令和8年度 一級建築士 学科 直前完全模試【環境・設備】20問|本試験形式
いよいよ明日、令和8年度の一級建築士学科試験です。この記事は、本試験の「環境・設備」と同じ20問構成で作成した、筆者オリジナルの直前完全模試です。過去問や市販模試の文章を転載したものではなく、頻出論点をベースに完全に書き下ろしています。
なお、この模試はあくまで筆者が独自に作成した予想問題であり、本試験問題の的中を保証するものではありません。数値基準や法令は2026年7月時点で確認できた最新情報をもとに作成していますが、試験直前は必ずご自身でも最新の公式情報をご確認ください。
時間配分の目安: 本試験では学科I(計画)・学科II(環境・設備)を合わせて2時間(120分)で計40問(各20問)を解答します。単純に按分すると環境・設備20問には60分程度、1問あたり3分弱のペースが目安になります。今夜の最終確認として、実際に時間を計りながら通しで解いてみることをおすすめします。
環境・設備 直前模試20問
問1(伝熱・断熱:熱貫流率の計算)
ある外壁は、屋外側から順に「合板(厚さ8mm、熱伝導率0.16W/(m・K))」「グラスウール断熱材(厚さ100mm、熱伝導率0.040W/(m・K))」で構成されており、室内側仕上げ材の熱抵抗は無視できるものとする。室内側熱伝達抵抗を0.11(㎡・K)/W、屋外側熱伝達抵抗を0.04(㎡・K)/Wとしたとき、この壁体の熱貫流率(U値)に最も近い値はどれか。
- 0.28 W/(㎡・K)
- 0.37 W/(㎡・K)
- 0.46 W/(㎡・K)
- 0.55 W/(㎡・K)
解答・解説
正答は2です。
まず各層の熱抵抗R(=厚さ/熱伝導率)を求めます。
- 合板: 0.008m ÷ 0.16W/(m・K) = 0.05(㎡・K)/W
- グラスウール断熱材: 0.100m ÷ 0.040W/(m・K) = 2.50(㎡・K)/W
これに室内側・屋外側の熱伝達抵抗を直列に加算し、壁体全体の熱抵抗R_totalを求めます。
R_total = 0.11 + 2.50 + 0.05 + 0.04 = 2.70(㎡・K)/W
熱貫流率Uは熱抵抗の逆数なので、
U = 1 ÷ 2.70 ≒ 0.37 W/(㎡・K)
となり、正答は2です。断熱材の熱抵抗が全体の9割以上を占めており、断熱材の厚さ・熱伝導率が壁全体の断熱性能をほぼ支配していることが分かります。熱貫流率の計算では、各層の熱抵抗を単純に足し合わせる(直列合成する)ことと、表面の熱伝達抵抗を忘れずに加える2点が最重要ポイントです。
問2(結露:表面結露の判定計算)
室内温度20℃、屋外温度0℃の条件下で、ある壁の室内側表面熱伝達抵抗を0.11(㎡・K)/W、壁全体の熱伝達抵抗(表面熱伝達抵抗を含む)を2.50(㎡・K)/Wとする。室内温度20℃・相対湿度50%における露点温度は9.3℃であるとき、次の記述のうち最も不適当なものはどれか。
- この壁の室内側表面温度は、温度差に対する熱抵抗の比率(Rsi/R_total)を用いて求めることができる。
- この条件で計算すると、室内側表面温度はおよそ19.1℃となる。
- 計算された室内側表面温度は露点温度(9.3℃)を上回っているため、この条件では表面結露は生じにくいと判断できる。
- 熱橋(ヒートブリッジ)となる部分では、一般部より壁全体の熱抵抗R_totalが大きくなるため、室内側表面温度は一般部より露点温度に近づきにくい。
解答・解説
正答は4です。
室内側表面温度θsは、次の式で求めます。
θs = θi − (θi − θo) × (Rsi / R_total)
θs = 20 − (20 − 0) × (0.11 ÷ 2.50) = 20 − 20 × 0.044 = 20 − 0.88 ≒ 19.1℃
計算結果である19.1℃は、与えられた露点温度9.3℃を大きく上回っているため、この条件では表面結露は生じにくいと判断できます(1〜3は正しい記述です)。
4は誤りです。熱橋部分は、柱や梁など熱を伝えやすい構造材が断熱層を分断することで、一般部よりも壁全体の熱抵抗R_totalが小さくなる部分です。上記の式からも分かる通り、R_totalが小さいほどRsi/R_totalの値は大きくなり、室内側表面温度θsは屋外温度側に引っ張られて低下します。つまり熱橋部分は一般部より室内側表面温度が露点温度に近づきやすく、結露のリスクが高い部分です。設問は熱抵抗の大小関係と結露リスクの関係を逆にしています。
出題根拠: 温度差に対する熱抵抗の比率から表面温度を求める計算は、表面結露の判定問題として頻出です。熱橋部分は断熱性能が局所的に低下する(熱抵抗が小さくなる)ため結露リスクが高まるという理解を、計算結果と結びつけて問う形式です。
問3(湿り空気:加湿量の計算)
外気(乾球温度5℃、絶対湿度3g/kg(DA))を加熱・加湿して、乾球温度20℃・相対湿度50%の室内空気状態にする空調システムを考える。湿り空気線図から、20℃における飽和絶対湿度は14.7g/kg(DA)と読み取れるものとする。送風量を乾き空気換算で3,000kg/hとしたとき、必要な加湿量として最も近い値はどれか。
- 約4.4kg/h
- 約9.0kg/h
- 約13.1kg/h
- 約22.1kg/h
解答・解説
正答は3です。
まず、目標とする室内空気(20℃・相対湿度50%)の絶対湿度を求めます。
目標絶対湿度 = 20℃における飽和絶対湿度 × 相対湿度 = 14.7 × 0.50 = 7.35 g/kg(DA)
次に、外気を加熱するだけでは絶対湿度は変化しない(加熱過程は湿り空気線図上で水平方向、絶対湿度一定で右へ移動する)ため、加湿によって補う絶対湿度の差を求めます。
必要な加湿量(絶対湿度の増加分) = 7.35 − 3 = 4.35 g/kg(DA)
送風量が乾き空気換算で3,000kg/hであることから、1時間あたりの加湿量は、
加湿量 = 4.35g/kg(DA) × 3,000kg/h = 13,050g/h ≒ 13.1kg/h
となり、正答は3です。加湿量の計算では、「加熱過程では絶対湿度は変化しない」という湿り空気線図の基本的な読み方を理解しているかが問われます。加熱後の絶対湿度をそのまま外気と同じ3g/kg(DA)として扱う点を見落とすと誤答(例えば選択肢1のように過小な値)を選んでしまいます。
出題根拠: 湿り空気線図上での状態変化(加熱=絶対湿度一定、加湿=絶対湿度が増加)を理解したうえで、必要加湿量を送風量から実務的な単位(kg/h)に換算する計算は、空調設備の計算問題として出題が予想される形式です。
問4(換気:必要換気量と換気回数の計算)
室容積200㎥の会議室に在室者20人を想定する。在室者1人あたりの二酸化炭素発生量を0.02㎥/h、室内の許容二酸化炭素濃度を1,000ppm、外気の二酸化炭素濃度を400ppmとするとき、次の記述のうち最も不適当なものはどれか。
- この会議室で必要な換気量は、在室者からの二酸化炭素発生量の合計を、室内と外気の二酸化炭素濃度の差で除して求めることができる。
- 二酸化炭素発生量の合計は、20人×0.02㎥/h=0.4㎥/hである。
- この条件で計算すると、必要換気量はおよそ667㎥/hとなる。
- 必要換気量を求めた後、室容積で除して換気回数を求めると、この会議室の換気回数はおよそ0.3回/hとなる。
解答・解説
正答は4です。
必要換気量Qは、次の式で求めます。
Q = M / (Ci − Co)
ここでMは室内の汚染質(二酸化炭素)発生量の合計、Ciは室内の許容濃度、Coは外気の濃度です。
M = 20人 × 0.02㎥/h = 0.4㎥/h(選択肢2は正しい記述です)
Ci − Co = 1,000ppm − 400ppm = 600ppm = 0.0006(無次元の濃度差に換算)
Q = 0.4 ÷ 0.0006 ≒ 667㎥/h(選択肢1・3は正しい記述です)
換気回数は、必要換気量を室容積で除して求めます。
換気回数 = 667㎥/h ÷ 200㎥ ≒ 3.3回/h
4は誤りです。設問の「約0.3回/h」は、667を200で割った結果(約3.3回/h)の10分の1に近い値になっており、計算過程で室容積との除算を取り違えるか、桁を誤ったと考えられる数値です。必要換気量から換気回数を求める際は、単位(㎥/hを㎥で除すと1/h=回/hになる)を意識して計算することが重要です。
出題根拠: 二酸化炭素濃度を指標とした必要換気量の計算式Q=M/(Ci−Co)は、室内空気環境の単元における最頻出の計算パターンです。必要換気量の算出だけでなく、その後に換気回数まで求めさせる複合的な出題形式は、令和8年度も出題が予想されます。
問5(音響:質量則による透過損失の変化量計算)
単層壁の音響透過損失に関する質量則では、壁の面密度(単位面積あたりの質量)を2倍にすると透過損失は理論上約6dB増加し、入射音の周波数を2倍にした場合も透過損失は理論上約6dB増加するとされている。ある単層壁について、面密度を当初の4倍とし、同時に入射音の周波数も当初の2倍とした場合、透過損失は理論上何dB増加するか、最も近い値はどれか。
- 約6dB
- 約12dB
- 約18dB
- 約24dB
解答・解説
正答は3です。
質量則では、面密度が2倍になるごとに透過損失が約6dB増加します。面密度を4倍にするということは「2倍」を2回行うことと同じなので、面密度による増加分は、
6dB × 2 = 12dB
となります。さらに、周波数を2倍にした分の増加も加わるため、
12dB(面密度4倍による増加分) + 6dB(周波数2倍による増加分) = 18dB
となり、正答は3です。質量則は「面密度が2倍、または周波数が2倍になるごとに透過損失が約6dB増加する」という対数的な関係を表しており、面密度と周波数の変化を同時に問う複合的な出題では、それぞれの変化量を独立に足し合わせて計算する点がポイントです。単純に面密度4倍と周波数2倍を合計して「8倍だから6dB×8」のように誤って計算しないよう注意が必要です。
出題根拠: 質量則における「面密度2倍・周波数2倍でそれぞれ透過損失が約6dB増加する」という関係は、遮音の単元で古くから出題されている基本的な性質です。単層壁の厚さ(=面密度)や周波数の変化と透過損失の増加量を対応させる計算形式は、令和8年度も出題が予想されます。
問6(照明:光束法による照明台数の計算)
10m×10mの会議室(床面積100㎡)において、光束法により必要な照明器具の灯数を求める。必要照度を500lx、使用する照明器具1灯あたりの光束を2,000lm、照明率を0.625、保守率を0.8とするとき、必要な灯数として最も近いものはどれか。
- 25灯
- 40灯
- 50灯
- 63灯
解答・解説
正答は3です。
光束法による必要灯数Nは、次の式で求めます。
N = (E × A) / (F × U × M)
ここでEは必要照度、Aは床面積、Fは1灯あたりの光束、Uは照明率、Mは保守率です。
N = (500lx × 100㎡) / (2,000lm × 0.625 × 0.8)
= 50,000 / 1,000
= 50灯
となり、正答は3です。光束法の計算では、分母の「F×U×M」を先にまとめて計算してから、分子の「E×A」を割ると計算間違いを防ぎやすくなります。照明率は室の形状(室指数)や仕上げ材の反射率によって、保守率は汚れや光束減衰によって決まる値で、いずれも1未満の係数として扱われる点も併せて押さえておきましょう。
出題根拠: 光束法による照明台数の計算N=EA/(FUM)は、採光・照明の単元における定番の計算問題です。分母に照明率・保守率という2つの補正係数が入る点を正しく扱えるかが、正答率を分ける重要なポイントになります。
問7(温熱環境の快適指標:作用温度とPMVの複合問題)
温熱環境の快適指標に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 作用温度(OT)は、気流の影響が小さい室内において、室内空気温度と平均放射温度(MRT)をほぼ等しい割合で平均した値として近似的に扱われることがある。
- 着衣量の単位であるクロ(clo)は、値が大きいほど衣服の断熱性能が高いことを示す。
- 代謝量の単位であるメット(met)は、椅座安静時の代謝量を1metとして基準化した値である。
- 気温と着衣量・代謝量の条件が同じであれば、平均放射温度(MRT)が低い空間ほど、PMVは高い方向(暑いと感じる方向)に評価される。
解答・解説
正答は4です。
- 正しい記述です。作用温度は気流の影響が小さい場合、室内空気温度と平均放射温度をおおむね1:1の割合で平均した値として近似的に扱われることがあり、体感温度に近い指標として用いられます。
- 正しい記述です。クロ(clo)は衣服の断熱性能を表す単位で、値が大きいほど断熱性能が高い(保温性が高い)ことを示します。
- 正しい記述です。メット(met)は代謝量(人体の発熱量)を表す単位で、椅座安静時の代謝量を基準(1met)としています。
- 誤りです。平均放射温度(MRT)が低い空間では、体感的には周囲から熱を奪われやすくなるため、同じ気温・着衣量・代謝量の条件でも、PMVは低い方向(寒いと感じる方向)に評価されます。設問はMRTとPMVの関係を逆にしています。
出題根拠: 作用温度・クロ・メットといった温熱環境の基本用語の理解に加え、平均放射温度がPMVに与える影響の方向(MRTが低い=寒い側に評価される)を問う複合的な出題形式です。既存の予想問題ではPMV・PPD・SET*相互の関係を扱いましたが、本問はMRTという物理要素とPMVの関係にあえて焦点を当てています。
問8(日照・日影:日影規制の測定面高さと測定時刻の複合問題)
日影規制に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 日影規制における測定面(水平面)の高さは、用途地域等の区分に応じて、地方公共団体が条例で1.5m・4m・6.5mのいずれかから指定することとされている。
- 第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域では、一般に測定面の高さとして1.5mが指定される例が多い。
- 日影規制の対象となる日は冬至日とされており、これは1年のうちで日影が最も長くなる日だからである。
- 日影の測定時間帯は、北海道の区域内を除き、全国的に真太陽時の午前9時から午後3時までと定められている。
解答・解説
正答は4です。
- 正しい記述です。日影規制の測定面の高さは、建築基準法別表第4に基づき、用途地域等の区分ごとに地方公共団体が条例で1.5m・4m・6.5mのいずれかを指定します。
- 正しい記述です。低層住居専用地域は建物の高さが低く抑えられるため、測定面の高さも低い1.5mが指定される例が多くなっています。
- 正しい記述です。冬至日は南中高度が最も低くなり、影が最も長く伸びる日であるため、日影規制の基準日とされています。
- 誤りです。日影の測定時間帯は、北海道の区域内では冬期の日照時間が短いことを踏まえて真太陽時の午前9時から午後3時まで、それ以外の区域では午前8時から午後4時までと、地域によって異なる時間帯が定められています。設問は「北海道の区域内を除いて9時〜15時」としており、北海道とそれ以外の区域の時間帯を取り違えている点が誤りです。
出題根拠: 日影規制の測定面の高さ(1.5m・4m・6.5m)と測定時刻(8時〜16時、北海道は9時〜15時)は、いずれも条文の数値をそのまま問う頻出論点です。両者を1つの問題に組み合わせる複合形式で、片方の数値だけを覚えていても解答できないようにしています。
問9(採光:設計用全天空照度と昼光率の複合問題)
採光計画における全天空照度・昼光率に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 設計用全天空照度は、直射日光を含まない天空光のみによる屋外の水平面照度であり、天候によって数千lxから数万lxまで大きく変動する。
- 採光関係の検討では、天候による変動を踏まえ、目的に応じて快晴時・薄曇り時・曇天時など複数の設計用全天空照度の値の中から適切なものを選んで用いる。
- 昼光率は、室内のある点の照度を、その時点の設計用全天空照度で除して算出するため、天候が変化するたびに算出し直さなければ意味のある値にならない。
- 演色性や色温度は、天空光そのものの性質を評価する概念であり、昼光率の算出には直接関与しない。
解答・解説
正答は3です。
- 正しい記述です。設計用全天空照度は直射日光を除いた天空光による水平面照度で、天候によっておおむね数千lxから5万lx程度まで幅広く変動します。
- 正しい記述です。採光関係の検討では、快晴時・薄曇り時・曇天時など、目的に応じて異なる設計用全天空照度の値を選定して用います。
- 誤りです。昼光率は「室内のある点の照度 / その時点の全天空照度」という比(割合)で定義される指標であり、全天空照度と室内照度は天候に応じて同じ比率で変動するため、昼光率自体はどの天候条件でもほぼ一定の値として扱うことができます。天候が変わるたびに算出し直す必要があるという記述は、昼光率が「比」で定義される指標である点を見落としています。
- 正しい記述です。演色性や色温度は光源・天空光の色に関する性質であり、明るさの比である昼光率の算出には直接関係しません。
出題根拠: 設計用全天空照度が天候によって選定される値であることと、昼光率が「比」であるために天候の影響を受けにくいことは、いずれも採光の基本ですが、両者を組み合わせて「昼光率は天候ごとに算出し直す必要がある」という誤った結論に導く選択肢は、昼光率の定義理解を試す良問形式です。
問10(色彩:面積効果とプルキンエ現象の複合問題)
色彩・視覚に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 面積効果とは、同じ色でも、面積が大きくなるほど明度・彩度が高く鮮やかに感じられる現象をいう。
- 面積効果を踏まえると、小さな色見本で選んだ色を大面積の壁面等に用いる場合、見本よりもやや明度・彩度を抑えた色を選ぶことが有効とされている。
- プルキンエ現象とは、明所視から暗所視に移行するにつれて、赤色よりも青色の方が相対的に明るく見えるようになる現象をいう。
- 面積効果とプルキンエ現象は、どちらも周囲の照度が低下する(暗くなる)ことによって生じる色の見え方の変化である。
解答・解説
正答は4です。
- 正しい記述です。面積効果は、同じ色でも面積が大きいほど明度・彩度が高く、鮮やかに感じられる現象です。
- 正しい記述です。面積効果を考慮し、大面積に使う色は小さな色見本よりもやや控えめな色を選ぶという配色上の工夫がよく行われます。
- 正しい記述です。プルキンエ現象は、明所視(錐体主体)から暗所視(桿体主体)に移行するにつれて、比視感度のピークが長波長側(赤側)から短波長側(青側)にシフトし、青色が相対的に明るく感じられるようになる現象です。
- 誤りです。面積効果は色を見る面積の大小によって生じる現象であり、周囲の照度(明るさ)の変化とは直接関係ありません。一方、プルキンエ現象は周囲の照度の低下(明所視から暗所視への移行)によって生じる現象です。つまり両者は発生要因が異なる別々の現象であり、「どちらも照度低下によって生じる」とする設問の記述は誤りです。
出題根拠: 面積効果とプルキンエ現象はどちらも単独では頻出の論点ですが、発生要因(面積 vs 照度)を混同させる形で1問に組み合わせることで、それぞれの現象を正確に区別して理解できているかを問う複合問題です。
問11(空調設備:排熱投入型吸収冷温水機とコージェネレーションの複合問題)
熱源方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- コージェネレーションシステムは、電力需要が少ない時間帯ほど排熱の利用効率が高まるため、電力需要のピーク時に稼働を停止させる運用が省エネルギー上最も望ましいとされている。
- コージェネレーションシステムは、発電時に発生する排熱を給湯や暖房・冷房などに有効利用することで、総合的なエネルギー利用効率を高める仕組みである。
- 排熱投入型吸収冷温水機は、コージェネレーションシステムの排熱(排ガスや温水)を再生器の熱源として利用できる吸収冷凍機である。
- 排熱投入型吸収冷温水機は、排熱だけでは不足する熱量をガス等の追い焚きで補うことができるものが一般的であり、排熱の有無にかかわらず単独でも稼働できる。
解答・解説
正答は1です。
- 誤りです。コージェネレーションシステムは、発電と排熱利用の両方を有効活用することでエネルギー利用効率を高める仕組みであり、一般に電力需要が高い時間帯に稼働させることで、系統からの受電量を抑制し省エネルギー・電力負荷の平準化に寄与します。電力需要のピーク時にあえて稼働を停止させることは、コージェネレーションシステム導入の目的そのものに反する運用です。
- 正しい記述です。コージェネレーションシステムは発電と排熱利用を組み合わせることで、発電のみを行う場合よりも総合的なエネルギー利用効率を高めることができます。
- 正しい記述です。排熱投入型吸収冷温水機は、コージェネレーションの排熱を再生器の熱源として利用できるよう設計された吸収冷凍機です。
- 正しい記述です。排熱投入型吸収冷温水機は、排熱が不足する場合にガス等の追い焚きで補える構造が一般的であり、排熱がない状態でも単独の熱源機として稼働できます。
出題根拠: コージェネレーションシステムと排熱投入型吸収冷温水機は関連の深い設備であり、両者を組み合わせて出題することで、単独の定義暗記だけでなく、実際の運用(電力需要ピーク時にこそ稼働させる)まで理解しているかを問う複合問題です。
問12(給排水衛生設備:通気方式と封水破壊の複合問題)
排水通気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 伸頂通気方式は、最上部の排水立て管をそのまま延長して大気に開放する方式で、排水横枝管ごとに個別の通気管を設けるループ通気方式に比べて、一般に配管が簡易になる。
- 自己サイホン作用による封水破壊は、器具排水管の管径を排水量に対して過大にすることで防止できるため、管径は大きいほど望ましい。
- ループ通気方式は、最も上流側の器具排水管が排水横枝管に接続される点の直下から通気管を立ち上げ、通気立て管に接続する方式である。
- 排水立て管内の圧力変動が大きい高層建物では、伸頂通気方式よりもループ通気方式や結合通気管を併用した方式の方が、自己サイホン作用等による封水破壊を防止しやすい。
解答・解説
正答は2です。
- 正しい記述です。伸頂通気方式は排水立て管の頂部をそのまま延長して大気に開放する方式で、各排水横枝管ごとに通気管を設けるループ通気方式に比べて配管がシンプルになります。
- 誤りです。自己サイホン作用による封水破壊は、器具排水管の管径を排水量に対して過大にすると、排水が管断面を満たしにくくなり、かえって自己サイホン作用を助長し封水を破壊しやすくなる場合があります。器具排水管の管径は、排水量に対して適切な太さとすることが重要であり、単純に「大きいほど望ましい」というものではありません。
- 正しい記述です。ループ通気方式は、最上流の器具排水管の接続点直下から通気管を立ち上げ、通気立て管に接続する方式です。
- 正しい記述です。高層建物のように排水立て管内の圧力変動(誘導サイホン作用等)が大きくなりやすい建物では、ループ通気方式や結合通気管の併用により、圧力変動を緩和し封水破壊を防止しやすくなります。
出題根拠: 通気方式の比較(伸頂通気方式とループ通気方式)と、封水破壊の防止策(管径の適否)を組み合わせた複合問題です。管径は大きければ大きいほど良いという単純化した理解を突く選択肢は、給排水衛生設備の実務的な理解を問う出題として有効です。
問13(電気設備:非常用予備電源設備の系統・容量算定の複合問題)
非常用の予備電源設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 非常用予備電源設備は、建築基準法上の予備電源を対象として容量を算定するものと位置づけられており、消防用設備等(消防法上の非常電源)は非常用予備電源の負荷として考慮する必要はない。
- 非常用予備電源設備には、消防法上の非常電源(自家発電設備・蓄電池設備等)と、建築基準法上の予備電源とがあり、それぞれ対象となる設備・容量算定の考え方が異なる。
- 非常用の自家発電設備の容量は、接続される消防用設備等・非常用エレベーター等の負荷を、同時に稼働させる可能性のある組み合わせを想定して算定する必要がある。
- 非常用エレベーターの非常用電源は、火災時の使用を想定し、一定時間以上(消防法令上の基準に基づく時間)継続して電力を供給できる容量とすることが求められる。
解答・解説
正答は1です。
- 誤りです。非常用予備電源設備が対象とする負荷は、消防法上の消防用設備等と、建築基準法上の非常用エレベーターや排煙設備等の両方にまたがります。消防用設備等を算定対象から除外してよいとする設問の記述は、消防法と建築基準法という根拠法令の異なる2種類の負荷の扱いを取り違えています。
- 正しい記述です。非常用の予備電源には、消防法に基づく非常電源と、建築基準法に基づく予備電源(非常用エレベーター・排煙設備等の電源)とがあり、それぞれ根拠法令や対象設備・容量算定の考え方が異なります。
- 正しい記述です。自家発電設備の容量は、接続される負荷(消防用設備等や非常用エレベーター等)が同時に稼働する可能性のある組み合わせを想定し、必要な容量を確保する必要があります。
- 正しい記述です。非常用エレベーターは火災時の消防活動等での使用を想定しており、その非常用電源は一定時間以上継続して電力供給できる容量とすることが求められます。
出題根拠: 非常用予備電源設備の根拠法令が消防法と建築基準法にまたがること、および容量算定の際に考慮すべき負荷の範囲は、電気設備と防災設備の複合領域として出題されやすい論点です。負荷の対象範囲を恣意的に狭める選択肢は、スタイルガイドが指摘する「範囲の限定による誤り」の典型例です。
問14(防災設備:自然排煙の二層流と防煙区画の複合問題)
自然排煙方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 火災時の煙は、熱による浮力で天井付近に上昇し、下方の新鮮な空気の層と分かれて二層に分かれる(二層流)傾向がある。
- 防煙区画の面積を大きくするほど、煙層の下端が床面に達するまでの時間的余裕が増え、避難上有利になるため、防煙区画の面積はできるだけ大きく設定することが望ましい。
- 防煙区画は、防煙壁(間仕切壁や垂れ壁等)によって煙の水平方向への流動範囲を一定面積以内に抑え、排煙上有効な排煙口へ煙を導きやすくするために設けられる。
- 自然排煙口は、防煙区画された部分の天井又は天井から一定の範囲内に設けることとされており、煙層(上層の煙だまり)から効率よく排煙できる位置に設置する必要がある。
解答・解説
正答は2です。
- 正しい記述です。火災時の煙は熱による浮力で上昇し、天井付近に煙層が形成される一方、下方には煙のない新鮮な空気の層が残る二層流の状態になる傾向があります。
- 誤りです。防煙区画の面積を大きくすると、区画内に発生する煙の総量が増えるうえ、煙が天井全体に拡散するまでの距離も長くなるため、煙層の下端が下降して床面に達するまでの時間的余裕はむしろ短くなりやすく、避難上不利になる場合があります。防煙区画の面積は、避難安全上、一定の限度内(面積区画に応じた基準)に抑える必要があり、「大きいほど望ましい」という記述は誤りです。
- 正しい記述です。防煙区画は防煙壁によって煙の水平方向の広がりを一定範囲に抑え、排煙口へ効率的に煙を導く役割を持ちます。
- 正しい記述です。自然排煙口は天井又はその付近に設け、上層に滞留する煙層から排煙できる位置に設置する必要があります。
出題根拠: 防煙区画は面積を小さく区切ることで煙の拡散を抑え、避難上の安全性を高めるために設けられるものであり、「面積を大きくするほど有利」という記述は防煙区画の本来の目的と矛盾します。二層流の基本概念と防煙区画の面積の考え方を組み合わせた複合問題です。
問15(R8新論点:一次エネルギー消費量等級)
住宅の一次エネルギー消費量等級に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 等級6から等級7・等級8へと等級が上がるにつれてBEIの基準値は小さくなるが、これは基準一次エネルギー消費量そのものが小さくなることを意味しており、設計一次エネルギー消費量の多寡とは無関係に等級が決まる。
- 一次エネルギー消費量等級は、BEI(設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で除した値)を指標として、住宅の省エネルギー性能を等級で表す制度である。
- 令和7年12月の住宅性能表示基準の改正以前は、一次エネルギー消費量等級の最高等級は等級6(BEI0.8以下)であった。
- 令和7年12月の改正により、等級6の上位に等級7(BEI0.7以下)・等級8(BEI0.65以下)が新設され、BEIの値が小さいほど上位の等級となる関係が維持されている。
解答・解説
正答は1です。
- 誤りです。BEIは「設計一次エネルギー消費量 / 基準一次エネルギー消費量」で算出される値であり、等級が上がるにつれてBEIの基準値(分子側で満たすべき上限)が小さくなるのは、基準一次エネルギー消費量(分母)が変わるからではなく、より高い省エネ性能(設計一次エネルギー消費量を抑えること)を求めているからです。基準一次エネルギー消費量は住宅の規模・地域区分等によって定まる値であり、等級の違いによって変動するものではありません。設問はBEIの分母と分子の関係を取り違えています。
- 正しい記述です。一次エネルギー消費量等級は、設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で除した値であるBEIを指標として、省エネルギー性能を段階的に評価する制度です。
- 正しい記述です。令和7年12月の改正以前は、一次エネルギー消費量等級の最高等級は等級6(BEI0.8以下)でした。
- 正しい記述です。令和7年12月の住宅性能表示基準の改正により、等級6の上位に等級7(BEI0.7以下)・等級8(BEI0.65以下)が新設され、BEIが小さいほど上位等級となる関係は維持されています。
出題根拠: 令和7年12月1日施行の住宅性能表示基準改正により新設された一次エネルギー消費量等級7・8(BEI0.7以下・0.65以下)は、令和8年度の新論点として出題が予想される項目です。BEIの定義(設計値/基準値)を正確に理解しているかを、等級の上位・下位の関係と絡めて問う形式です。
問16(R8新論点:ZEB Orientedの対象規模・用途要件)
ZEB Orientedに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- ZEB Orientedは、延べ面積10,000㎡以上の非住宅建築物を主な対象とする区分であり、外皮性能の確保と省エネルギー技術の導入により、一定の一次エネルギー消費量削減率を達成することを求めるものである。
- ZEB Orientedは、外皮性能や省エネルギー設備の導入状況にかかわらず、再生可能エネルギーを一定量以上導入してさえいれば認定される区分である。
- ZEB Orientedの一次エネルギー消費量削減率は、再生可能エネルギーによる創エネルギー分を除いて評価される。
- 事務所・学校・工場等の用途では40%以上、ホテル・病院・百貨店・飲食店・集会所等の用途では30%以上の一次エネルギー消費量削減が、ZEB Orientedの目安とされている。
解答・解説
正答は2です。
- 正しい記述です。ZEB Orientedは延べ面積10,000㎡以上の大規模な非住宅建築物を主な対象とし、外皮性能の確保と省エネルギー技術の導入によって、創エネルギーに頼らず一定の省エネルギー水準を達成することを求める区分です。
- 誤りです。ZEB Orientedは、その定義上、再生可能エネルギーによる創エネルギー分を除いて一次エネルギー消費量の削減率を評価する区分であり、外皮性能の確保や省エネルギー設備の導入(受動的・能動的な省エネ手法)によって削減率を達成することが前提となっています。再生可能エネルギーの導入量だけで認定されるという記述は、ZEB Orientedの定義そのものと矛盾します(再生可能エネルギーを積極的に評価する区分は、より上位のNearly ZEBやZEBです)。
- 正しい記述です。ZEB Orientedの削減率は、再生可能エネルギーによる創エネルギー分を除いた評価であり、太陽光発電等の導入を前提としない点が特徴です。
- 正しい記述です。用途によって目安となる削減率が異なり、事務所・学校・工場等では40%以上、ホテル・病院・百貨店・飲食店・集会所等では30%以上とされています。
出題根拠: ZEB Orientedの対象規模(延べ面積10,000㎡以上)と、用途区分に応じた削減率の目安(事務所等40%、ホテル等30%)は、省エネルギー・環境性能評価の単元における令和8年度の重点論点です。ZEB OrientedとZEB Ready以上の区分(創エネルギーを評価するかどうか)の違いを取り違えさせる選択肢で、区分ごとの定義の理解を問います。
問17(R8新論点:BEIの計算とZEB Ready基準の判定)
ある非住宅建築物について、設計一次エネルギー消費量が3,200,000MJ/年、基準一次エネルギー消費量が4,000,000MJ/年であった。次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- この建築物のBEIは0.80であり、ZEB Readyの水準であるBEI0.5以下を満たしているため、ZEB Readyの水準に該当する。
- この建築物のBEIは、設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で除して算出でき、その値は0.80である。
- 建築物省エネ法における非住宅建築物の適合義務基準は、原則としてBEI1.0以下とされており、この建築物は当該基準を満たしている。
- ZEB Readyの水準は、創エネルギー分を除いた一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量比で50%以上削減した建築物、すなわちBEIがおおむね0.5以下の建築物として位置づけられている。
解答・解説
正答は1です。
BEIは次の式で算出します。
BEI = 設計一次エネルギー消費量 ÷ 基準一次エネルギー消費量 = 3,200,000 ÷ 4,000,000 = 0.80
- 誤りです。計算されたBEIは0.80であり、ZEB Readyの水準であるBEI0.5以下を満たしていません。BEIは値が小さいほど省エネ性能が高いことを示す指標であるため、0.80という値は0.5という基準を上回っており(基準より緩い水準にとどまっており)、ZEB Readyの水準には該当しません。設問はBEIの大小関係を取り違えています。
- 正しい記述です。計算の通り、この建築物のBEIは0.80です。
- 正しい記述です。非住宅建築物の適合義務基準は原則BEI1.0以下であり、BEI0.80のこの建築物は当該基準を満たしています。
- 正しい記述です。ZEB Readyは創エネルギー分を除いた一次エネルギー消費量を基準比で50%以上削減した水準であり、BEIに換算するとおおむね0.5以下に相当します。
出題根拠: 建築物省エネ法の適合義務基準(BEI1.0以下)とZEB Readyの水準(BEIおおむね0.5以下)は、いずれもBEIという同じ指標で語られるため混同しやすい論点です。実際にBEIを計算させたうえで、算出された値がどの基準を満たし、どの基準を満たさないかまで正確に判定させる出題は、令和8年度の省エネ計算問題として出題が予想されます。
問18(R8新論点:エンボディドカーボンとホールライフカーボン)
建築物の脱炭素に関する用語について、次の記述のうち最も不適当なものはどれか。
- ホールライフカーボンとは、資材の製造から施工、運用、解体・廃棄に至る建築物のライフサイクル全体で発生するCO2排出量の総称である。
- エンボディドカーボンとは、建築物の使用開始後に発生するCO2排出量を指す概念であり、資材製造や施工段階のCO2排出量はオペレーショナルカーボンに区分される。
- オペレーショナルカーボンとは、建築物の運用段階における光熱水費相当のエネルギー消費(空調・照明・給湯等)に伴って発生するCO2排出量をいう。
- エンボディドカーボンとは、ホールライフカーボンのうちオペレーショナルカーボンを除いた部分、すなわち資材の製造・運搬・施工・改修・解体等に伴って発生するCO2排出量をいう。
解答・解説
正答は2です。
- 正しい記述です。ホールライフカーボンは、資材製造から解体・廃棄までのライフサイクル全体で発生するCO2排出量の総称です。
- 誤りです。エンボディドカーボンは、建築物の使用開始前の資材製造・施工段階等で発生するCO2排出量を指す概念であり(このうち特に使用開始前の分は「アップフロントカーボン」とも呼ばれます)、使用開始後のエネルギー消費に伴うCO2排出量は「オペレーショナルカーボン」に区分されます。設問文はエンボディドカーボンとオペレーショナルカーボンの定義を取り違えています。
- 正しい記述です。オペレーショナルカーボンは、建築物の運用段階でのエネルギー消費(光熱費相当)に伴うCO2排出量を指します。
- 正しい記述です。エンボディドカーボンは、ホールライフカーボンからオペレーショナルカーボンを除いた部分であり、資材の製造・運搬・施工・改修・解体等に伴うCO2排出量が該当します。
出題根拠: ホールライフカーボン・オペレーショナルカーボン・エンボディドカーボン・アップフロントカーボンの関係整理は、令和7年度に初出題された脱炭素関連の新論点であり、令和8年度も深掘りした出題が予想されます。エンボディドカーボンの範囲を「使用後のみ」と限定する誤りは、スタイルガイドが指摘する「適用範囲の恣意的な限定」の典型パターンです。
問19(R8新論点:木質系材料の炭素固定と燃えしろ設計の複合問題)
木質系材料の環境性能に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 木材の炭素固定効果を最大化する観点からは、建築物の構造耐力・防耐火性能よりも炭素固定量を優先し、使用する木材の断面を可能な限り大きく設計することが望ましいとされている。
- 樹木は成長過程で大気中のCO2を吸収し、炭素として木材中に固定するため、木材を建築物に利用することは、その炭素を長期間にわたって建築物内に貯蔵することにつながる。
- 木造建築物・木質化した建築物の採用は、鉄筋コンクリート造・鉄骨造と比較して、資材製造段階のエンボディドカーボンの低減に寄与しうるとされている。
- 燃えしろ設計は、木質構造部材の表面が炭化層を形成することで内部への延焼を遅らせる性質を利用し、火災時に必要な耐火時間の間、構造耐力上必要な断面を確保する設計手法であり、木材の炭素固定効果とは異なる観点の設計手法である。
解答・解説
正答は1です。
- 誤りです。木材の断面を大きくすれば、固定される炭素量が増える可能性はありますが、断面寸法は本来、構造耐力・防耐火性能・使用性(たわみ等)・コストといった多面的な条件を踏まえて決定すべきものです。「炭素固定量を優先し、構造耐力・防耐火性能よりも断面を大きくすることが望ましい」という記述は、構造・防耐火上の合理性を無視した極端な主張であり、適切な設計の考え方とはいえません。
- 正しい記述です。樹木の成長過程で大気中のCO2が吸収され、炭素として木材中に固定されるため、木材の建築利用はその炭素を建築物内に長期間貯蔵する効果があるとされています。
- 正しい記述です。木造・木質化はエンボディドカーボンの低減に寄与しうる手法として、脱炭素の文脈で注目されています。
- 正しい記述です。燃えしろ設計は炭化層の断熱・遅延効果を利用した防耐火上の設計手法であり、炭素固定という環境性能上の効果とは異なる観点の技術です。
出題根拠: 木質系材料の炭素固定効果は、令和7年度に初出題されたエンボディドカーボン関連の新論点の1つです。環境性能上の利点(炭素固定)と構造・防耐火上の設計手法(燃えしろ設計)を対比させつつ、「環境性能のためなら他の性能を無視してよい」という極端な結論に誘導する選択肢で理解を問う複合問題です。
問20(R8新論点:建築物省エネ法の全面適合義務化とUA値基準の複合問題)
建築物省エネ法・断熱等性能等級に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 令和7年4月の建築物省エネ法改正により、床面積300㎡未満の小規模な住宅・非住宅を含め、原則としてすべての新築建築物が省エネ基準への適合義務の対象となった。
- 改正前は、床面積300㎡未満の建築物は省エネ基準への適合が努力義務・説明義務にとどまっていたが、改正後はこれらの規模の建築物も適合義務の対象に含まれることとなった。
- 断熱等性能等級のUA値の基準値は、床面積の大小によって定められており、地域区分にかかわらず床面積が同じであれば同一の数値が用いられる。
- 断熱等性能等級では、外皮平均熱貫流率(UA値)の基準値は地域区分によって異なり、また同じ地域区分内では、等級が上がるほど(断熱性能が高くなるほど)UA値の基準値は小さくなる。
解答・解説
正答は3です。
- 正しい記述です。令和7年4月の建築物省エネ法改正により、床面積300㎡未満の小規模な建築物を含め、原則としてすべての新築住宅・非住宅が省エネ基準への適合義務の対象となりました。
- 正しい記述です。改正前は300㎡未満の建築物は適合義務ではなく努力義務・説明義務の対象にとどまっていましたが、改正後は適合義務の対象に含まれるようになりました。
- 誤りです。UA値の基準値は地域区分(1〜8地域)ごとに異なる値が定められており、寒冷地ほど厳しい基準値が求められます。床面積の大小によって基準値が定められているわけではなく、床面積が同じでも地域区分が異なればUA値の基準値も異なるため、設問の記述は基準値を左右する要素を取り違えています。
- 正しい記述です。UA値の基準値は、寒冷な地域ほど厳しい(小さい)値が求められるなど地域区分によって異なり、同じ地域区分内では等級が上がるほどUA値の基準値は小さくなります(例えば6地域では、等級4が0.87、等級5が0.60、等級6が0.46、等級7が0.26と、等級が上がるほど基準値が小さくなります)。
出題根拠: 令和7年4月施行の建築物省エネ法全面適合義務化(300㎡未満も対象化)は、令和8年度の最重要新論点の1つです。UA値が地域区分ごとに異なる基準値を持つという基本を、全面義務化の論点と組み合わせて出題する複合問題としました。
この模試の使い方
環境・設備は環境工学と建築設備の2分野で構成される科目ですが、令和8年度は一次エネルギー消費量等級・ZEB・省エネ計算・エンボディドカーボンといった脱炭素関連の新論点が、令和7年度に続いて出題される可能性が高いと筆者は考えています。今回の20問で間違えた論点があれば、単に正誤を確認するだけでなく、なぜその選択肢が誤りなのか(数値の取り違えなのか、範囲の限定なのか、因果関係の逆転なのか)まで解説を読み込んでおくと、本試験本番でも似た手口の選択肢に対応しやすくなります。
明日の本試験、落ち着いて実力を出し切れることを願っています。
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