、荷重の伝達だけでなく、不同沈下を防止する観点からの検討も重要とされています。
構造規定は数値の暗記よりも、「何を防ぐための基準か」という目的から理解しておくと選択肢の正誤判断がしやすくなります。
問8 木造の防腐・防蟻措置
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 木造建築物の柱・筋かい・土台のうち、地面から1m以内の部分には、有効な防腐措置を講じ、必要に応じて防蟻のための措置を講じなければならない。
- 鉄網モルタル塗りなど、軸組が腐りやすい構造となる木造の外壁部分の下地には、防水紙その他これに類するものを使用しなければならない。
- 防腐・防蟻措置は、地面に近い土台のみを対象としており、柱や筋かいには適用されない。
- 防腐・防蟻措置に関する規定は、木造建築物の耐久性を確保し、構造耐力上主要な部分の劣化を防ぐという目的を持っている。
解答・解説
正答:3
- 1・2・4は正しい記述です。地面から1m以内の柱・筋かい・土台には防腐・防蟻措置が求められ、腐りやすい外壁下地には防水紙等の使用が求められます。これらはいずれも木造建築物の耐久性確保を目的としています。
- 3は誤りです。防腐・防蟻措置の対象は土台のみではなく、柱・筋かい・土台のいずれも、地面から1m以内の部分が対象となります。「土台のみを対象とし、柱や筋かいには適用されない」という説明は誤りです。
木造の耐久性に関する仕様規定は、白蟻被害や木部の腐朽といった実務上のトラブルとも直結するため、試験対策としても実務としても押さえておきたい分野です。
問9 面積区画の緩和(スプリンクラー設備等)
次の記述のうち、正しいものはどれか。
- スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類する自動式の消火設備を設けた部分については、その部分の床面積の2分の1に相当する面積を、面積区画の対象となる床面積の算定から除くことができる。
- スプリンクラー設備を設置すれば、面積区画の基準となる床面積の上限は、設置の有無にかかわらず常に2倍になる。
- スプリンクラー設備による面積区画の緩和は、建築物全体にスプリンクラーを設置しない限り、一切適用されない。
- 面積区画の緩和措置は、竪穴区画や異種用途区画にも全く同一の内容で共通して適用される。
解答・解説
正答:1
- 1は正しい記述です。スプリンクラー設備等の自動式消火設備を設けた部分は、その部分の床面積の2分の1を区画対象の床面積算定から除くことができるという緩和が設けられています。
- 2は誤りです。この緩和は「設置部分の床面積の1/2を除く」というものであり、区画の基準面積そのものが単純に2倍になるわけではありません。
- 3は誤りです。この緩和は、建築物全体にスプリンクラーを設置しなくても、設置した部分について適用されるものです。
- 4は誤りです。竪穴区画・異種用途区画にはそれぞれ別の緩和・適用除外の考え方が設けられており、面積区画の緩和と全く同一の内容が共通して適用されるわけではありません。
「スプリンクラー設置=面積が単純に倍になる」という誤解は非常に多いため、この記事で正確な理解を確認しておいてください。
問10 竪穴区画の適用除外
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 竪穴区画は、主に地階または3階以上の階に居室を有する建築物の吹抜き部分、階段、昇降路など、上下階を貫通する部分を対象とする規定である。
- 避難階からその直上階または直下階のみに通ずる吹抜き・階段等の部分で、内装の仕上げ・下地を不燃材料とするなど一定の措置が講じられたものは、竪穴区画の適用が除外される場合がある。
- 階数が3以下で延べ面積が200㎡以内の一戸建て住宅や、これに準ずる規模の長屋・共同住宅の住戸についても、竪穴区画の適用が除外される場合がある。
- 避難階の直下階から直上階まで、3つの階にわたって連続する吹抜き・階段についても、直上階・直下階のみを対象とする適用除外の規定がそのまま適用される。
解答・解説
正答:4
- 1〜3は正しい記述です。竪穴区画は地階・3階以上の階に居室がある建築物の吹抜き・階段等を対象とし、避難階の直上階・直下階のみに通ずる部分や、小規模な住宅等については適用除外の規定が設けられています。
- 4は誤りです。適用除外の対象となるのは、避難階と直上階、または避難階と直下階という、それぞれ2層にわたる部分であり、避難階の直下階から直上階まで3層にわたって連続する部分は対象に含まれません。「そのまま適用される」という説明は誤りです。
竪穴区画の適用除外は「何層にわたる部分が対象か」という範囲の限定が問われやすいポイントです。
問11 防火設備と特定防火設備
次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 特定防火設備は、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後1時間、加熱面以外の面に火炎を出さない性能を持つものとされている。
- 防火設備は、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後1時間の遮炎性能を持つものとされ、特定防火設備と同水準の性能が求められる。
- 特定防火設備は主に耐火建築物の外壁の延焼のおそれのある部分の開口部に用いられ、防火設備は主に防火区画(面積区画・竪穴区画等)の主要な開口部に用いられる、という使い分けがなされている。
- 防火設備・特定防火設備は、いずれも遮炎性能を要求される点は共通するが、ドレンチャーのような散水による防護方式は、いずれの区分にも含まれていない。
解答・解説
正答:1
- 1は正しい記述です。特定防火設備には、加熱開始後1時間の遮炎性能が求められます。
- 2は誤りです。防火設備に求められる遮炎性能は、加熱開始後20分であり、特定防火設備の1時間とは水準が異なります。
- 3は誤りです。使い分けの傾向はむしろ逆で、特定防火設備は主に防火区画の主要な開口部に、防火設備は主に耐火建築物・準耐火建築物の外壁の延焼のおそれのある部分の開口部に用いられる傾向があります。
- 4は誤りです。防火戸・ドレンチャーその他開口部に設ける火炎を遮るための設備が防火設備として位置づけられており、ドレンチャー(散水により延焼を防ぐ設備)も防火設備の一種として扱われます。
防火設備と特定防火設備は「時間の長さ」と「使われる場所の傾向」の両方を混同しやすいため、セットで整理しておくことをおすすめします。
問12 異種用途区画
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 異種用途区画の対象となる代表的な組み合わせの例として、火気を多用する飲食店部分と共同住宅の住戸部分が同一建築物内に存在する場合が挙げられる。
- 異種用途区画は、区画すべき用途の組み合わせである限り、区画に用いる壁・床の構造や開口部の防火設備の仕様は、面積区画や竪穴区画とは全く独立した基準で定められており、共通する考え方は存在しない。
- 異種用途区画は、用途規制(集団規定)の話ではなく、防火上の観点から設けられる単体規定の一部である。
- 不特定多数の者が利用する用途と、他の用途が複合する建築物では、異種用途区画の要否を検討する必要性が高い。
解答・解説
正答:2
- 1・3・4は正しい記述です。異種用途区画は、飲食店と共同住宅のように防火上の危険性の程度が異なる用途が複合する建築物を対象とする、防火上の観点からの単体規定です。
- 2は誤りです。異種用途区画で用いられる壁・床の構造(準耐火構造等)や開口部の防火設備といった要素は、面積区画・竪穴区画など他の防火区画とも共通する考え方に基づいています。「全く独立した基準で、共通する考え方は存在しない」という説明は誤りです。
防火区画は種類ごとに目的は異なりますが、区画を構成する「壁・床+開口部の防火設備」という骨格自体は共通しているという点を押さえておくと、区画の種類を横断した設問にも対応しやすくなります。
問13 防火壁・防火床
次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 延べ面積が1000㎡を超える建築物は、原則として防火上有効な構造の防火壁または防火床によって有効に区画し、各区画の床面積の合計をそれぞれ1000㎡以内としなければならない。
- 耐火建築物・準耐火建築物であっても、延べ面積が1000㎡を超える場合には、防火壁等による区画が例外なく必要である。
- 防火床による区画を選択した場合、防火壁による区画とは異なり、区画後の各部分の床面積の上限は1000㎡ではなく2000㎡まで認められる。
- 卸売市場の上家等、火災発生のおそれが少ない用途で一定の要件を満たす建築物であっても、防火壁等による区画の規定は例外なく適用される。
解答・解説
正答:1
- 1は正しい記述です。延べ面積1000㎡超の建築物は、防火壁または防火床によって各区画1000㎡以内となるよう区画することが原則です。
- 2は誤りです。耐火建築物・準耐火建築物は、この防火壁等による区画の規定の適用が除外されます。
- 3は誤りです。防火床による区画を選択した場合でも、各区画の床面積の上限は防火壁による区画と同じく1000㎡以内です。
- 4は誤りです。卸売市場の上家や、火災発生のおそれが少ないと認められる用途で主要構造部を不燃材料とする等一定の要件を満たす建築物については、この規定の適用が除外される場合があります。
防火壁・防火床は、大規模な木造建築物などで特に重要になる規定であり、耐火建築物・準耐火建築物との適用除外の関係を正確に理解しておくことが得点につながります。
問14 内装制限(住宅の調理室)
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 住宅の調理室など火を使用する設備を有する部分は、原則としてその階の内装(壁・天井の仕上げ)について一定の制限を受ける。
- 二階建ての住宅で、一階に調理室を設けた場合、その調理室は内装制限の対象となる。
- 住宅の調理室であっても、その部屋が最上階に存する場合には、内装制限の対象外となる取り扱いがある。
- 住宅の調理室に設けられる内装制限は、スプリンクラー設備や排煙設備を設置しても、一切緩和されることはない。
解答・解説
正答:4
- 1〜3は正しい記述です。住宅の調理室等の火気使用室は、原則として内装制限の対象となりますが、その部屋が最上階に存する場合には対象外となる取り扱いがあります。二階建て住宅で一階に調理室を設けた場合は、最上階ではないため対象となります。
- 4は誤りです。住宅の調理室の内装制限には、スプリンクラー設備及び排煙設備を設けた部分について、内装制限の適用が除外されるという緩和規定があります。「一切緩和されることはない」という説明は誤りです。
「最上階かどうか」という位置の条件と、「スプリンクラー・排煙設備の設置」という設備面の条件の両方が、この単元の緩和のポイントです。
問15 内装制限の緩和(大規模空間)
次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 天井の高さが高い大規模な室で、自動式の消火設備・排煙設備等を設けたものについては、告示に基づき内装制限の一部が緩和される仕組みが設けられている。
- 内装制限の緩和措置は、住宅の火気使用室にのみ認められており、事務所・店舗等の大規模な室には一切認められていない。
- 内装制限は、いったん適用対象となった建築物については、どのような措置を講じても緩和されることはない。
- 内装制限の緩和の考え方は、防火区画の緩和(スプリンクラー設置による面積区画の緩和など)とは全く異なる発想に基づいており、共通点は存在しない。
解答・解説
正答:1
- 1は正しい記述です。天井の高さが高い大規模な室について、自動式の消火設備・排煙設備等を設けた場合に、告示に基づき内装制限の一部が緩和される仕組みが設けられています。
- 2は誤りです。内装制限の緩和は住宅の火気使用室に限られず、事務所・店舗等の大規模な室にも認められる場合があります。
- 3は誤りです。問14で見たとおり、住宅の調理室にもスプリンクラー・排煙設備の設置による緩和があるように、内装制限には複数の緩和規定が設けられています。
- 4は誤りです。内装制限の緩和も防火区画の緩和も、自動式消火設備等の設置によって安全性が向上することを評価し、基準を緩和するという共通の発想に基づいています。
内装制限・防火区画のいずれの緩和も「設備の設置による安全性の担保」という共通の理屈で説明できる、という視点を持っておくと、初見の緩和規定にも対応しやすくなります。
問16 屋内避難階段の構造
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 屋内避難階段の階段室は、出入口や窓等の開口部を除き、耐火構造の壁で区画しなければならない。
- 屋内避難階段の階段室の壁・天井の室内に面する部分は、仕上げを不燃材料とし、その下地も不燃材料で造らなければならない。
- 屋内避難階段の階段室には、窓その他の採光上有効な開口部、または予備電源を有する照明設備のいずれかを設けなければならない。
- 屋内避難階段に通ずる出入口の戸のうち、直接手で開くことができ自動的に閉鎖するものは、避難の方向とは逆に開く構造としなければならない。
解答・解説
正答:4
- 1〜3は正しい記述です。屋内避難階段の階段室は耐火構造の壁で区画し、壁・天井の仕上げ・下地を不燃材料とし、採光上有効な開口部または予備電源付き照明設備を設けることが求められます。
- 4は誤りです。出入口の戸のうち、直接手で開くことができ自動的に閉鎖するものは、避難の方向に開くことができる構造としなければならず、「避難の方向とは逆に開く」という説明は誤りです。
避難経路上の扉は「避難する人の流れをせき止めない方向に開く」という考え方が基本であり、屋内避難階段の出入口もこの考え方に沿って規定されています。
問17 排煙設備の設置緩和
次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 高さ31m以下の建築物において、防煙壁で区画された居室で床面積が100㎡以内のものについては、告示に定める要件を満たせば、排煙設備の設置が免除される場合がある。
- 排煙設備の設置緩和は、居室の床面積にかかわらず、防煙壁による区画さえあれば常に認められる。
- 防煙壁とは間仕切壁のみを指し、天井から一定寸法以上垂れ下がった不燃材料のたれ壁は防煙壁として扱われない。
- 排煙設備の設置緩和に関する規定は、建築物の高さにかかわらず、超高層建築物を含めすべての建築物に一律に適用される。
解答・解説
正答:1
- 1は正しい記述です。高さ31m以下の建築物で、防煙壁により区画された床面積100㎡以内の居室について、告示に定める要件を満たせば排煙設備の設置が免除される仕組みがあります。
- 2は誤りです。この緩和には床面積100㎡以内という上限があり、面積にかかわらず常に認められるものではありません。
- 3は誤りです。防煙壁には間仕切壁だけでなく、天井から一定寸法以上垂れ下がった不燃材料のたれ壁も含まれます。
- 4は誤りです。この緩和規定は高さ31m以下という条件があり、超高層建築物を含むすべての建築物に一律に適用されるものではありません。
排煙設備の緩和は「高さ」「床面積」「区画の方法」という複数の条件がそろって初めて成立する点に注意が必要です。
問18 非常用照明の設置免除
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 一戸建ての住宅や、長屋・共同住宅の住戸の内部については、非常用の照明装置の設置が免除されている。
- 病院の病室、寄宿舎の寝室その他これらに類する居室についても、非常用の照明装置の設置が免除される場合がある。
- 避難階またはその直上階・直下階にある居室で、避難上支障がないと認められるものについても、非常用の照明装置の設置が免除される場合がある。
- 共同住宅の住戸内部の設置が免除されていることから、その住戸に至るまでの共用廊下・共用階段についても、非常用の照明装置の設置が同様に免除される。
解答・解説
正答:4
- 1〜3は正しい記述です。一戸建て住宅・共同住宅の住戸内部、病院の病室・寄宿舎の寝室等、避難階及びその直上階・直下階で避難上支障がない居室は、いずれも非常用照明の設置が免除される場合があります。
- 4は誤りです。住戸内部の設置が免除されているのは、在館者が自宅内の避難経路を把握していることなどが理由であり、共同住宅の共用廊下・共用階段は、原則として非常用照明の設置対象です。「住戸が免除だから共用部も免除される」という説明は誤りです。
「住戸内は免除、共用部は原則対象」という区別は、共同住宅を扱う設問で繰り返し問われる定番の引っかけです。
問19 敷地内通路
次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 屋外への出口や屋外避難階段から、道又は公園・広場等の空地に通ずる敷地内の通路は、原則として幅員1.5m以上を確保しなければならない。
- 敷地内通路の幅員は、建築物の規模にかかわらず、常に3m以上を確保しなければならない。
- 階数が3以下で延べ面積が200㎡未満の建築物について、敷地内通路の幅員を90cm以上とすることが認められる緩和は、いかなる場合も存在しない。
- 敷地内通路に関する規定は、建築物の規模・階数にかかわらず、一律にすべての建築物に同一の幅員基準が適用される。
解答・解説
正答:1
- 1は正しい記述です。屋外への出口・屋外避難階段から道又は空地に通ずる敷地内通路は、原則として幅員1.5m以上を確保することが求められます。
- 2は誤りです。原則の幅員は1.5m以上であり、常に3m以上が求められるわけではありません。
- 3は誤りです。階数3以下・延べ面積200㎡未満の建築物については、幅員90cm以上とすることが認められる緩和が設けられています。
- 4は誤りです。敷地内通路の規定は、対象となる建築物の要件に該当する場合に適用されるものであり、規模・階数にかかわらず一律に同一の基準が適用されるわけではありません。
敷地内通路は、避難階段・出口から屋外に出たあとの「最後の避難経路」にあたる規定であり、避難施設の一連の流れの締めくくりとして押さえておきたい論点です。
問20 特別避難階段の構造(付室)
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 特別避難階段は、屋内と階段室とをバルコニーまたは付室を通じて連絡する構造とされ、屋内避難階段よりも煙の侵入をさらに防ぎやすい構造となっている。
- 屋内と階段室とが付室を介して連絡する場合、その付室・階段室の構造は、通常の火災時に生じる煙が付室を通じて階段室に流入することを有効に防止できるものとしなければならない。
- 特別避難階段は、高層建築物や地下街など、避難に特に時間がかかりやすい建築物で要求される傾向がある構造区分である。
- 特別避難階段の付室は、非常用エレベーターの乗降ロビーと共用することは、いかなる場合も認められていない。
解答・解説
正答:4
- 1〜3は正しい記述です。特別避難階段は屋内と階段室をバルコニーまたは付室で連絡し、煙の流入を防止する構造とすることが求められ、高層建築物や地下街など避難に時間がかかりやすい建築物で要求される傾向があります。
- 4は誤りです。特別避難階段の付室は、非常用エレベーターの乗降ロビーと共用される場合があるとされており、「いかなる場合も認められていない」という説明は誤りです。
特別避難階段の付室と非常用エレベーターの乗降ロビーが共用され得るという点は、避難施設と消防活動支援設備がどのように関係し合っているかを示す実例として押さえておくとよいでしょう。
直前チェックリスト
- 居室の天井の高さ(2.1m以上)と、天井高さが異なる場合の「平均の高さ」による判定方法を説明できるか
- 木造最下階居室の床の高さ(45cm以上)と、床下換気孔(5m以下ごとに300cm²以上)・防湿措置の適用除外を説明できるか
- 階段各部の寸法が用途・規模で区分されていること、踊り場の設置基準(3m超/4m超)と直階段踊り場の踏幅(120cm以上)を説明できるか
- 廊下の幅員(両側居室1.6m以上、その他1.2m以上)と適用対象の考え方を説明できるか
- 便所の水洗化義務(処理区域内は水洗便所以外不可)と、建築基準法・下水道法の関係を説明できるか
- 採光関係の無窓居室(1/20未満)と排煙関係の無窓居室(1/50未満)が、それぞれ別の基準で判定されることを説明できるか
- 木造建築物の基礎の目的(荷重伝達・不同沈下防止)を説明できるか
- 木造の柱・筋かい・土台の防腐・防蟻措置(地面から1m以内)の対象範囲を説明できるか
- 面積区画のスプリンクラー緩和(設置部分の床面積の1/2を除く)の内容を、誤解しやすいポイントとあわせて説明できるか
- 竪穴区画の適用除外(避難階の直上階・直下階のみに通ずる部分、小規模住宅)の範囲を説明できるか
- 防火設備(20分)と特定防火設備(1時間)の遮炎性能の違いと、それぞれが主に用いられる場所の傾向を説明できるか
- 異種用途区画の対象となる組み合わせの例と、他の防火区画と共通する構成要素(壁・床+防火設備)を説明できるか
- 防火壁・防火床(1000㎡区画)と、耐火建築物・準耐火建築物の適用除外の関係を説明できるか
- 内装制限の緩和(住宅の調理室の最上階、スプリンクラー・排煙設備の設置、大規模空間の告示緩和)を整理できるか
- 屋内避難階段の構造(耐火構造の壁、内装の不燃化、出入口の戸の開く方向)と、特別避難階段の付室の構造を説明できるか
- 排煙設備の設置緩和(高さ31m以下・100㎡以内・防煙壁区画)の適用条件を説明できるか
- 非常用照明の設置免除(住戸内部・病室・避難階前後の居室)と、共用廊下・共用階段は原則対象であることを説明できるか
- 敷地内通路の幅員(原則1.5m以上、小規模建築物は90cm以上)を説明できるか
まとめ
単体規定は条文の数が多く、一つひとつの数値を丸暗記しようとすると際限がなくなってしまいがちです。しかし、この記事で取り上げた20問を振り返ると、多くの設問で問われているのは「原則の基準」そのものよりも、その基準にどんな緩和・適用除外がセットになっているかという点だったのではないでしょうか。直前期の学習では、新しい論点を追いかけるよりも、すでに知っている原則に対して「緩和は何があったか」を自分の言葉で説明できるかを確認する時間に充てるほうが、本番での得点に直結すると筆者は考えています。間違えた問題は、答えを覚えるのではなく、必ず自分の法令集で該当条文とその周辺のただし書きまで開き直しておいてください。
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