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建築構造

【令和8年度】一級建築士 学科「構造」予想問題 第2集|構造力学・計算問題強化20問

以前の記事で、一級建築士学科「構造」の直前予想問題15問(第1集)を掲載しましたが、力学系の計算問題を苦手とする受験生が多いという声を踏まえ、今回は計算問題に絞り込んだ第2集を用意しました。第1集が断面性能・曲げ応力度・片持ち梁のたわみという3問構成だったのに対し、この記事では反力・M図・Q図から、静定ラーメン、トラス、組合せ断面、たわみの比較、座屈、全塑性モーメント、不静定構造の基本、応力度の組合せまで、第1集とは異なる題材で計算問題を10問以上そろえています。

構造科目は「知識を知っているかどうか」だけでなく「その場で手を動かして数値を出せるかどうか」が問われる科目です。公式を暗記していても、初見の数値・条件が変わった瞬間に手が止まってしまうというケースが少なくありません。この記事の20問は、図がなくても文章と寸法の指定だけで解けるように設計してあり、本試験でも問題文と数値から状況を頭の中に組み立てる力が求められるため、あえて図を使わない形式で練習しておくことにも意味があると筆者は考えています。

20問のうち13問は具体的な数値を求める計算問題、残り7問は力学の考え方を問う文章題(「最も不適当なもの」を選ぶ形式)です。計算問題はすべて筆者自身が検算し、割り切れる数値になるよう設計しています。まず20問を通しで解いてみて、時間がかかった分野・間違えた分野を洗い出し、該当する単元記事に戻って公式の成り立ちまで確認するという使い方をおすすめします。

なお、本問題集は筆者(当サイト)が独自に作成した予想問題であり、実際の試験問題の的中や出題を保証するものではありません。受験にあたっては最新の法令・公式発表をご確認ください。


出題傾向と予想の考え方

構造力学の計算問題は、単純梁・片持ち梁という基本形から、静定ラーメン・トラスという組み合わせ形、そして断面性能・たわみ・座屈・全塑性モーメントという材料と部材の性質にかかわる分野へと、段階的に難度が上がっていく構成になっています。以下の表は、この20問がどの分野に対応しているかを整理したものです。

分野 頻出度 対応する問題番号 関連記事
反力・応力(単純梁・片持ち梁・張出し梁のM図・Q図) ★★★ 問1〜問4 構造力学の基礎 / 静定ラーメン・トラスの解き方
静定ラーメンの応力計算 ★★★ 問5・問6 静定ラーメン・トラスの解き方
トラス(節点法・切断法) ★★★ 問7〜問9 静定ラーメン・トラスの解き方
断面性能・応力度(組合せ断面・せん断応力度) ★★☆ 問10〜問12 構造力学の基礎
たわみ(単純梁・両端固定梁の比較) ★★☆ 問13 たわみ・座屈・不静定構造の基礎
座屈(オイラー式・端部条件) ★★★ 問14・問15 たわみ・座屈・不静定構造の基礎
全塑性モーメント・形状係数 ★★☆ 問16・問17 たわみ・座屈・不静定構造の基礎
不静定構造の基本(固定法・剛比) ★★☆ 問18・問19 たわみ・座屈・不静定構造の基礎
応力度の組合せ・許容応力度の考え方 ★★☆ 問20 構造力学の基礎

反力・ラーメン・トラスは、静定構造物の解法という土台の理解を問う問題が中心です。断面性能・たわみ・座屈・全塑性モーメントは、部材の性質(剛性・強度)にかかわる計算が中心になります。不静定構造の基本と応力度の組合せは、やや発展的な内容ですが、令和8年度も基礎的な考え方を問う形での出題が予想されます。


予想問題20問

問1(反力:単純梁)

スパンL=10mの単純梁があり、左端Aはピン支点、右端Bはローラー支点で支えられている。梁には、Aから2mの位置に集中荷重P1=40kN、Aから8mの位置に集中荷重P2=20kNが、いずれも鉛直下向きに作用している。このとき、支点反力R_A、R_Bの組み合わせとして、正しいものはどれか。

  1. R_A=36kN、R_B=24kN
  2. R_A=24kN、R_B=36kN
  3. R_A=30kN、R_B=30kN
  4. R_A=40kN、R_B=20kN

解答・解説

正答: 1

支点Aまわりのモーメントのつり合いから、R_Bを求めます。

  • ΣM_A=0:R_B×10 − 40×2 − 20×8 = 0 → R_B×10 = 80+160 = 240 → R_B = 24kN
  • ΣY=0:R_A + R_B = 40+20 = 60 → R_A = 60−24 = 36kN

よって選択肢1が正しい組み合わせです。

  • 選択肢2は、R_AとR_Bを入れ替えてしまった値です。
  • 選択肢3は、作用位置を無視して合計60kNを単純に2等分した値です。
  • 選択肢4は、モーメントのつり合いを取らず、各荷重をそのまま最寄りの支点反力とみなした値です。

単純梁の反力計算は、どの点でモーメントのつり合いをとれば未知数を1つに絞れるかという視点が出発点です。構造力学の基礎もあわせて確認してください。


問2(応力:片持ち梁のM図・Q図)

長さL=4mの片持ち梁があり、一端Aが固定支点、他端Bが自由端である。梁全体に等分布荷重w=5kN/mが作用し、さらに自由端Bには集中荷重P=10kNが鉛直下向きに作用している。このとき、固定端Aに生じる曲げモーメントの絶対値とせん断力の組み合わせとして、正しいものはどれか。

  1. M=80kN・m、Q=30kN
  2. M=40kN・m、Q=30kN
  3. M=80kN・m、Q=20kN
  4. M=50kN・m、Q=30kN

解答・解説

正答: 1

片持ち梁では、固定端に生じる曲げモーメント・せん断力は、その部材に作用するすべての荷重を固定端側で足し合わせることで求められます。

  • 等分布荷重による固定端モーメント:wL²/2 = 5×4²/2 = 40kN・m
  • 先端集中荷重による固定端モーメント:P×L = 10×4 = 40kN・m
  • 合計:M = 40+40 = 80kN・m
  • せん断力:Q = wL + P = 5×4+10 = 20+10 = 30kN

よって選択肢1が正しい組み合わせです。

  • 選択肢2(M=40kN・m)は、等分布荷重によるモーメントのみで、先端集中荷重によるモーメント(40kN・m)を加え忘れた値です。
  • 選択肢3(Q=20kN)は、等分布荷重によるせん断力のみで、先端集中荷重Pを加え忘れた値です。
  • 選択肢4(M=50kN・m)は、等分布荷重のモーメントを単純梁の公式wL²/8(=10kN・m)と誤用した値です。

片持ち梁の固定端応力は、複数の荷重による寄与を個別に計算してから足し合わせるという重ね合わせの考え方が問われる典型問題です。


問3(反力・応力:張出し梁)

スパンAB=8m(A:ピン支点、B:ローラー支点)の梁があり、支点Bからさらに2m張り出した先端Cを持つ張出し梁がある。この梁には、Aから4mの位置(AB間の中央)に集中荷重P1=40kN、張出し先端Cに集中荷重P2=20kNが、いずれも鉛直下向きに作用している。このとき、支点反力R_A、R_Bと、支点Bに生じる曲げモーメントの絶対値・引張側の組み合わせとして、正しいものはどれか。

  1. R_A=15kN、R_B=45kN、M_B=40kN・m(上端引張)
  2. R_A=45kN、R_B=15kN、M_B=40kN・m(上端引張)
  3. R_A=15kN、R_B=45kN、M_B=40kN・m(下端引張)
  4. R_A=15kN、R_B=45kN、M_B=20kN・m(上端引張)

解答・解説

正答: 1

支点Aまわりのモーメントのつり合いから、R_Bを求めます。P2はAから8+2=10mの位置に作用しています。

  • ΣM_A=0:R_B×8 − 40×4 − 20×10 = 0 → R_B×8 = 160+200 = 360 → R_B = 45kN
  • ΣY=0:R_A + R_B = 40+20 = 60 → R_A = 60−45 = 15kN

支点Bの曲げモーメントは、Bより右側(張出し部)に作用する力だけを考えれば求められます。張出し部にはP2しか作用していないため、

  • M_B = −P2×2 = −20×2 = −40kN・m(絶対値40kN・m)

張出し部にのみ荷重が作用する場合、支点上のモーメントは張出し部が下向きにたわもうとすることで上端が引張になります(支間内の中央付近が下端引張になるのとは逆の向きです)。よって選択肢1が正しい組み合わせです。

  • 選択肢2は、R_AとR_Bを入れ替えた値です。
  • 選択肢3は、引張側の向きを取り違えています。支間内(下端引張)とは逆に、支点上は上端が引張になります。
  • 選択肢4は、P2の作用距離(張出し長さ2m)を誤って1mとして計算した値です。

張出し梁は、支点上に生じる曲げモーメントが張出し部の荷重だけで簡単に求まるという点が最大のポイントです。支間内のM図と張出し部のM図が逆向きになる関係は、令和8年度も狙われやすいと筆者は考えています。


問4(M図・Q図の関係)

梁の曲げモーメント図(M図)とせん断力図(Q図)の関係に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. せん断力図(Q図)は、集中荷重のみが作用する区間では水平な直線となり、集中荷重が作用する点でその大きさだけ不連続に変化する。
  2. 曲げモーメント図(M図)のある点における接線の傾きは、その点のせん断力の値に等しく、Q図がゼロとなる点でM図は極大または極小の値をとる。
  3. 等分布荷重が作用する区間では、Q図は直線的に変化し、M図は放物線を描く。
  4. 張出し梁において、張出し部に集中荷重が作用する場合、支間内(支点間)のM図の符号と張出し部のM図の符号は、常に同じ符号になる。

解答・解説

正答: 4

選択肢4が不適当です。張出し梁では、支間内に生じる曲げモーメント(下側引張)と、張出し部の荷重によって支点上に生じる曲げモーメント(上側引張)は符号が逆になるのが基本的な関係です(問3を参照)。「常に同じ符号になる」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、Q図の基本的な性質(集中荷重区間では水平、荷重点で不連続に変化)であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、M図とQ図の微分・積分の関係(dM/dx=Q)そのものであり正しい記述です。
  • 選択肢3は、等分布荷重区間におけるQ図・M図の形状(直線・放物線)であり正しい記述です。

M図・Q図の関係は、「Q図の面積がM図の変化量に対応する」という関係を理解しておくと、複雑な荷重条件でも自分でM図を描き起こせます。張出し梁の符号反転は見落としやすい論点です。


問5(静定ラーメンの応力計算:三ヒンジラーメン)

次のような静定ラーメン(三ヒンジラーメン)を考える。地盤面にピン支点A・Dがあり、それぞれの真上に高さh=4mの柱を介して梁の両端B・Cが接続されている。B・C間の水平距離(スパン)はL=10mで、梁の中央点Eには、曲げモーメントを伝達しないヒンジが設けられている。この骨組の柱頭B(Aの真上、高さ4mの位置)に、水平荷重P=20kN(右向き)が作用するとき、支点A・Dに生じる反力の組み合わせとして、正しいものはどれか。ただし、鉛直反力は上向きを正とする。

  1. H_A=10kN(左向き)、H_D=10kN(左向き)、V_A=8kN(下向き)、V_D=8kN(上向き)
  2. H_A=20kN(左向き)、H_D=0kN、V_A=8kN(下向き)、V_D=8kN(上向き)
  3. H_A=10kN(左向き)、H_D=10kN(左向き)、V_A=8kN(上向き)、V_D=8kN(下向き)
  4. H_A=10kN(左向き)、H_D=10kN(左向き)、V_A=10kN(下向き)、V_D=10kN(上向き)

解答・解説

正答: 1

まず骨組全体のモーメントのつり合いから、鉛直反力を求めます。支点Aまわりでモーメントをとると、水平荷重Pの腕は高さh、V_Dの腕はスパンLになります。

  • ΣM_A=0:V_D×L − P×h = 0 → V_D = P×h/L = 20×4/10 = 8kN(上向き)
  • ΣY=0:V_A + V_D = 0 → V_A = −8kN、つまり8kN下向き

次に、水平反力を求めるためにヒンジEの条件(ヒンジ位置で曲げモーメントがゼロ)を使います。骨組の左半分(A→B→E)を取り出しヒンジEまわりのモーメントのつり合いを考えると、水平荷重Pは高さがEと同じB点に作用しているため、Eまわりのモーメントに寄与しません(腕がゼロになるため)。

  • ヒンジEまわりのつり合い(左半分):H_A×h − V_A×(L/2) = 0 の関係から H_A = 10kN(左向き)
  • 全体のΣX=0:H_A + H_D = P → H_D = 20−10 = 10kN(左向き)

よって、H_A=H_D=10kN(左向き)、V_A=8kN(下向き)、V_D=8kN(上向き)となり、選択肢1が正しい組み合わせです。

  • 選択肢2は、水平荷重を近い側の支点Aだけで負担すると誤って考えた値です。
  • 選択肢3は、V_A・V_Dの向きを逆に取り違えています。
  • 選択肢4は、V=P/2として誤計算した値(正しくはV=Ph/L)です。

三ヒンジラーメンは、2つの支点反力に加え、ヒンジ位置で曲げモーメントがゼロになるという条件を追加することで、不静定次数を1つ減らして静定として解けるという考え方が最大のポイントです。


問6(静定ラーメンの応力性状)

静定ラーメンの応力性状に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 水平荷重を受ける門型ラーメンでは、柱に生じるせん断力は主に水平反力に対応し、梁に生じる軸方向力は柱のせん断力とほぼ対応する関係にある。
  2. 静定ラーメンの応力(曲げモーメント・せん断力・軸方向力)は、支点条件と外力が同じであれば、部材の断面形状や材料のヤング係数を変えても変化しない。
  3. 三ヒンジラーメンは、通常の2支点の門型ラーメンに、中央のヒンジで曲げモーメントがゼロになるという条件を追加することで、不静定次数を1つ減らして静定として解けるようにしたものである。
  4. 静定ラーメンでは、鉛直荷重のみが作用する場合、柱には曲げモーメントは生じず、軸方向力のみが生じる。

解答・解説

正答: 4

選択肢4が不適当です。柱と梁が剛接合された静定ラーメンでは、鉛直荷重のみが作用する場合でも、梁に生じた曲げモーメントは剛接合された節点を通じて柱にも伝わり、柱にも曲げモーメントが生じるのが一般的です(柱に曲げが生じず軸方向力のみになるのは、柱脚・柱頭の両方がピン接合であるなど特殊な条件に限られます)。「鉛直荷重のみでは柱に曲げモーメントは生じない」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、水平荷重を受ける門型ラーメンにおける柱のせん断力と梁の軸方向力の対応関係であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、静定構造物の応力が部材剛性に依存せず外力・支点条件のみで決まる性質であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、問5で扱った三ヒンジラーメンの考え方そのものであり正しい記述です。

ラーメンの応力性状は、剛接合を通じて力がどう伝わるかという因果関係を問う出題が多い分野です。鉛直荷重でも柱に曲げが生じる点は見落としやすく、注意したい論点です。


問7(トラス:節点法)

底辺の支間L=6m、頂点の高さ4mの二等辺三角形トラスがある。左端Aはピン支点、右端Bはローラー支点で、頂点Cは支間の中央の真上(Aから3m、高さ4mの位置)にある。頂点Cに、鉛直下向きの荷重P=32kNが作用するとき、部材ACに生じる軸方向力の値と種類(引張または圧縮)の組み合わせとして、正しいものはどれか。

  1. 20kN(圧縮)
  2. 20kN(引張)
  3. 16kN(圧縮)
  4. 40kN(圧縮)

解答・解説

正答: 1

まず支点反力を求めます。荷重が支間の中央(頂点C)に対称に作用しているため、反力も左右対称になります。

  • R_A = R_B = P/2 = 32/2 = 16kN

節点Aには、水平方向の部材AB、斜め方向の部材AC(水平:鉛直=3:4=斜辺5の直角三角形)、および反力R_A(上向き16kN)が作用しています。節点Aの鉛直方向のつり合い(ΣY=0)から、ACの鉛直成分(比率4/5)と反力がつり合います。

  • N_AC×(4/5) + R_A = 0 → N_AC = −R_A×5/4 = −16×5/4 = −20kN

符号が負になるため、部材ACには20kNの圧縮力が生じていることが分かります。よって選択肢1が正しい組み合わせです。

  • 選択肢2は、圧縮を引張と取り違えています。三角形トラスの斜材は、頂点に鉛直荷重が作用する典型条件では圧縮力を受けるのが基本形です。
  • 選択肢3は、部材力を支点反力の値(16kN)とそのまま混同した値です。
  • 選択肢4は、左右の部材で荷重を分担する(2で割る)操作を忘れた値(32×5/4=40kN)です。

トラスの節点法は、未知の部材力が2つ以下になる節点から順に、その節点の力のつり合い(ΣX=0・ΣY=0)で解いていく手順が基本です。反力に近い、部材数が少ない節点から始めると計算しやすくなります。


問8(トラス:切断法)

下弦材A-B-C(支間12m、A:ピン支点、C:ローラー支点)、上弦材D-E(高さ4m)からなるトラスがある。節点の位置は、A(0, 0)、B(6, 0)、C(12, 0)(下弦材、AB・BCの各パネル長6m)、D(3, 4)、E(9, 4)(上弦材)とし、斜材AD・DB・BE・ECと上弦材DEで構成されている。下弦材中央の節点Bに、鉛直下向きの荷重P=24kNが作用するとき、上弦材DEに生じる軸方向力の値と種類の組み合わせとして、正しいものはどれか。

  1. 18kN(圧縮)
  2. 18kN(引張)
  3. 12kN(圧縮)
  4. 24kN(圧縮)

解答・解説

正答: 1

荷重が支間の中央(節点B)に作用し、トラスの形状も左右対称であるため、支点反力は左右対称になります。

  • R_A = R_C = P/2 = 24/2 = 12kN

上弦材DEの部材力を求めるには、切断法を使います。部材AB・DB・DEの3本を横切るように切断し、切断面より左側の部分を取り出します(荷重Pは節点Bにあるため、切断位置を節点Bより左側に設定すると右側の部分に含まれます)。

モーメントのつり合いをとる点として、部材ABと部材DBの交点である節点Bを選ぶと、この2部材はいずれもB点を通るためモーメントに寄与せず、上弦材DEの力だけが未知数として残ります。

  • ΣM_B(左側)=0:R_A×6 − N_DE×4 = 0 → N_DE = R_A×6/4 = 12×6/4 = 18kN

これはトラスを単純梁に見立てたときのB点の曲げモーメント(M=R_A×6=72kN・m)を、トラスの成(高さ4m)で割って上弦材の軸力を求める操作に対応します。単純梁と同様に上側が圧縮域になるため、上弦材DEには18kNの圧縮力が生じます。よって選択肢1が正しい組み合わせです。

  • 選択肢2は、上弦材の圧縮・引張を取り違えています。単純支持のトラスでは上弦材が圧縮、下弦材が引張になるのが基本形です。
  • 選択肢3は、部材力を支点反力の値(12kN)とそのまま混同した値です。
  • 選択肢4は、モーメントの腕(高さ4m)を誤って3mとして計算した値(12×6/3=24kN)です。

切断法は、求めたい部材以外の2部材の交点でモーメントのつり合いをとることで、目的の部材力を直接求められる点が最大のメリットです。


問9(トラスの解法に関する文章題)

トラスの解法・安定性に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. トラスの部材数m、支点反力数r、節点数jの間にm+r=2jの関係が成り立つ場合、そのトラスは(部材の配置が適切であれば)静定トラスとなる可能性が高い。
  2. 切断法を用いる際、1回の切断で未知の部材力を含む部材が4本以上生じる場合、その3つの釣り合い式だけでは全ての未知力を直接求めることはできず、他の切断位置や節点法と組み合わせる必要がある。
  3. トラスの外力が節点以外の部材の中間に直接作用する場合でも、その部材には軸方向力に加えて曲げモーメントは生じないと仮定して解析してよい。
  4. m+r<2jとなるトラスは、部材や支点の数が不足しており、構造として不安定(機構)になる可能性が高い。

解答・解説

正答: 3

選択肢3が不適当です。トラスが軸方向力のみを受けるという前提は、荷重が節点にのみ作用することを条件として成り立ちます。荷重が部材の中間に直接作用する場合、その部材には軸方向力に加えて局所的な曲げモーメント・せん断力も生じるため、「曲げモーメントは生じないと仮定してよい」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、トラスの静定判別式(m+r=2j)についての正しい記述です。
  • 選択肢2は、切断法の適用条件(未知数3つ以下の切断位置を選ぶ必要がある)であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、静定判別式における不安定条件(未知数不足)であり正しい記述です。

トラスの理論はすべて「節点にのみ荷重が作用し、部材はピン接合されている」という前提の上に成り立っています。この前提が崩れる条件を見落とさないことが重要です。


問10(断面性能:組合せ断面)

次のようなT形断面がある。上端に幅(フランジ幅)bf=200mm、厚さ(フランジ厚)tf=60mmのフランジがあり、その下に幅(ウェブ幅)bw=100mm、せい(ウェブせい)dw=120mmのウェブが接続する。断面全体の高さはH=180mmである。この断面の図心位置(断面下端からの距離)と、図心を通る水平軸まわりの断面二次モーメントIの組み合わせとして、正しいものはどれか。

  1. 図心位置:105mm、I=6.66×10⁷mm⁴
  2. 図心位置:90mm、I=6.66×10⁷mm⁴
  3. 図心位置:105mm、I=1.8×10⁷mm⁴
  4. 図心位置:75mm、I=6.66×10⁷mm⁴

解答・解説

正答: 1

フランジ・ウェブそれぞれの断面積と、断面下端からの図心までの距離を求めます。

  • フランジ:Af=200×60=12,000mm²、図心位置yf=120+30=150mm
  • ウェブ:Aw=100×120=12,000mm²、図心位置yw=60mm

断面全体の図心位置ȳは、各部分の面積×図心位置の合計を全断面積で割って求めます。

  • ȳ = (12,000×150 + 12,000×60) / 24,000 = 2,520,000/24,000 = 105mm

次に平行軸の定理を使い、各部分の自己Iに図心からの距離の2乗×面積を加えて断面二次モーメントIを求めます。

  • フランジ:自己I=bf×tf³/12=3,600,000mm⁴、距離45mmの付加分=12,000×45²=24,300,000mm⁴、合計27,900,000mm⁴
  • ウェブ:自己I=bw×dw³/12=14,400,000mm⁴、距離45mmの付加分=24,300,000mm⁴、合計38,700,000mm⁴
  • 全体のI = 27,900,000+38,700,000 = 6.66×10⁷mm⁴

よって選択肢1が正しい組み合わせです。

  • 選択肢2は、面積の重み付けをせず単純に断面全体の高さの半分(H/2=90mm)を図心とした値です。
  • 選択肢3は、平行軸の定理による付加分を加え忘れ、各部分の自己Iだけを合計した値(1.8×10⁷mm⁴)です。
  • 選択肢4は、図心位置を下端からでなく上端からの距離として答えた値(180−105=75mm)です。

組合せ断面の計算は、各部分を単純な形状に分割して図心を求め、平行軸の定理でIを合成する手順が基本です。T形・L形・箱形などさまざまな断面で同じ手順が使えます。


問11(応力度:せん断応力度)

幅b=150mm、せいh=300mmの矩形断面の梁に、せん断力Q=45kNが作用している。矩形断面のせん断応力度は、断面内で放物線状に分布し、中立軸(図心)の位置において最大値をとる。この断面に生じる最大せん断応力度として、正しいものはどれか。

  1. 1.5N/mm²
  2. 1.0N/mm²
  3. 2.0N/mm²
  4. 3.0N/mm²

解答・解説

正答: 1

矩形断面のせん断応力度は、上下端でゼロ、中立軸で最大となる放物線状の分布をとり、最大値は平均せん断応力度(Q/A)の1.5倍になることが分かっています。

  • 断面積:A = 150×300 = 45,000mm²
  • 平均せん断応力度:τ平均 = Q/A = 45,000/45,000 = 1N/mm²
  • 最大せん断応力度:τmax = 1.5×1 = 1.5N/mm²

よって選択肢1が正しい値です。

  • 選択肢2(1.0N/mm²)は、平均せん断応力度をそのまま最大値とし、1.5倍の係数を掛け忘れた値です。
  • 選択肢3(2.0N/mm²)は、係数を2として誤計算した値です。
  • 選択肢4(3.0N/mm²)は、係数を3として誤計算した値(曲げ応力度の公式との混同)です。

せん断応力度の分布が一様でない点は、曲げ応力度(中立軸でゼロ、縁で最大の直線分布)と対照的な性質であり、両者を対比させて理解しておくことが重要です。


問12(断面の応力度分布に関する文章題)

断面の応力度分布に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 曲げ応力度は、断面の図心(中立軸)においてゼロとなり、中立軸から離れるほど直線的に増加し、断面の縁で最大となる。
  2. 矩形断面のせん断応力度は、上下端でゼロ、中立軸で最大となる放物線状の分布をとり、その最大値は平均せん断応力度(Q/A)の1.5倍になる。
  3. H形鋼のようにフランジとウェブで構成される断面では、フランジが主に曲げモーメントを負担し、ウェブが主にせん断力を負担するという役割分担がある。
  4. 断面内の任意の位置における曲げ応力度は、その位置における断面の幅(局所的な断面の広さ)に反比例して変化し、幅が狭い部分ほど曲げ応力度は大きくなる。

解答・解説

正答: 4

選択肢4が不適当です。曲げ応力度は σ=My/I(y:中立軸からの距離、I:断面二次モーメント)で表され、中立軸からの距離yと断面全体のIのみで決まり、その位置の局所的な幅には関係しません。断面の幅が式に登場するのはせん断応力度の式(τ=QS/(Ib)、bは局所的な幅)のほうであり、この記述は両者の公式を混同したものです。

  • 選択肢1は、曲げ応力度の基本的な分布(中立軸でゼロ、縁で最大の直線分布)であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、問11で確認した矩形断面のせん断応力度の分布であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、H形鋼における役割分担(フランジ=曲げ、ウェブ=せん断)であり正しい記述です。

曲げ応力度とせん断応力度は、どちらも断面内で一様ではないという共通点がありながら、決まり方(距離に比例するか、局所的な幅に反比例するか)が根本的に異なります。この違いを正確に区別できているかが問われます。


問13(たわみ:単純梁と両端固定梁の比較)

スパンL=8mの梁全体に、等分布荷重w=6kN/mが作用している。部材の曲げ剛性はEI=8.0×10⁴kN・m²とする。この梁を(1)単純梁とした場合、(2)両端固定梁とした場合のそれぞれについて、スパン中央に生じる最大たわみの組み合わせとして、正しいものはどれか。

  1. (1)単純梁:4mm、(2)両端固定梁:0.8mm
  2. (1)単純梁:0.8mm、(2)両端固定梁:4mm
  3. (1)単純梁:4mm、(2)両端固定梁:4mm
  4. (1)単純梁:40mm、(2)両端固定梁:8mm

解答・解説

正答: 1

等分布荷重を受ける梁の最大たわみは、支持条件によって公式が異なります。

  • 単純梁:δ=5wL⁴/384EI = 5×6×8⁴/(384×8.0×10⁴) = 5×6×4096/30,720,000 = 122,880/30,720,000 = 0.004m = 4mm
  • 両端固定梁:δ=wL⁴/384EI = 6×4096/30,720,000 = 24,576/30,720,000 = 0.0008m = 0.8mm

よって選択肢1が正しい組み合わせです。両者の比は5:1となり、両端を固定するだけでたわみが5分の1に激減することが分かります。

  • 選択肢2は、単純梁と両端固定梁の値を入れ替えた値です。
  • 選択肢3は、両端固定梁にも単純梁と同じ公式(5wL⁴/384EI)を用い、固定端による低減効果を反映していない値です。
  • 選択肢4は、EIの単位を読み違え、計算結果が10倍になった値です。

単純梁と両端固定梁のたわみの比(5:1)は、支持条件が変わることでたわみがどれだけ変化するかという感覚を持っておくために重要な数値です。たわみ・座屈・不静定構造の基礎もあわせて確認してください。


問14(座屈:オイラー式・端部条件の比較)

ある柱(長さL、曲げ剛性EI)について、両端がピン支持(座屈長さ係数K=1.0)の場合のオイラー座屈荷重はPcr=60kNである。同じ柱について、(1)両端が固定支持(K=0.5)とした場合、(2)一端が固定支持・他端が自由端(片持ち状態、K=2.0)とした場合の座屈荷重の組み合わせとして、正しいものはどれか。

  1. (1)240kN、(2)15kN
  2. (1)120kN、(2)30kN
  3. (1)15kN、(2)240kN
  4. (1)30kN、(2)120kN

解答・解説

正答: 1

オイラー座屈荷重は Pcr=π²EI/Lk²(Lk=K×L:座屈長さ)で表され、座屈長さ係数Kを使うと Pcr=(π²EI/L²)/K² と表せます。両端ピン支持(K=1.0)のときのPcr=60kNを基準値P₀とすると、Pcr=P₀/K²という関係が成り立ちます。

  • (1)両端固定(K=0.5):Pcr = 60/0.5² = 60/0.25 = 240kN
  • (2)片持ち状態(K=2.0):Pcr = 60/2.0² = 60/4 = 15kN

よって選択肢1が正しい組み合わせです。座屈長さが半分になると座屈荷重は4倍に、2倍になると4分の1になるという、座屈長さの2乗に反比例する関係が確認できます。

  • 選択肢2は、Pcr=P₀/K²ではなくPcr=P₀/K(1乗の関係)として計算した値です。
  • 選択肢3は、(1)と(2)の値を入れ替えた値です。
  • 選択肢4は、Pcr=P₀×K(座屈荷重とKが比例するという誤った関係)で計算した値です。

座屈長さ係数K(両端ピン=1.0、両端固定=0.5、一端固定・他端自由=2.0)は、令和8年度もこの計算問題のように相対的な座屈荷重の比較を問う形で出題される可能性が高いと筆者は考えています。


問15(座屈に関する文章題)

座屈に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 部材の細長比は、座屈長さを断面の断面二次半径(回転半径)で除して求め、細長比が大きいほど座屈が生じやすい細長い部材であることを示す。
  2. 座屈長さ係数Kは支持条件によって定まる係数で、一般に両端ピン支持でK=1.0、両端固定でK=0.5、一端固定・他端自由(片持ち)でK=2.0とされ、片持ち柱がもっとも座屈しやすい支持条件となる。
  3. 細長比が小さい短い柱(短柱)は、座屈による破壊よりも材料の圧縮破壊(降伏)が先行しやすく、逆に細長比が大きい長い柱(長柱)は、材料強度に達する前に座屈により耐力を失いやすい。
  4. オイラー座屈荷重の式は、部材のヤング係数Eが大きいほど座屈荷重が小さくなることを示しており、剛性の高い材料ほど座屈に対して不利になる。

解答・解説

正答: 4

選択肢4が不適当です。オイラー座屈荷重の式 Pcr=π²EI/Lk² から分かるとおり、Pcrはヤング係数Eに比例します。Eが大きいほど(材料が硬いほど)座屈荷重は大きくなり、座屈に対して有利になります。「Eが大きいほど座屈荷重が小さくなる」という記述は、関係の向きが逆で誤りです。

  • 選択肢1は、細長比の定義(座屈長さ÷断面二次半径)とその意味であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、座屈長さ係数Kの標準的な値と、片持ち状態がもっとも座屈しやすいという関係であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、短柱・長柱それぞれの破壊モード(圧縮破壊か座屈か)の違いであり正しい記述です。

座屈荷重を左右する要因(E、I、座屈長さ)のうち、Eとの関係の向きを取り違える誤答は作りやすく、注意したい論点です。


問16(全塑性モーメントの計算)

幅b=160mm、せいh=250mmの矩形断面の部材がある。材料の降伏応力度をσy=235N/mm²(SN400等の基準強度に相当する値)とするとき、この断面の全塑性モーメントMpとして、正しいものはどれか。ただし、矩形断面の塑性断面係数はZp=bh²/4で求められるものとする。

  1. 587.5kN・m
  2. 391.7kN・m
  3. 293.75kN・m
  4. 1175.0kN・m

解答・解説

正答: 1

矩形断面の塑性断面係数Zpを求め、降伏応力度を掛けて全塑性モーメントMpを計算します。

  • Zp = bh²/4 = 160×250²/4 = 160×62,500/4 = 2,500,000mm³
  • Mp = σy×Zp = 235×2,500,000 = 587,500,000N・mm = 587.5kN・m

よって選択肢1が正しい値です。

  • 選択肢2(391.7kN・m)は、塑性断面係数Zp(=bh²/4)ではなく弾性断面係数Z(=bh²/6)を用い、Mpではなく弾性限界モーメントMyを計算した値です。
  • 選択肢3(293.75kN・m)は、Zpの式をbh²/8として誤計算した値です。
  • 選択肢4(1175.0kN・m)は、Zpの式をbh²/2として誤計算した値です。

なお、選択肢2のMy=391.7kN・mを使うと形状係数Mp/My=587.5/391.7=1.5となり、矩形断面の形状係数1.5と整合します。全塑性モーメントの計算は、弾性断面係数Zと塑性断面係数Zpを混同しないことが最大のポイントです。


問17(全塑性モーメント・形状係数に関する文章題)

全塑性モーメントと形状係数に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 全塑性モーメントMpと弾性限界モーメント(降伏モーメント)Myの比Mp/Myを形状係数と呼び、この値は断面の形状によって異なる。
  2. 矩形断面の形状係数は1.5であり、円形断面の形状係数(約1.7)よりも小さい。
  3. H形鋼(I形断面)の形状係数は、断面積の大部分がフランジに集中し中立軸付近に材料が少ないため、矩形断面や円形断面より大きな値(1.5をはるかに上回る値)となる。
  4. 形状係数が大きい断面ほど、降伏が断面の縁で始まってから断面全体が全塑性状態に至るまでの余裕(塑性化の進行度合い)が大きいことを意味する。

解答・解説

正答: 3

選択肢3が不適当です。H形鋼(I形断面)は断面積の大部分が中立軸から離れたフランジに集中しているため、弾性域でも塑性域でも断面の大部分が同程度の応力度を負担しやすく、MyとMpの差が小さくなります。その結果、H形鋼の形状係数は矩形断面(1.5)よりも小さい、おおむね1.1〜1.2程度になることが知られています。「矩形断面や円形断面より大きな値となる」という記述は、大小関係が逆で誤りです。

  • 選択肢1は、形状係数(Mp/My)の定義であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、矩形断面(1.5)と円形断面(約1.7)の形状係数の大小関係であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、形状係数が大きいほど全塑性に至るまでの塑性変形の余裕が大きいという解釈であり正しい記述です。

形状係数は「材料の効率的な使い方」を示す指標でもあり、H形鋼のようにフランジに材料を集中させた断面は、弾性設計の段階からすでに効率よく材料を使えているため、全塑性状態までの余裕が小さいという見方もできます。


問18(不静定構造の基本:剛比と分割率)

剛節点Bに、部材BA(剛比kBA=3)、部材BC(剛比kBC=2)、部材BD(剛比kBD=1)の3部材が接続している。この節点に不釣り合いモーメントが生じたとき、各部材が負担する分割率(DF)の組み合わせとして、正しいものはどれか。ただし、分割率は各部材の剛比を、その節点に集まる全部材の剛比の合計で除して求めるものとする。

  1. BA:1/2、BC:1/3、BD:1/6
  2. BA:1/6、BC:1/3、BD:1/2
  3. BA:1/3、BC:1/3、BD:1/3
  4. BA:3/5、BC:2/5、BD:0

解答・解説

正答: 1

各部材の分割率は、その部材の剛比を、節点に集まる全部材の剛比の合計で除して求めます。

  • 剛比の合計:kBA+kBC+kBD = 3+2+1 = 6
  • DF_BA = 3/6 = 1/2
  • DF_BC = 2/6 = 1/3
  • DF_BD = 1/6

よって選択肢1が正しい組み合わせです。剛比が大きい部材ほど分割率も大きくなり、不釣り合いモーメントをより多く負担します。

  • 選択肢2は、剛比の大小と分割率の対応関係を逆に割り当てた値です。
  • 選択肢3は、各部材の剛比の違いを無視し、単純に均等分配(1/3ずつ)とした値です。
  • 選択肢4は、節点に集まる部材の1つ(BD)を数え忘れ、剛比の合計を5とした値です。

分割率の考え方は、節点における不釣り合いモーメントを各部材の剛比に応じて配分するという固定法(モーメント分配法)の出発点です。剛比はI/L(断面二次モーメント÷部材長)に比例するため、部材が短いほど、断面が大きいほど剛比は大きくなり、負担割合も増えます。


問19(不静定構造・固定法に関する文章題)

不静定構造物の解法(固定法)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 固定法(モーメント分配法)は、各節点を一時的に固定端とみなして生じる固定端モーメントを算出し、それを剛比に応じた分割率で分配・伝達する操作を繰り返すことで、不静定構造の応力を近似的に求める解法である。
  2. 剛比は、部材の断面二次モーメントIをその部材の長さLで除した値(I/L)に比例する量で、同じIであれば長さLが短い部材ほど剛比は大きくなり、分配されるモーメントの割合も大きくなる。
  3. 節点で分配されたモーメントは、その部材の他端(遠端)に、遠端の支持条件に応じた伝達率を乗じた値が伝達され、遠端がピン支持の場合の伝達率は1.0である。
  4. 不静定構造物では、各部材の剛比(相対的な曲げ剛性)の大小関係によって地震力などの外力に対する各部材の負担割合が変化するため、耐震設計において剛性のバランスを検討することは重要である。

解答・解説

正答: 3

選択肢3が不適当です。固定法における標準的な伝達率は、遠端が固定端の場合に1/2となります。遠端がピン支持(回転が自由な支点)の場合、その支点は曲げモーメントを負担できないため、1.0倍でそのまま伝達するという扱いにはなりません(ピン支持側は剛比を通常の3/4として扱うなど、実質的に伝達率ゼロとして扱うのが一般的です)。「遠端がピン支持の場合の伝達率は1.0である」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、固定法(モーメント分配法)の解法の流れそのものであり正しい記述です。
  • 選択肢2は、剛比の定義(I/Lに比例する量)であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、剛比のバランスが耐震設計上重要であるという記述であり正しい記述です。

固定法は、分割率(節点でどう配分するか)と伝達率(配分されたモーメントが他端にどれだけ伝わるか)という2つの考え方の組み合わせと理解しておくと、手順を覚えやすくなります。


問20(応力度の組合せ・許容応力度の考え方)

幅b=300mm、せいh=400mmの矩形断面の部材に、軸方向圧縮力N=1,200kN(断面の図心位置に作用)と、曲げモーメントM=160kN・mが同時に作用している。この断面の両縁(一方の縁と他方の縁)に生じる応力度の組み合わせとして、正しいものはどれか。

  1. 一方の縁:30N/mm²(圧縮)、他方の縁:10N/mm²(引張)
  2. 一方の縁:30N/mm²(圧縮)、他方の縁:10N/mm²(圧縮)
  3. 一方の縁:20N/mm²(圧縮)、他方の縁:20N/mm²(引張)
  4. 一方の縁:10N/mm²(圧縮)、他方の縁:30N/mm²(引張)

解答・解説

正答: 1

軸方向力と曲げモーメントが同時に作用する場合、断面に生じる応力度は、軸方向力による一様な応力度と、曲げモーメントによる直線分布の応力度を足し合わせて求めます。

  • 断面積:A = 300×400 = 120,000mm²
  • 断面係数:Z = bh²/6 = 300×400²/6 = 300×160,000/6 = 8,000,000mm³
  • 軸方向力による応力度:σN = N/A = 1,200,000N/120,000mm² = 10N/mm²(全断面に一様な圧縮)
  • 曲げモーメントによる応力度:σM = M/Z = 160,000,000N・mm/8,000,000mm³ = 20N/mm²

曲げモーメントによる応力度は、一方の縁で圧縮側に、他方の縁で引張側に働くため、軸方向力による応力度と重ね合わせると、

  • 一方の縁:σN+σM = 10+20 = 30N/mm²(圧縮)
  • 他方の縁:σN−σM = 10−20 = −10N/mm² → 10N/mm²(引張)

よって選択肢1が正しい組み合わせです。軸方向力そのものは圧縮であっても、曲げモーメントが大きい場合には断面の一部で引張応力度が生じ得るという点が、この問題の最大のポイントです。

  • 選択肢2は、曲げモーメントによる応力度が縁ごとに符号を変える性質を見落とし、両縁とも圧縮のままとした値です。
  • 選択肢3は、軸方向力による応力度(10N/mm²)を足し合わせるのを忘れ、曲げによる応力度(20N/mm²)だけを両縁の値とした値です。
  • 選択肢4は、圧縮側と引張側の値を入れ替えた値です。

このように重ね合わせた応力度が許容応力度を超えないことを確認するのが、部材断面を決定するうえでの基本的な考え方です。柱のように軸力と曲げを同時に受ける部材では特に重要な確認です。


直前チェックリスト

20問で扱った内容を中心に、直前期に暗記・確認しておきたい項目を整理しました。

  • 単純梁・張出し梁の反力:ΣM=0でモーメントの腕を正しくとれているか
  • 片持ち梁の固定端応力:複数荷重による寄与を個別に計算してから足し合わせているか
  • 張出し梁の支点上モーメント:張出し部の荷重だけで簡単に求まり、支間内とは符号が逆になることを理解しているか
  • M図・Q図の関係:Q図の面積がM図の変化量に対応し、Q=0の点でMが極値をとることを説明できるか
  • 三ヒンジラーメン:ヒンジ位置でM=0となる条件を使って反力を分解できるか
  • ラーメンの応力性状:鉛直荷重でも剛接合を通じて柱に曲げモーメントが生じ得ることを理解しているか
  • トラスの節点法・切断法の使い分けと、ゼロメンバー・静定判別式(m+r=2j)
  • トラスの前提条件:荷重が節点にのみ作用する場合に限り軸方向力のみが生じること
  • 組合せ断面の図心位置と平行軸の定理(自己Iに距離²×面積を加える手順)を忘れていないか
  • 矩形断面のせん断応力度:平均せん断応力度(Q/A)の1.5倍が中立軸で生じることを覚えているか
  • 曲げ応力度とせん断応力度の違い:曲げは距離とIから、せん断は局所的な幅bから求まる違い
  • 単純梁と両端固定梁のたわみの比(5:1)を覚えているか
  • オイラー座屈荷重と座屈長さ係数K(両端ピン=1.0、両端固定=0.5、片持ち=2.0)、Pcr∝1/K²、Pcr∝E
  • 全塑性モーメントMpと弾性限界モーメントMyの比(形状係数):矩形1.5、円形約1.7、H形は1.5より小さいこと
  • 固定法における剛比(I/L)と分割率(DF=k/Σk)、伝達率(遠端固定で1/2)の求め方
  • 軸力と曲げモーメントの組合せ応力度(σ=N/A±M/Z)と、圧縮側の部材でも一部が引張になり得ること

まとめ

この記事の20問は、力学系の計算問題に絞って構成したぶん、1問あたりの計算量が第1集より多くなっています。本試験でも、計算問題に時間をかけすぎて他の分野の見直し時間がなくなるという事態は避けたいところです。まず問題文を読んで、どの公式・どの手順を使うかをすぐに思い浮かべられるかを確認し、思い浮かばない問題は後回しにして、確実に解ける問題から手をつけるという判断力を、この20問を通して鍛えておくことを筆者はおすすめします。間違えた問題があれば、答えの数値を覚えるのではなく、途中式のどの手順でつまずいたのかを必ず確認し、試験当日までに解き直しておいてください。


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