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建築構造

令和8年度 一級建築士 学科 直前完全模試【構造】30問|本試験形式

いよいよ明日、令和8年度一級建築士学科試験の本番です。この記事は、本試験の構造科目と同じ30問構成で作成した、完全オリジナルの直前模試です。力学系の計算問題11問(値を求める形式に加えて、3つの部材や条件を比較して大小関係を選ぶ形式も含みます)と、荷重・耐震設計・RC造・S造・木造・地盤基礎・構造材料の各分野から出題した文章題19問を収録しています。

本試験の学科IV(構造)・学科V(施工)は合計165分(2時間45分)・55問で、1問あたりの目安時間は約3分です。この記事は構造30問単独の模試のため、90分を目安に、時間を計って通しで解いてみることをおすすめします。計算問題は焦らず手を動かして検算する時間を確保し、文章題は「最も不適当なもの」か「正しいもの」かを毎回問題文で確認してから選択肢を読む習慣をつけると、取りこぼしを防げます。

なお、本問題集は筆者(当サイト)が独自に作成した完全オリジナルの予想問題であり、実際の試験問題との的中や、明日の出題内容を保証するものではありません。法令・数値は執筆時点(2026年7月25日)で確認できる一次資料に基づいていますが、受験にあたっては必ず最新の公式発表をご確認ください。


出題傾向と構成

問題番号分野形式
問1〜問11力学計算・荷重計算・固有周期・RC/S造の計算(うち問1・問3・問5は大小関係の比較形式)計算問題11問
問12〜問18令和8年注目論点(木造壁量基準見直し・構造計算対象の拡大・座屈長さ 等)文章題7問
問19〜問30耐震・免震制振・RC造・S造・地盤基礎・構造材料・構造計画文章題12問

力学計算問題は、公式を覚えているかどうかだけでなく、初見の数値・条件でも自分の手で最後まで検算できるかを確認する目的で配置しています。すべて筆者自身が検算し、割り切れる数値になるよう設計しました。令和8年注目論点(木造の壁量基準見直し・構造計算対象の拡大・座屈長さの復活出題)は、直近の法改正セミナー等で最重要論点として繰り返し指摘されているテーマのため、まとめて出題しています。


直前模試30問

問1(構造力学:断面二次モーメントの比較)

幅b=150mmで一定とし、せい(高さ)hだけが異なる3つの矩形断面梁A・B・Cがある(A:h=200mm、B:h=300mm、C:h=400mm)。これらの断面二次モーメントIの大小関係として、正しいものはどれか。

  1. I_A>I_B>I_C
  2. I_B>I_A>I_C
  3. I_C>I_A>I_B
  4. I_C>I_B>I_A

解答・解説

正答は4です。

矩形断面の断面二次モーメントはI=bh³/12で求められ、幅bが一定であればIはせいhの3乗に比例します。

  • I_A=150×200³/12=150×8,000,000/12=100,000,000mm⁴=1.0×10⁸mm⁴
  • I_B=150×300³/12=150×27,000,000/12=337,500,000mm⁴=3.375×10⁸mm⁴
  • I_C=150×400³/12=150×64,000,000/12=800,000,000mm⁴=8.0×10⁸mm⁴

したがってI_C>I_B>I_Aとなり、選択肢4が正しい大小関係です。

  • 選択肢1・2は大小関係が逆転しており誤りです。
  • 選択肢3はI_BとI_Aの位置が入れ替わっており誤りです。

断面二次モーメントがせいの3乗に比例するという性質は、同じ材料使用量(断面積)でもせいを大きく取るほど曲げ剛性・耐力の面で有利になるという設計上の基本原則につながります。値そのものを求める計算だけでなく、この記事のように複数の断面を比較して大小関係を答えさせる形式は構造科目の定番であり、令和8年度も出題可能性が高いと筆者は考えています。


問2(構造力学:曲げ応力度)

スパンL=6mの単純梁の中央に集中荷重P=32kN(長期荷重)が作用している。梁の断面は幅b=180mm、せいh=400mmの矩形とする。このとき梁に生じる最大曲げ応力度として、正しいものはどれか。ただし、自重は無視する。

  1. 5N/mm²
  2. 20N/mm²
  3. 10N/mm²
  4. 40N/mm²

解答・解説

正答は3です。

単純梁の中央に集中荷重が作用する場合、最大曲げモーメントは中央点に生じ、M=PL/4で求められます。

  • M=PL/4=32×6/4=48kN・m=48×10⁶N・mm
  • Z=bh²/6=180×400²/6=180×160,000/6=4,800,000mm³=4.8×10⁶mm³
  • σ=M/Z=48×10⁶/4.8×10⁶=10N/mm²

よって選択肢3が正しい値です。

  • 選択肢1(5N/mm²)は、集中荷重の最大曲げモーメント式をM=PL/8(等分布荷重の式)と取り違え、M=24×10⁶N・mmとして計算した場合の値です。
  • 選択肢2(20N/mm²)は、正しいM(48×10⁶N・mm)を用いながら、断面係数をZ=bh²/12(断面二次モーメントの式と混同)=2.4×10⁶mm³として計算した場合の値です。
  • 選択肢4(40N/mm²)は、断面係数をZ=bh²/24として計算した場合の値で、係数の混同がさらに重なった誤りです。

曲げ応力度の計算は、荷重条件からモーメントを正しく求める力学の知識と、断面係数を正しく求める知識の両方が問われる複合問題です。特に集中荷重と等分布荷重のモーメント式(PL/4とwL²/8)を混同しないこと、断面係数Z=bh²/6と断面二次モーメントI=bh³/12の係数を取り違えないことが得点の分かれ目になります。


問3(構造力学:たわみの比較)

長さL、曲げ剛性EIが等しい3つの梁A・B・Cがあり、いずれも同じ大きさの等分布荷重wを受けている。A:両端ピン支持の単純梁(中央たわみδ_A=5wL⁴/384EI)、B:両端固定梁(中央たわみδ_B=wL⁴/384EI)、C:一端固定・他端自由の片持ち梁で全長に等分布荷重が作用する場合(自由端たわみδ_C=wL⁴/8EI)とする。このときδ_A・δ_B・δ_Cの大小関係として、正しいものはどれか。

  1. δ_C>δ_A>δ_B
  2. δ_A>δ_C>δ_B
  3. δ_B>δ_A>δ_C
  4. δ_A>δ_B>δ_C

解答・解説

正答は1です。

3つのたわみ公式を分母384EIで揃えて比較すると、δ_C=wL⁴/8EI=48wL⁴/384EI、δ_A=5wL⁴/384EI、δ_B=wL⁴/384EIとなります。分子の係数を比較すると48>5>1なので、δ_C>δ_A>δ_Bとなり、選択肢1が正しい大小関係です。

  • 選択肢2・3・4はいずれも大小関係の一部または全部が入れ替わっており誤りです。

支持条件によってたわみが大きく変わる理由は、両端固定・両端ピン・片持ちの順で部材端部の拘束(回転・変位を抑える度合い)が弱くなり、同じ荷重でも変形しやすくなるためです。片持ち梁は自由端側に拘束がまったくないため、同じ長さ・同じ荷重条件でも他の支持形式より大きくたわむという点は、実務上も梁のたわみ検討で真っ先に意識すべき基本原則です。3つの梁のたわみを比較させる大小関係形式は構造科目の頻出パターンであり、令和8年度も出題可能性が高いと筆者は考えています。


問4(構造力学:張出し梁の反力)

長さ8mの梁があり、左端A(x=0m、ピン支持)から6mの位置にB(x=6m、ローラー支持)があり、Bからさらに2m張り出した先端C(x=8m)に集中荷重P=30kN(下向き)が作用している。また、A−B間の中央(x=3m)に集中荷重Q=50kN(下向き)が作用している。支点Aの反力R_Aとして、正しいものはどれか。

  1. 65kN
  2. 25kN
  3. 15kN
  4. 45kN

解答・解説

正答は3です。

支点Bまわりのモーメントの釣り合いから、まずR_Aを求めます。Bから見てAは距離6m、Qは距離3m(同じA側)、Pは距離2m(Aと反対側、張出し部分)です。

ΣM_B=0(反時計回りを正とする): -R_A×6+Q×(6-3)-P×2=0 -6R_A+50×3-30×2=0 -6R_A+150-60=0 -6R_A=-90 R_A=15kN

検算として、ΣM_A=0からR_Bを求めると、R_B×6=Q×3+P×8=150+240=390より R_B=65kN。ΣFy=0で確認すると、R_A+R_B=15+65=80kN=Q+P(50+30)と一致し、整合が取れています。

よって選択肢3が正しい値です。

  • 選択肢1(65kN)は、求めるべきR_Aではなく、もう一方の支点反力R_Bの値です。
  • 選択肢2(25kN)は、張出し部分の荷重Pをモーメントの釣り合いに含め忘れ、Qのみから算定した場合(R_B'=Q×3/6=25、R_A'=Q-R_B'=25)に生じる誤りです。
  • 選択肢4(45kN)は、Pの符号を逆(Aと同じ側の荷重であるかのように加算)に扱った場合に生じうる誤りです。

張出し梁は、張出し部分の荷重が支点間の反力配分に影響することを見落としやすい構造形式です。モーメントの中心をどちらの支点に取るかを間違えないこと、張出し部分の荷重の位置(どちら側にどれだけ離れているか)を正確に符号に反映させることが正答への鍵になります。


問5(構造力学:座屈長さと座屈荷重の比較)

材長L、曲げ剛性EIが等しい4本の柱A・B・C・Dがあり、それぞれ次の支持条件で弾性座屈荷重(オイラー座屈荷重)を比較する。A:両端ピン支持(座屈長さLk=1.0L)、B:一端固定・他端ピン支持で水平移動が拘束されている場合(Lk=0.7L)、C:両端固定支持で水平移動が拘束されている場合(Lk=0.5L)、D:一端固定・他端自由の片持ち柱(Lk=2.0L)とする。弾性座屈荷重の大小関係として、正しいものはどれか。

  1. C>B>A>D
  2. A>B>C>D
  3. B>C>A>D
  4. D>A>B>C

解答・解説

正答は1です。

オイラー座屈荷重はPcr=π²EI/Lk²で表され、座屈長さLkの2乗に反比例します。座屈長さが短いほど座屈荷重は大きくなるため、Lkの値(C:0.5L、B:0.7L、A:1.0L、D:2.0L)を小さい順に並べ替えると、座屈荷重の大きい順はC>B>A>Dとなります。よって選択肢1が正しい大小関係です。

  • 選択肢2はAとC、BとDの位置が入れ替わっており、座屈長さと座屈荷重の反比例の関係を無視した誤った並びです。
  • 選択肢3はBとCの順が入れ替わっており誤りです。
  • 選択肢4はDとAの位置が誤っている(片持ち柱は最も座屈しやすく座屈荷重は最小であるべき)ため誤りです。

座屈長さは端部の固定度が高いほど短くなり(両端固定が最も短く、片持ちが最も長い)、座屈荷重は座屈長さの2乗に反比例するという関係は、一時期出題が途絶えていたものの近年になって図表読解を伴う形で復活出題されている論点です。座屈長さ係数(両端ピン1.0、一端固定他端ピン0.7、両端固定0.5、片持ち2.0)は数値そのものを丸暗記するだけでなく、「固定度が高いほど座屈長さが短くなる」という理屈とセットで理解しておくと、初見の条件でも対応できます。


問6(耐震設計:設計用一次固有周期の略算)

高さh=40mの建築物があり、上部10mが鉄骨造、下部30mが鉄筋コンクリート造の混構造である。設計用一次固有周期の略算式T=h(0.02+0.01α)(αは鉄骨造または木造である部分の高さの合計を建築物の高さhで除した値)を用いてこの建築物のTを求めると、正しいものはどれか。

  1. 1.1秒
  2. 0.6秒
  3. 0.8秒
  4. 0.9秒

解答・解説

正答は4です。

α=鉄骨造部分の高さ/建築物全体の高さ=10/40=0.25です。

T=h(0.02+0.01α)=40×(0.02+0.01×0.25)=40×(0.02+0.0025)=40×0.0225=0.9秒

よって選択肢4が正しい値です。

  • 選択肢1(1.1秒)は、αの分子と分母を取り違え、RC造部分の高さ30mを用いてα'=30/40=0.75として計算した場合の値(40×(0.02+0.0075)=1.1)です。
  • 選択肢2(0.6秒)は、式の係数0.01と0.02を逆に用いた場合の値(40×(0.01+0.02×0.25)=0.6)です。
  • 選択肢3(0.8秒)は、鉄骨造部分の影響(α項)を無視し、T=0.02hのみで計算した場合の値です。

設計用一次固有周期の略算式は、建物が純粋なRC造・S造だけでなく混構造である場合に、鉄骨造・木造部分の高さの割合(α)を反映して周期を長めに評価する仕組みになっています。αをどちらの部分の高さから求めるか(鉄骨造・木造部分であって、RC造・SRC造部分ではない)を正確に理解しているかが問われる論点です。


問7(荷重・外力:地震層せん断力)

ある3階建て建築物の2階について、地震層せん断力係数Ci=0.3、2階が支える建築物の重量(2階から上の全重量の合計)ΣWi=5,000kNである。2階に生じる地震層せん断力Qiとして、正しいものはどれか。

  1. 1,500kN
  2. 150kN
  3. 3,000kN
  4. 15,000kN

解答・解説

正答は1です。

地震層せん断力はQi=Ci×ΣWiで求められます。

Qi=0.3×5,000=1,500kN

よって選択肢1が正しい値です。

  • 選択肢2(150kN)は、桁数を1桁誤って計算した場合の値です。
  • 選択肢3(3,000kN)は、Ciを0.3ではなく0.6として計算した場合の値です。
  • 選択肢4(15,000kN)は、ΣWiに乗じる操作を誤り、5,000×0.3の小数点位置を誤読した場合などに生じうる値です。

地震層せん断力係数Ci=Z・Rt・Ai・Coの各係数を積み上げて求めた後、その階が支える重量ΣWiに乗じるだけの単純な式ですが、「どの階から上の重量を合計するか(当該階自身ではなく、当該階から上の全重量)」を取り違えると誤った答えになります。実務・試験どちらでも、ΣWiの範囲の理解が計算の前提になる論点です。


問8(荷重・外力:積雪荷重)

多雪区域ではない一般区域において、垂直積雪量d=30cm、積雪の単位荷重を20N/m²(積雪量1cmあたり)、屋根形状係数を1.0とする。この建築物の屋根の積雪荷重として、正しいものはどれか。

  1. 0.6kN/m²
  2. 0.3kN/m²
  3. 1.2kN/m²
  4. 6.0kN/m²

解答・解説

正答は1です。

積雪荷重は「積雪の単位荷重×垂直積雪量×屋根形状係数」で求められます。

積雪荷重=20N/m²/cm×30cm×1.0=600N/m²=0.6kN/m²

よって選択肢1が正しい値です。

  • 選択肢2(0.3kN/m²)は、垂直積雪量を半分(15cm相当)として計算した場合や、単位荷重を10N/m²/cmと取り違えた場合に生じる値です。
  • 選択肢3(1.2kN/m²)は、正しい値の2倍で、屋根形状係数を誤って2.0とした場合などに生じる値です。
  • 選択肢4(6.0kN/m²)は、単位換算を誤り、N単位のままkN単位として扱った場合(桁を1桁誤認)に生じる値です。

積雪荷重の算定は、垂直積雪量・単位荷重・屋根形状係数という3つの要素の掛け算であるという構造そのものはシンプルですが、単位(cmとm、N/m²とkN/m²)の換算を誤ると答えが大きくずれる論点です。多雪区域では単位荷重や垂直積雪量が特定行政庁によって地域ごとに定められ、一般区域より大きな値になる点もあわせて押さえておきたいところです。


問9(荷重・外力:速度圧)

速度圧qは、q=0.6EV₀²(E:建築物の屋根の高さ及び周辺の地表面の状況に応じて定める係数、V₀:その地方における基準風速)の式で求められる。E=1.0、V₀=30m/sのとき、速度圧qとして、正しいものはどれか。

  1. 270N/m²
  2. 540N/m²
  3. 900N/m²
  4. 1,080N/m²

解答・解説

正答は2です。

q=0.6EV₀²=0.6×1.0×30²=0.6×1.0×900=540N/m²

よって選択肢2が正しい値です。

  • 選択肢1(270N/m²)は、係数を0.6ではなく0.3として計算した場合の値です。
  • 選択肢3(900N/m²)は、係数0.6を掛け忘れ、V₀²の値をそのまま速度圧とした場合の値です。
  • 選択肢4(1,080N/m²)は、正しい値の2倍で、Eを1.0ではなく2.0として計算した場合などに生じる値です。

速度圧の算定式q=0.6EV₀²は、V₀(基準風速)を2乗する点を忘れずに計算できるかがまず問われます。係数Eは、建築物の高さや周辺の地表面粗度区分(都市部か平坦な海岸沿いかなど)によって変わる係数で、実際の設計では地表面粗度区分ごとのEr(平均風速の高さ方向分布を表す係数)とGf(ガスト影響係数)の積として算定されますが、この問題ではEの値をそのまま与えて計算の骨格を確認しています。


問10(RC造:コンクリートが負担する許容せん断力)

鉄筋コンクリート梁において、コンクリートが負担する許容せん断力はQc=fs×b×j(fs:コンクリートの許容せん断応力度、b:梁幅、j:応力中心間距離)で簡略に表される。fs=0.7N/mm²、b=300mm、有効せいd=400mm、j=(7/8)dとするとき、Qcとして、正しいものはどれか。

  1. 94.5kN
  2. 73.5kN
  3. 63.0kN
  4. 84.0kN

解答・解説

正答は2です。

j=(7/8)d=(7/8)×400=350mm

Qc=fs×b×j=0.7×300×350=73,500N=73.5kN

よって選択肢2が正しい値です。

  • 選択肢1(94.5kN)は、jの係数を(7/8)ではなく(9/8)として計算した場合の値です。
  • 選択肢3(63.0kN)は、jの係数を(7/8)ではなく(3/4)として計算した場合の値です。
  • 選択肢4(84.0kN)は、jの係数を掛けずに有効せいdをそのままjとして計算(j=400mm)した場合の値です。

コンクリートが負担する許容せん断力の算定は、応力中心間距離jを有効せいdの何倍として近似するか(一般に(7/8)d程度)を正確に覚えているかがポイントです。この値を取り違えると、必要なあばら筋量の判定そのものが変わってしまうため、係数の根拠まで理解しておくことが大切です。


問11(S造:高力ボルトの必要本数)

鉄骨造の接合部に設計応力(引張力)N=900kNが作用する。この接合部に用いる高力ボルト1本(1面摩擦)あたりの許容せん断力を90kN/本とするとき、必要なボルト本数として、正しいものはどれか。

  1. 10本
  2. 12本
  3. 15本
  4. 20本

解答・解説

正答は1です。

必要本数n=設計応力/許容せん断力=900/90=10本

よって選択肢1が正しい値です。

  • 選択肢2(12本)は、許容せん断力を90kN/本ではなく75kN/本と取り違えた場合の値です。
  • 選択肢3(15本)は、許容せん断力を60kN/本と取り違えた場合の値です。
  • 選択肢4(20本)は、許容せん断力を半分の45kN/本と取り違えた場合の値で、摩擦面数の考え方(1面摩擦か2面摩擦か)を混同した場合などに生じうる誤りです。

高力ボルト接合の必要本数は、設計応力を1本あたりの許容せん断力で単純に除すだけの計算ですが、許容せん断力の値自体がボルトの等級・径・摩擦面数(1面摩擦か2面摩擦か)によって変わるため、問題文で与えられた条件を正確に読み取ることが前提になります。


問12(木造:壁量基準の見直し①)

令和7年(2025年)4月1日施行の建築基準法施行令改正による、木造建築物の必要壁量・存在壁量の見直しに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 存在壁量の算定において、耐力壁だけでなく所定の準耐力壁等も算入できることとされた。
  2. 耐力壁の壁倍率の上限は、改正前の5倍から7倍に引き上げられた。
  3. 耐力壁を設置する軸組の高さが3.2mを超える場合、当該耐力壁の壁倍率は改正前と同じ算定方法により、高さによる低減を受けることなく満額で算入できることとされた。
  4. 必要壁量の算定方法は、従来の「軽い屋根」「重い屋根」という屋根の重さによる区分から、各階に生じる地震力を踏まえた算定式により求める方式に改められた。

解答・解説

正答は3です。

改正後は、耐力壁を設置する軸組の高さが3.2mを超える場合、その耐力壁の壁倍率は高さに応じて低減して算入することとされています。軸組が高くなるほど水平力に対する抵抗性能が相対的に低下しやすいことを踏まえた措置であり、「低減を受けることなく満額で算入できる」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、存在壁量の算定に準耐力壁等を算入できるようになった点であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、壁倍率の上限が5倍から7倍に引き上げられた点であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、必要壁量の算定方法が「軽い屋根・重い屋根」の区分から地震力を踏まえた算定式に変更された点であり正しい記述です。

令和7年4月1日施行の木造壁量基準の見直しは、既存の475問(当サイトの過去の予想問題)ではまだ十分にカバーできていない最新の改正論点です。存在壁量への準耐力壁等の算入、壁倍率上限の引き上げ(5倍→7倍)、軸組高さ3.2m超での壁倍率低減という3つの具体的な数値変更は、令和8年度試験でセットで問われる可能性が高いと筆者は考えています。


問13(木造:壁量基準の見直し②)

令和7年4月1日施行の木造建築物の壁量基準見直しに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 改正後の必要壁量算定式では、階数にかかわらず1階・2階で同一の数値が用いられ、各階が支える建築物の重量による違いは反映されない。
  2. 改正前の「軽い屋根」「重い屋根」による区分では、瓦屋根等の重い屋根のほうが、軽い屋根に比べて必要壁量の数値が大きく設定されていた。
  3. 改正後の必要壁量算定式は、屋根の重さだけでなく、外壁や太陽光発電設備等、建築物の実況の重量をより反映しやすい仕組みへの見直しとして位置づけられている。
  4. 必要壁量を満たすことに加え、耐力壁の配置バランス(四分割法等による偏心の確認)も、改正後の基準においても引き続き重要である。

解答・解説

正答は1です。

必要壁量は、各階が支える建築物の重量(上階の重量を含む)に応じた地震力から算定されるため、1階と2階では支える重量が異なり、必要壁量の数値も通常異なります。「階数にかかわらず同一の数値」という記述は、各階で生じる地震力の違いを無視した誤りです。

  • 選択肢2は、改正前の区分における一般的な傾向(重い屋根ほど必要壁量が大きい)であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、改正の趣旨(建築物の実況をより反映しやすい算定方式への見直し)として説明されている内容であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、必要壁量を満たすだけでなく配置バランスも重要という、壁量計算の基本原則であり、改正後も変わらず正しい記述です。

必要壁量の算定式が変わっても、「各階が支える重量に応じて必要壁量が決まる」という基本原理そのものは変わりません。制度改正の内容を丸暗記するだけでなく、地震力・重量・必要壁量の関係という構造の基本原理と結びつけて理解しておくことが、初見の数値・条件にも対応できる力につながります。


問14(木造:構造計算対象規模の拡大)

令和7年4月1日施行の建築基準法改正における、木造建築物の構造計算義務化の対象規模に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 令和7年4月1日施行の改正により、2階建て以下の木造建築物において構造計算(許容応力度計算等)が必要となる規模は、延べ面積500㎡超から300㎡超に引き下げられた。
  2. 延べ面積300㎡を超える2階建ての木造建築物は、改正後は原則として構造計算が必要な規模に含まれることとなった。
  3. 従来「4号建築物」として構造関係規定の審査・検査が特例により省略されていた木造建築物は、改正後「新2号」「新3号」のいずれかに位置づけが再編され、このうち構造関係の図書の提出・審査省略が引き続き認められるのは「新3号」である。
  4. この改正による構造計算義務化の対象規模の見直しは、木造建築物に加えて、鉄骨造の平屋建て建築物についても、延べ面積300㎡超から新たに構造計算を義務付けるものである。

解答・解説

正答は4です。

延べ面積300㎡超で構造計算が必要となる規模の引き下げは、2階建て以下の木造建築物を対象とした見直しです。鉄骨造の建築物については、木造とは別の高さ・階数等の基準によって構造計算の要否が判断されており、「鉄骨造の平屋建て建築物についても300㎡超から新たに義務付ける」という記述は、対象となる構造種別を取り違えた誤りです。

  • 選択肢1は、構造計算が必要となる規模が延べ面積500㎡超から300㎡超に引き下げられた点であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、300㎡超の2階建て木造建築物が原則として構造計算の対象に含まれるようになった点であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、4号建築物が新2号・新3号に再編され、新3号のみ構造関係図書の省略が引き続き認められる点であり正しい記述です。

木造の構造計算対象規模の拡大(延べ面積500㎡超→300㎡超)と、4号特例の見直し(新2号・新3号への再編)は、いずれも令和7年4月1日施行の同じ一連の改正に含まれる論点です。既存475問ではほとんど扱われていない具体的な数値・区分であるため、令和8年度試験の狙われやすいポイントとして重点的に確認しておきたい論点です。


問15(木造:4号特例見直しと新2号・新3号)

令和7年4月1日施行の改正により再編された「新2号建築物」「新3号建築物」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 新2号建築物は、確認申請にあたり構造関係規定に係る図書の添付が引き続き省略される。
  2. 新3号建築物は、新2号建築物よりも規模が小さい建築物が該当し、確認申請における構造関係規定に係る図書の添付が引き続き省略される。
  3. 新2号建築物であっても、建築士が設計を行えば、構造関係規定の審査自体が確認申請の対象から除外される。
  4. 新3号建築物は、構造関係の図書の提出が省略されるのと同時に、壁量計算等の構造関係規定そのものを遵守する義務もなくなる。

解答・解説

正答は2です。

新2号建築物・新3号建築物のうち、規模がより小さい新3号建築物は、従来の4号特例と同様に構造関係規定に係る図書の提出・審査省略が引き続き認められています。

  • 選択肢1は誤りです。新2号建築物は、構造関係規定に係る図書の添付省略が認められず、審査の対象となります。
  • 選択肢3は誤りです。新2号建築物は、建築士が設計を行った場合でも、構造関係規定に係る図書の提出・審査が必要であり、審査自体が除外されるわけではありません。
  • 選択肢4は誤りです。新3号建築物であっても、図書の提出・審査が省略されるのは手続き上の扱いであり、壁量計算等の構造関係規定そのものを遵守する義務がなくなるわけではありません。

4号特例の見直しでは、「図書の提出・審査を省略できるかどうか」という手続き上の扱いと、「構造関係規定そのものを遵守する義務があるかどうか」という実体的な義務は別物である点を混同しないことが重要です。新2号・新3号のどちらに位置づけられても、壁量計算等の技術基準そのものを満たす設計が求められます。


問16(木造:構造計算ルート適用規模の見直し)

木造建築物においてより高度な構造計算(保有水平耐力計算等)を要する規模の基準に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. この改正は木造建築物の構造計算ルートの適用規模を厳しくする(対象を広げる)方向の見直しであり、従来対象外だった建築物が新たに数値基準の対象に加わることはあっても、従来対象だった建築物が対象外になることはない。
  2. 改正前は、高さ13mまたは軒高9mを超える木造建築物が、より高度な構造計算を要する規模の基準とされていた。
  3. 令和7年4月1日施行の改正により、この基準は「4階建て以上」または「高さ16mを超える」木造建築物へと見直された。
  4. この見直しにより、高さ14m・地上3階建ての木造建築物は、改正前は高度な構造計算が必要とされる規模に該当していたが、改正後は高さ・階数のいずれの基準にも該当しないため対象外となる。

解答・解説

正答は1です。

この改正は、より高度な構造計算を要する規模の基準を「高さ13mまたは軒高9m超」から「4階建て以上または高さ16m超」へと引き上げる、基準を緩和する方向の見直しです。したがって、選択肢4の例のように、改正前は対象だったが改正後は対象外になる建築物が生じます。「従来対象だった建築物が対象外になることはない」という記述は、改正の方向性を逆に捉えた誤りです。

  • 選択肢2は、改正前の基準(高さ13mまたは軒高9m超)であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、改正後の基準(4階建て以上または高さ16m超)であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、高さ14m・3階建ての具体例で、改正前は対象、改正後は対象外になるという整合の取れた記述であり正しい記述です(改正前は高さ14mが13m超に該当して対象、改正後は高さ16m以下かつ4階未満のため対象外)。

改正の方向性(厳格化か緩和か)を取り違えると、選択肢の正誤判断が根本から狂います。数値そのものだけでなく、「なぜその数値に変わったのか」「対象が広がったのか狭まったのか」という方向性までセットで押さえておくことが重要です。


問17(木造:柱の小径規定の見直し)

令和7年4月1日施行の改正による、木造建築物の柱の小径の算定方法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 柱の小径の算定について、改正後も引き続き「軽い屋根」「重い屋根」という屋根の重さによる区分表を用いて求める。
  2. 柱の小径は、改正後は建築物の用途によって定まり、荷重条件や構造計算の有無にかかわらず同じ数値が適用される。
  3. 柱の小径の算定方法は、改正後は建築基準法上の簡易な計算による場合と、別途構造計算(許容応力度計算等)を行う場合とで、算定の考え方が整理された。
  4. 柱の小径の見直しは、壁量基準の見直しとは無関係に行われた、独立した改正である。

解答・解説

正答は3です。

改正後の柱の小径の算定は、建築基準法上の簡易な算定による場合と、別途構造計算を行う場合とで、それぞれの算定の考え方が整理されました。

  • 選択肢1は誤りです。従来の「軽い屋根」「重い屋根」による区分表は、必要壁量の算定と同様に廃止されました。
  • 選択肢2は誤りです。柱の小径は建築物の用途によって一義的に定まるのではなく、算定方法(簡易な算定によるか構造計算によるか)や荷重条件によって扱いが異なります。
  • 選択肢4は誤りです。柱の小径の見直しは、必要壁量・壁倍率の見直しと同じ令和7年4月1日施行の一連の改正に含まれるものであり、無関係な独立した改正ではありません。

柱の小径の見直しは、壁量基準の見直しと同時に施行された、木造の構造耐力規定全体の見直しの一部です。個々の数値変更を独立した知識として覚えるのではなく、「令和7年4月1日施行の改正で木造の構造耐力規定がまとめて見直された」という全体像とセットで理解しておくと、初見の切り口で問われても対応しやすくなります。


問18(木質系構造:CLT・集成材と座屈設計)

CLT(直交集成板)・集成材等の木質系構造材料と座屈設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. CLTや集成材などの木質系構造材料も、鋼材やコンクリートの部材と同様に、細長い圧縮材では座屈の検討が必要である。
  2. 木質系材料の柱の座屈荷重も、オイラー座屈荷重の考え方を踏まえ、部材の断面性能(断面二次モーメント)とヤング係数、座屈長さから評価される。
  3. 集成材は、複数のひき板を積層接着して製造されるため、無垢の木材に比べて強度・剛性のばらつきが小さく、品質が安定しやすいとされる。
  4. CLTや集成材は木材を積層した複合材料であるため、座屈長さは部材の実長そのものと等しく、両端の支持条件(ピン・固定・自由端の別)によって座屈長さが変化することはない。

解答・解説

正答は4です。

座屈長さが部材端部の支持条件によって変化するという原則は、鋼材やコンクリートの部材と同様に、CLTや集成材などの木質系構造材料にも当てはまります。木質系材料であることを理由に座屈長さが部材実長と一致するという記述は誤りです。

  • 選択肢1は、木質系材料でも座屈の検討が必要であるという基本原則であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、木質系材料の座屈荷重もオイラー座屈荷重の考え方(断面性能・ヤング係数・座屈長さ)を踏まえて評価されるという記述であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、集成材の製造方法(積層接着)による品質の安定性であり正しい記述です。

座屈長さと支持条件の関係(問5参照)は、材料の種類を問わない構造力学の普遍的な原理です。CLT・集成材といった近年出題が強化されている木質系材料の知識と、力学の基本原理を組み合わせて問う複合問題は、令和8年度も出題されやすい形式だと筆者は考えています。


問19(耐震設計:耐震診断の構造耐震指標Is値)

既存建築物の耐震診断における構造耐震指標Is値に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. Is値は、保有性能基本指標Eo(強度指標Cと靭性指標Fを基本とする)に、形状指標SDと経年指標Tを乗じて算定される。
  2. 強度指標Cは建物の靭性(粘り強さ)を表す指標であり、靭性指標Fは建物の強度を表す指標である。
  3. 形状指標SDは、建物の平面・立面形状の不整形性(ピロティの有無や吹抜け・偏心等)を評価する指標であり、不整形であるほどSDの値は小さくなる。
  4. 経年指標Tは、建物の経年による劣化(ひび割れ・老朽化等)の程度を評価する指標である。

解答・解説

正答は2です。

強度指標Cと靭性指標Fの役割が逆になっています。強度指標Cは建物が保有する耐力(強さ)を表す指標であり、靭性指標Fは建物の粘り強さ(変形性能)を表す指標です。この2つを掛け合わせたものが、地震に対する建物の保有性能を表す基本的な指標(Eo)となります。

  • 選択肢1は、Is値の算定式(Eo×SD×T)の骨格であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、形状指標SDが建物の不整形性を評価し、不整形であるほど値が小さくなるという性質であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、経年指標Tが建物の経年劣化の程度を評価する指標であるという記述であり正しい記述です。

耐震診断のIs値は、強度(C)と靭性(F)という性質の異なる2つの指標を掛け合わせている点がポイントです。似た用語の意味を入れ替える誤答は、構造科目に限らず本試験全体で頻出のパターンであり、CとFのように紛らわしい2つの用語がセットで登場する論点は特に注意が必要です。


問20(免震構造:免震材料の特性)

免震構造に用いられる免震部材の特性に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 積層ゴムを用いたアイソレータの水平剛性やダンパーの減衰性能は、周囲の気温変化にかかわらず一定であり、温度依存性を考慮する必要はない。
  2. 鉛プラグ入り積層ゴムは、積層ゴムの復元力に加え、内部の鉛プラグの塑性変形による減衰効果をあわせ持つ免震部材である。
  3. 免震部材は、長期にわたる繰り返しの地震動や経年変化によって性能が変化する可能性があるため、定期的な点検・維持管理が必要とされている。
  4. 免震層の設計にあたっては、免震部材の性能のばらつき(製造誤差等)を考慮した上限値・下限値の設計用値を用いて検討することが一般的である。

解答・解説

正答は1です。

積層ゴムやダンパーなど免震部材の力学的性能(剛性・減衰性能)は、一般に温度に依存して変化する性質(温度依存性)があります。低温時には硬化して剛性が高くなる傾向があるなど、設計にあたっては使用環境の温度条件を考慮する必要があり、「気温変化にかかわらず一定」という記述は誤りです。

  • 選択肢2は、鉛プラグ入り積層ゴムの仕組み(復元力+鉛プラグの塑性変形による減衰)であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、免震部材の経年変化・繰り返し変形による性能変化と、それに対する点検・維持管理の必要性であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、免震部材の性能のばらつきを考慮した上限値・下限値による設計の考え方であり正しい記述です。

免震構造は「地震力を大幅に低減できる」という利点が強調されがちですが、免震部材そのものの性能が温度や経年、繰り返し変形によって変化しうるという点は、設計・維持管理の両面で見落としてはいけない基本知識です。免震構造の限界(万能ではない)という視点は、免震部材そのものの性能条件という切り口でも問われうるため、あわせて確認しておいてください。


問21(制振構造:同調質量ダンパーTMD)

制振構造に用いられる同調質量ダンパー(TMD)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 同調質量ダンパー(TMD)は、建物本体に付加した質量とばね・ダンパーによって、建物の特定の振動モードに同調させ、共振現象を利用して制振効果を発揮する装置である。
  2. TMDの効果を発揮させるためには、付加質量の固有周期を、抑制したい建物の振動モードの固有周期に近づけて調整する必要がある。
  3. TMDは建物の構造躯体に直接組み込むダンパー(鋼材系・オイル系等)と同一の仕組みであり、付加質量を用いる制振装置ではない。
  4. TMDは、高層建築物の風による揺れの低減にも用いられることがある。

解答・解説

正答は3です。

TMDは、建物本体とは別に「付加質量」をばね・ダンパーを介して取り付け、その付加質量の振動を建物の特定の振動モードに同調させることで制振効果を発揮する装置です。構造躯体に直接組み込む鋼材系・オイル系等のダンパーとは仕組みが異なり、「付加質量を用いる制振装置ではない」という記述は、TMDの基本的な定義を取り違えた誤りです。

  • 選択肢1は、TMDの基本的な仕組み(付加質量による共振現象の利用)であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、TMDの効果を発揮させるための調整条件(固有周期の近似)であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、TMDが高層建築物の風応答低減にも用いられるという実務上の適用例であり正しい記述です。

制振部材にはTMDのように付加質量を用いるものだけでなく、鋼材系・オイル系・粘性系・粘弾性系のダンパーのように構造躯体に組み込むものなど複数の種類があります。それぞれの仕組みの違いを混同しないことが、制振構造の理解の第一歩です。


問22(RC造:破壊形式と保証設計)

鉄筋コンクリート造の梁・柱の破壊形式と保証設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 鉄筋コンクリート造の梁・柱の耐震設計では、脆性的な破壊であるせん断破壊よりも先に、粘り強い破壊形式である曲げ降伏が生じるように設計することが望ましいとされる。
  2. 保証設計とは、部材がせん断破壊のような脆性的な破壊を生じないよう、せん断に対する設計用せん断力を割り増して耐力を確保する設計の考え方である。
  3. 曲げ降伏を先行させる設計とすることで、地震時のエネルギー吸収能力(靭性)を確保しやすくなる。
  4. せん断破壊はせん断ひび割れの進展を伴いながら徐々に耐力が低下する破壊形式であり、曲げ降伏後の破壊に比べて変形能力(靭性)が大きい破壊形式である。

解答・解説

正答は4です。

せん断破壊は、明確な前兆が少ないまま急激に耐力が低下する脆性的な破壊形式であり、曲げ降伏後の破壊(曲げ降伏を経てから最終的に耐力が低下する破壊形式)に比べて変形能力(靭性)は小さいとされています。「変形能力が大きい破壊形式である」という記述は、曲げ降伏とせん断破壊の性質を取り違えた誤りです。

  • 選択肢1は、曲げ降伏をせん断破壊より先行させることが望ましいという耐震設計の基本方針であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、保証設計の定義(せん断に対する設計用せん断力の割増し)であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、曲げ降伏を先行させることで靭性を確保しやすくなるという記述であり正しい記述です。

「曲げ降伏=粘り強い(靭性が大きい)」「せん断破壊=脆い(靭性が小さい)」という対比は、RC造の耐震設計における最も基本的な前提です。この前提を踏まえたうえで、保証設計がなぜせん断破壊を防止する方向で行われるのかという理由まで理解しておくと、初見の切り口の問題にも対応しやすくなります。


問23(RC造:ひび割れの発生方向)

鉄筋コンクリート造部材に生じるひび割れの発生方向に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 単純梁の曲げひび割れは、一般に部材軸にほぼ直交する方向(垂直方向)に、引張側(下端)から発生・進展する。
  2. せん断ひび割れは、一般に部材軸に対してほぼ平行な方向(水平方向)に発生し、曲げひび割れと交わることはない。
  3. 柱の付着割裂ひび割れは、主筋に沿った方向に発生することが多く、主筋の配置やかぶり厚さの不足が要因となりうる。
  4. スラブの二方向ひび割れは、四辺固定等の拘束条件や配筋方向によって、ひび割れのパターンが変化することがある。

解答・解説

正答は2です。

せん断ひび割れは、一般に部材軸に対してほぼ斜め方向(おおむね45度程度)に発生します。曲げモーメントとせん断力がともに作用する区間では、曲げひび割れとせん断ひび割れが交わったり連続したりすることもあり、「部材軸に対してほぼ平行な方向に発生し、曲げひび割れと交わることはない」という記述は、ひび割れの発生方向を取り違えた誤りです。

  • 選択肢1は、曲げひび割れが部材軸にほぼ直交する方向に、引張側から発生するという記述であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、付着割裂ひび割れが主筋に沿った方向に発生し、かぶり厚さ不足等が要因となりうるという記述であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、スラブの二方向ひび割れが拘束条件・配筋方向によってパターンが変化するという記述であり正しい記述です。

ひび割れの発生方向は、力の伝わり方(曲げによる引張、せん断による斜め方向の主応力)と直結しており、「なぜその方向にひび割れが生じるのか」を理屈で理解しておくと、方向を入れ替えた誤答にも惑わされにくくなります。ひび割れの向きは近年の本試験でも問われた実績のある論点で、令和8年度も注意しておきたい分野です。


問24(構造材料:鉄筋の降伏比)

鉄筋の強度特性に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 降伏比は、鋼材の降伏点(耐力)を引張強さで除した値であり、この値が大きいほど、降伏後破断に至るまでの余裕(塑性変形能力)が大きいとされる。
  2. SD345等のJIS規格に定める鉄筋は、規格上の降伏点に上限・下限の範囲が設けられており、実際の降伏点にはばらつきがある。
  3. 保証設計(柱・梁のせん断破壊防止等)を確実に行うためには、主筋等の実際の降伏点が規格上の下限値よりも大きくなる可能性を見込んで、せん断設計用の応力を割り増すという考え方が用いられることがある。
  4. 鉄筋の強度が高いSD390やSD490等は、SD345等と比較して降伏点が高い分、同じ引張力に対して必要な鉄筋量(断面積)を減らせる場合がある。

解答・解説

正答は1です。

降伏比(降伏点/引張強さ)は、値が大きいほど降伏点と引張強さが近く、降伏後破断に至るまでの余裕が小さいとされます。逆に降伏比が小さいほど、降伏してから破断に至るまでの間に大きな塑性変形(粘り強さ)を発揮できる余裕があります。「降伏比が大きいほど余裕(塑性変形能力)が大きい」という記述は、関係が逆になっており誤りです。

  • 選択肢2は、JIS規格の鉄筋には降伏点の上限・下限が定められ、実際の降伏点にばらつきがあるという記述であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、保証設計において実際の降伏点が規格の下限値より大きくなる可能性を見込んでせん断設計用応力を割り増すという考え方であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、高強度鉄筋を用いることで必要な鉄筋量を減らせる場合があるという記述であり正しい記述です。

降伏比は「大きい=余裕がある」と誤解しやすい指標ですが、実際は逆で、降伏比が小さいほど破断までの余裕(塑性変形能力)が大きいという関係になります。数値の大小と性能の良し悪しが直感と逆になる論点は、構造材料の分野で繰り返し問われるパターンです。


問25(S造:柱梁接合部のダイアフラム)

鉄骨造の柱梁接合部に用いるダイアフラムの種類に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 通しダイアフラムは、柱を梁位置で切断し、梁フランジと同厚の鋼板(ダイアフラム)を挟み込んで柱を再度接合する形式である。
  2. 内ダイアフラムは、角形鋼管等の柱の内部にダイアフラムを設ける形式であり、柱を切断する必要がない。
  3. 外ダイアフラムは、柱を切断したうえで柱の内部に鋼板を挿入し、さらに柱の外側にも同じ鋼板を突出させる、通しダイアフラムと内ダイアフラムを組み合わせた形式である。
  4. いずれの形式も、梁フランジからの応力を確実に柱に伝達できるよう、ダイアフラムの板厚・溶接方法を適切に設計する必要がある。

解答・解説

正答は3です。

外ダイアフラムは、柱を切断せず、柱の外側に鋼板を突出させて設ける形式です。柱の内部に鋼板を挿入する操作は行わず、内ダイアフラムとは対をなす(柱内部か柱外部かで区別される)別の形式です。「柱を切断したうえで柱内部に鋼板を挿入し、さらに外側にも突出させる」という記述は、通しダイアフラム・内ダイアフラム・外ダイアフラムそれぞれの定義を混同した誤りです。

  • 選択肢1は、通しダイアフラムの定義(柱の切断+梁位置での鋼板の挟み込み)であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、内ダイアフラムの定義(柱を切断せず内部に鋼板を設置)であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、いずれの形式でも応力伝達を確実にする設計が必要という記述であり正しい記述です。

3種類のダイアフラム(通し・内・外)は、「柱を切断するかどうか」「鋼板を柱の内側に設けるか外側に設けるか」という2つの軸で整理すると区別しやすくなります。似た名称の工法を横断的に比較する問題は構造科目の定番で、令和8年度も出題可能性が高いと筆者は考えています。


問26(S造・制振:座屈拘束ブレース)

座屈拘束ブレース(BRB)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 座屈拘束ブレースは、軸力を負担する芯材(鋼材等)の周囲を、座屈を拘束するための鞘管(さやかん)とモルタル等の充填材で覆った構造の筋かい部材である。
  2. 座屈拘束ブレースは、引張力だけでなく圧縮力を受けた場合にも座屈が拘束されているため、引張時と同程度の耐力を圧縮時にも発揮しやすい。
  3. 座屈拘束ブレースは、地震時の変形を繰り返し受けても芯材が安定して降伏・塑性化することで、エネルギー吸収装置(制振部材)としての機能をあわせ持つ。
  4. 座屈拘束ブレースは、芯材が座屈することを前提として設計される部材であり、通常の筋かい(座屈拘束のないブレース)と比較して、圧縮側の耐力は座屈拘束のない筋かいよりも低くなる。

解答・解説

正答は4です。

座屈拘束ブレースは、その名のとおり芯材の座屈を鞘管等で拘束することを前提として設計される部材です。座屈が拘束されているため、圧縮力を受けても座屈による耐力低下が生じにくく、圧縮側の耐力は座屈拘束のない通常の筋かいよりも低下しにくい(高く確保しやすい)のが特徴です。「芯材が座屈することを前提とし、圧縮側の耐力が通常の筋かいより低くなる」という記述は、前提と結論の両方が座屈拘束ブレースの本来の特徴と逆になっており誤りです。

  • 選択肢1は、座屈拘束ブレースの構造(芯材+鞘管+充填材)であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、圧縮時にも引張時と同程度の耐力を発揮しやすいという特徴であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、繰り返し変形を受けても安定して塑性化し、制振部材としての機能をあわせ持つという記述であり正しい記述です。

通常の筋かいは圧縮力を受けると座屈して耐力が急激に低下しますが、座屈拘束ブレースはこの弱点を解消し、引張・圧縮のいずれでも安定した性能を発揮できることが最大の特長です。この「座屈を拘束する」という名称の意味そのものを問う問題は、細部の数値よりも部材の基本コンセプトの理解を確認する良い切り口だと筆者は考えています。


問27(地盤:標準貫入試験とN値)

地盤調査の標準貫入試験とN値に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 標準貫入試験によるN値は、地盤の硬軟・締まり具合を表す指標であり、一般にN値が大きいほど、その地盤の許容応力度は小さくなる傾向がある。
  2. 標準貫入試験によるN値は、質量63.5kgのハンマーを76cmの高さから自由落下させてサンプラーを打撃し、サンプラーが地盤に30cm貫入するのに要した打撃回数として求められる(最初の15cmは予備打ちとして回数に含めない)。
  3. N値は砂質地盤・粘性地盤のいずれにおいても支持力の評価に用いることはできず、粘着力や内部摩擦角などの土質定数とは無関係な数値である。
  4. N値0の地盤であっても、盛土や地盤改良等の対策を行わなくても、そのまま直接基礎の支持地盤として通常どおり用いることができる。

解答・解説

正答は2です。

標準貫入試験は、質量63.5kgのハンマーを76cmの高さから自由落下させてサンプラーを打撃し、最初の15cmを予備打ちとしたうえで、その後の30cmの貫入に要した打撃回数をN値とする試験方法です。

  • 選択肢1は誤りです。一般にN値が大きい(地盤が硬く締まっている)ほど、その地盤の許容応力度は大きくなる傾向があり、記述の関係は逆になっています。
  • 選択肢3は誤りです。N値からは、砂質地盤の内部摩擦角や、粘性地盤の一軸圧縮強度(粘着力)の目安を推定する経験式が広く用いられており、「無関係な数値」ではありません。
  • 選択肢4は誤りです。N値0程度の地盤は非常に軟弱であり、そのまま直接基礎の支持地盤として用いるのは一般に不適切で、地盤改良や杭基礎等の対策が必要となります。

標準貫入試験の試験方法そのもの(ハンマー質量・落下高さ・貫入量)は、地盤調査の分野で最も基本的な数値です。N値の大小と地盤の強さ・許容応力度の関係(N値が大きいほど地盤は良好)とあわせて、正確に押さえておきたい論点です。


問28(基礎:偏心荷重時の接地圧分布)

直接基礎に鉛直荷重と偏心モーメントが同時に作用する場合の地盤反力(接地圧)分布に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 直接基礎に鉛直荷重と偏心モーメントが同時に作用する場合、基礎底面に生じる地盤反力(接地圧)の分布は、矩形(一様分布)になり、偏心の大小によって分布形状が変化することはない。
  2. 偏心距離が基礎幅に対して比較的小さい場合、地盤反力の分布は台形分布となり、荷重の作用点に近い側で反力が大きくなる。
  3. 偏心距離がある限度(基礎底面の核(コア)の範囲)を超えると、基礎の一部が地盤から浮き上がり、接地圧の分布は三角形分布となる。
  4. 偏心荷重を受ける基礎の設計では、接地圧の分布が不均一になることにより基礎の一部に過大な反力が集中しないよう、基礎スラブの断面や配筋の検討が必要となる。

解答・解説

正答は1です。

偏心モーメントが作用する直接基礎の接地圧分布は、偏心距離の大小に応じて台形分布三角形分布へと変化します。偏心がまったくない(鉛直荷重のみが基礎の中心に作用する)場合を除き、分布が一様な矩形分布になるわけではなく、「偏心の大小によって分布形状が変化することはない」という記述は誤りです。

  • 選択肢2は、偏心距離が比較的小さい場合の台形分布とその傾向であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、偏心距離が核の範囲を超えた場合の浮き上がりと三角形分布であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、接地圧の不均一化を踏まえた基礎スラブの断面・配筋検討の必要性であり正しい記述です。

接地圧分布は、偏心距離が小さいほど一様分布に近づき、偏心距離が大きくなるにつれて台形分布、さらに核の範囲を超えると三角形分布(部分浮き上がり)へと変化するという段階的な関係を理解しておくと、初見の偏心距離の条件が与えられても対応しやすくなります。


問29(荷重・外力:積載荷重の低減)

建築基準法施行令における積載荷重の考え方に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 積載荷重は、床の構造計算をする場合、大梁・柱又は基礎の構造計算をする場合、地震力を計算する場合の3つの区分ごとに、異なる数値(大きい順に床用>大梁・柱・基礎用>地震力用)が定められている。
  2. 積載荷重が地震力の計算用に低減されているのは、建築物全体が同時に最大積載状態になる可能性は低く、実況に応じて地震力を合理的に評価するためである。
  3. 大梁・柱又は基礎の構造計算に用いる積載荷重の数値は、床の構造計算に用いる数値よりもさらに大きく設定されている。
  4. 同じ室(用途)であっても、支える部材や検討する荷重の種類によって、用いるべき積載荷重の数値が異なる点に注意が必要である。

解答・解説

正答は3です。

大梁・柱又は基礎の構造計算に用いる積載荷重の数値は、床の構造計算に用いる数値よりも小さく設定されています。大梁・柱・基礎が支える床面積が広くなるほど、すべての床が同時に最大積載状態になる可能性は低くなるため、実況に応じて低減されているためです。「床用の数値よりもさらに大きく設定されている」という記述は、大小関係が逆になっており誤りです。

  • 選択肢1は、積載荷重が3区分(床用・大梁柱基礎用・地震力用)に分かれ、床用が最大、地震力用が最小になるという記述であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、地震力用の積載荷重が低減されている理由であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、同じ室用途でも検討対象によって用いる数値が異なるという注意点であり正しい記述です。

積載荷重は「床用>大梁・柱・基礎用>地震力用」という大小関係を、なぜその順になるのか(支える範囲が広がるほど、あるいは同時載荷を想定する荷重の性質が変わるほど、実況に応じて低減される)という理由とセットで覚えておくと、数値を入れ替えた誤答にも対応しやすくなります。


問30(構造計画:混構造の設計上の配慮)

上部構造と下部構造で構造種別が異なる混構造建築物の設計に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 混構造建築物は、上下で構造種別が異なることにより、それぞれの階の固有周期が独立して算定されるため、建物全体としての振動特性を検討する必要はない。
  2. 上部を鉄骨造、下部を鉄筋コンクリート造とする混構造建築物では、構造種別が切り替わる境界階において、剛性や重量が急激に変化しないよう、耐震設計上の配慮が必要となる。
  3. 混構造建築物における剛性率・偏心率の確認は、上部構造・下部構造のうち階数の多い側について行えばよく、階数の少ない側については確認する必要はない。
  4. 上部構造と下部構造の構造種別が異なる混構造は、構造計算上、特別な検討を要することはなく、単一構造種別の建築物と全く同じ設計手法で対応できる。

解答・解説

正答は2です。

上部と下部で構造種別が異なる混構造建築物では、構造種別が切り替わる境界階で剛性や重量が急激に変化しやすく、地震時にその階に変形や応力が集中しやすくなります。そのため、境界階の剛性・重量の急変を抑える耐震設計上の配慮が必要とされます。

  • 選択肢1は誤りです。混構造建築物であっても、建物全体を一体の構造物として振動特性(固有周期・振動モード等)を検討する必要があり、各階の固有周期が独立して算定されるわけではありません。
  • 選択肢3は誤りです。剛性率・偏心率の確認は、階数の多寡にかかわらず、上部構造・下部構造の両方について、建物全体の各階で行う必要があります。
  • 選択肢4は誤りです。構造種別が切り替わる混構造には、単一構造種別の建築物にはない特有の検討事項(境界階の剛性・重量急変等)があり、全く同じ設計手法で対応できるわけではありません。

混構造は、単一構造の建築物と同じ手法をそのまま当てはめられるわけではなく、構造種別が切り替わる境界部分に特有の弱点(剛性・重量の急変)が生じやすいという点を理解しておくことが重要です。この考え方は、ピロティ階における剛性率の低下という論点とも共通する視点です。


まとめ

以上、本試験と同じ構造30問の直前模試でした。力学系の計算問題(問1〜問11)では、値を求める問題だけでなく、断面二次モーメント・たわみ・座屈荷重の大小関係を答える比較形式の問題も含めています。比較形式は公式を暗記しているだけでは解けず、複数の条件を整理して相対的に判断する力が問われるため、直前期の総仕上げとして特に有効な練習になります。

木造の壁量基準見直し・構造計算対象規模の拡大(300㎡超)・座屈長さの復活出題という令和8年注目の3論点(問5・問12〜問18)は、法改正セミナー等でも重点分野として繰り返し指摘されているテーマです。制度の数値そのものだけでなく、「なぜその改正が行われたのか」「対象が広がったのか狭まったのか」という方向性まで押さえておくと、初見の切り口で問われても対応しやすくなります。

明日はいよいよ本試験です。この模試で間違えた論点があれば、当日の朝までに該当分野を中心に見直しておくことをおすすめします。時間配分(構造30問で目安90分)を意識しながら、まず全問に目を通して解ける問題から解答し、時間のかかりそうな計算問題は後回しにするという進め方も、本番では有効な戦略です。健闘をお祈りしています。

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