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建築構造

【令和8年度】一級建築士 学科「構造」予想問題 第3集|RC造・S造・木造の各種構造20問

一級建築士学科試験の「構造」は、力の釣り合いという力学系の計算問題と、RC造・S造・木造といった各種構造の文章題という、性質の異なる2つの柱で構成されています。当サイトではすでに第1集・第2集で力学系の計算問題と幅広い分野を横断する予想問題を掲載しましたが、この第3集では各種構造の文章題だけに的を絞り、RC造・S造・木造それぞれの配筋・接合・材料・設計思想を深掘りする20問を用意しました。

各種構造の文章題は、力学の計算問題と違って「公式を覚えていれば解ける」という性質のものではなく、なぜその配筋・接合方法・部材形式が採用されているのかという理屈を理解しているかどうかが得点を分けます。逆に言えば、丸暗記した数値や名称がひとつあいまいなだけで、本試験の選択肢文では簡単に不正解を選ばされてしまう分野でもあります。この記事では、RC造の配筋原則からS造の接合・座屈、木造の壁量設計・接合金物・燃えしろ設計、さらに混構造・SRC造や構造種別間の比較まで、令和8年度の学科試験で狙われやすいと筆者が考える論点を20問にまとめました。

問題を解く際は、正答番号だけを確認して終わらせず、不適当な選択肢がなぜ不適当なのか(どこがどう逆になっているのか、どの原則から外れているのか)まで解説で確認することをおすすめします。各種構造の分野は「AとBの関係が逆」「AとBの定義を入れ替えている」という形の誤答が非常に多く、正しい関係を対比の形で覚え直すことが、初見の問題文への対応力を高める近道になると筆者は考えています。

なお、本問題集は筆者(当サイト)が独自に作成した予想問題であり、実際の試験問題の的中や出題を保証するものではありません。受験にあたっては最新の法令・公式発表をご確認ください。


出題傾向と予想の考え方

各種構造の文章題は、RC造・S造・木造のそれぞれで1〜2問ずつ出題される年度が多いものの、年度によっては特定の構造種別からまとまって出題されることもあり、どの構造種別が出ても対応できるよう、各分野の基本原則を横並びで整理しておくことが直前期には有効だと筆者は考えています。以下の表は、今回の20問がどの分野に対応しているかを整理したものです。

分野 頻出度 対応する問題番号 関連記事
RC造(配筋・付着定着・靭性確保・スラブ壁・ひび割れ・かぶり) ★★★ 問1〜問6 鉄筋コンクリート構造(RC造)の基礎
S造(幅厚比・細長比・横座屈・接合・柱脚・冷間成形角形鋼管・デッキプレート) ★★★ 問7〜問14 鉄骨構造(S造)の基礎
木造(壁量設計・接合金物・燃えしろ設計・CLT・集成材) ★★☆ 問15〜問18 木造建築の構造の基礎
混構造・SRC造の基本 ★☆☆ 問19 壁式RC・SRC・CFT・PC構造の基礎
構造種別の比較(固有周期・重量・靭性) ★★☆ 問20 一級建築士「構造」の学習ガイド

RC造とS造は例年出題数が多く、配筋・接合の細かい原則まで踏み込んだ問題が作られやすい分野です。木造は近年の木造推進の流れもあり、燃えしろ設計やCLTなど新しめの論点が問われる傾向が続いていると筆者は見ています。混構造・SRC造や構造種別の比較は出題数こそ多くありませんが、他の構造種別の理解を横断的に問う応用問題として出やすい論点です。


予想問題20問

問1(RC造:配筋原則)

鉄筋コンクリート構造(RC造)の配筋原則に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. あばら筋は、梁のせん断力が大きくなりやすい部材端部において間隔を密にし、せん断力が小さくなる中央部では間隔を広くすることが多い。
  2. 帯筋は柱の主筋を取り囲むように配置され、主筋の座屈防止とコンクリートの拘束による靭性向上の役割を担う。
  3. 梁の主筋は上端・下端の両方に配置され、荷重条件やスパン中の位置に応じて、引張側になる断面に必要な鉄筋量が確保されるように配筋する。
  4. 柱の帯筋の間隔は、階高の全長にわたって一定にすることが望ましく、応力が大きくなりやすい柱の上下端部でも間隔を密にする必要はない。

解答・解説

正答: 4

選択肢4が不適当です。柱の上下端部(梁との接合部に近い部分)は、地震時に大きな曲げモーメント・せん断力・軸力が複合して生じやすく、コンクリートのせん断破壊やじん性低下が起きやすい箇所です。このため、帯筋は柱の上下端部で間隔を密にし、中央部は間隔をやや広くするという配筋が広く行われています。「階高の全長にわたって一定間隔とし、上下端部でも密にする必要はない」という記述は、応力が集中しやすい箇所ほど補強を厚くするという配筋の基本原則に反しており誤りです。

  • 選択肢1は、梁のせん断力分布に応じたあばら筋の間隔設定であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、帯筋の役割(主筋の座屈防止・コンクリートの拘束)であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、梁の主筋配置の基本的な考え方であり正しい記述です。

「応力が大きい箇所ほど補強筋の間隔を密にする」という考え方は、あばら筋・帯筋どちらにも共通する配筋の大原則であり、令和8年度も具体的な部材(梁か柱か)を変えた形で出題されやすいと筆者は考えています。詳しくは鉄筋コンクリート構造(RC造)の基礎で確認してください。


問2(RC造:付着・定着)

鉄筋コンクリート構造の付着・定着に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 異形鉄筋の表面のリブ(節)は、コンクリートとの機械的なかみ合わせによって付着力を高める役割を持つ。
  2. 鉄筋の定着長さは、鉄筋径が太くなるほど短くでき、コンクリートの設計基準強度が高くなるほど短くできる。
  3. 鉄筋端部に設ける定着フック(90度・135度などの折り曲げ)は、直線定着に比べて短い定着長さで所要の定着性能を確保するための工夫である。
  4. 引張鉄筋の重ね継手は、コンクリートとの付着を介して2本の鉄筋間で力を伝達する仕組みであり、継手長さも鉄筋径に応じて設定される。

解答・解説

正答: 2

選択肢2が不適当です。定着長さは、コンクリートの設計基準強度が高くなるほど付着強度が高まるため短くできますが、鉄筋径については逆の関係にあります。鉄筋径が太くなるほど、断面積(引き抜こうとする力に対応する量)が周長(付着力が働く面積)に対して相対的に大きくなるため、所要の定着性能を確保するために必要な定着長さ(鉄筋径の倍数として表される長さ)はむしろ長くなる傾向があります。「鉄筋径が太くなるほど短くできる」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、異形鉄筋の付着力向上の仕組みであり正しい記述です。
  • 選択肢3は、定着フックの目的(短い長さでの定着性能確保)であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、重ね継手の力の伝達機構と継手長さの考え方であり正しい記述です。

付着・定着は、コンクリート強度と鉄筋径という2つの要因が定着長さに与える影響の「方向」を混同させる出題が作りやすい論点です。片方だけ正しく、もう片方が逆になっている選択肢は特に見抜きにくいため、令和8年度も注意して読み解く必要があると筆者は考えています。


問3(RC造:せん断補強・柱梁の靭性確保)

鉄筋コンクリート構造の柱・梁の靭性確保に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 強柱弱梁の考え方は、柱よりも梁を先に曲げ降伏させることで、地震時のエネルギー吸収を梁に集中させ、柱の脆性的な破壊を防ごうとする設計思想である。
  2. 強柱弱梁の考え方は、梁よりも柱を先に曲げ降伏させることで、上下階の応力伝達の連続性を確保しようとする設計思想である。
  3. あばら筋・帯筋によるせん断補強を強化するほど、梁・柱は曲げ降伏よりも先にせん断破壊を起こしやすくなる。
  4. 柱梁接合部(仕口)には、隣接する部材より小さなせん断力しか生じないため、特別な補強を検討する必要はない。

解答・解説

正答: 1

選択肢1が正しい記述です。強柱弱梁は、地震時に建築物全体で先に降伏させたい部材を梁に限定し、柱を梁より先に曲げ降伏させない(柱の耐力に十分な余裕を持たせる)ことで、特定の階の柱が集中的に壊れて建築物全体が倒壊する事態を避けようとする設計思想です。梁を各階に分散して先行降伏させることで、建築物全体として粘り強くエネルギーを吸収できるようにする考え方です。

  • 選択肢2は誤りです。強柱弱梁は「柱よりも梁を先に降伏させる」という考え方であり、記述は関係が逆になっています。
  • 選択肢3は誤りです。あばら筋・帯筋によるせん断補強を強化するほど、脆性的なせん断破壊は生じにくくなり、粘り強い曲げ降伏が先行しやすくなります。記述は関係が逆です。
  • 選択肢4は誤りです。柱梁接合部には、柱・梁それぞれから伝達される応力が集中するため、一般部材よりも大きなせん断力が生じやすく、接合部内の補強筋の配置など特別な配慮が必要とされています。

強柱弱梁とせん断補強は、いずれも「先に壊れてほしい部位・壊れ方」を設計者がコントロールするという耐震設計の根幹に関わる考え方です。関係を逆にした誤答が作りやすい論点であるため、令和8年度も出題可能性が高いと筆者は考えています。


問4(RC造:スラブ・壁の配筋)

鉄筋コンクリート構造のスラブ・壁の配筋に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 二方向スラブでは、一般に短辺方向の曲げモーメントが長辺方向より大きくなりやすく、短辺方向の主筋量も多くなる傾向がある。
  2. 一方向スラブでは、主筋に直交する方向に配力筋を配置し、荷重の分散やひび割れの抑制を図る。
  3. 耐震壁の開口部の周囲には、応力集中を緩和し、開口隅角部のひび割れの発生を抑えるための補強筋を配置することが必要である。
  4. 耐震壁は開口の大きさや位置にかかわらず、壁全体の剛性・耐力に与える影響はほとんど無視できる。

解答・解説

正答: 4

選択肢4が不適当です。耐震壁は面全体で水平力に抵抗する部材であるため、開口を設けると力の伝達経路が分断され、開口の大きさ・位置によって壁全体の剛性・耐力は大きく低下します。開口が大きいほど、また開口位置が壁の中央付近にあるほど剛性低下の影響が大きくなる傾向があり、「開口の大きさや位置にかかわらず影響はほとんど無視できる」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、二方向スラブの曲げモーメント分布(短辺方向が大きい)であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、一方向スラブにおける配力筋の役割であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、耐震壁の開口補強筋の必要性であり正しい記述です。

スラブ・壁の配筋は、力の流れ(どの方向に大きな応力が生じるか)を理解していれば選択肢の正誤を判断しやすい分野です。特に耐震壁の開口は、剛性低下を軽視した記述が誤答として作られやすいため、令和8年度も注意しておきたい論点だと筆者は考えています。


問5(RC造:ひび割れ制御)

鉄筋コンクリート構造のひび割れに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. コンクリートの乾燥収縮や水和熱による温度変化は、荷重によるものとは別に、ひび割れの原因となり得る。
  2. ひび割れ誘発目地をあらかじめ計画的に設けることで、ひび割れの発生位置をある程度制御し、意図しない位置への集中を防ぐことができる。
  3. ひび割れ幅が大きくなると、そこから水分・二酸化炭素が浸入しやすくなり、コンクリートの中性化や鉄筋腐食の進行を早めるおそれがある。
  4. 鉄筋コンクリート構造の設計では、ひび割れの発生自体を完全に防止することが可能であり、実務上もひび割れ幅をゼロにすることが求められている。

解答・解説

正答: 4

選択肢4が不適当です。コンクリートは引張力に弱い材料であるため、荷重によるひび割れに加え、乾燥収縮や水和熱による温度応力などによってもひび割れが生じやすく、ひび割れの発生自体を完全にゼロにすることは現実的に困難とされています。実務上は、ひび割れの発生を前提としつつ、ひび割れ幅を耐久性・使用性に支障のない範囲に抑えるという考え方で設計・施工が行われており、「完全に防止することが可能で、ひび割れ幅をゼロにすることが求められる」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、荷重以外のひび割れ要因(乾燥収縮・水和熱)であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、ひび割れ誘発目地の目的であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、ひび割れ幅の拡大が耐久性に与える影響であり正しい記述です。

「ひび割れはゼロにできない前提でその幅を制御する」という考え方は、RC造の耐久性を理解するうえでの基本的な視点です。令和8年度も、ひび割れの発生要因や制御方法とあわせて出題されやすいと筆者は考えています。


問6(RC造:かぶり厚さ)

鉄筋コンクリート構造のかぶり厚さに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 屋外に面する部分や土に接する部分は、屋内の部分に比べて、一般に必要なかぶり厚さが大きく設定される傾向がある。
  2. かぶり厚さは、施工誤差を見込んだ最小かぶり厚さに、あらかじめ一定の余裕を加えた設計かぶり厚さを確保するという考え方で設定され、設計かぶり厚さは最小かぶり厚さより小さく設定される。
  3. かぶり厚さの不足は、コンクリートの中性化が鉄筋位置に早期に到達する要因となり、耐久性の低下につながる。
  4. 柱・梁のかぶり厚さは、一般に最も外側に配置される鉄筋(帯筋・あばら筋であることが多い)の表面から測った最短距離で規定される。

解答・解説

正答: 2

選択肢2が不適当です。かぶり厚さは、施工誤差を見込んで「最小かぶり厚さ+施工誤差の割増し=設計かぶり厚さ」という考え方で設定されるため、設計かぶり厚さは最小かぶり厚さより「大きく」なります。「設計かぶり厚さは最小かぶり厚さより小さく設定される」という記述は、この大小関係が逆になっており誤りです。

  • 選択肢1は、屋外・土に接する部分でかぶり厚さが大きく設定される傾向であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、かぶり厚さ不足による中性化の早期到達と耐久性低下の関係であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、かぶり厚さが最も外側の鉄筋(帯筋・あばら筋)表面から測定される点であり正しい記述です。

かぶり厚さは、防錆・耐火・付着という「目的」に加えて、最小かぶり厚さと設計かぶり厚さという「2つの数値の関係」も問われやすい論点です。目的と数値関係の両方を混同なく整理しておくことを、令和8年度の直前対策としておすすめします。


問7(S造:幅厚比)

鉄骨構造の幅厚比に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 板要素の幅厚比が小さい(板厚に余裕がある)ほど、局部座屈を起こしにくく、大きな塑性変形能力を期待できる。
  2. 幅厚比による断面区分は、地震時に大きな塑性変形(靭性)を期待する部材ほど、区分の緩い(幅厚比の大きい)断面を選定することを意味する。
  3. H形鋼のフランジとウェブはいずれも幅厚比の検討対象となるが、フランジは片側が自由端の板要素、ウェブは両側が拘束された板要素として扱われるという違いがある。
  4. 冷間成形により製造される角形鋼管は、熱間成形の角形鋼管に比べて、幅厚比の区分において不利側(厳しい側)に評価されることがある。

解答・解説

正答: 2

選択肢2が不適当です。幅厚比による断面区分は、地震時に大きな塑性変形(靭性)を期待する部材ほど、局部座屈を起こしにくい断面、すなわち幅厚比の小さい(区分の厳しい)断面を選定する必要があることを意味します。「大きな塑性変形を期待する部材ほど区分の緩い断面でよい」という記述は、求められる断面性能の方向が逆になっており誤りです。

  • 選択肢1は、幅厚比と局部座屈・塑性変形能力の関係であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、フランジ(自由端を持つ板)とウェブ(両側拘束された板)という幅厚比検討上の違いであり正しい記述です。
  • 選択肢4は、冷間成形角形鋼管の加工硬化による材質変化を踏まえた評価であり正しい記述です。

幅厚比は「小さいほど良い」という関係を、塑性変形の大きさを期待する部材ほど当てはめるという方向性が問われやすい論点です。逆方向にした誤答は作りやすいため、令和8年度も注意しておきたいポイントです。詳しくは鉄骨構造(S造)の基礎を参照してください。


問8(S造:細長比)

鉄骨構造の細長比に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 圧縮材の細長比は、座屈長さを断面の最小二次半径で除して求められ、細長比が大きいほど座屈しやすくなる。
  2. 柱の有効細長比には上限値が設けられており、細長比が大きすぎる部材は座屈による耐力低下が著しくなるため避けるべきとされている。
  3. 座屈長さは部材の実長と常に等しく、両端の支持条件(ピン支持・固定支持など)による影響を受けない。
  4. 引張材は圧縮材に比べて座屈の影響を受けにくいため、細長比の制限は圧縮材ほど厳格ではない傾向がある。

解答・解説

正答: 3

選択肢3が不適当です。座屈長さは、部材の実長に、両端の支持条件に応じた座屈長さ係数を乗じて求められ、両端固定の場合は両端ピンの場合より座屈長さが短くなるなど、支持条件によって変化します。「部材の実長と常に等しく、支持条件による影響を受けない」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、細長比の定義と座屈のしやすさの関係であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、有効細長比の上限値が設けられている理由であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、引張材と圧縮材で細長比の制限の厳しさが異なる傾向であり正しい記述です。

座屈長さと部材の実長を同一視してしまう誤りは、初学者がつまずきやすいポイントです。支持条件によって座屈長さが変わるという関係は、力学系の座屈の論点ともつながる基礎事項であるため、令和8年度も繰り返し問われやすいと筆者は考えています。


問9(S造:横座屈)

鉄骨構造の横座屈に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 横座屈は、曲げを受ける梁の圧縮側フランジが面外方向に変形し、断面全体がねじれを伴いながら倒れ込むように座屈する現象である。
  2. 横座屈は、梁の引張側フランジが面外方向に変形することで生じる現象である。
  3. 横座屈は、梁の圧縮側フランジを横方向に拘束する(横補剛を設ける)ことで、発生の危険性がかえって高まる現象である。
  4. 横座屈は、梁の断面や補剛区間の長さにかかわらず、常に発生しない現象である。

解答・解説

正答: 1

選択肢1が正しい記述です。横座屈(横倒れ座屈)は、曲げを受ける梁において、圧縮力を負担する側のフランジが面外方向(横方向)に変形し、それに伴い断面全体がねじれを伴いながら倒れ込むように座屈する現象です。圧縮側フランジの横移動が拘束されていない区間が長いほど生じやすくなります。

  • 選択肢2は誤りです。横座屈が生じるのは引張側ではなく圧縮側のフランジです。
  • 選択肢3は誤りです。横補剛材によって圧縮側フランジの横移動を拘束することは、横座屈の発生を抑える対策であり、危険性を高めるものではありません。
  • 選択肢4は誤りです。横座屈は、圧縮側フランジの拘束が不十分な区間が長い場合などに生じ得る現象であり、常に発生しないというものではありません。

横座屈は「圧縮側フランジ」「横補剛」という2つのキーワードの関係を正しく押さえているかが問われる論点です。局部座屈(幅厚比)との違いも含め、令和8年度も概念理解を問う形での出題が予想されます。


問10(S造:高力ボルト接合)

鉄骨構造の高力ボルト接合に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 高力ボルト摩擦接合は、ボルトの締め付けによって生じる接合面間の摩擦力によって応力を伝達する接合方法である。
  2. 高力ボルト摩擦接合の性能を確保するためには、接合面のすべり係数を確保するための表面処理(黒皮の除去や赤さび状態への調整など)が重要である。
  3. 高力ボルト接合には、摩擦接合のほか、ボルト軸部のせん断力と孔壁の支圧力によって応力を伝達する支圧接合もあり、両者は力の伝達機構が異なる。
  4. 高力ボルトの孔径は、施工誤差を吸収しやすくするため、ボルトの呼び径よりも十分に大きく設計することが、摩擦接合の性能上望ましいとされている。

解答・解説

正答: 4

選択肢4が不適当です。高力ボルト摩擦接合において、ボルト孔径をむやみに大きくすると、接合面の位置決め精度が低下するだけでなく、摩擦接合面としての性能や、万一すべりが生じた場合の支圧力の伝達にも悪影響を及ぼすおそれがあります。このため、標準的な設計ではボルト孔径をボルトの呼び径に対して必要最小限の余裕にとどめることが基本とされており、「十分に大きく設計することが望ましい」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、高力ボルト摩擦接合の力の伝達機構(締め付けによる摩擦力)であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、すべり係数を確保するための接合面処理であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、摩擦接合と支圧接合という2つの接合形式の違いであり正しい記述です。

摩擦接合と支圧接合は伝達機構が異なる別の接合形式であり、この違いを問う出題は頻出です。孔径についても「大きければ施工しやすく望ましい」と誤解しやすいポイントであるため、令和8年度も注意が必要な論点だと筆者は考えています。


問11(S造:溶接接合)

鉄骨構造の溶接接合に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 完全溶込み溶接(突合せ溶接)は、接合する母材の全断面を溶接金属で満たす接合方法で、母材と同等の強度を期待できる。
  2. すみ肉溶接は、重ね合わせた部材の隅角部に三角形状の溶接金属を盛る接合方法で、完全溶込み溶接に比べて応力の伝達経路が単純であるため、疲労に対して有利とされる。
  3. 溶接部の内部欠陥(ブローホール・溶込み不良など)は目視では発見しにくいため、超音波探傷検査などの非破壊検査が用いられる。
  4. 溶接の入熱によって鋼材の熱影響部の材質が変化することがあり、過大な入熱を避けるなど施工管理が重要である。

解答・解説

正答: 2

選択肢2が不適当です。すみ肉溶接は、溶接止端部(溶接金属と母材の境界)に応力が集中しやすい形状であり、一般に完全溶込み溶接に比べて疲労強度の面で不利とされることが多いとされています。「応力の伝達経路が単純で疲労に対して有利」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、完全溶込み溶接の定義と強度上の特徴であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、溶接部の内部欠陥と非破壊検査の必要性であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、溶接入熱による熱影響部の材質変化であり正しい記述です。

溶接接合は、接合形式ごとの強度・疲労特性の違いを問う出題が多い論点です。すみ肉溶接は施工しやすく広く使われる接合方法ですが、疲労に対しては不利な面もあるという点を混同しないよう、令和8年度に向けて整理しておいてください。


問12(S造:柱脚)

鉄骨構造の柱脚に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 露出柱脚は、ベースプレートとアンカーボルトを介して、柱脚に生じる引張力・せん断力・圧縮力を基礎に伝達する形式である。
  2. 露出柱脚のアンカーボルトは、地震時に柱脚に生じる引張力に抵抗するため、基礎に対して十分な定着長さを確保する必要がある。
  3. 露出柱脚は、柱脚の回転変形がほとんど生じない完全な固定端として設計上取り扱うことが標準的な考え方とされている。
  4. 根巻き柱脚・埋込み柱脚は、一般に露出柱脚に比べて柱脚の固定度を高めやすい形式とされている。

解答・解説

正答: 3

選択肢3が不適当です。露出柱脚は、ベースプレートとアンカーボルトによって力を伝達する形式であるため、根巻き柱脚・埋込み柱脚に比べて固定度が低く、地震時にはある程度の回転変形(半固定的な挙動)が生じ得ます。設計上もこの回転挙動を踏まえた評価が必要とされており、「回転変形がほとんど生じない完全な固定端として扱うことが標準的」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、露出柱脚の力の伝達機構であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、アンカーボルトに求められる定着性能であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、柱脚形式による固定度の序列(根巻き・埋込み>露出)であり正しい記述です。

柱脚は、形式ごとの固定度の序列だけでなく、露出柱脚が「完全固定ではない」という点も問われやすい論点です。柱脚の回転を考慮した設計が必要になるという理解を、令和8年度に向けて押さえておいてください。


問13(S造:冷間成形角形鋼管)

冷間成形角形鋼管に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 冷間成形角形鋼管は、鋼板を常温でロール成形・プレス成形などによって角形断面に加工した鋼管である。
  2. 冷間成形角形鋼管の角部(コーナー部)は、成形時の加工硬化により降伏点が上昇する一方で、塑性変形能力(靭性)が低下する傾向がある。
  3. 冷間成形角形鋼管を柱に用いる場合、角部の材質変化を考慮し、必要保有水平耐力の算定等において割増しなどの配慮を行うことがある。
  4. 冷間成形角形鋼管は、角部を含めた鋼管全周にわたって、熱間成形鋼管と全く同じ材料特性を示すため、設計上の区別は一切不要である。

解答・解説

正答: 4

選択肢4が不適当です。冷間成形角形鋼管は、常温での曲げ加工を伴うため、特に角部において加工硬化による降伏点の上昇と塑性変形能力の低下が生じます。この材質変化は熱間成形鋼管には見られない冷間成形特有の性質であり、柱として用いる場合には角部の材質変化を踏まえた設計上の配慮(必要保有水平耐力の割増しなど)が必要とされています。「熱間成形鋼管と全く同じ材料特性を示し、設計上の区別は一切不要」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、冷間成形角形鋼管の製造方法であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、角部の加工硬化と靭性低下の関係であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、設計上の配慮(保有水平耐力の割増し等)であり正しい記述です。

冷間成形角形鋼管は、柱に広く使われる部材でありながら、加工に伴う材質変化という熱間成形材にはない特有の弱点を持つ点が出題の中心になりやすい論点です。角部の材質変化という視点を、令和8年度に向けて確認しておいてください。


問14(S造:デッキプレート)

デッキプレート・合成スラブに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. デッキプレートは波形形状の鋼製の板で、床スラブのコンクリート打設時の型枠として、また硬化後は床の構造部材の一部として機能することがある。
  2. デッキプレートとコンクリートを一体化させた合成スラブは、頭付きスタッドボルトなどのずれ止めを介して、鉄骨梁と一体的に応力を伝達させる合成梁として用いられることもある。
  3. デッキプレートを用いた床・合成スラブは、地震時に水平力を各耐力要素(筋かい・ラーメンなど)へ伝達する水平構面としての役割も担う。
  4. デッキプレートを用いた床は、コンクリートの捨て型枠としての機能のみを持ち、硬化後のコンクリートの構造性能に一切寄与しない。

解答・解説

正答: 4

選択肢4が不適当です。デッキプレートには、コンクリート硬化後に型枠としての役割を終える「捨て型枠タイプ」もありますが、多くのデッキプレートはコンクリートと一体化して床スラブの構造部材として機能するように設計されており、硬化後のコンクリートの構造性能(曲げ耐力など)に寄与します。「捨て型枠としての機能のみを持ち、構造性能に一切寄与しない」という記述は、デッキプレートの一般的な使われ方を踏まえると誤りです。

  • 選択肢1は、デッキプレートの二重の役割(型枠・構造部材)であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、合成スラブ・合成梁におけるスタッドボルトの役割であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、デッキプレート床の水平構面としての役割であり正しい記述です。

デッキプレートは、木造の水平構面(床倍率)と同じく「地震力を耐力要素へ伝達する橋渡し役」という視点で理解しておくと、S造・木造を横断した比較問題にも対応しやすくなります。


問15(木造:壁量設計の考え方)

木造建築物の壁量設計に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 壁量設計の基本は、建築物の床面積・見付面積等から算定される必要壁量に対し、実際に配置した耐力壁から算定される存在壁量が上回っていることを確認するものである。
  2. 壁量設計では、存在壁量が必要壁量をわずかに下回っていても、耐力壁の配置バランスさえ良ければ問題ないとされている。
  3. 壁量設計における必要壁量は、建築物の階数や屋根の重さにかかわらず、床面積のみから一律に定まる。
  4. 壁倍率は、耐力壁の仕様(筋かいの寸法・面材の種類など)にかかわらず、すべての耐力壁で共通の値が用いられる。

解答・解説

正答: 1

選択肢1が正しい記述です。壁量設計は、建築物の規模・重量条件から算定される必要壁量に対し、実際に配置した耐力壁の仕様・長さから算定される存在壁量が上回っていることを確認するという考え方が基本になります。

  • 選択肢2は誤りです。存在壁量が必要壁量を下回っている場合は、配置バランスの良し悪しにかかわらず、壁量そのものが不足しているとみなされます。壁量の確保と配置バランスの確保は、どちらか一方で足りるものではなく、両方が必要な条件です。
  • 選択肢3は誤りです。必要壁量は、床面積だけでなく、建築物の階数や屋根の重さ(屋根葺き材の重量区分など)によっても変わります。
  • 選択肢4は誤りです。壁倍率は、耐力壁の仕様(筋かいの太さ・向き、面材の種類など)ごとに異なる値が定められています。

壁量設計は「量の確保」と「配置バランスの確保」がセットで必要になるという原則が最も問われやすいポイントです。どちらか一方だけで十分と誤解させる選択肢は頻出パターンであるため、令和8年度も注意が必要です。


問16(木造:接合金物)

木造建築物の接合金物に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 柱の柱頭・柱脚に生じる引き抜き力は、その柱の両側に取り付く耐力壁の壁倍率が大きいほど、大きくなる傾向がある。
  2. N値計算法は、柱に生じる引き抜き力を簡易的に評価し、必要な接合金物の仕様を選定するための考え方の一つである。
  3. 耐力壁の強さ(壁倍率)を高める場合であっても、柱脚・柱頭に取り付ける接合金物の仕様を一律に変える必要はない。
  4. ホールダウン金物は、柱と土台(または基礎)とをアンカーボルトなどを介して緊結し、地震時における柱の引き抜けを防ぐことを目的とした金物である。

解答・解説

正答: 3

選択肢3が不適当です。耐力壁の壁倍率が大きくなるほど、地震時に柱に生じる引き抜き力も大きくなる傾向があるため、接合部の金物には、耐力壁の強さに応じた引き抜き耐力を持つものを選定する必要があります。壁だけを強くして接合部の金物が追いつかないと、柱が先に抜け出すような破壊が生じ、耐力壁本来の性能を発揮できなくなるおそれがあります。「一律に変える必要はない」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、壁倍率と柱の引き抜き力の関係であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、N値計算法の位置づけであり正しい記述です。
  • 選択肢4は、ホールダウン金物の目的であり正しい記述です。

「耐力壁の強さと接合部の金物の強さはセットで検討する」という考え方は、木造の耐震設計の要となる論点です。壁だけを強化して満足してしまう誤りは実務でも起こりやすいため、令和8年度もこの視点を問う出題が予想されます。


問17(木造:燃えしろ設計)

木造建築物の燃えしろ設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 燃えしろ設計は、木材が燃焼時に炭化する速度を考慮し、必要な構造耐力を確保できる断面に、炭化が想定される厚み(燃えしろ寸法)を加えた断面を採用する考え方である。
  2. 燃えしろ設計により定められた断面は、火災時に表面が炭化しても、燃えしろ部分を除いた内部の断面で構造耐力を確保できるように設計されている。
  3. 燃えしろ設計は、木材の炭化速度が部材の樹種や集成材・製材といった種類にかかわらず、常に一定であることを前提としている。
  4. 燃えしろ設計と耐火被覆(石膏ボードなどによる被覆)は、いずれも木造部材の防火性能を確保する手法であるが、考え方が異なる別の手法である。

解答・解説

正答: 3

選択肢3が不適当です。木材の炭化速度は、樹種や、製材・集成材といった材料の種類によって異なる想定が用いられており、燃えしろ寸法もこれに応じて区分されています。「炭化速度が常に一定であることを前提としている」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、燃えしろ設計の基本的な考え方であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、燃えしろを除いた断面で構造耐力を確保するという設計思想であり正しい記述です。
  • 選択肢4は、燃えしろ設計と耐火被覆という2つの異なる防火手法の位置づけであり正しい記述です。

燃えしろ設計は「木材そのものの断面を犠牲にして炭化分を見込む」という耐火被覆とは異なる発想の手法であり、木造の中大規模化が進む中で近年注目度が高まっている論点です。炭化速度が材料によって異なるという前提を、令和8年度に向けて確認しておいてください。


問18(木造:CLT・集成材)

CLT(直交集成板)・集成材に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. CLT(直交集成板)は、ひき板を繊維方向が層ごとに直交するように積層接着した木質材料で、面内・面外方向の性能バランスに優れる。
  2. 集成材は、ひき板を繊維方向がそろうように積層接着した木質材料で、無垢材に比べて狂い(反り・割れ)が生じにくく、断面の大きな部材を製造しやすい。
  3. CLTの直交層構成は、単板が持つ異方性(繊維方向による強度差)を緩和し、面内せん断性能や寸法安定性を高める効果があるとされている。
  4. 集成材・CLTのような木質系材料は、含水率が強度に一切影響しないため、乾燥状態の管理を行う必要がない点で、無垢材とは異なる特別な材料である。

解答・解説

正答: 4

選択肢4が不適当です。集成材・CLTは、ひき板を積層接着した木質材料であり、木材そのものを原料とする以上、無垢材と同様に含水率が強度・寸法安定性に影響を与えます。集成材・CLTの製造工程では、あらかじめ十分に乾燥させたひき板を用いることで品質を安定させていますが、これは含水率の影響を受けないということではなく、むしろ含水率管理を工程内で徹底しているためです。「含水率が強度に一切影響しないため、乾燥状態の管理を行う必要がない」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、CLTの構成と性能バランスであり正しい記述です。
  • 選択肢2は、集成材の構成と無垢材に対する優位点であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、CLTの直交層構成による異方性緩和の効果であり正しい記述です。

集成材・CLTは「無垢材の弱点(異方性・狂い)を工業的に緩和した材料」であって、木材が持つ含水率と強度の関係そのものから逃れているわけではない、という視点が問われやすい論点です。令和8年度も、木質系材料の性質を横断的に問う出題が予想されます。


問19(混構造・SRC造の基本)

混構造・SRC造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 混構造は、1棟の建築物の中で異なる構造種別(例えば下層階をRC造、上層階を木造とする等)を組み合わせる構造形式である。
  2. 混構造では、構造種別が切り替わる境界階付近で上下の層の剛性・重量の差が大きいと、その階に変形や応力が集中しやすくなるため注意が必要である。
  3. SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)は、鉄骨の周囲に鉄筋を配してコンクリートを打設した構造で、S造の靭性とRC造の剛性・耐火性を併せ持つことを狙った構造形式である。
  4. 混構造やSRC造では、構造種別が異なる部材間の剛性差や応力伝達を特に考慮する必要はなく、単一の構造種別の建築物と全く同じ設計手法で対応できる。

解答・解説

正答: 4

選択肢4が不適当です。混構造は、構造種別が切り替わる境界部分で剛性・重量が急変しやすく、その階に応力・変形が集中するリスクがあるため、単一構造種別の建築物とは異なる特別な検討(境界部の剛性差への配慮、応力伝達経路の確認など)が必要とされています。SRC造についても、鉄骨とRC造それぞれの特性を併せ持つ構造として、両者の設計手法を組み合わせた独自の検討が必要です。「単一構造種別の建築物と全く同じ設計手法で対応できる」という記述は誤りです。

  • 選択肢1は、混構造の定義であり正しい記述です。
  • 選択肢2は、混構造における境界階の剛性差への注意点であり正しい記述です。
  • 選択肢3は、SRC造の構成と狙いであり正しい記述です。

混構造・SRC造は、それぞれの構造種別の基本を理解していることを前提に、異なる構造を組み合わせたときに何に注意すべきかを問う応用的な論点です。単一構造種別の理解の延長として、令和8年度も出題可能性があると筆者は考えています。より詳しい構造形式の整理は壁式RC・SRC・CFT・PC構造の基礎を参照してください。


問20(構造種別の比較:固有周期・重量・靭性)

RC造・S造・木造の一般的な傾向の比較に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 同程度の階数・規模であれば、一般にS造はRC造に比べて建築物の重量が軽く、固有周期が長くなる傾向がある。
  2. 同程度の階数・規模であれば、一般にRC造はS造に比べて建築物の重量が軽く、固有周期が短くなる傾向がある。
  3. 一般に、S造はRC造に比べて靭性(粘り強さ)に乏しく、地震時に急激な脆性破壊を起こしやすい構造とされている。
  4. 木造・S造・RC造の固有周期は、構造種別にかかわらずほぼ同一の値になることが多い。

解答・解説

正答: 1

選択肢1が正しい記述です。RC造はコンクリートを主要な構造材料とするため自重が大きくなりやすく、断面・壁量も比較的大きく確保されることから剛性が高くなり、結果として固有周期は短めになる傾向があります。一方、S造は鋼材を用いることで軽量な架構をつくりやすく、ラーメン構造を中心に剛性がRC造ほど高くならないことも多いため、同程度の規模であれば固有周期が長くなる傾向があるとされています。

  • 選択肢2は誤りです。一般的な傾向としては、RC造の方がS造より重量が重く、固有周期は短めになりやすいため、記述は関係が逆になっています。
  • 選択肢3は誤りです。鋼材は靭性に富む材料であり、S造は一般にRC造よりも粘り強い変形性能を期待しやすい構造とされています。記述は関係が逆です。
  • 選択肢4は誤りです。固有周期は構造種別による重量・剛性の違いを反映して変わる傾向があり、構造種別にかかわらずほぼ同一になるわけではありません。

固有周期・重量・靭性の一般的な傾向は、あくまで「同程度の規模であれば」という条件付きの傾向であり、実際の固有周期は架構形式・剛性の与え方次第で変わります。この前提を踏まえたうえで、RC造・S造・木造の一般的な傾向を横断的に整理しておくことが、令和8年度の応用的な出題への備えになると筆者は考えています。


直前チェックリスト

20問で扱いきれなかった論点も含め、直前期に暗記・確認しておきたい項目を整理しました。

  • 帯筋・あばら筋は、応力が大きくなりやすい部材端部(柱の上下端部・梁の端部)で間隔を密にすること
  • 定着長さは鉄筋径が太いほど長くなり、コンクリート強度が高いほど短くできるという、2つの要因の方向の違い
  • 強柱弱梁(梁を先に曲げ降伏させる)とせん断補強(せん断破壊より曲げ降伏を先行させる)の関係
  • 耐震壁の開口は壁全体の剛性・耐力に大きく影響すること
  • RC造はひび割れの発生を前提に、ひび割れ幅を制御するという考え方であること
  • かぶり厚さは最も外側の鉄筋(帯筋・あばら筋)表面から測ること、設計かぶり厚さ>最小かぶり厚さの関係
  • 幅厚比は小さいほど良く、大きな塑性変形を期待する部材ほど幅厚比の小さい断面が求められること
  • 座屈長さは部材の実長ではなく、支持条件によって変化する長さであること
  • 横座屈は梁の圧縮側フランジに生じ、横補剛によって抑えられること
  • 高力ボルト摩擦接合(摩擦力で伝達)と支圧接合(軸部せん断・支圧力で伝達)の違い
  • すみ肉溶接は完全溶込み溶接に比べて疲労に対して不利になりやすいこと
  • 露出柱脚は完全固定ではなく、回転変形を考慮した設計が必要であること
  • 冷間成形角形鋼管の角部は加工硬化により靭性が低下し、保有水平耐力の割増し等の配慮が必要なこと
  • デッキプレート・合成スラブが水平構面として耐力要素へ力を伝達する役割を担うこと
  • 木造の壁量設計は「量の確保」と「配置バランスの確保」の両方が必要であること
  • 耐力壁の壁倍率が大きいほど柱の引き抜き力も大きくなり、接合金物もそれに応じて選定すること
  • 燃えしろ設計における炭化速度は樹種・材料の種類によって異なること
  • CLT・集成材も無垢材と同様に含水率の影響を受け、乾燥管理が重要であること
  • 混構造・SRC造は、剛性差・応力伝達を特別に検討する必要があること
  • RC造・S造・木造の重量・固有周期・靭性の一般的な傾向(RC造は重く周期短め、S造は軽く靭性に富む)

まとめ

各種構造の文章題は、力学の計算問題のように公式を当てはめれば解けるものではなく、なぜその配筋・接合・部材形式が採用されているのかという理屈を積み上げて理解しているかどうかが得点を左右します。試験本番では、選択肢の中の「大小関係」「時系列(何が先に生じるか)」「因果関係の向き」のいずれかが逆にされているケースが非常に多いため、正答を選ぶだけでなく、不適当な選択肢のどこがどう逆になっているのかまで確認する解き方を、直前期の学習でも徹底することをおすすめします。今回の20問で自信が持てなかった分野があれば、当日までに単元記事に戻って関係性を整理し直しておいてください。


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