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基本設計電気設備

電気設備の学習ガイド|単元マップと記事一覧

電気設備は、建築設備のなかでも扱う範囲が広い分野だと筆者は感じています。電力会社から届いた高圧電気を建物内で使える形に変える「受変電」から、各階へ電気を配る「幹線・動力」、人が生活・執務する空間を照らす「照明」、感電や雷から人と機器を守る「接地・保護」、建物全体を賢く動かす「自動制御・監視」、停電時に命と業務を守る「防災電源」、そして工事を成立させる「積算・施工実務」まで、性格の異なるいくつもの単元が積み重なって1つの分野を構成しています。

この記事では、当サイトに掲載している電気設備の記事を単元ごとに整理し、地図のように一覧できるハブ記事としてまとめました。**「自分が今どのあたりを学んでいるか」「次にどの単元へ進めばよいか」**を確認するために使ってください。個別の内容を深く解説することはせず、各単元の位置づけと、対応する記事への案内に徹しています。


まずはここから:電気設備の全体像

個別の単元に入る前に、電気設備が建築設備全体のなかでどんな役割を持っているのかを押さえておくと、この先の単元マップが頭に入りやすくなります。最初に読む1本として、以下の記事をおすすめします。

記事 内容
建築設備とは何か|電気・空調換気・給排水衛生・消防、4分野の全体像 建築設備を構成する4分野(電気・空調換気・給排水衛生・消防)の役割分担と、なぜ分野横断の調整が必要になるのかを整理した入門記事

この記事は電気設備に限らず建築設備全体の位置づけを扱った「全体像」の記事です。これから電気設備の各単元マップを見ていく前に、まず建物の中で電気設備がどんな役割を担っているのかをつかんでおくと、以降の単元がどこに位置するのか理解しやすくなります。


単元マップ全体の構成

電気設備の単元は、大きく分けると次の7つのグループに整理できると筆者は考えています。

  1. 基礎・図面:電気設備を学ぶ土台になる、図面の読み方や住宅レベルの基礎知識
  2. 受変電・容量計画:電力会社から受けた電気を建物用に変え、必要な容量を見積もる
  3. 幹線・動力設備:受変電設備から各階・各機器へ電気を届ける配電と、モーター負荷の扱い
  4. 照明設備:必要な明るさを省エネと両立させながら計画する
  5. 接地・保護:感電・雷・ノイズから人と機器を守る
  6. 自動制御・監視・省エネ:建物を賢く動かし、エネルギーを最適化する
  7. 防災電源・非常用設備:停電時に人命と業務を守る

この7グループに加えて、工事を成立させる「積算・施工・検査の実務」と、庁舎のような特定用途向けの計画事例も当サイトでは扱っています。以下、それぞれの単元マップを見ていきます。


基礎・図面(学び始めの入口)

電気設備を学び始める段階で押さえておきたい、図面の読み方と、住宅レベルの基礎知識をまとめたグループです。実務・試験のどちらから入っても、最初にここを通っておくと以降の単元が理解しやすくなります。

単元 学ぶこと 対応記事
図面の読み方 単線結線図・複線図・器具配置図の違い、JIS図記号の基礎、3路・4路スイッチの読み解き方 電気設備の図面の読み方|単線結線図・複線図・図記号の基礎
分電盤とブレーカー 住宅の電気がどう分配されるか、アンペアブレーカー・漏電ブレーカー・安全ブレーカーの役割 分電盤とブレーカーの基礎|家の電気はどう分配され、なぜ落ちるのか
太陽光発電の検討 これから家を建てる人・増設を迷っている人向けの、建築設備目線での判断基準 これから家を買う人・太陽光を増設しようか迷っている人へ

図面の読み方は、この先どの単元に進むにしても必要になる共通言語のようなものだと筆者は捉えています。単線結線図が読めなければ受変電設備の構成も理解しづらく、複線図が読めなければ照明・コンセント回路の計画もイメージしづらくなります。分電盤・太陽光の2本は住宅寄りの内容ですが、需要家側から見た電気設備の基礎として、業務用の受変電・幹線の単元へつながる入口になります。


受変電・容量計画

電力会社から受けた高圧電気を建物内で使える電圧に変え、必要な容量をどう見積もるかを扱うグループです。電気設備の「上流」にあたる部分で、ここでの判断が幹線・動力以降のすべてのサイズ決定に影響します。

単元 学ぶこと 対応記事
受変電設備の基礎 キュービクル内の主要機器の役割、単線結線図の読み方、保護協調・変圧器選定の考え方 受変電設備の基礎|キュービクルの構成と単線結線図の読み方
変圧器の使い分け モールド変圧器と油入変圧器を「油が使えるかどうか」で選び分ける実務の考え方、PCBの注意点 モールド変圧器と油入変圧器の使い分け|『モールドは油が使えない時』が実務の基本
需要率・負荷率・不等率 負荷設備容量から最大需要電力を想定する式、変圧器・幹線容量や契約電力への反映 需要率・負荷率・不等率の基礎|負荷設備容量と契約電力の考え方

受変電・容量計画は、電気設備のなかでも最初の意思決定が後工程まで響く単元だと筆者は考えています。需要率・負荷率・不等率で見積もった最大需要電力をもとに変圧器の容量が決まり、その容量が幹線サイズや動力設備の計画にも波及していきます。数式そのものよりも、「なぜその係数で割り引いて考えるのか」という理屈を押さえておくと、幹線・動力設備の単元に進んだときに理解がつながりやすくなります。


幹線・動力設備

受変電設備から各階・各機器へ電気を届ける配電の考え方と、ポンプ・ファンといったモーター負荷を扱う動力設備の計画をまとめたグループです。

単元 学ぶこと 対応記事
中央監視と幹線設備の計画 幹線設備の基本的な考え方と、設備全体を監視・制御する中央監視設備(BAS/BEMS)の役割 中央監視設備と幹線設備の計画|建物の電気をどう配り、どう見張るか
幹線サイズと電圧降下 負荷電流の求め方、電線の許容電流、電圧降下の考え方とこう長との関係 幹線サイズと電圧降下の基礎|負荷電流・こう長・許容電流の考え方
動力設備の計画 三相誘導電動機の始動方式、力率改善の進相コンデンサ、動力盤の分岐回路と保護、インバータ制御 動力設備の計画|電動機・インバータ・力率改善の基礎

幹線・動力設備は、受変電で決めた容量を実際の電線・機器サイズに落とし込む単元です。幹線サイズと電圧降下の単元は計算問題として出題されることも多く、許容電流とこう長のバランスで決まる考え方を理屈で押さえておくと応用が利きます。動力設備は電動機の始動方式や力率改善など、電気を「動力」として使うときに特有の論点が中心になるため、照明などの一般負荷とは分けて理解しておくと整理しやすくなります。中央監視設備は後述の「自動制御・監視」グループとも接点がある単元です。


照明設備

人が生活・執務する空間を、必要な明るさと省エネの両立で計画する単元です。

単元 学ぶこと 対応記事
照明設備の計画 場所ごとの必要照度の考え方、LED・配光・グレア・演色性の基礎、昼光連動調光や人感センサーなどの省エネ制御 照明設備の計画|必要照度・昼光利用・省エネ照明制御の考え方

現時点で照明設備の単元記事は1本ですが、必要照度の考え方から省エネ制御まで、計画段階で押さえておきたい論点を一通りカバーしています。今後、用途別の照明計画やコンセント計画の記事を追加していく予定です。


接地・保護

感電防止・機器保護・雷やノイズ対策という異なる目的を、接地という1本の考え方で束ねる単元グループです。

単元 学ぶこと 対応記事
接地(アース)設備の基礎 A種〜D種接地工事の対象と接地抵抗値の考え方、接地線サイズ、等電位ボンディングとの関係 接地(アース)設備の基礎|A種・B種・C種・D種接地の考え方
雷保護設備の基礎 外部雷保護(受雷部・引下げ導線・接地)と内部雷保護(等電位ボンディング・SPD)の考え方 雷保護設備の基礎|外部雷保護と内部雷保護、SPDの考え方

接地と雷保護は別々の単元に見えますが、どちらも「電気をどう安全に地面へ逃がすか」という同じ発想の応用だと筆者は捉えています。接地の単元でA種〜D種の使い分けを理解しておくと、雷保護設備の内部雷保護(等電位ボンディング)の考え方もつながりやすくなります。情報設備が集中する建物ほど、この2単元の重要度は高くなる傾向があります。


自動制御・監視・省エネ

建物を賢く動かし、エネルギーを最適化するための単元グループです。中央監視設備と役割が重なる部分もありますが、ここでは自動制御の方式やエネルギー指標に焦点を当てた記事をまとめています。

単元 学ぶこと 対応記事
自動制御・BEMSの基礎 フィードバック制御・シーケンス制御・DDCといった自動制御の基本方式、BEMSと中央監視設備の違い 自動制御・BEMSの基礎|中央監視との違いとエネルギー管理
BEIと省エネ基準 建物の一次エネルギー消費量を基準値と比較するBEIの考え方、対象設備の範囲、BEIを下げる実務上のポイント BEIとは|建築物の一次エネルギー消費量と省エネ基準の考え方
コージェネレーションシステムの計画 発電時の排熱を給湯・冷暖房に使う仕組み、発電方式の違い、熱電比・負荷追従、BCPとしての価値 コージェネレーションシステムの計画|電気と熱を同時に使う仕組みと省エネ・BCP

このグループは、前段の「幹線・動力設備」で紹介した中央監視設備の単元と合わせて理解すると全体像がつかみやすくなります。自動制御・BEMSが「建物をどう動かすか」という仕組みの単元だとすれば、BEIは「その結果をどう評価するか」という指標の単元、コージェネレーションは「電気と熱をどう同時に使うか」という設備選定の単元にあたります。3本を別々に覚えるより、省エネという1つの目的に対する3つの切り口として関連づけて学ぶことをおすすめします。


防災電源・非常用設備

停電時に人命と業務を守るための単元グループです。根拠法令や電源方式の違いを正確に押さえておく必要がある分野です。

単元 学ぶこと 対応記事
予備電源・非常用自家発電設備 非常用自家発電設備・蓄電池設備・UPSの起動の速さと持続時間の違い、負荷の優先順位づけ 予備電源・非常用自家発電設備の計画|発電機・蓄電池・UPSの使い分け
非常用照明と誘導灯 建築基準法と消防法という根拠法令の違い、電源方式・点灯継続時間、誘導灯の種類・区分、設置免除の考え方 非常用照明と誘導灯の計画|違い・種類・設置と免除の考え方

防災電源は、電気設備のなかでも消防設備や避難計画と直接つながる単元です。予備電源の単元では「どの電源方式が何分以内に立ち上がるか」という起動時間の違いが、非常用照明・誘導灯の単元では「建築基準法上の設備か消防法上の設備か」という根拠法令の違いが、それぞれ理解のポイントになります。消防設備をまとめて学びたい場合は、当サイトの消防・防災設備の学習ガイドもあわせて確認しておくと理解の幅が広がります。


積算・施工・検査の実務

工事を実際に成立させるための実務系の単元グループです。設計段階の知識だけでなく、予算・施工・検査という工事の流れに沿った内容を扱っています。

単元 学ぶこと 対応記事
積算の全体像 直接工事費から共通仮設費・現場管理費・一般管理費等へ積み上がる公共建築工事の積算構造 公共建築工事の積算の全体像|工事費はどう積み上がるか
数量拾いの考え方 設計数量・計画数量・所要数量の違い、電線や電線管を拾う定石、ロスを見込む理由 設備工事の数量拾いの考え方|設計数量・所要数量とロスの扱い
施工計画書・施工要領書の基礎 施工計画書と施工要領書の役割の違い、審査で見られるポイント、よくある指摘・手戻りパターン 施工計画書・施工要領書の基礎|何を書き、審査でどこを見られるか
完成図書・検査書類の発注者差 完成図書の標準構成、検査の一般的な流れ、試験・測定記録の準備タイミング 完成図書・検査書類の発注者差|引渡しで慌てないための確認リスト

この4本は、予算段階(積算・数量拾い)→施工段階(施工計画書・施工要領書)→検査・引渡し段階(完成図書)という工事の時系列に沿って並んでいます。設計の単元マップとは性格が異なりますが、実際の現場では設計知識と同じくらい重要になる実務知識です。特に施工管理の立場で当サイトを読んでいる方は、設計系の単元と並行してこのグループにも目を通しておくことをおすすめします。


用途別の設備計画

これまでの単元は「機能」ごとの整理でしたが、実際の建物では複数の機能が特定の用途に合わせて組み合わされます。ここでは用途別の計画事例を扱った記事をまとめています。

単元 学ぶこと 対応記事
庁舎(市役所)の設備計画 防災拠点としての非常用自家発電・BCP、議場や電算室など特殊室特有の考え方 庁舎(市役所)の設備計画|防災拠点としての非常電源・BCP・執務空間の考え方

庁舎は、これまでの単元マップで扱った受変電・防災電源・自動制御といった知識が、1つの建物のなかでどう組み合わさるかを見られる実例です。単元ごとの知識をひととおり学んだあとにこの記事を読むと、知識が実際の設計にどうつながるのかが具体的にイメージしやすくなります。


サイトについて

記事 内容
建築設備.techとは|現場で役立つ建築設備を、わかりやすく このサイトのコンセプトと、扱うテーマ、読んでほしい人についての紹介

学び方の考え方

電気設備は単元数が多く、どこから手をつければよいか迷いやすい分野だと筆者は感じています。そこで、次のような順番で進めることをおすすめします。

ステップ 内容
1. 全体像をつかむ 「建築設備とは何か」を読み、電気設備が建物の中でどんな役割を持つか把握する
2. 基礎・図面を固める 単線結線図・複線図の読み方を先に押さえ、以降の単元で図面を読み違えないようにする
3. 受変電・容量計画を学ぶ 電気の「上流」の考え方を理解し、需要率・負荷率など容量の見積もり方を押さえる
4. 幹線・動力・照明へ進む 上流で決めた容量を、実際の電線サイズや機器選定に落とし込む
5. 接地・保護と防災電源を学ぶ 安全と非常時対応という、法令に直結する単元をまとめて押さえる
6. 自動制御・省エネへ広げる 建物を運用する視点の単元を学び、設計と運用のつながりを理解する
7. 実務系(積算・施工・検査)を読む 設計知識を実際の工事にどう反映するか、時系列で押さえる
8. 用途別の記事で知識をつなげる 庁舎などの計画事例を読み、単元ごとの知識が1つの建物でどう組み合わさるか確認する

上流(受変電)から下流(照明・動力などの末端負荷)へという電気の流れに沿って学ぶと、単元同士のつながりが見えやすくなるというのが筆者の実感です。逆に、末端の照明計画から先に学んでしまうと、なぜその容量・その配線サイズになるのかという理由が分からないまま暗記に頼ることになりがちです。迷ったときは、この単元マップに戻って「自分が電気の流れのどのあたりを学んでいるか」を確認してみてください。


よくあるつまずきポイント

受変電・容量計画を飛ばしていきなり幹線・動力の計算に入るのが、最初につまずきやすいパターンだと筆者は感じています。需要率・負荷率・不等率の考え方を理解しないまま幹線サイズの計算に進むと、なぜその負荷電流になるのかが分からず、公式の丸暗記になってしまいます。

接地と防災電源を「法令暗記」として個別に覚えてしまうのも典型的なつまずきです。接地はA種〜D種、防災電源は建築基準法と消防法という具合に、それぞれ個別の数値・区分を覚えようとすると量が多く感じられますが、「何を・何から守るための規定か」という目的から理解すると、区分の意味がつながって覚えやすくなります。

自動制御・省エネ系の単元を後回しにしすぎるという点も見落としやすいポイントです。中央監視・自動制御・BEMS・BEIは、それぞれ別の記事で扱っていますが、実務ではセットで検討されることが多い領域です。幹線・動力・照明の単元がひととおり終わった段階で、まとめて目を通しておくと理解の抜けが減ります。


まとめ

  • 電気設備の単元は「基礎・図面」「受変電・容量計画」「幹線・動力設備」「照明設備」「接地・保護」「自動制御・監視・省エネ」「防災電源・非常用設備」「積算・施工・検査の実務」「用途別の設備計画」の9グループに整理できる
  • 最初に読む1本は「建築設備とは何か」。電気設備が建物全体のなかでどんな役割を持つかをつかんでから各単元に進むと理解しやすい
  • 受変電(上流)から幹線・動力・照明(下流)へという電気の流れを意識すると、単元同士のつながりが見えやすい
  • 接地・保護と防災電源は法令直結の単元なので、目的から理解して個別暗記に頼りすぎない
  • 積算・施工・検査は設計系とは別の時系列(予算→施工→検査)に沿った実務知識として位置づけて学ぶ
  • 用途別の記事(庁舎の設備計画)は、単元ごとの知識をひととおり学んだあとに読むと理解が深まる

電気設備は単元数が多い分野ですが、上流から下流へという電気の流れと、法令・実務・省エネという横串を意識すれば、単元同士のつながりが見えてくるはずです。この記事を単元マップとして活用しながら、当サイトの各記事で知識を積み上げていただければと思います。


他分野の学習ガイド

電気設備以外の分野も学びたい場合は、以下の学習ガイドをあわせてご覧ください。

参考書籍でさらに学ぶ

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