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建築計画

令和8年度 一級建築士 学科 直前完全模試【計画】20問|本試験形式

いよいよ明日、令和8年度の一級建築士学科試験です。この記事は、本試験の学科I「計画」と同じ20問構成で筆者が独自に作成した、完全オリジナルの直前模試です。既存の予想問題記事とは重複しない切り口・論点で出題しており、直前の実戦演習としてお使いいただけます。

最初にお断りしておきたいのは、本記事はあくまで筆者独自の予想問題であり、本試験の的中を保証するものではないという点です。過去問・市販模試・教材等の文章を転載した問題は一切含まれておらず、論点だけを参考にしたオリジナルの問題文・選択肢で構成しています。法令・数値は執筆時点(2026年7月25日)でWebSearchにより一次資料を確認したうえで出題していますが、直前は必ず最新の法令・公式発表もあわせてご確認ください。

時間配分の目安について触れておきます。本試験の学科試験は、学科I(計画)・学科II(環境・設備)をあわせて120分で40問(計画20問+環境設備20問)を解く一体の試験として実施されます。単純に按分すると計画20問には目安60分程度(1問あたり3分弱のペース)が使える計算ですが、実際には解きやすい問題から着手し、判断に迷う問題は印をつけて後回しにする、という時間配分が現実的です。本記事の20問も、まずは時間を計って通しで解いてみて、ご自身のペース配分を最終確認する材料にしていただければと思います。


出題傾向と本模試の構成

計画科目は本試験で20問出題されます。本記事の20問は、頻出分野を軸にしながら約7割を鉄板論点(ただし既存記事とは切り口を変えたもの)約3割を令和8年度の新論点という配分で構成しました。

分野本記事の対応問番号
用途別建築計画(住宅形態・福祉・教育・宿泊施設)問1・問2・問3・問4
物流・商業施設の計画問5・問6
文化施設・アーカイブズ・音響計画問7・問8
オフィス計画・建築生産マネジメント問9・問10・問11
都市計画・まちづくり問12・問13
防災・事業継続(BCP)問14
脱炭素・環境配慮(令和8年度新論点)問15・問16
既存ストック活用(令和8年度新論点)問17・問18
バリアフリー基準改正各論(令和8年度新論点)問19・問20

うち問11・問19は数値を用いた計算を伴う問題です。出題形式は本試験にあわせて「最も不適当なものはどれか」を主体とし、一部「正しいものはどれか」型を混ぜています。


直前完全模試20問

問1 タウンハウス・テラスハウスの計画特性

低層の連続建て住宅であるタウンハウス・テラスハウスに関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. タウンハウスは、各住戸が専用の庭とアプローチを持ちながら壁を共有して連続する低層住宅形式で、建築基準法上は「長屋」(連続建て)に分類され、共同住宅のような共用の玄関・廊下は持たない。
  2. タウンハウスは、各住戸が独立した専用の庭とアプローチを持つことから建築基準法上「共同住宅」に分類され、二方向避難等の規定についても共同住宅の基準がそのまま適用される。
  3. タウンハウス・テラスハウスは、いずれも各住戸が敷地の共有持分を持ち、通路・駐車場等の共用部分を居住者が共同で維持管理する形態がとられることがある。
  4. テラスハウスは、タウンハウスと同様に連続建ての低層住宅形式の一種であり、各住戸の前面に段状にセットバックした専用の屋外空間(テラス)を設ける点に特徴がある。

解答・解説

正答は2です。

1・3・4は正しい記述です。タウンハウスは各住戸が専用の庭・アプローチを持ちながら壁を共有して連続する形式で、建築基準法上は共同住宅ではなく「長屋」(連続建て)に分類されます。タウンハウス・テラスハウスは敷地の共有持分を持ち共用部分を居住者が共同で維持管理する形態がとられることもあり、テラスハウスも同様に連続建ての住宅形式の一種で、段状にセットバックした専用テラスを持つ点が特徴です。

2が誤りです。タウンハウスは専用の庭とアプローチを持つ点が特徴であっても、建築基準法上の用途区分は「長屋」(連続建て)であり「共同住宅」には分類されません。共用の廊下・階段を持つ共同住宅とは異なる区分であるため、二方向避難等の規定も共同住宅の基準がそのまま適用されるわけではありません。設問文は建築物の用途区分を取り違えているため不適当です。

低層集合住宅の分野は、住棟形式ごとの特徴に加えて「建築基準法上どの用途区分に該当するか」という視点も問われやすいポイントです。長屋・共同住宅の区分の違いを、動線・共用部分の有無とあわせて整理しておくとよいでしょう。


問2 幼保連携型認定こども園の計画

幼保連携型認定こども園に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. 幼保連携型認定こども園は、就学前の子どもに対して教育と保育を一体的に提供する単一の認可施設であり、保育教諭を配置することを原則とする。
  2. 0〜2歳児を主な対象とする保育所的な機能の部分と、3〜5歳児を主な対象とする幼稚園的な機能の部分を、一体の施設・職員体制の中で提供することが幼保連携型認定こども園の特徴である。
  3. 幼保連携型認定こども園は、保育所と幼稚園をそれぞれ別個の建物として整備し、認可・監督の系統も従来どおり別々に維持したまま両施設を連携させる施設形態である。
  4. 保護者の就労状況にかかわらず、就学前の子どもを受け入れて教育・保育を提供できる点は、保育所単独の施設と異なる特徴の一つとされる。

解答・解説

正答は3です。

1・2・4は正しい記述です。幼保連携型認定こども園は、教育と保育を一体的に提供する単一の認可施設であり、保育教諭の配置を原則とします。0〜2歳児向けの保育所的機能と3〜5歳児向けの幼稚園的機能を一体の施設・職員体制で提供する点、保護者の就労状況にかかわらず受け入れができる点も、保育所単独の施設とは異なる特徴です。

3が誤りです。幼保連携型認定こども園は、保育所と幼稚園を別個の建物・別々の認可系統として維持したまま連携させる施設形態ではなく、教育と保育の両機能を一体的に提供する単一の認可施設として計画・運営されます。設問文は施設の一体性という制度の根幹を取り違えているため不適当です。

保育・教育施設の分野は、施設類型ごとの制度上の位置づけ(単一施設か、複数施設の連携かなど)を正確に区別できるかがポイントです。似た名称の施設の違いを対象年齢・認可の仕組みとあわせて整理しておくとよいでしょう。


問3 特別支援学校の計画基準

特別支援学校の計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. 特別支援学校は、視覚障害・聴覚障害・知的障害・肢体不自由・病弱等、障害の種類に応じて必要な配慮を行いながら教育を行う学校であり、複数の障害種を対象として一つの学校で教育を行う場合もある。
  2. 特別支援学校設置基準(令和3年文部科学省令)には、通常の小学校・中学校と比較して少人数での学級編制を基本とする考え方が示されている。
  3. 医療的ケアが必要な児童生徒に対応するため、看護師等が処置を行うための空間や、医療的ケアに必要な設備を確保することが計画上求められる。
  4. 特別支援学校の校舎における車椅子使用者等の移動に配慮した廊下幅員やスロープ・エレベーター等の整備は、設置基準上は努力目標にとどまり、必須の基準としては定められていない。

解答・解説

正答は4です。

1〜3は正しい記述です。特別支援学校は障害の種類に応じた配慮を行う学校であり、複数の障害種を対象とする学校もあります。特別支援学校設置基準では少人数での学級編制を基本とする考え方が示されており、医療的ケアに対応する空間・設備の確保も計画上求められます。

4が誤りです。特別支援学校は、車椅子使用者を含む児童生徒が日常的に利用することを前提とした施設であり、移動に配慮した廊下幅員やスロープ・エレベーター等の整備は、設置基準上の努力目標ではなく、計画上必ず確保すべき基準として位置づけられています。設問文は基準の性格(努力目標か必須の基準か)をすり替えているため不適当です。

特別支援学校は令和3年に初めて独立した設置基準が制定された比較的新しい分野です。通常の小・中学校の基準との違い(少人数編制・バリアフリー対応・医療的ケアへの対応等)を押さえておくと、初見の設問にも対応しやすくなります。


問4 ホテル建築の計画(客室部門・パブリック部門)

ホテル建築の計画に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. ホテル建築は、宿泊者が滞在する客室部門、ロビー・レストラン・宴会場等からなるパブリック部門、厨房・洗濯・職員関連諸室からなるサービス部門等に大別され、各部門の動線を適切に分離して計画することが基本である。
  2. 客室階の基準階計画において、中廊下(ダブルロード)型は片廊下(シングルロード)型に比べて同一面積で確保できる客室数が少なくなる一方、全室が良好な眺望・採光を得やすいという特徴がある。
  3. 宴会場部門は、大人数の利用に対応するため可動間仕切りで分割・統合できる計画とされることが多く、料理・什器を搬送する動線は、来場者の動線と積極的に共用させることでサービス性を高めるのが一般的である。
  4. ホテルの延べ面積に占める客室部門の面積比率は、事務所建築のレンタブル比と同じ考え方で70%台後半から80%程度を確保することが計画上の基本原則とされる。

解答・解説

正答は1です。

1が正しい記述です。ホテル建築は客室部門・パブリック部門・サービス部門等に大別され、宿泊者・来館者・従業員それぞれの動線を交錯させないよう分離して計画することが基本です。

2は誤りです。客室階の基準階計画では、廊下の両側に客室を配置する中廊下(ダブルロード)型のほうが、片廊下(シングルロード)型に比べて同一面積で確保できる客室数が多くなる一方、廊下の片側の客室は眺望・採光の条件が不利になりやすいという特徴があります。設問文はこの関係を逆に説明しています。

3は誤りです。宴会場部門における料理・什器の搬送動線(サービス動線)は、来場者の動線とは分離して計画するのが基本であり、両者を積極的に共用させることは通常想定されていません。

4は誤りです。レンタブル比は事務所建築の収益性を評価する指標であり、ホテル建築の客室部門面積比率にそのまま同じ数値目安を適用する考え方ではありません。用途の異なる建物の指標を混同しているため不適当です。

ホテル建築は計画科目の中でも出題頻度がやや控えめな分野ですが、部門構成と動線分離の考え方は他の用途別建築計画と共通しています。事務所・商業施設の指標をそのままホテルに当てはめないよう、用途ごとの計画指標の違いを意識しておくとよいでしょう。


問5 物流施設(物流センター)の計画

物流施設(物流センター)の計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. 物流施設の計画では、入荷から保管・仕分け・出荷までの物品の流れ(マテリアルフロー)を一方向とし、動線の交錯を避けることが基本とされる。
  2. 物流施設の柱スパンは、荷役作業の効率よりも建設コストの縮減を優先し、事務所建築と同程度の小さいスパンで計画するのが一般的である。
  3. 物流施設の床は、パレットや重量ラック等の積載荷重に対応するため、事務所建築の一般的な床荷重に比べて大きな積載荷重を設定して計画するのが一般的である。
  4. ランプウェイは、多層階の物流施設においてトラックが上下階の間を自走して積み下ろしを行うための走路であり、その配置は建物形状やトラックヤード計画に大きな影響を与える。

解答・解説

正答は2です。

1・3・4は正しい記述です。マテリアルフローを一方向として動線の交錯を避けること、床の積載荷重を事務所建築より大きく設定すること、ランプウェイが建物形状やトラックヤード計画に大きな影響を与えることは、いずれも物流施設計画の基本的な考え方です。

2が誤りです。物流施設の柱スパンは、フォークリフト等による荷役作業の効率やラックレイアウトの自由度を確保するため、事務所建築に比べて大きなスパン(柱の少ない大空間)で計画するのが一般的です。建設コストの縮減を優先して小さいスパンにするという設問の説明は、物流施設計画の実際の考え方と逆になっているため不適当です。

物流施設は近年の出題増加が見込まれる分野です。マテリアルフロー・ランプウェイ・柱スパン・床荷重といった基本用語を、荷役作業の効率という観点から一貫して理解しておくと、初見の設問にも対応しやすくなります。


問6 商業施設の荷さばき駐車施設・搬入計画

商業施設の荷さばき駐車施設・搬入計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. 商業施設における荷さばき駐車施設は、荷捌き車両の動線が客用駐車場の出入口や歩行者動線と交錯しないよう、建物の裏側やサービスヤードに近接して計画するのが基本である。
  2. 荷さばき駐車施設の必要台数は、店舗の売場面積や取扱商品の種類・搬入頻度等を踏まえて計画され、コンビニエンスストアのような小規模店舗と大規模商業施設とでは、求められる荷さばきスペースの考え方が異なる。
  3. 荷さばき車両の動線と客用車両の動線を同一のスロープ・通路で計画し、両者を積極的に共用させることで駐車場全体の面積効率を高めることが、商業施設の駐車計画における基本原則とされる。
  4. 荷さばき駐車施設の計画にあたっては、搬入車両の車種(トラックの全長・全高等)や荷役方法(パレット荷役・かご車等)を踏まえて、必要な有効高さや作業スペースを確保する必要がある。

解答・解説

正答は3です。

1・2・4は正しい記述です。荷さばき駐車施設を客用駐車場・歩行者動線と分離してサービスヤードに近接配置すること、必要台数を店舗規模や搬入頻度に応じて計画すること、搬入車両の車種・荷役方法を踏まえて有効高さや作業スペースを確保することは、いずれも商業施設の荷さばき計画の基本です。

3が誤りです。荷さばき車両の動線と客用車両の動線は、安全性や運用効率の観点から分離して計画するのが基本であり、両者を同一のスロープ・通路で積極的に共用させることは、面積効率を理由としても一般的な計画原則とはされていません。設問文は荷さばき計画の基本方針を逆に説明しているため不適当です。

商業施設の荷さばき計画は、法令上の一律の数値基準よりも「動線を分離する」という設計原則を問う出題が中心になりやすい分野です。顧客動線・バックヤード動線・荷さばき動線という3つの動線をそれぞれ意識して整理しておくとよいでしょう。


問7 公文書館(アーカイブズ施設)の計画

公文書館(アーカイブズ施設)の計画に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 公文書館の書庫における温湿度管理は、来館者の快適性を優先するため、一般の事務室と同程度の温湿度環境を維持することが基本とされる。
  2. 公文書館は、図書館と同様に開架方式を基本とし、利用者が書庫内を自由に歩き回って資料を直接手に取れるように計画することが望ましいとされる。
  3. 公文書館に保存される歴史公文書等は、保存期間が満了した時点で原則として廃棄することが前提とされており、恒久的な保存を目的とした施設ではない。
  4. 公文書館の書庫は、資料の劣化を防ぐため温湿度を一定の範囲に管理することが求められ、利用者の閲覧室とは別の区画として計画し、書庫への一般利用者の直接立入りを制限するのが基本である。

解答・解説

正答は4です。

1は誤りです。公文書館の書庫における温湿度管理は、来館者の快適性ではなく資料の劣化防止を優先して計画されるものであり、一般の事務室と同程度の環境をそのまま適用するものではありません。

2は誤りです。公文書館は、利用者が書庫内を自由に歩き回れる開架方式ではなく、利用者の請求に基づき職員が資料を書庫から出納し、閲覧室で閲覧に供する閉架方式が基本です。図書館の開架方式とは前提が異なります。

3は誤りです。公文書館に保存される歴史公文書等は、恒久的な保存・利用を目的として保存される資料であり、保存期間満了後に原則廃棄することを前提とした施設ではありません。

4が正しい記述です。公文書館の書庫は資料保存の観点から温湿度を管理する必要があり、利用者の閲覧室とは区画を分け、一般利用者が書庫に直接立ち入ることを制限するのが基本的な計画です。

公文書館は図書館・博物館と混同されやすい施設ですが、「資料を恒久的に保存すること」を目的とする点、閉架方式を基本とする点が明確な違いです。似た文化施設との対象・運営方式の違いを整理しておくとよいでしょう。


問8 音楽ホールの音響計画基礎

音楽ホールの音響計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. 残響時間は、客席の椅子の素材や内装の仕上げ材料といった室内の吸音性能を高めるほど長くなる関係にあり、室容積の大小は残響時間にほとんど影響を与えない。
  2. 残響時間は、室容積が大きいほど、また室内の吸音力(吸音率と表面積の積の総和)が小さいほど長くなる傾向がある。
  3. ステージ後方に設置される音楽反射板は、演奏音を客席側に効率よく反射させる役割を持ち、演奏形態に応じて可動式とすることがある。
  4. 音楽ホールの残響時間は、講演や演劇のように言葉の明瞭性が重視される用途に比べて、クラシック音楽のように豊かな響きが求められる用途のほうが、一般に長めに設計される。

解答・解説

正答は1です。

1が誤りです。残響時間は、吸音力が大きいほど短くなり、小さいほど長くなる関係にあります。設問文はこの因果関係を逆に説明したうえ、実際には残響時間に大きく影響する室容積の効果も軽視しており、不適当です。

2〜4は正しい記述です。残響時間が室容積の増大や吸音力の低下に伴って長くなる傾向にあること、音楽反射板が演奏音を客席側に反射させる役割を持つこと、用途に応じて残響時間の望ましい長さが異なることは、いずれもホール音響計画の基本的な考え方です。

音楽ホールの音響計画は、環境・設備科目の音響分野と関連が深いテーマですが、計画科目では客席形式・舞台形式とあわせて出題される傾向があります。「何が残響時間を左右するか」という要因を漏れなく押さえておくとよいでしょう。


問9 ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)とオフィス計画

ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)を導入したオフィスの計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. ABWは、従業員が固定の自席を持たず、業務内容に応じて集中作業向けのブースや対話向けのオープンスペース等、多様な設えの中から最適な場所を選んで働くオフィス運用の考え方である。
  2. ABWは在席率の管理や個人の座席確保のみを目的とした制度であり、業務内容に応じた空間選択という考え方は含まれず、フリーアドレス制とは全く関係のない別の概念である。
  3. ABWの導入にあたっては、業務内容に応じた多様な空間(集中ブース・オープンミーティングスペース・リフレッシュスペース等)を用意する必要があるため、画一的な島型対向式レイアウトのみで運用するオフィスに比べて、必要な空間の種類・構成は多様になる傾向がある。
  4. ABWを導入するオフィスでは、フリーアドレス制と同様に個人の座席を固定しない運用が前提となるため、収納は個人用の固定ロッカーではなく、必要な物品を持ち歩くか共用の収納設備を利用する形が一般的である。

解答・解説

正答は2です。

1・3・4は正しい記述です。ABWは業務内容に応じて多様な空間の中から最適な場所を選んで働く考え方であり、必要な空間の種類・構成が多様になる点や、個人の座席を固定しない点は、いずれもABWオフィスの特徴として整理されます。

2が誤りです。ABWは、座席を固定しないフリーアドレス制の考え方をさらに発展させ、業務内容に応じて最適な空間を選択するという考え方を核心とする概念です。在席率の管理や座席確保のみを目的とした制度ではなく、フリーアドレス制と全く関係がないとする設問文は、両者の関係を取り違えているため不適当です。

オフィス計画は、コア形式・レンタブル比といった従来からの定番論点に加えて、働き方の変化に伴う新しいオフィス運用の考え方も出題されやすくなっています。用語の定義だけでなく、関連する既存の概念(フリーアドレス制等)との関係性もあわせて理解しておくとよいでしょう。


問10 設計者選定方式(プロポーザル方式とコンペ方式)

建築設計者の選定方式に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. プロポーザル方式は、技術提案書等をもとに、業務を遂行する上での考え方や実施体制、実績等を審査して設計者を選定する方式であり、具体的な設計案そのものの優劣を直接審査することを主目的とはしない。
  2. 設計競技(コンペ)方式は、具体的な設計案(作品)そのものを提出させて審査し、最も優れた案を採用する方式であり、採用された案の設計者が実施設計以降の業務を担うことが一般的である。
  3. プロポーザル方式は、具体的な設計案そのものを審査対象とする点でコンペ方式と全く同一の手続きであり、両者の間に選定対象・審査内容の違いは存在しない。
  4. プロポーザル方式・コンペ方式のいずれも、価格のみによる競争入札とは異なり、設計者の技術力や提案内容を評価して選定する方式である点で共通する。

解答・解説

正答は3です。

1・2・4は正しい記述です。プロポーザル方式は設計者の考え方・実施体制・実績等を審査して設計者を選ぶ方式であり、コンペ方式は具体的な設計案そのものを審査して採用案を選ぶ方式です。両者とも価格のみによる競争入札とは異なり、技術力・提案内容を評価する点で共通します。

3が誤りです。プロポーザル方式は設計者を選定する方式、コンペ方式は設計案そのものを選定する方式であり、審査対象(設計者か、設計案そのものか)が明確に異なります。両者を同一の手続きとし、違いが存在しないとする設問文は、2つの選定方式の性格を混同しているため不適当です。

建築生産・発注方式の分野では、設計施工分離方式・デザインビルド方式との対比に加えて、プロポーザル方式・コンペ方式のように「何を審査対象とするか」という視点で制度を整理しておくと、初見の設問にも対応しやすくなります。


問11 レンタブル比の計算

事務所ビルのレンタブル比に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. 基準階の延べ面積1,000㎡のうち、共用部分(コア・廊下・階段・エレベーターホール・トイレ等)の面積が220㎡である場合、貸室面積は780㎡となり、レンタブル比は78%となる。
  2. レンタブル比は、延べ面積に対する貸室面積(有効面積)の割合を示す指標であり、一般に事務所ビルの基準階では70%台後半から80%程度を目安に計画されることが多いとされる。
  3. 上記1の条件から、共用部分の面積を220㎡から180㎡に縮小できた場合、貸室面積は820㎡となり、レンタブル比は78%から82%へ上昇する。
  4. レンタブル比は、共用部分の面積を増やすほど数値が高くなる指標であり、共用部分を充実させることが事務所ビルの収益性を高める上で最も有効な方策とされる。

解答・解説

正答は4です。

1は正しい記述です。延べ面積1,000㎡から共用部分220㎡を差し引いた貸室面積は780㎡であり、レンタブル比は780÷1,000=78%となります。

2は正しい記述です。レンタブル比は延べ面積に対する貸室面積の割合を示す指標で、基準階では70%台後半から80%程度が目安とされます。

3は正しい記述です。共用部分を220㎡から180㎡に縮小すると、貸室面積は1,000-180=820㎡となり、レンタブル比は820÷1,000=82%に上昇します。

4が誤りです。レンタブル比は延べ面積に対する貸室面積の割合を示す指標であり、共用部分の面積を増やすほどレンタブル比の数値は低下します。共用部分の充実は収益性の観点からは面積効率の低下を招く要因であり、収益性を高める最も有効な方策とはいえません。設問文はレンタブル比と共用部分面積の関係を逆に説明しているため不適当です。

計算問題では、まず定義式(貸室面積÷延べ面積)を正確に押さえたうえで、数値を変えたときにどちらの方向に指標が動くかを確認する習慣をつけておくと、本試験の類似問題にも対応しやすくなります。


問12 モビリティハブ・駅前広場の計画

モビリティハブ・駅前広場の計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. モビリティハブの計画では、乗換え利便性よりも自動車の通過交通を優先することが最も重視される目的とされ、歩行者や自転車等の交通モードとの接続は付随的な要素にすぎない。
  2. 駅前広場の計画では、バス・タクシー等の乗降スペースと歩行者空間を分離し、歩行者が安全に移動できるよう配慮することが基本の一つとされる。
  3. 近年の駅前広場の計画では、単なる交通結節点としての機能だけでなく、滞留やイベント利用等、人々が留まり交流できる空間(ウォーカブルな空間)としての機能もあわせて重視される傾向にある。
  4. モビリティハブ(交通結節点)は、鉄道・バス・タクシー・シェアサイクル等、複数の交通モードの乗換えを一箇所に集約し、利用者の乗換え利便性を高めることを意図した施設・空間の考え方である。

解答・解説

正答は1です。

1が誤りです。モビリティハブは、鉄道・バス・タクシー・シェアサイクル等、複数の交通モード間の乗換え利便性を高めることを主目的とする考え方であり、自動車の通過交通を最優先し、歩行者・自転車等の接続を付随的な要素とする考え方ではありません。設問文はモビリティハブの目的を取り違えているため不適当です。

2〜4は正しい記述です。駅前広場では乗降スペースと歩行者空間の分離、さらに近年は滞留・交流空間としての機能も重視される傾向にあり、モビリティハブは複数の交通モードの乗換え利便性を高めることを意図した考え方です。

都市計画・まちづくりの分野では、地区計画や開発許可制度のような従来型の制度知識に加えて、モビリティハブやウォーカブルな空間づくりといった近年のまちづくり施策のキーワードも押さえておくとよいでしょう。


問13 市街地再開発事業と敷地の共同化

市街地再開発事業と敷地の共同化に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. 市街地再開発事業は、細分化された敷地を統合し、不燃化された共同建築物や公共施設等を整備することで、防災性の向上や土地の高度利用を図る事業である。
  2. 市街地再開発事業では、従前の権利者の資産を金銭で買い取る方式が原則的な手法として用いられており、建物の床に権利を変換する方式は特別な事情がある場合に限り例外的に認められる。
  3. 敷地の共同化は、隣接する複数の敷地の所有者が協力して一体的に建て替えを行う手法であり、老朽化した木造密集市街地の防災性向上等を目的として行われることがある。
  4. 第一種市街地再開発事業における権利変換方式では、従前の土地・建物の権利者は、その資産評価に応じて再開発後の建物の床(権利床)に権利を変換されるのが基本的な仕組みである。

解答・解説

正答は2です。

1・3・4は正しい記述です。市街地再開発事業は敷地の統合と共同建築物・公共施設の整備を通じて防災性向上や土地の高度利用を図る事業であり、敷地の共同化も木造密集市街地の防災性向上等を目的として行われることがあります。第一種市街地再開発事業の権利変換方式では、従前の権利者が資産評価に応じて権利床に権利を変換される仕組みが基本です。

2が誤りです。第一種市街地再開発事業では、権利者の資産を再開発後の建物の床(権利床)に変換する権利変換方式が基本的な仕組みとして位置づけられており、金銭による買取りが原則で権利変換が例外という説明は、両者の位置づけを逆にしているため不適当です。

市街地再開発事業は、地区計画・建築協定等と並ぶ都市計画分野の頻出テーマです。「権利をどう扱うか(権利変換か金銭給付か)」という視点で制度の仕組みを整理しておくと、応用的な設問にも対応しやすくなります。


問14 事務所ビルのBCP対応・防災備蓄計画

事務所ビルにおけるBCP(事業継続計画)対応・防災備蓄計画に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 非常用発電設備は、消防用設備等の作動に必要な電力供給を目的として設置されるものであり、事業継続の観点から事務室の執務用電源まで供給できるよう計画することは、建築基準法上認められていない。
  2. BCP(事業継続計画)は、大規模災害等の緊急事態が発生してから策定を開始するのが原則とされており、平常時からの備蓄・訓練・計画見直しといった準備はBCPの範囲に含まれない。
  3. 東京都の帰宅困難者対策条例など、地方公共団体の条例では、事業者に対し従業員等が施設内にとどまれるよう、おおむね3日分程度の水・食料等の備蓄に努めることを求める例がある。
  4. 事務所ビルにおける防災備蓄倉庫は、延べ面積1万㎡以上の事務所ビルを対象として、消防法により一定容量の設置が義務付けられている。

解答・解説

正答は3です。

1は誤りです。非常用発電設備は、消防用設備等の作動を目的とするものに限らず、事業継続の観点から事務室の執務用電源等にも供給できるよう計画される場合があります。建築基準法上、そうした計画が禁止されているわけではありません。

2は誤りです。BCPは、緊急事態の発生後に初めて着手するものではなく、平常時からの備蓄・訓練・計画の見直し等の準備を含む、平常時と緊急時を通じた継続的な取組みです。

3が正しい記述です。東京都の帰宅困難者対策条例をはじめ、地方公共団体の条例では、事業者に対して従業員等が施設内にとどまれるよう、おおむね3日分程度の備蓄に努めることを求める例があります。

4は誤りです。防災備蓄倉庫の設置は、国の法令で全国一律の容量が義務付けられているものではなく、地方公共団体の条例等により対象となる建築物の規模や求められる容量が異なります。「消防法により延べ面積1万㎡以上の事務所ビルに一定容量の設置が義務付けられている」という説明は、根拠法令を取り違えています。

BCP・防災備蓄の分野は、既存の予想問題記事ではあまり扱われてこなかった新しい切り口です。「誰が」「何を」「いつから」備えるべきかという視点で、条例と法令、平常時対応と緊急時対応の違いを整理しておくとよいでしょう。


問15 エンボディドカーボン・ホールライフカーボンの考え方(令和8年度新論点)

建築物の脱炭素化に関する用語の説明として、最も不適当なものはどれか。

  1. ホールライフカーボンとは、建物の資材調達から建設、運用、解体・廃棄に至るまで、ライフサイクル全体で排出される温室効果ガスの総量を指す概念である。
  2. オペレーショナルカーボンは建物の運用段階における光熱水消費等に伴うCO2排出を指し、エンボディドカーボンはそれ以外の、資材の製造・施工段階や解体段階等に伴うCO2排出を指す。
  3. アップフロントカーボンは、エンボディドカーボンのうち、建物の使用開始前(資材製造・施工段階)に排出されるCO2を指す概念であり、エンボディドカーボンに含まれる一部分として位置づけられる。
  4. エンボディドカーボンとは、資材製造や解体・廃棄段階を除いた、建物の運用段階に排出されるCO2排出量を指す概念であり、資材製造や解体・廃棄段階のCO2排出はホールライフカーボンの評価対象に含まれない。

解答・解説

正答は4です。

1〜3は正しい記述です。ホールライフカーボンは資材調達から解体・廃棄までのライフサイクル全体の温室効果ガス排出量を指し、そのうち運用段階の光熱水消費等によるものをオペレーショナルカーボン、それ以外(製造・施工・解体等)をエンボディドカーボンと呼びます。アップフロントカーボンは、エンボディドカーボンのうち使用開始前の排出分を指す概念です。

4が誤りです。エンボディドカーボンは、運用段階以外(資材の製造・施工段階や解体・廃棄段階等)のCO2排出を指す概念であり、運用段階のCO2排出量を指すという説明は、オペレーショナルカーボンとエンボディドカーボンの定義を取り違えています。また、資材製造や解体・廃棄段階のCO2排出は、ホールライフカーボンの評価対象に含まれます。設問文は用語の定義を逆に説明しているため不適当です。

エンボディドカーボン・ホールライフカーボンは令和7年度の学科試験で初めて出題された新しい脱炭素関連の用語で、令和8年度も継続して狙われやすい論点です。「運用段階か、それ以外か」という切り口で各用語の対象範囲を整理しておくとよいでしょう。


問16 LCCM住宅・建築物のライフサイクルCO2評価(令和8年度新論点)

LCCM住宅と建築物のライフサイクルCO2評価に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. LCCM住宅の評価においては、太陽光発電等による再生可能エネルギーの創出分は、竣工後最初の5年間に限って収支計算に算入され、それ以降の期間の収支計算では創出分を含めずに、建設時・運用時のCO2排出削減で収支をマイナスにする必要がある。
  2. LCCM住宅の要件には、強化外皮基準(ZEH水準の断熱性能)を満たすことや、再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量を現行の省エネ基準値から一定割合以上削減することが含まれる。
  3. J-CAT(Japan Carbon Assessment Tool for Building Lifecycle)は、国土交通省と産業界が連携して開発した、建築物のライフサイクル全体にわたる温室効果ガス排出量を一貫して算定できるツールである。
  4. LCCM住宅は、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)よりもさらに省CO2化を進めた住宅であり、建設時・運用時・廃棄時を通じたライフサイクル全体でのCO2収支をマイナスにすることを目指す考え方である。

解答・解説

正答は1です。

1が誤りです。LCCM住宅の評価では、建設時・運用時のCO2排出削減に加えて、太陽光発電等の再生可能エネルギーによる創出分を評価期間を通じてライフサイクルCO2の収支計算に含めたうえで、収支全体をマイナスにすることを目指す考え方が取られています。創出分の算入を竣工後5年間に限定するという設問文の説明は、LCCM住宅の評価の仕組みを取り違えているため不適当です。

2〜4は正しい記述です。強化外皮基準や一次エネルギー消費量の削減割合といったLCCM住宅の要件、国土交通省と産業界が連携して開発したJ-CAT、ZEHよりさらに省CO2化を進めライフサイクル全体でのCO2収支をマイナスにするというLCCM住宅の考え方は、いずれも正確な説明です。

LCCM住宅・J-CATは、エンボディドカーボンと並んで令和8年度に狙われやすい脱炭素関連の新論点です。ZEHとの違い(省エネにとどまるか、ライフサイクルCO2収支まで含むか)を軸に理解しておくと、関連する設問にも応用が利きます。


問17 既存ストック活用×用途変更×複合化(令和8年度新論点)

学校施設の余剰教室を活用した用途変更・複合化に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. 少子化に伴い生じた学校の余剰教室を、高齢者福祉施設や子育て支援施設等の用途に転用し、学校と地域施設を複合化する取組みは、既存ストックの有効活用策の一つとして進められている。
  2. 既存建築物を異なる用途に複合化する場合、避難経路・防火区画・用途ごとの構造耐力等、複合化後の用途に応じた法令上の要件を改めて確認し、必要な改修を行う必要がある。
  3. 学校施設の複合化にあたっては、児童生徒の安全確保の観点から、地域施設利用者の動線と学校運営の動線を適切に区分する計画上の配慮が求められる。
  4. 既存建築物を異なる用途に複合化・転用する場合、既存建築物が受けていた建築確認等の適法性は転用後の用途にもそのまま引き継がれるため、用途変更に伴う新たな確認手続きや法令適合の検証は不要である。

解答・解説

正答は4です。

1〜3は正しい記述です。学校の余剰教室を福祉施設・子育て支援施設等に転用して複合化する取組みは既存ストック活用策の一つであり、複合化後の用途に応じた避難経路・防火区画等の要件確認、児童生徒と地域施設利用者の動線区分は、いずれも計画上求められる配慮です。

4が誤りです。既存建築物を異なる用途に複合化・転用する場合、転用後の用途に応じて、用途変更に伴う確認手続きや法令適合の検証が必要となる場合があります。既存建築物が受けていた建築確認等の適法性が転用後の用途にそのまま無条件で引き継がれ、新たな検証が一切不要になるわけではありません。設問文はこの点を取り違えているため不適当です。

学校施設の複合化・用途変更は、既存ストック活用の分野で令和7年度以降注目度が高まっている論点です。「複合化・用途変更を進める」ことと「法令上の要件確認を省略できる」ことは全く別の話である点を意識しておくとよいでしょう。


問18 既存ストック活用における資源循環・長寿命化(令和8年度新論点)

既存建築物の活用による資源循環・長寿命化に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 木質系材料は、製造時のCO2排出が他の構造材料に比べて特に少ないという特徴を持たないため、既存ストック活用や脱炭素の文脈で木質系材料が注目される理由は特にないとされる。
  2. 既存建築物の改修における資源循環の観点からは、既存の構造躯体や仕上げ材は経年劣化により再利用に適さないため、原則として解体・撤去し新規の部材に置き換えることが望ましいとされる。
  3. 既存建築物の長寿命化やコンバージョンによる再生は、新築に比べて解体に伴う廃棄物の発生や新規資材の投入を抑えられる場合があり、資源循環の観点からも既存ストックの活用が政策的に推進されている。
  4. 既存建築物の長寿命化は、意匠性や利便性の向上を主目的とする考え方であり、資源循環や脱炭素といった環境面の効果とは無関係な取組みとされる。

解答・解説

正答は3です。

1は誤りです。木質系材料は、製造時のCO2排出が鉄骨・コンクリート等の他の構造材料に比べて少ない特徴を持つとされ、この点が既存ストック活用・脱炭素の文脈で注目される理由の一つとなっています。

2は誤りです。資源循環の観点からは、既存の構造躯体や仕上げ材を可能な限り活かしながら改修することが望ましいとされており、経年劣化を理由に解体・撤去して新規部材に置き換えることが望ましいわけではありません。

3が正しい記述です。既存建築物の長寿命化・コンバージョンによる再生は、新築に比べて解体廃棄物の発生や新規資材の投入を抑えられる場合があり、資源循環の観点からも既存ストックの活用が政策的に推進されています。

4は誤りです。既存建築物の長寿命化は、意匠性や利便性の向上にとどまらず、解体・新築に伴う資源投入や廃棄物発生の抑制という資源循環・脱炭素面の効果も含めて評価される取組みです。

既存ストック活用×資源循環は、令和7年度に初めて出題された新しい切り口の論点です。「既存を活かすことが、なぜ脱炭素・資源循環につながるのか」という因果関係を理解しておくと、初見の設問にも応用が利きます。


問19 バリアフリー法改正各論①便所・駐車場の基準(令和8年度新論点・計算問題)

令和7年6月1日施行のバリアフリー法政令改正(便所・駐車場に係る基準の見直し)に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. 令和7年6月1日施行の政令改正により、多数の者が利用する便所を有する建築物では、車椅子使用者用便房を原則として各階に1以上設置することが義務基準として見直された。
  2. 駐車施設の総数が150台の建築物の場合、駐車施設の総数が200以下の区分に該当するため、義務基準に基づく車椅子使用者用駐車施設の必要数は、150台の2%にあたる3台となる。
  3. 同一敷地内に複数の建築物が立地する場合、車椅子使用者用便房の必要設置数の算定にあたっては、原則としてこれらをまとめて一の建築物として取り扱う。
  4. 令和7年6月1日施行の政令改正による車椅子使用者用駐車施設・車椅子使用者用便房の基準見直しは、床面積5,000㎡以上の大規模な新築建築物に適用が限定され、それ未満の規模の新築建築物や既存建築物の増築・改築には従前の基準がそのまま適用され続ける。

解答・解説

正答は4です。

1〜3は正しい記述です。令和7年6月1日施行の政令改正により、車椅子使用者用便房は原則として各階に1以上設置することが義務基準として見直されました。駐車施設総数が200以下の区分では総数の2%以上の車椅子使用者用駐車施設が必要となり、150台の場合は150×0.02=3台です。また、同一敷地内に複数の建築物がある場合、便房の必要設置数の算定はこれらをまとめて一の建築物として扱います。

4が誤りです。今回の政令改正は建物の規模による適用除外を設けたものではなく、改正後の政令の規定に基づき、増築・改築等を行う場合は原則としてその増改築等に係る部分に適用されます。適用対象を床面積5,000㎡以上の新築建築物に限定するという説明は不適当です。

バリアフリー法の令和7年6月改正は、便所・駐車場・劇場等客席という3分野にまたがる大きな見直しで、令和8年度に最も出題可能性が高い新論点の一つです。数値基準そのものだけでなく、「新築・既存どちらに適用されるか」という適用範囲の理解もあわせて押さえておく必要があります。


問20 バリアフリー法改正各論②劇場等客席の基準(令和8年度新論点)

令和7年6月1日施行のバリアフリー法政令改正(劇場等の客席に係る基準の創設・見直し)に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. 誘導基準では、200席を超える客席について、車椅子使用者用スペースを1箇所に集約して配置することが望ましいとされ、複数箇所への分散配置は誘導基準の趣旨に反するとされている。
  2. 客席の義務基準では、座席数が400以下の客席は車椅子使用者用スペースを2以上、400を超える客席は座席数の0.5%以上を設けることとされている。
  3. 令和7年6月1日施行の政令改正により、劇場・映画館・集会場等の客席が新たに建築物特定施設に追加され、車椅子使用者用スペースの設置に関する義務基準が創設された。
  4. 劇場等の客席に関する基準見直しは、便所・駐車場の基準見直しとあわせて、高齢者や障害者を含むすべての人がより利用しやすい建築物環境を実現することを目的の一つとしている。

解答・解説

正答は1です。

1が誤りです。誘導基準では、200席を超える客席について、車椅子使用者用スペースを複数箇所に分散配置することが求められています。1箇所に集約して配置することが望ましいとする設問文は、誘導基準の趣旨(利用者が客席内の希望する位置を選べるようにすること)と逆の説明になっているため不適当です。

2〜4は正しい記述です。令和7年6月1日施行の政令改正により、劇場等の客席が建築物特定施設に追加され、座席数400以下は2以上、400超は座席数の0.5%以上の車椅子使用者用スペースを設ける義務基準が創設されました。この見直しは便所・駐車場の基準見直しとあわせて、より多くの人が利用しやすい建築物環境の実現を目的の一つとしています。

劇場等客席の基準は、便所・駐車場と並んでバリアフリー法改正の目玉論点であり、義務基準と誘導基準で数値・考え方が異なる点が出題されやすいポイントです。「集約配置か、分散配置か」といった細部の考え方まで、あわせて確認しておくとよいでしょう。


まとめ

計画科目は範囲が広く、用途別建築計画から都市計画・建築生産・脱炭素関連の新論点まで性格の異なる分野が並んでいますが、本試験前日の今、新しい知識を無理に詰め込むよりも、頻出分野の理解の抜け漏れを確認し、令和8年度特有の新論点(エンボディドカーボン・既存ストック活用・バリアフリー基準改正各論)を最終確認することのほうが得点に直結しやすいと筆者は考えています。本番では、時間配分を意識しながらまず解ける問題から確実に得点し、判断に迷う設問には印をつけて後回しにするというやり方を徹底することをおすすめします。明日は焦らず、ここまで積み上げてきた知識を信じて、落ち着いて一問ずつ取り組んでいただければと思います。


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