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借地借家法をゼロから整理する|借地の存続期間・更新・建物買取請求権と、借家の対抗要件・正当事由・定期借家

宅建士試験の権利関係14問のうち、借地借家法は借地から1問・借家から1問、合わせて毎年ほぼ2問が出題される固定枠の分野です。民法の一般原則(賃貸借)だけでは建物所有者・入居者の保護に不十分な部分を補うために作られた特別法であり、「民法の原則とどこが違うのか」という比較の視点で押さえると得点効率が高くなります。この記事では、権利関係が苦手な人のための読み方教科書で扱った「図にする」「善意・悪意を機械的に判定する」手順を土台に、借地借家法を借地・借家の2部構成で整理します。


この記事の使い方

パート内容
第1部借地:存続期間・法定更新・建物買取請求権・定期借地権(一般定期借地権・事業用定期借地権等・建物譲渡特約付借地権)
第2部借家:対抗要件・法定更新・更新拒絶の正当事由・造作買取請求権・定期建物賃貸借
第3部演習問題12問(オリジナル作問)

第1部 借地

1-1 借地権の存続期間と更新後の期間

借地権(建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権)の存続期間は、民法の賃貸借の原則(50年が上限)とは異なる特則が定められています。

項目内容条文
存続期間(原則)30年。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間借地借家法3条
更新後の期間(最初の更新)更新の日から20年(当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間)借地借家法4条
更新後の期間(2回目以降の更新)更新の日から10年(当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間)借地借家法4条

「最初の更新は20年、2回目以降は10年」という数値の違いが、借地借家法の中でも特に取り違えやすいポイントです。存続期間そのもの(原則30年・3条)と、更新後の期間(最初20年・以降10年・4条)は別々の数値であることを、まず切り分けて覚えておきましょう。

1-2 法定更新のしくみ

借地契約は、当事者が何もしなくても、次の2つのルートで「従前の契約と同一の条件で更新したもの」とみなされる法定更新の仕組みがあります。

  1. 更新請求による更新:借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときはこの限りではありません(5条1項)。
  2. 使用継続による更新:借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、同様に更新したものとみなされます(5条2項)。

いずれの場合も、借地権設定者が異議を述べるには、当事者双方が土地の使用を必要とする事情・借地に関する従前の経過・土地の利用状況・借地権設定者が土地の明渡しの条件として財産上の給付を申し出た場合はその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければならないとされています(6条)。この「正当の事由」の考慮要素は、後述する借家の更新拒絶(28条)とほぼ同じ構造になっている点も、あわせて押さえておきましょう。

1-3 建物買取請求権

借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができます(13条1項)。これは、借地人が投下した資本を回収する機会を与え、建物を取り壊すことによる社会的な損失を防止するための規定です。なお、この建物買取請求権は、後述する定期借地権では特約により排除することができます。

1-4 定期借地権(一般定期借地権・事業用定期借地権等・建物譲渡特約付借地権)

更新や建物買取請求権が生じる普通借地権に対して、契約で定めた期間の満了により確定的に借地関係が終了する定期借地権が3種類定められています。

種類存続期間用途の制限契約方式効果条文
一般定期借地権50年以上なし公正証書等の書面(電磁的記録でも可)契約の更新・建物築造による期間延長がなく、建物買取請求もしない旨を特約できる22条
事業用定期借地権等(30年以上50年未満)30年以上50年未満事業用(居住用は除く)公正証書契約の更新・建物築造による期間延長がなく、建物買取請求もしない旨を特約できる23条1項・3項
事業用定期借地権等(10年以上30年未満)10年以上30年未満事業用(居住用は除く)公正証書存続期間・更新請求・建物買取請求権等に関する規定(3条〜8条・13条・18条)そのものが適用されない(特約なしに当然排除)23条2項・3項
建物譲渡特約付借地権設定後30年以上を経過した日に建物を借地権設定者に譲渡なし特約(要式性の定めなし)建物譲渡により借地権が消滅する。消滅後も借地権者等が使用を継続する場合は、請求により期間の定めのない賃貸借(借地権の残存期間があればその期間)がされたものとみなされる24条

事業用定期借地権等は、存続期間が30年以上50年未満か、10年以上30年未満かで扱いが異なる点が急所です。前者(30年以上50年未満)は一般定期借地権と同じく「特約をすれば」更新等が排除されるのに対し、後者(10年以上30年未満)は特約をしなくても3条から8条まで・13条・18条の規定自体が適用除外となります。いずれも契約は公正証書によらなければなりません(23条3項)。一般定期借地権(22条)が「公正証書『等』の書面」で足りるのに対し、事業用定期借地権等は「公正証書」に限定されている点も、混同しやすい要件のすり替えポイントです。


第2部 借家

2-1 対抗要件

民法の賃貸借の対抗要件は登記ですが、借地上の建物の賃借人(借家人)を保護するため、借地借家法は簡易な対抗要件を認めています。

建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる(31条)。

つまり、賃借人が入居して建物の引渡しを受けていれば、賃貸借の登記がなくても、その後に建物を譲り受けた新所有者に賃借権を対抗できます。前述した借地の対抗要件(借地上に借地権者名義で登記した建物を所有していること・10条1項)と、この借家の対抗要件(建物の引渡し・31条)は、いずれも「土地・建物そのものの登記」を要求しない簡易な仕組みである点で共通していますが、借地は「建物の登記」、借家は「建物の引渡し」が基準になるという対象の違いを取り違えないようにしましょう。

2-2 建物賃貸借の期間

建物の賃貸借は、民法の賃貸借の原則(604条・上限50年)とは異なる特則が定められています。

  • 期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされます(29条1項)。
  • 民法604条(賃貸借の存続期間の上限を原則50年とする規定)は、建物の賃貸借には適用されません(29条2項)。つまり、普通建物賃貸借には期間の上限がありません。

2-3 法定更新と更新拒絶の正当事由

建物の賃貸借について期間の定めがある場合、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に、相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます。ただし、更新後の期間は定めがないものとされます(26条1項)。期間満了後も賃借人が使用を継続し、賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも同様です(26条2項)。

賃貸人がこの更新拒絶の通知をする場合、又は解約の申入れをする場合には、賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況、賃貸人が財産上の給付をする旨の申出をした場合はその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができません(28条)。期間の定めのない建物賃貸借について賃貸人が解約の申入れをした場合は、申入れの日から6月を経過することによって終了します(27条1項)。

2-4 造作買取請求権

建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができます(33条1項)。建物の賃貸人から買い受けた造作についても同様です。借地の建物買取請求権(13条)と対をなす規定ですが、対象が「土地上の建物」ではなく「建物に付加した造作」である点が異なります。

2-5 定期建物賃貸借(定期借家)

期間の定めがある建物の賃貸借をする場合において、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、契約の更新がないこととする旨を定めることができます(38条1項)。この場合、前述した1年未満の期間の定めを「期間の定めがないものとみなす」29条1項の規定は適用されません。契約が電磁的記録によってされたときは、書面によってされたものとみなされます(38条2項)。

定期建物賃貸借には、普通建物賃貸借にはない独自の手続要件が課されています。

要件内容条文
契約方式公正証書等の書面(電磁的記録でも可)38条1項・2項
事前説明義務賃貸人は、あらかじめ、契約の更新がなく期間の満了により終了する旨を記載した書面を交付して説明しなければならない38条3項
説明を怠った場合の効果契約の更新がないこととする旨の定めは無効となる38条5項
終了の通知期間が1年以上の場合、賃貸人は期間満了の1年前から6月前までの間に、期間満了により終了する旨を賃借人に通知しなければ、その終了を対抗できない38条6項
中途解約居住用(床面積200平方メートル未満)で、転勤・療養・親族の介護等やむを得ない事情により生活の本拠として使用することが困難となったときは、賃借人から解約の申入れができる(解約の申入れの日から1月経過で終了)38条7項

事前説明義務(38条3項)は、普通建物賃貸借にはない定期建物賃貸借独自の要件です。この説明を怠ると、更新がないことにする特約そのものが無効になる(=普通建物賃貸借と同じ扱いに戻る)という効果の重さを押さえておきましょう。

2-6 借地と借家の対比

項目借地借家
対抗要件借地上の建物の(借地権者名義の)登記建物の引渡し
存続期間の原則30年(契約でこれより長い期間も可)上限なし(民法604条を適用しない)
更新拒絶・解約の要件正当の事由(6条)正当の事由(28条)
期間満了時の権利建物買取請求権(13条)造作買取請求権(33条)
更新のない類型定期借地権(一般・事業用・建物譲渡特約付)定期建物賃貸借(定期借家)

第3部 演習問題12問

なお、本問題集は筆者(当サイト)が独自に作成した予想問題であり、実際の試験問題の的中や出題を保証するものではありません。過去問の文言はそのまま用いず、条文を根拠にオリジナルで作問しています。法令は令和8年4月1日現在施行されているものを基準にしていますが、受験にあたっては最新の法令・公式発表を必ずご確認ください。


問1 借地権の存続期間

借地権の存続期間に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 借地権の存続期間は30年であり、契約でこれより長い期間を定めても、その期間は30年に修正される。
  2. 借地権の存続期間は30年とされているが、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間となる。
  3. 借地権の存続期間は、建物の構造が木造か鉄骨造かによって異なる年数が法定されている。
  4. 借地権の存続期間について契約で定めがない場合、その借地権は無期限に存続する。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。契約で30年より長い期間を定めたときは、その期間となります(借地借家法3条)。30年に修正されるわけではありません。

2が正しい記述です。借地権の存続期間は30年とされていますが、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間となります(3条)。

3は誤りです。借地借家法上、建物の構造の種類(木造・鉄骨造等)によって存続期間が異なる定めはありません。旧借地法にあった構造による区分は、現行の借地借家法では廃止されています。

4は誤りです。契約で期間の定めがない場合であっても、存続期間は法定の30年となるのであり、無期限に存続するものではありません。

借地権の存続期間は「原則30年、契約でこれより長い期間を定めればその期間」という単純な構造であり、旧法にあった建物の構造による区分は現行法にはない点に注意しましょう。


問2 借地契約の更新後の期間

借地契約の更新後の期間に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 借地契約を更新する場合、その期間は、更新の日から10年とされ、最初の更新も2回目以降の更新も同じ扱いである。
  2. 借地契約を更新する場合、その期間は、更新の日から10年(借地権の設定後の最初の更新にあっては20年)とされ、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間となる。
  3. 借地契約の更新後の期間は、当事者が合意で定めた場合であっても、10年又は20年のいずれかから選択しなければならない。
  4. 借地契約の更新後の期間は、更新前の残存期間と同じ長さとするのが原則である。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。最初の更新にあっては20年、2回目以降の更新にあっては10年と、更新の回数によって期間が異なります(借地借家法4条)。最初の更新も一律10年とする点が誤りです。

2が正しい記述です。当事者が借地契約を更新する場合、その期間は更新の日から10年(最初の更新にあっては20年)とされ、当事者がこれより長い期間を定めたときはその期間となります(4条)。

3は誤りです。当事者がこれより長い期間を定めたときは、10年・20年という数値にとらわれずその期間となります(4条ただし書)。10年か20年からの選択に限定される点が誤りです。

4は誤りです。更新後の期間は更新前の残存期間ではなく、更新の日を起点とした10年又は20年という新たな期間です。

「最初の更新は20年、2回目以降は10年」という数値と、当事者がこれより長い期間を定めることもできるという点をセットで押さえておきましょう。


問3 借地契約の法定更新

借地契約の法定更新に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物の有無にかかわらず、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。
  2. 借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、借地権設定者が遅滞なく異議を述べない限り、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。
  3. 借地権設定者が更新の請求に異議を述べるには、土地の明渡しを求める意思を表明すれば足り、正当の事由の有無は考慮されない。
  4. 借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続しても、借地権設定者が改めて土地の賃貸借契約を締結しない限り、更新の効果は生じない。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。更新請求による法定更新は、建物がある場合に限り認められます(借地借家法5条1項)。建物の有無にかかわらないとする点が誤りです。

2が正しい記述です。借地権者が更新を請求したときは、建物がある場合に限り、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときを除き、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます(5条1項)。

3は誤りです。借地権設定者が異議を述べるには、双方が土地の使用を必要とする事情等を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければなりません(6条)。正当の事由が不要とする点が誤りです。

4は誤りです。借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、更新請求の場合と同様に更新したものとみなされます(5条2項)。改めて契約を締結する必要はありません。

法定更新には「更新請求による更新」と「使用継続による更新」の2ルートがあり、いずれも建物の存在と、借地権設定者による正当事由のある異議の不存在が要件になる点を押さえておきましょう。


問4 建物買取請求権

借地上の建物買取請求権(借地借家法13条)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 借地権の存続期間が満了し、契約の更新がない場合、借地権者は、借地権設定者に対し、建物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
  2. 借地権者は、借地権の存続期間中であっても、いつでも借地権設定者に対して建物の買取りを請求することができる。
  3. 建物買取請求権が行使された場合、建物の代金が支払われるまで、借地権設定者は建物の引渡しを拒むことができない。
  4. 借地権者の債務不履行を理由に借地契約が解除された場合であっても、借地権者は建物買取請求権を行使することができる。

解答・解説

正答は1です。

1が正しい記述です。借地権の存続期間が満了した場合において契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができます(借地借家法13条1項)。

2は誤りです。建物買取請求権が生じるのは、借地権の存続期間が満了し、かつ契約の更新がない場合であり、存続期間中にいつでも行使できるものではありません。

3は誤りです。買主(借地権設定者)が代金を支払わない間、建物の引渡しを拒むことができるとするのが判例の立場です(同時履行の関係)。

4は誤りです。借地権者の債務不履行を理由に借地契約が解除された場合には、借地権者は建物買取請求権を有しないとするのが判例の立場です。契約の更新がないことと、債務不履行解除により契約自体が終了したこととは場面が異なります。

建物買取請求権は「存続期間満了・更新なし」という場面に限定される点、そして債務不履行による解除の場合には認められない点が急所です。


問5 一般定期借地権と事業用定期借地権等の比較

定期借地権に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 一般定期借地権を設定するには、存続期間を50年以上とし、その特約は公正証書によらなければならず、それ以外の書面では効力を生じない。
  2. 一般定期借地権は、存続期間を50年以上として借地権を設定する場合に、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がなく、建物買取りの請求もしないこととする旨を、公正証書による等書面で定めることができる。
  3. 事業用定期借地権等は、居住の用に供する建物の所有を目的とする場合であっても設定することができる。
  4. 一般定期借地権と事業用定期借地権等は、いずれも用途の制限がなく、居住用・事業用を問わず設定することができる。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。一般定期借地権の特約は「公正証書『による等』書面」によればよく、公正証書に限定されているわけではありません(借地借家法22条1項)。公正証書に限定されるのは事業用定期借地権等(23条3項)です。

2が正しい記述です。存続期間を50年以上として借地権を設定する場合には、契約の更新・建物の築造による存続期間の延長がなく、建物買取りの請求もしないこととする旨を、公正証書による等書面で定めることができます(22条1項)。

3は誤りです。事業用定期借地権等は、専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く)の所有を目的とする場合に限り設定することができます(23条1項)。居住用には設定できません。

4は誤りです。事業用定期借地権等には「居住の用に供するものを除く」という用途の制限がありますが、一般定期借地権には用途の制限はありません。両者を同列に扱っている点が誤りです。

一般定期借地権の書面要件(公正証書「等」でよい)と、事業用定期借地権等の書面要件(公正証書に限定)の違い、そして事業用定期借地権等だけに用途制限(居住用を除く)がある点をセットで押さえておきましょう。


問6 事業用定期借地権等の期間区分と建物譲渡特約付借地権

事業用定期借地権等・建物譲渡特約付借地権に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 存続期間を10年以上30年未満として事業用定期借地権等を設定する場合、契約の更新等を排除するには、その旨の特約を公正証書で定める必要がある。
  2. 存続期間を10年以上30年未満として事業用定期借地権等を設定する場合、特約をしなくても、存続期間・更新請求・建物買取請求権等に関する規定自体が適用されない。
  3. 建物譲渡特約付借地権は、借地権の設定と同時に建物を借地権設定者に譲渡する旨を定めるものである。
  4. 建物譲渡特約付借地権により借地権が消滅した場合、建物の使用を継続していた借地権者が請求をしても、建物の賃貸借関係は生じない。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。存続期間10年以上30年未満の事業用定期借地権等は、特約をしなくても、3条から8条まで・13条・18条の規定自体が適用されません(借地借家法23条2項)。「特約が必要」とする点が誤りです(なお、この場合も契約自体は公正証書によらなければなりません・23条3項)。

2が正しい記述です。1の解説のとおり、存続期間10年以上30年未満の事業用定期借地権等は、特約をしなくても当然に3条から8条まで・13条・18条の規定が適用除外となります(23条2項)。

3は誤りです。建物譲渡特約付借地権は、借地権の設定後30年以上を経過した日に建物を借地権設定者に譲渡する旨を定めるものであり、設定と同時に譲渡するものではありません(24条1項)。

4は誤りです。建物譲渡特約により借地権が消滅した場合において、借地権者又は建物の賃借人で、消滅後建物の使用を継続しているものが請求をしたときは、請求の時にその建物について、借地権設定者との間で期間の定めのない賃貸借がされたものとみなされます(24条2項)。

事業用定期借地権等は「30年以上50年未満」と「10年以上30年未満」で扱いが異なり、後者は特約なしに当然適用除外となる点が急所です。建物譲渡特約付借地権は「設定後30年以上経過した日」という起算点と、消滅後の賃貸借みなし規定をセットで押さえておきましょう。


問7 建物賃貸借の対抗要件

建物賃貸借の対抗要件に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 建物の賃貸借は、賃借権の登記をしなければ、その後その建物について物権を取得した者に対抗することができない。
  2. 建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対して効力を生ずる。
  3. 建物の賃貸借の対抗要件として引渡しが認められるのは、居住用の建物に限られる。
  4. 建物の賃貸借の対抗要件は、賃貸借契約書に確定日付を得ることである。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。建物の賃貸借は、賃借権の登記がなくても、建物の引渡しがあれば対抗力を有します(借地借家法31条)。登記を必須とする点が誤りです。

2が正しい記述です。建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対抗することができます(31条)。

3は誤りです。31条の対抗要件(引渡し)は居住用の建物に限られず、事業用の建物の賃貸借にも適用されます。

4は誤りです。31条が定める対抗要件は建物の引渡しであり、確定日付を得ることではありません。確定日付は債権譲渡の対抗要件(民法467条)等で問題となる制度であり、建物賃貸借の対抗要件とは異なる制度です。

借地の対抗要件が「借地権者名義の建物の登記」(10条1項)であるのに対し、借家の対抗要件は「建物の引渡し」(31条)です。対象(借地は建物の登記、借家は建物そのものの引渡し)を取り違えないようにしましょう。


問8 建物賃貸借の期間

建物賃貸借の期間に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 期間を6か月と定めた建物の賃貸借は、その定めのとおり6か月の期間の定めのある賃貸借として扱われる。
  2. 期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされる。
  3. 建物の賃貸借の存続期間には、民法上の賃貸借の存続期間の上限に関する規定がそのまま適用され、50年を超えることができない。
  4. 建物の賃貸借は、契約で期間を定めなかった場合、法定の存続期間である30年とみなされる。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされます(借地借家法29条1項)。6か月という期間の定めがそのまま扱われるわけではありません。

2が正しい記述です。1のとおり、期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがないものとみなされます(29条1項)。

3は誤りです。民法604条(賃貸借の存続期間の上限を原則50年とする規定)は、建物の賃貸借には適用されません(29条2項)。普通建物賃貸借には期間の上限がありません。

4は誤りです。30年という数値は借地権の存続期間の原則(3条)であり、建物賃貸借の期間の定めとは異なります。借地と借家の数値を混同した誤りです。

「1年未満の期間の定めは無効になるのではなく、期間の定めのない賃貸借とみなされる」という効果と、「建物賃貸借には民法604条の50年上限が適用されない」という2点が、建物賃貸借の期間に関する急所です。


問9 建物賃貸借契約の更新等(法定更新)

建物賃貸借契約の更新に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 期間の定めがある建物の賃貸借において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件(期間を含む)で契約を更新したものとみなされる。
  2. 期間の定めがある建物の賃貸借において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされるが、その期間は定めがないものとされる。
  3. 建物の賃貸人が更新をしない旨の通知をした場合、その後賃借人が使用を継続しても、賃貸人が異議を述べる余地はない。
  4. 建物賃貸借の法定更新は、賃借人からの通知について問題となる規定であり、賃貸人からの通知には適用されない。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。法定更新後の期間は、定めがないものとされます(借地借家法26条1項ただし書)。従前と同一の期間で更新されるわけではありません。

2が正しい記述です。期間満了の1年前から6月前までの間に更新をしない旨の通知等をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされますが、その期間は定めがないものとされます(26条1項)。

3は誤りです。賃貸人が更新をしない旨の通知をした場合であっても、期間満了後賃借人が使用を継続する場合において、賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときは、同様に更新したものとみなされます(26条2項)。異議を述べる余地がないとする点が誤りです。

4は誤りです。26条1項の通知は当事者双方に適用される規定であり、賃借人からの通知に限られません。ただし、賃貸人から通知する場合は、28条に基づき正当の事由が必要となる点が異なります。

法定更新は「同一の条件で更新」だが「期間だけは定めがないものになる」という点、そして賃貸人からの通知には別途正当事由(28条)が必要になる点が急所です。


問10 更新拒絶の正当事由と解約申入れ

建物賃貸借契約の更新拒絶・解約申入れに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 建物の賃貸人による更新をしない旨の通知又は解約の申入れは、賃貸人が自ら使用する必要がある旨さえ述べれば足り、その他の事情を考慮する必要はない。
  2. 建物の賃貸人による更新をしない旨の通知又は解約の申入れは、賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情等を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければすることができない。
  3. 期間の定めのない建物の賃貸借について、賃貸人が解約の申入れをした場合、建物の賃貸借は申入れと同時に終了する。
  4. 建物の賃貸人が財産上の給付をする旨の申出をした場合、その申出の有無は正当の事由の判断において考慮されない。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。正当の事由の有無は、賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情のほか、従前の経過、建物の利用状況及び現況、財産上の給付の申出等を総合的に考慮して判断されます(借地借家法28条)。賃貸人の自己使用の必要性だけで足りるわけではありません。

2が正しい記述です。更新をしない旨の通知又は解約の申入れは、28条に列挙された事情を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければすることができません。

3は誤りです。期間の定めのない建物賃貸借について賃貸人が解約の申入れをした場合、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6月を経過することによって終了します(27条1項)。申入れと同時に終了するわけではありません。

4は誤りです。賃貸人が建物の明渡しの条件として又は明渡しと引換えに財産上の給付をする旨の申出をした場合には、その申出も正当の事由の判断において考慮される事情の一つです(28条)。

正当の事由は複数の事情を総合的に考慮して判断されるものであり、単一の事情(自己使用の必要性だけ等)で決まるものではない点、そして解約申入れの効力発生には6月の経過が必要な点をあわせて押さえておきましょう。


問11 造作買取請求権

造作買取請求権(借地借家法33条)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 建物の賃借人は、賃貸人の同意を得ずに建物に付加した造作についても、賃貸借終了時にその買取りを請求することができる。
  2. 建物の賃借人は、賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作について、賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、賃貸人に対しその造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。
  3. 造作買取請求権は、建物の転借人には認められない。
  4. 賃借人の債務不履行を理由に建物の賃貸借契約が解除された場合であっても、賃借人は造作買取請求権を行使することができる。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。造作買取請求権の対象は、賃貸人の「同意を得て」建物に付加した造作に限られます(33条1項)。同意を得ずに付加した造作は対象になりません。

2が正しい記述です。賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合、賃借人は、賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、賃貸人に対しその造作を時価で買い取るべきことを請求することができます(33条1項)。

3は誤りです。33条1項の規定は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間についても準用されます(33条2項)。

4は誤りです。判例上、賃借人の債務不履行やその背信行為を理由に賃貸借が解除された場合には、造作買取請求権の規定は適用されないとされています。この点は借地の建物買取請求権における債務不履行解除の扱いと共通しています。

造作買取請求権は「賃貸人の同意を得て付加した造作」に限られる点、転借人にも準用される点、そして債務不履行解除の場合には適用されない点が急所です。


問12 定期建物賃貸借(定期借家)

定期建物賃貸借に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 定期建物賃貸借を締結するには、公正証書によらなければならず、それ以外の書面では効力を生じない。
  2. 定期建物賃貸借を締結する場合、賃貸人は、あらかじめ、契約の更新がなく期間の満了により賃貸借が終了する旨を記載した書面を交付して説明しなければならず、この説明を怠ったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは無効となる。
  3. 定期建物賃貸借において、期間が1年以上である場合、賃貸人が期間満了による終了の通知をしなくても、賃借人はその終了を争うことができない。
  4. 居住の用に供する定期建物賃貸借について、賃借人からの中途解約はいかなる事情があっても認められない。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。定期建物賃貸借は「公正証書による等」書面によって契約をするときに限り効力を生じるのであり、公正証書に限定されているわけではありません(借地借家法38条1項)。

2が正しい記述です。定期建物賃貸借をしようとするときは、賃貸人はあらかじめ、契約の更新がなく期間の満了により賃貸借が終了する旨を記載した書面を交付して説明しなければならず、この説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは無効となります(38条3項・5項)。

3は誤りです。期間が1年以上である場合、賃貸人は期間満了の1年前から6月前までの間に、期間満了により終了する旨を賃借人に通知しなければ、その終了を賃借人に対抗することができません(38条6項)。通知をしなくても賃借人が争えないとする点が誤りです。

4は誤りです。居住の用に供する建物(床面積200平方メートル未満のものに限る)の定期建物賃貸借において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、賃借人は解約の申入れをすることができます(38条7項)。

定期建物賃貸借の3つの独自要件――①公正証書「等」の書面、②更新がない旨の事前説明書面(怠ると特約自体が無効)、③期間満了前の終了通知――と、居住用限定の中途解約の特則をセットで押さえておきましょう。


まとめ

  • 借地権の存続期間は原則30年、更新後は最初20年・2回目以降10年という数値の違いが急所(3条・4条)
  • 借地の法定更新は「更新請求」「使用継続」の2ルートがあり、いずれも建物の存在と正当事由のある異議の不存在が要件(5条・6条)
  • 借地の建物買取請求権(13条)は「存続期間満了・更新なし」の場面に限られ、債務不履行解除の場合には認められない
  • 定期借地権は一般定期借地権(50年以上・書面)、事業用定期借地権等(30年以上50年未満は特約で更新等排除、10年以上30年未満は当然適用除外、いずれも公正証書必須)、建物譲渡特約付借地権(設定後30年以上経過日に譲渡)の3種類
  • 借家の対抗要件は建物の引渡し(31条)、建物賃貸借には民法604条の50年上限が適用されない(29条2項)
  • 借家の法定更新(26条)・更新拒絶や解約申入れの正当事由(27条・28条)・造作買取請求権(33条)・定期建物賃貸借の事前説明義務(38条3項)が頻出論点

免責事項

  • 本記事の演習問題はすべて筆者が独自に作成した予想問題であり、実際の宅建試験問題の的中や出題を保証するものではありません。
  • 作問にあたっては、過去問の文言をそのまま転載せず、条文を根拠に独自に作問しています。
  • 法令は改正されることがあります。本記事の内容は執筆時点の情報に基づくものであり、最新の法令・制度については法務省・国土交通省や実施団体(一般財団法人 不動産適正取引推進機構)などの一次情報を必ずご自身で確認してください。

この記事とあわせて、権利関係が苦手な人のための読み方教科書|登場人物の図解・善意悪意の判定・判例の読み方や、宅建 1日20問ドリル|30日で全単元を一巡する予想問題600問(令和8年度対応)もご覧ください。

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