【令和8年度】一級建築士 学科「構造」予想問題 第5集|地盤・基礎・建築材料・構造計画20問
一級建築士学科試験の「構造」予想問題シリーズは、第1集で力学・荷重・各種構造を横断する直前予想15問、第2集で構造力学の計算問題に絞った20問、第3集でRC造・S造・木造という各種構造の文章題20問を掲載してきました。この第5集では、これまで扱いきれなかった地盤・基礎構造(地盤調査・直接基礎・杭基礎・液状化)、建築材料(コンクリート・鋼材・木材の性質)、構造計画(架構計画・耐震計画の考え方)の3分野に的を絞り、完全オリジナルの20問を用意しました。第4集では荷重・耐震設計・免震制振の分野を扱っていますので、あわせて確認すると構造科目の主要分野をほぼ一巡できる構成になっています。
地盤・基礎、建築材料、構造計画は、力学の計算問題やRC造・S造の配筋原則ほど「暗記量が多い」という印象を持たれがちな分野ではありませんが、実際には「支持杭と摩擦杭の定義」「水セメント比と強度・耐久性の関係」「偏心率とねじれ変形」のように、2つの概念の関係を逆にした誤答が作りやすいという点で他分野と共通しています。この記事では、地耐力の簡単な検算や集成材の許容耐力の計算も交え、暗記だけでなく数値を扱う感覚も確認できる構成にしました。
本記事(第5集)をもって、シリーズ全体では第1集15問・第2集〜第5集各20問の合計95問と、ほぼ100問規模の構造科目の予想問題を用意したことになります。苦手分野を集中的に演習したい場合は、各集の出題傾向の表から該当分野の問題番号を探して取り組むという使い方もおすすめです。
なお、本問題集は筆者(当サイト)が独自に作成した予想問題であり、実際の試験問題の的中や出題を保証するものではありません。受験にあたっては最新の法令・公式発表をご確認ください。
出題傾向と予想の考え方
地盤・基礎、建築材料、構造計画は、いずれも1分野あたりの出題数こそ1〜3問程度にとどまるものの、範囲が広く、力学の計算問題のように公式を当てはめるだけでは解けない「理屈の理解」が問われる分野です。以下の表は、今回の20問がどの分野に対応しているかを整理したものです。
| 分野 | 頻出度 | 対応する問題番号 | 関連記事 |
|---|---|---|---|
| 地盤調査・地盤の性質(ボーリング・N値・砂質土と粘性土) | ★★☆ | 問1〜問2 | 基礎と地盤の基礎 |
| 基礎形式(直接基礎・杭基礎) | ★★☆ | 問3〜問4 | 基礎と地盤の基礎 |
| 液状化・不同沈下・圧密沈下 | ★★★ | 問5〜問6 | 基礎と地盤の基礎 |
| 地耐力・接地圧の計算 | ★★☆ | 問7 | 基礎と地盤の基礎 |
| コンクリートの性質(水セメント比・中性化) | ★★★ | 問8〜問9 | 建築材料の基礎 |
| 鋼材の性質(強度・靭性・防錆) | ★★☆ | 問10〜問11 | 建築材料の基礎 |
| 木材の性質(含水率・異方性・強度等級) | ★★☆ | 問12〜問13 | 建築材料の基礎 |
| 材料の許容耐力の計算 | ★★☆ | 問14 | 建築材料の基礎 |
| 構造計画(偏心・剛性率・ピロティ・架構の整形性) | ★★★ | 問15〜問17 | 構造計画の基礎 |
| 構造計画(エキスパンションジョイント・強度型と靭性型・基礎形式の統一) | ★★☆ | 問18〜問20 | 構造計画の基礎 |
地盤・基礎は液状化・不同沈下のように被害と直結する論点の出題頻度が高く、建築材料はコンクリートの水セメント比のように「何を変えると何が変わるか」という因果関係を問う出題が中心です。構造計画は個別の計算問題というより「望ましい計画・望ましくない計画」を見分ける一般論として出題される傾向が強く、暗記よりも理屈の理解が得点に直結します。
予想問題20問
問1(地盤:調査方法)
地盤調査に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- ボーリング調査は地盤を掘削してサンプルを採取し、地層構成を確認する調査であり、標準貫入試験と組み合わせて各深度のN値を得ることができる。
- スウェーデン式サウンディング試験は、おもりの荷重とロッドを回転させる際の抵抗から地盤の強さを推定する簡易な調査方法で、戸建住宅など小規模な建築物で用いられることが多い。
- スウェーデン式サウンディング試験は、ボーリング調査に比べて得られる情報の精度や深度方向の把握のしやすさに限界があるため、建築物の規模・重要度に応じて調査方法を使い分ける必要がある。
- 標準貫入試験によって得られるN値は地盤の締まり具合を示す指標であり、同じN値であれば土質にかかわらず地盤の支持力は同一とみなしてよい。
解答・解説
正答: 4
選択肢4が不適当です。N値は地盤の締まり具合・硬軟を示す指標として広く使われますが、砂質土と粘性土では強度の発現メカニズムが異なるため、同じN値であっても土質が異なれば地盤の支持力は同一とはみなせません。N値だけで地盤の良し悪しを判断せず、土質区分とあわせて評価することが実務上のポイントです。
- 選択肢1は、ボーリング調査と標準貫入試験の関係(地層構成とN値を得る手続き)であり正しい記述です。
- 選択肢2は、スウェーデン式サウンディング試験の仕組みと主な適用場面であり正しい記述です。
- 選択肢3は、スウェーデン式サウンディング試験の限界と使い分けの考え方であり正しい記述です。
地盤調査は「どの方法で何が分かるか」という対応関係が問われやすい論点です。N値は万能の指標ではなく、土質とセットで評価するという視点を、令和8年度に向けて押さえておいてください。詳しくは基礎と地盤の基礎を参照してください。
問2(地盤:砂質土・粘性土の性質)
地盤の土質と強度の発現メカニズムに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 砂質土は粒子同士の摩擦(かみ合わせ)によって強度を発揮し、粘性土は粒子間の粘着力によって強度を発揮する。
- 粘性土は透水性が高く、荷重をかけても短期間で沈下が収束するという特徴を持つ。
- 緩い砂質土は、地下水位が低いほど地震時の液状化のリスクが高まる。
- 粘性土は粒子同士の摩擦によって強度を発揮し、砂質土は粒子間の粘着力によって強度を発揮する。
解答・解説
正答: 1
選択肢1が正しい記述です。砂質土は粒子同士のかみ合わせ(摩擦)によって強度を発揮する性質があり、粘性土は粒子間の粘着力によって強度を発揮する性質があります。この違いが、後述する圧密沈下(粘性土)や液状化(砂質土)といった、土質ごとに異なるリスクの違いにもつながっています。
- 選択肢2は誤りです。粘性土は粒子が細かく水を含みやすいため透水性は低く、荷重をかけてから水分が抜けるまでに年単位の時間がかかる圧密沈下が生じやすいという特徴があります。「透水性が高く短期間で収束する」という記述は誤りです。
- 選択肢3は誤りです。液状化は地下水位が「高く」緩い砂質土地盤で生じやすい現象であり、「地下水位が低いほどリスクが高まる」という記述は関係が逆です。
- 選択肢4は誤りです。砂質土と粘性土の強度発現メカニズムが入れ替わっており誤りです。
砂質土=摩擦、粘性土=粘着力という対応関係は、圧密沈下・液状化という後続の論点の土台になる基本事項です。令和8年度も、この対応関係を入れ替えた誤答には注意が必要です。
問3(基礎:直接基礎の種類)
直接基礎に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 直接基礎は独立基礎・布基礎・べた基礎に大別され、良好な支持地盤が比較的浅い位置にある場合に適した基礎形式である。
- べた基礎は建築物の底面全体を一枚の基礎スラブで支える形式であり、独立基礎に比べて建築物の荷重を広い面積に分散させやすい。
- 布基礎は壁や連続する柱列を帯状の基礎で支える形式である。
- 直接基礎は一般に杭基礎よりも工事費・工期の負担が大きいため、支持層が浅い位置にある場合でも杭基礎が優先的に選定される。
解答・解説
正答: 4
選択肢4が不適当です。直接基礎は、良好な支持地盤が浅い位置にある場合に採用され、一般に杭基礎に比べて工事費を抑えやすい形式です。支持層が浅い位置にあり、直接基礎で必要な支持力が確保できる場合には、コスト面から直接基礎が優先的に検討されるのが一般的な考え方であり、「工事費・工期の負担が大きく、杭基礎が優先される」という記述は誤りです。
- 選択肢1は、直接基礎の分類と適用条件であり正しい記述です。
- 選択肢2は、べた基礎の特徴(底面全体で荷重を分散)であり正しい記述です。
- 選択肢3は、布基礎の定義であり正しい記述です。
直接基礎と杭基礎のどちらが有利かは、支持層の深さだけでなくコストの傾向とセットで問われやすい論点です。「支持層が浅ければ直接基礎、深ければ杭基礎」という基本の対応関係を、令和8年度に向けて確認しておいてください。
問4(基礎:杭基礎の支持杭・摩擦杭)
杭基礎に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 支持杭は杭先端が支持層に到達し、先端抵抗によって荷重を支持する杭であり、摩擦杭は杭周面と地盤との摩擦力によって荷重を支持する杭である。
- 摩擦杭は支持層が浅い位置にある場合にのみ採用される杭形式であり、支持層が深い地盤では使用できない。
- 支持杭・摩擦杭のいずれを採用する場合であっても、杭基礎は直接基礎に比べて一般に工事費・工期の負担が小さくなる傾向がある。
- 摩擦杭は杭先端が支持層に到達しないことを前提とした杭形式であるため、地盤の許容支持力にかかわらず杭径・杭長を自由に短縮してよい。
解答・解説
正答: 1
選択肢1が正しい記述です。支持杭は杭先端を支持層に到達させ、その先端抵抗力によって荷重を支持する杭であり、摩擦杭は明確な支持層が深く、杭を到達させることが難しい場合などに、杭周面と地盤との摩擦力によって荷重を支持する杭です。
- 選択肢2は誤りです。摩擦杭は、明確な支持層が「深い」位置にあり周面摩擦を活用する場合などに検討される杭形式であり、「支持層が浅い場合にのみ採用される」という記述は誤りです。
- 選択肢3は誤りです。杭基礎は一般に直接基礎よりも工事費・工期の面で負担が大きくなる傾向があり、記述は逆です。
- 選択肢4は誤りです。摩擦杭であっても、必要な支持力を確保できるだけの杭径・杭長・本数を地盤調査の結果に基づいて設計する必要があり、「許容支持力にかかわらず自由に短縮してよい」という記述は誤りです。
支持杭・摩擦杭は定義そのものよりも、どのような地盤条件で検討されるか、コスト面でどのような傾向があるかという周辺知識とあわせて問われやすい論点です。令和8年度も、定義と適用条件の両方を押さえておくことをおすすめします。
問5(地盤:液状化と対策)
液状化に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 液状化は、地下水位が高く緩い砂質土地盤が地震動を受けることで間隙水圧が上昇し、地盤がせん断強度を失う現象である。
- 液状化が生じると、建築物の不同沈下やマンホールなど地中埋設物の浮き上がりといった被害が生じることがある。
- 液状化対策としては、地盤改良によって地盤の密度を高める方法のほか、杭を液状化層より深い支持層まで到達させる基礎形式を選定する方法もある。
- 液状化対策は地盤改良のみが唯一有効な手段であり、基礎形式の工夫によって液状化の被害を軽減することはできない。
解答・解説
正答: 4
選択肢4が不適当です。液状化対策には、地盤改良によって地盤の密度を高める方法だけでなく、杭を液状化層より深い支持層まで到達させる基礎形式を選定するという方法もあります。地盤改良と基礎形式の工夫は、いずれも液状化対策として組み合わせて検討されるものであり、「地盤改良のみが唯一有効」という記述は誤りです。
- 選択肢1は、液状化のメカニズム(地下水位が高く緩い砂質土+地震動+間隙水圧上昇)であり正しい記述です。
- 選択肢2は、液状化による被害の例(不同沈下・地中埋設物の浮き上がり)であり正しい記述です。
- 選択肢3は、液状化対策の2つの代表的な方向性(地盤改良・基礎形式の工夫)であり正しい記述です。
液状化は発生メカニズム(土質・地下水位・地震動)だけでなく、対策の選択肢が複数あるという点も問われやすい論点です。「地盤改良だけが唯一の対策」という決めつけには注意が必要です。
問6(地盤:不同沈下・圧密沈下)
不同沈下・圧密沈下に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 不同沈下は建築物の各部分で沈下量が異なる現象であり、建築物全体が均等に沈下する等沈下とは区別される。
- 圧密沈下は主に軟弱な粘性土において、荷重をかけた後に地盤中の水分が時間をかけて排出されることで生じる沈下であり、年単位の時間をかけて進行する。
- 不同沈下は増築部分と既存部分で基礎形式や支持地盤が異なる場合にも生じやすく、建具の開閉不良や設備配管の損傷といった使用上の不具合につながることがある。
- 圧密沈下は載荷直後に急激に生じる現象であり、時間の経過とともに沈下量が元の状態まで回復していく。
解答・解説
正答: 4
選択肢4が不適当です。圧密沈下は、粘性土中の水分が時間をかけて排出されることで年単位の時間をかけて進行する現象であり、載荷直後に急激に生じるものではありません。また、水分が排出されて生じた沈下は元の状態まで回復するものではなく、「載荷直後に急激に生じ、時間とともに沈下量が回復する」という記述は誤りです。
- 選択肢1は、不同沈下と等沈下の区別であり正しい記述です。
- 選択肢2は、圧密沈下のメカニズムと時間的特徴であり正しい記述です。
- 選択肢3は、不同沈下が生じやすい条件と使用上の不具合であり正しい記述です。
圧密沈下は「時間をかけてゆっくり進行し、回復しない」という時間的な性質が最大のポイントです。不同沈下との定義の違い(現象そのものか、状態を指す言葉か)とあわせて、令和8年度に向けて整理しておいてください。
問7(計算:べた基礎の接地圧)
ある建築物の固定荷重・積載荷重等の総重量が2,400kNであり、べた基礎の底面積が80m²、この地盤の長期許容応力度が40kN/m²であるとき、基礎の接地圧の値と、地盤の支持力に対する判定の組み合わせとして、正しいものはどれか。
- 接地圧30kN/m²、長期許容応力度(40kN/m²)を下回っており支持力上問題ない
- 接地圧30kN/m²、長期許容応力度(40kN/m²)を上回っており支持力が不足している
- 接地圧40kN/m²、長期許容応力度と等しく、余裕のない状態である
- 接地圧20kN/m²、長期許容応力度(40kN/m²)を下回っており支持力上問題ない
解答・解説
正答: 1
べた基礎の接地圧は、建築物の総重量を基礎の底面積で除して求めます。
- 接地圧 = 総重量/基礎底面積 = 2,400kN/80m² = 30kN/m²
求めた接地圧30kN/m²は、地盤の長期許容応力度40kN/m²を下回っているため、支持力上問題ないと判定できます。よって選択肢1が正しい組み合わせです。
- 選択肢2は、正しい接地圧(30kN/m²)を求めながら、許容応力度との大小関係を逆に読み違えた値です。
- 選択肢3は、基礎底面積を誤って60m²として計算した値(2,400/60=40)です。
- 選択肢4は、基礎底面積を誤って120m²として計算した値(2,400/120=20)です。
接地圧の計算は「総重量÷基礎面積」という単純な式ですが、接地圧と地盤の許容応力度のどちらが大きいかという大小関係を正しく判定できるかが問われる点に注意が必要です。詳しくは基礎と地盤の基礎を参照してください。
問8(コンクリート:水セメント比とスランプ)
コンクリートの水セメント比・スランプに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 水セメント比が小さいほど、一般にコンクリートの強度は高くなりやすく、組織が緻密になることで耐久性も高まりやすい。
- スランプはコンクリートの軟らかさ(流動性)を表す指標であり、スランプが大きいほど打ち込みやすくなる一方、水分量が多くなりがちで強度や耐久性に影響することがある。
- 水セメント比を下げすぎると、練り混ぜたコンクリートの流動性が低下し、型枠の隅々まで行き渡らせにくくなることがある。
- 水セメント比は強度にのみ影響する要素であり、コンクリートの耐久性(中性化抵抗性等)には関係しない。
解答・解説
正答: 4
選択肢4が不適当です。水セメント比を下げると、コンクリートの組織が緻密になることで強度が高まるだけでなく、二酸化炭素や水分の浸入経路が少なくなるため中性化抵抗性などの耐久性も高まりやすくなります。「水セメント比は強度にのみ影響し、耐久性には関係しない」という記述は誤りです。
- 選択肢1は、水セメント比と強度・耐久性の関係であり正しい記述です。
- 選択肢2は、スランプの定義と打ち込みやすさ・耐久性への影響であり正しい記述です。
- 選択肢3は、水セメント比を下げすぎた場合の施工性への悪影響であり正しい記述です。
水セメント比は「強度」「耐久性」「施工性」という3つの性質すべてに関わるという点が最大のポイントです。強度だけに影響すると誤解させる選択肢は作りやすいため、令和8年度も注意しておきたい論点です。詳しくは建築材料の基礎を参照してください。
問9(コンクリート:中性化・乾燥収縮)
コンクリートの中性化に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 中性化は空気中の二酸化炭素がコンクリート内部に浸透し、本来アルカリ性であるコンクリートが徐々に中性に近づいていく現象であり、中性化が鉄筋位置まで進行すると鉄筋の発錆・膨張によるひび割れのリスクが高まる。
- 中性化はコンクリートの圧縮強度を直接的に大きく低下させる現象であり、鉄筋の腐食とは無関係である。
- 乾燥収縮はコンクリートが水分を吸収して体積が膨張する現象であり、ひび割れの原因にはならない。
- コンクリートのアルカリ性は鉄筋の腐食を促進する性質であるため、中性化が進行するとむしろ鉄筋を保護する効果が生まれる。
解答・解説
正答: 1
選択肢1が正しい記述です。コンクリートのアルカリ性は内部の鉄筋を錆から守る役割を担っており、中性化が鉄筋位置まで進行すると、この防錆効果が失われて鉄筋の発錆・膨張が生じ、コンクリートのひび割れや剥落につながるリスクが高まります。
- 選択肢2は誤りです。中性化そのものによる圧縮強度への直接的な影響は限定的とされており、中性化が問題視される主な理由は鉄筋腐食のリスクを高める点にあります。「鉄筋の腐食とは無関係」という記述は誤りです。
- 選択肢3は誤りです。乾燥収縮はコンクリートが硬化・乾燥する過程で内部の水分が失われて体積が「収縮」する現象であり、ひび割れの発生要因の一つとして扱われます。「水分を吸収して膨張する」という記述は誤りです。
- 選択肢4は誤りです。コンクリートのアルカリ性は鉄筋を保護する性質であり、中性化はその保護効果を「失わせる」現象です。「アルカリ性が腐食を促進し、中性化が鉄筋を保護する」という記述は関係が逆です。
中性化は「コンクリート自体の強度低下」ではなく「鉄筋を守るアルカリ性が失われることによる鉄筋腐食のリスク」という因果関係が最大のポイントです。この関係を正確に理解しているかが問われます。
問10(鋼材:強度・靭性・溶接性のトレードオフ)
鋼材の性質に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 降伏点は力を取り除いても元の形に戻らなくなる塑性変形が始まる境目の応力であり、引張強さはそれ以上力を加え続けたときに材料が耐えられる最大の応力である。
- 鋼材は一般に炭素含有量が増えると強度は高まりやすい一方、靭性や溶接性は低下しやすいというトレードオフの関係があるとされている。
- SN材は降伏点・引張強さの範囲だけでなく、溶接性や靭性についても建築での使用を想定した性能が求められる、建築物向けに規格化された鋼材である。
- 鋼材の強度を高めるほど靭性・溶接性も比例して向上するため、高強度な鋼材ほど設計上あらゆる面で有利な材料といえる。
解答・解説
正答: 4
選択肢4が不適当です。鋼材は一般に炭素含有量を増やして強度を高めると、靭性や溶接性はむしろ低下しやすいというトレードオフの関係があるとされています。強度・靭性・溶接性は同時に向上する関係にはなく、「強度を高めるほど靭性・溶接性も比例して向上し、あらゆる面で有利」という記述は誤りです。
- 選択肢1は、降伏点・引張強さの定義であり正しい記述です。
- 選択肢2は、炭素含有量と強度・靭性・溶接性のトレードオフであり正しい記述です。
- 選択肢3は、SN材の位置づけであり正しい記述です。
鋼材は「強ければ強いほど良い」わけではなく、強度・靭性・溶接性のバランスで評価されるという視点が最大のポイントです。この視点は建築材料の分野全体(コンクリートの水セメント比、木材の含水率など)に共通するトレードオフの考え方でもあります。
問11(鋼材:腐食・防錆)
鋼材の腐食・防錆に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 鋼材は水分や酸素に触れることで酸化し、腐食が進行すると断面が失われて構造耐力の低下につながるため、屋外に露出する部材や結露が生じやすい部位では防錆処理や納まりの工夫が重要である。
- 鋼材は水分・酸素に触れても化学的に安定しており、腐食による断面欠損は構造耐力に影響しない。
- 塗装・めっき等の防錆処理は、鋼材の靭性を高めるために行うものであり、腐食防止とは無関係である。
- 結露が生じやすい部位では、防錆処理よりも部材断面を大きくすることが唯一の対策とされている。
解答・解説
正答: 1
選択肢1が正しい記述です。鋼材は水分・酸素に触れることで酸化(腐食)が進行しやすく、腐食によって断面が失われると構造耐力の低下につながります。屋外に露出する部材や結露が生じやすい部位では、塗装・めっきなどの防錆処理や、雨水・結露水がたまりにくい納まりの工夫が実務上のポイントになります。
- 選択肢2は誤りです。鋼材は水分・酸素に触れることで容易に酸化・腐食する材料であり、「化学的に安定しており構造耐力に影響しない」という記述は誤りです。
- 選択肢3は誤りです。防錆処理は鋼材の腐食を防ぐために行うものであり、靭性を高めるための処理ではありません。
- 選択肢4は誤りです。結露が生じやすい部位への対策は、防錆処理や納まりの工夫が実務上のポイントとされており、「部材断面を大きくすることが唯一の対策」という記述は誤りです。
鋼材は「強度・靭性・溶接性」という力学的な性質に加えて、「腐食のしやすさ」という材料そのものの弱点も持っています。防錆処理・納まりの工夫という2つの対策の方向性を、令和8年度に向けて押さえておいてください。
問12(木材:含水率・異方性)
木材の性質に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 木材は伐採直後に多くの水分を含み、乾燥が進むにつれて水分が抜け、これに伴って強度が高まり寸法も収縮していく。
- 木材は繊維方向とそれに直交する方向とで強度・変形のしやすさが大きく異なる異方性材料であり、一般に繊維方向の引張・圧縮強度は直交方向の強度より大きい。
- 含水率が高い状態のまま構造材として使用すると、乾燥が進む過程で木材が変形・収縮し、接合部にすき間が生じたり反りが出たりする原因になる。
- 木材の異方性は繊維飽和点を下回ると解消され、含水率が低下した木材は繊維方向・直交方向で等方的な(方向による差のない)強度性状を示すようになる。
解答・解説
正答: 4
選択肢4が不適当です。木材の異方性(繊維方向とそれに直交する方向で強度性状が異なる性質)は、木材そのものの繊維構造に由来するものであり、含水率が繊維飽和点を下回っても解消されるものではありません。含水率の変化は木材の強度・寸法に影響を与えますが、異方性という材料の基本的な性質そのものをなくすわけではないため、「異方性が解消され等方的になる」という記述は誤りです。
- 選択肢1は、含水率と強度・寸法変化の関係であり正しい記述です。
- 選択肢2は、木材の異方性(繊維方向が直交方向より強い)であり正しい記述です。
- 選択肢3は、含水率が高いまま使用した場合のリスクであり正しい記述です。
含水率(乾燥の程度)と異方性(繊維方向による強度差)は、木材が持つ2つの異なる性質です。一方の性質(含水率)を変化させても、もう一方の性質(異方性)は解消されないという区別が問われやすい論点です。
問13(木材:強度等級)
木材の強度等級に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 木材には目視による節・割れなどの欠点の確認による等級区分や、機械によるたわみ測定などを通じた等級区分があり、構造計算に用いる基準強度はこうした等級に応じて設定される。
- 木材の強度等級は樹種にかかわらず、全ての木材で同一の基準強度が適用される。
- 目視等級区分・機械等級区分のいずれによっても格付けは行われるが、構造計算に用いる基準強度はこうした等級とは無関係に一律で定められている。
- 強度等級による格付けは、木材だけでなくガラスやタイルなどの仕上材料にも共通して適用される考え方である。
解答・解説
正答: 1
選択肢1が正しい記述です。木材は天然材料であるがゆえに強度にばらつきが生じるため、目視による節・割れなどの欠点の確認による等級区分(目視等級)や、機械によるたわみ測定などを通じた等級区分(機械等級)が行われ、構造計算に用いる基準強度はこうした等級に応じて設定される仕組みになっています。
- 選択肢2は誤りです。基準強度は樹種によっても異なるため、「樹種にかかわらず全て同一」という記述は誤りです。
- 選択肢3は誤りです。基準強度は等級区分に応じて設定されるものであり、「等級とは無関係に一律で定められている」という記述は誤りです。
- 選択肢4は誤りです。強度等級による格付けは木材特有の考え方であり、ガラスやタイルなどの仕上材料に共通して適用されるものではありません。
木材の強度等級は、天然材料であるがゆえのばらつきを実務で扱いやすくするための仕組みです。等級と基準強度が連動しているという点を、令和8年度に向けて押さえておいてください。詳しくは建築材料の基礎を参照してください。
問14(計算:集成材の柱の許容軸方向耐力)
集成材でつくられた正方形断面の柱があり、断面は幅300mm×せい300mmとする。この柱の圧縮に対する長期許容応力度をfc=10.5N/mm²とするとき、この柱が負担できる許容軸方向耐力として、正しいものはどれか。
- 945kN
- 630kN
- 94.5kN
- 1,890kN
解答・解説
正答: 1
柱の許容軸方向耐力は、断面積に許容応力度を乗じて求めます。
- 断面積:A = 300×300 = 90,000mm²
- 許容軸方向耐力:N = fc×A = 10.5×90,000 = 945,000N = 945kN
よって選択肢1が正しい値です。
- 選択肢2(630kN)は、断面を300mm×200mmと取り違えて計算した場合の値(10.5×60,000=630,000N)です。
- 選択肢3(94.5kN)は、正しい断面積で計算した後、桁を1つ落として(10分の1にして)しまった場合の値です。
- 選択肢4(1,890kN)は、正しく求めた945kNを誤って2倍にしてしまった場合の値です。
材料の許容耐力の計算は、断面積と許容応力度を正しく掛け合わせるという単純な手順である一方、単位(mm²とN/mm²の組み合わせでN、さらにkNへの換算)を誤ると桁を間違えやすい論点です。力学の計算問題(構造力学の基礎)と同様、落ち着いて単位を確認しながら計算する練習を積んでおくことをおすすめします。
問15(構造計画:重心と剛心・偏心)
構造計画における偏心に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 建物には床の重さの中心である重心と、耐震壁や柱など水平力に抵抗する要素の強さの中心である剛心という2つの中心があり、両者がずれていると建物は水平方向の変形に加えてねじれるような回転成分を伴って変形する。
- 偏心率が大きい建物ほど、剛心から離れた位置(建物の隅の部分など)で変形が大きくなりやすく、その部分の部材に損傷が集中しやすい。
- 耐震壁を平面的にバランスよく配置し、重心と剛心を近づけることは、偏心を抑制するための基本的な構造計画の方針である。
- 偏心が生じる要因は耐震壁の配置の偏りのみであり、平面形状の非対称性や開口部の偏在、用途による重量の偏りは偏心には影響しない。
解答・解説
正答: 4
選択肢4が不適当です。偏心が生じる要因は、耐震壁・耐力壁の偏った配置だけでなく、平面形状の非対称(L字形・コの字形等)、開口部の偏在、用途による重量の偏りなど複数考えられます。「耐震壁の配置の偏りのみが要因であり、他は影響しない」という記述は誤りです。
- 選択肢1は、重心・剛心の定義とねじれ変形が生じる仕組みであり正しい記述です。
- 選択肢2は、偏心率が大きい建物の被害の傾向であり正しい記述です。
- 選択肢3は、偏心を抑制する構造計画の基本方針であり正しい記述です。
偏心は「耐震壁さえバランスよく配置すれば安心」と考えがちですが、実際には平面形状や開口部、重量の偏りなど複数の要因が重心・剛心のずれに影響します。令和8年度も、偏心を生む要因の広がりを問う出題が予想されます。詳しくは構造計画の基礎を参照してください。
問16(構造計画:剛性率とピロティ階)
剛性率・ピロティ階に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 剛性率は各階の層剛性が建物全体の平均的な傾向からどれだけ離れているかを表す指標であり、ある階だけ極端に層剛性が低いと、地震時にその階に変形が集中しやすくなる。
- ピロティ階は1階を壁のない開放的な空間とする計画であるが、構造的には1階の層剛性が上階より相対的に高くなりやすいという性質を持つ。
- 中間層崩壊とは、上下の階が損傷し、層剛性の低い階だけが無傷のまま残る現象を指す。
- セットバックや上下階での耐震要素配置の食い違いは、剛性率には一切影響を与えない計画上の工夫にすぎない。
解答・解説
正答: 1
選択肢1が正しい記述です。剛性率は、各階の層剛性(水平方向の変形しにくさ)が建物全体の平均的な傾向からどれだけ離れているかを表す指標であり、ある階だけ極端に層剛性が低いと、その階に地震時の変形が集中しやすくなります。
- 選択肢2は誤りです。ピロティ階は壁が少ないため、1階の層剛性は上階に比べて相対的に「低く」なりやすい性質を持ちます。記述は関係が逆です。
- 選択肢3は誤りです。中間層崩壊とは、層剛性が低い階(変形が集中する階)に被害が集中し、その階「だけ」が大きく損傷・崩壊する現象を指します。記述は被害を受ける階を取り違えています。
- 選択肢4は誤りです。セットバックや上下階での耐震要素配置の食い違いは、剛性や重量の急変を生みやすく、剛性率の低下につながる要因の一つとされています。
剛性率・ピロティ階は、力学の計算問題ではなく「なぜその計画が危険とされるのか」という理屈を問う代表的な論点です。ピロティ階の層剛性が「低い」という方向を取り違えないよう、令和8年度に向けて確認しておいてください。
問17(構造計画:架構の整形性・吹抜け・スキップフロア)
架構の整形性に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 柱の位置が各階で揃い、スパンが規則正しく並んだ整形な架構は、力の伝達経路が単純明快になりやすい。
- 下階と上階で柱の位置がずれている、抜け柱がある、スパンが不揃いといった計画は、力の流れが複雑になり、特定の部材に応力が集中しやすくなる傾向がある。
- 吹抜けやスキップフロアは、床が水平力を各耐震要素に伝える役割を担っていることを踏まえると、水平力の伝達経路や剛性率・偏心率の評価に注意が必要とされる。
- 吹抜け・スキップフロアのような意匠計画上の工夫は、構造計画上の力の伝達経路の単純さとは無関係であり、構造上特別な配慮を要しない。
解答・解説
正答: 4
選択肢4が不適当です。吹抜け部分は床(スラブ)が欠けているため、その周辺で水平力の伝達経路が乱れやすく、スキップフロアも階の区切りが曖昧になることで剛性率・偏心率の評価が複雑になりやすいとされています。意匠計画上の工夫であっても構造計画上の検討事項と密接に関わっており、「無関係であり特別な配慮を要しない」という記述は誤りです。
- 選択肢1は、整形な架構の利点であり正しい記述です。
- 選択肢2は、柱位置のずれ・抜け柱・不揃いなスパンによる応力集中であり正しい記述です。
- 選択肢3は、吹抜け・スキップフロアが水平力の伝達経路に与える影響であり正しい記述です。
意匠計画上の自由な発想(吹抜け・スキップフロア等)と、構造計画上の「単純明快な力の流れ」という要求は、しばしばトレードオフの関係になります。両者が無関係だと決めつける選択肢は誤りである可能性が高い、という視点を持っておくとよいでしょう。
問18(構造計画:エキスパンションジョイント)
エキスパンションジョイントに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- エキスパンションジョイントは建物のある位置に隙間を設け、その両側を構造的に独立させる接続部であり、複雑な平面形状の建物を分割して単純で整形な形状として計画する際に用いられる。
- エキスパンションジョイントで分離した棟同士は、地震時にそれぞれ別々の揺れ方をしても互いにぶつかり合わないだけの隙間(クリアランス)を確保する必要がある。
- エキスパンションジョイント部を渡る給排水管や電気配線には、地震時の相対変位を吸収できるよう可とう継手を用いるなど、設備側の配慮も必要になる。
- エキスパンションジョイントを設ければ、分離後の各棟のクリアランス確保や設備配管の追従性を検討する必要はなくなる。
解答・解説
正答: 4
選択肢4が不適当です。エキスパンションジョイントは複雑な平面形状に伴う応力集中や偏心の問題を軽減する有効な手段ですが、万能ではありません。分離した各棟同士が地震時にぶつからないだけの十分なクリアランスの確保や、EXP.J部を渡る設備配管・配線への配慮など、分離することで新たに生じる検討事項があります。「検討する必要はなくなる」という記述は誤りです。
- 選択肢1は、エキスパンションジョイントの目的と役割であり正しい記述です。
- 選択肢2は、クリアランス確保の必要性であり正しい記述です。
- 選択肢3は、設備配管・配線側の配慮(可とう継手等)であり正しい記述です。
エキスパンションジョイントは「建物を分離すれば問題が解決する」という一面的な理解ではなく、分離によって新たに生じる検討事項(クリアランス・設備の追従性)とセットで捉える必要がある論点です。令和8年度も、この「万能ではない」という視点を問う出題が予想されます。
問19(構造計画:強度型と靭性型)
地震力に対する抵抗の考え方に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 強度型は部材の断面を大きくし、壁や筋かいを多く配置することで建物自体を硬く強くし、変形量そのものを小さく抑えて地震力に耐えようとする考え方である。
- 靭性型は部材の変形を一切許容せず、変形量をゼロに抑えることでエネルギーを吸収しようとする考え方である。
- 強度型は地震時の変形が大きくなる代わりに、建物が負担する力そのものは小さくなるという考え方である。
- 実際の建物では、強度型と靭性型のどちらか一方に完全に統一して計画することが構造計画上望ましいとされている。
解答・解説
正答: 1
選択肢1が正しい記述です。強度型は、部材の断面を大きくし、壁や筋かいを多く配置することで建物自体を硬く強くし、変形量そのものを小さく抑えることで地震力に耐えようとする考え方です。変形が小さいため内外装・設備への被害を抑えやすい一方、地震力そのものを大きく負担する必要があります。
- 選択肢2は誤りです。靭性型は変形を「許容」しながら、部材が粘り強く変形することでエネルギーを吸収する考え方であり、「変形を一切許容せずゼロに抑える」という記述は強度型の説明に近く、靭性型の説明としては誤りです。
- 選択肢3は誤りです。強度型は「変形が小さく、負担する力そのものが大きくなりやすい」という考え方であり、記述は関係が逆です(この記述はむしろ靭性型に近い性質です)。
- 選択肢4は誤りです。実際の建物は、構造形式や規模・用途に応じて強度型・靭性型のバランスをとって計画されるのが一般的であり、「どちらか一方に完全に統一することが望ましい」という記述は誤りです。
強度型・靭性型は、どちらが優れているという単純な優劣ではなく、それぞれ異なる利点・注意点を持つ2つの抵抗の仕方として理解しておくことが、令和8年度の応用的な出題への備えになります。
問20(構造計画:基礎形式の統一)
基礎形式の統一に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 1つの建物内で異なる基礎形式(杭基礎と直接基礎など)を混用することは、原則として避けるべきとされている。
- 異なる基礎形式を混用すると、地震時や地盤沈下の際にそれぞれの基礎形式で沈下量や揺れ方の傾向が異なりやすく、不同沈下や上部構造への予期しない応力につながるおそれがある。
- 敷地内で地盤の性質が大きく異なり、やむを得ず異なる基礎形式が混在する場合には、エキスパンションジョイントで構造的に分離し、それぞれの棟ごとに基礎形式を揃えるといった配慮がとられることがある。
- 異なる基礎形式の混用は、建築物の重量が軽い場合に限り、不同沈下等のリスクを考慮する必要がない。
解答・解説
正答: 4
選択肢4が不適当です。異なる基礎形式の混用によって生じる沈下傾向・揺れ方の違いは、建築物の重量の大小にかかわらず生じ得るリスクであり、「重量が軽い場合に限りリスクを考慮する必要がない」という条件付けは根拠のない記述です。基礎形式の統一は、建築物の規模・重量にかかわらず、原則として避けるべきとされる異なる基礎形式の混用に対する基本的な考え方として理解しておく必要があります。
- 選択肢1は、異なる基礎形式の混用を避けるべきという原則であり正しい記述です。
- 選択肢2は、混用によって生じるリスク(不同沈下・予期しない応力)であり正しい記述です。
- 選択肢3は、やむを得ず異なる基礎形式が混在する場合の配慮(エキスパンションジョイントによる分離)であり正しい記述です。
「上部構造を分離する判断」と「基礎形式を統一する判断」は、根っこにある考え方(不揃いな挙動を一体構造の中に抱え込まない)が共通しています。基礎・地盤の分野で学んだ知識と、構造計画の分野の知識がつながっていることを意識しておくと、応用的な出題にも対応しやすくなります。
直前チェックリスト
20問で扱いきれなかった論点も含め、直前期に暗記・確認しておきたい項目を整理しました。
- N値は土質によって意味合いが異なり、土質区分とあわせて評価すること
- 砂質土は摩擦、粘性土は粘着力で強度を発揮するという対応関係
- 直接基礎は杭基礎より工事費を抑えやすく、支持層が浅い場合に有利であること
- 支持杭(先端抵抗)と摩擦杭(周面摩擦)の定義と、それぞれが検討される地盤条件
- 液状化は地下水位が高く緩い砂質土で生じやすく、地盤改良と基礎形式の工夫という2つの対策があること
- 圧密沈下は年単位でゆっくり進行し、回復しないこと。不同沈下との定義の違い
- 接地圧=総重量÷基礎底面積という計算と、許容応力度との大小関係の判定
- 水セメント比は強度・耐久性・施工性の3つに影響すること
- 中性化はコンクリートのアルカリ性(鉄筋の防錆効果)を失わせ、鉄筋腐食のリスクを高めること
- 鋼材は炭素含有量を増やすと強度は上がるが靭性・溶接性は下がるトレードオフがあること
- 鋼材の腐食対策(防錆処理・納まりの工夫)
- 木材の含水率(強度・寸法への影響)と異方性(繊維方向による強度差)は別の性質であること
- 木材の強度等級(目視等級・機械等級)と基準強度の連動
- 材料の許容耐力は断面積×許容応力度で求め、単位の桁を間違えないこと
- 偏心は耐震壁の配置だけでなく、平面形状・開口部・重量の偏りなど複数の要因で生じること
- ピロティ階は1階の層剛性が相対的に低く、中間層崩壊のリスクを抱えやすいこと
- 吹抜け・スキップフロアは水平力の伝達経路や剛性率・偏心率の評価に注意が必要なこと
- エキスパンションジョイントは万能ではなく、クリアランスや設備配管の追従性の検討が別途必要なこと
- 強度型・靭性型はどちらが優れているというものではなく、バランスをとって計画されること
- 異なる基礎形式の混用は建築物の重量にかかわらず避けるべきとされていること
まとめ
地盤・基礎、建築材料、構造計画は、力学の計算問題やRC造・S造の配筋原則に比べると地味に感じられるかもしれませんが、「何が原因で、何がどちらの方向に変化するのか」という因果関係を正確に理解しているかどうかが得点を左右するという点では、構造科目の他分野と全く同じ性質を持つ分野です。液状化の発生条件、水セメント比と強度・耐久性の関係、偏心とねじれ変形の関係など、いずれも関係を逆にした誤答が作りやすい論点であるため、正答を選ぶだけでなく、不適当な選択肢のどこがどう逆になっているのかまで確認する解き方を、直前期の学習でも徹底することをおすすめします。この第5集で構造科目の予想問題はシリーズ全体で95問となりました。今回の20問で自信が持てなかった分野があれば、当日までに単元記事に戻って知識を整理し直しておいてください。
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