建築設備.tech
基本設計宅建士(宅地建物取引士)

宅建 1日20問ドリル Day7|権利関係・意思表示と制限行為能力・代理(心裡留保・虚偽表示・錯誤・詐欺強迫・代理と表見代理)

「1日20問ドリル」は、令和8年度(2026年)の宅地建物取引士試験を見据え、筆者が独自に作成した予想問題を1日20問ずつ、30日で全単元を一巡できるように構成した連載です。Day7からは権利関係(14問・28%)に入り、民法総則のうち意思表示・制限行為能力・代理を扱います。

権利関係は、宅建業法のように条文の要件をそのまま当てはめれば得点できる問題が少なく、登場人物が複数になる事例を正確に読み解く力が問われる分野です。本記事の20問は、断定的な言い回しを誤りの目印にするのではなく、数値の書き換え(期間・要件の数を近い別の値に差し替える)・主語の入れ替え(本人と相手方、悪意者と善意者を取り違えさせる)・要件の見落とし(ただし書や除外規定の有無を問う)という3つの作り方を中心に構成しました。あわせて、四肢の記述の正誤を個別に判断させる組み合わせ問題を3問(問3・問7・問11)織り交ぜています。

なお、本問題集は筆者(当サイト)が独自に作成した予想問題であり、実際の試験問題の的中や出題を保証するものではありません。法令は令和8年4月1日現在施行されているものを基準に作問していますが、受験にあたっては最新の法令・公式発表を必ずご確認ください。

一連のドリルの全体構成は、ハブ記事「宅建 1日20問ドリル|30日で全単元を一巡する予想問題600問(令和8年度対応)」でまとめています。あわせてご覧ください。また、権利関係の読み方そのものを整理した「権利関係が苦手な人のための読み方教科書|登場人物の図解・善意悪意の判定・判例の読み方」も、本Dayの問題を解く前に目を通しておくと理解しやすくなります。


Day7の範囲:意思表示・制限行為能力・代理

テーマ対応問番号
意思表示(心裡留保・通謀虚偽表示)問1〜問3
意思表示(錯誤・詐欺又は強迫)問4〜問7
制限行為能力(未成年者・成年被後見人)問8〜問10
制限行為能力(被保佐人・被補助人・相手方の保護)問11〜問14
代理(代理行為の要件効果・瑕疵・代理人の行為能力・復代理)問15〜問18
代理(表見代理・無権代理)問19・問20

組み合わせ問題を3問(問3・問7・問11)織り交ぜ、四肢すべての記述を精読しないと解けない構成にしています。目安の学習時間は35〜45分です。


問題20問

問1 心裡留保

心裡留保(民法93条)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 表意者が真意ではないことを知ってした意思表示は、相手方がその意思表示が表意者の真意でないことを知り、又は知ることができたときであっても、その効力を妨げられない。
  2. 表意者が真意ではないことを知ってした意思表示は、相手方がその意思表示が表意者の真意でないことを知り、又は知ることができたときは、無効となる。
  3. 心裡留保による意思表示の無効は、その無効を知らなかった相手方に対しては対抗することができない。
  4. 心裡留保による意思表示の無効は、善意の第三者に対しても対抗することができる。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。表意者が真意でないことを知ってした意思表示は、原則としてその効力を妨げられませんが、相手方がその意思表示が表意者の真意でないことを知り、又は知ることができたときは、例外的に無効となります(民法93条1項ただし書)。「効力を妨げられない」という原則と「無効となる」という例外の関係を入れ替えた誤りです。

2が正しい記述です。心裡留保による意思表示は、相手方がその意思表示が表意者の真意でないことについて悪意又は有過失であるときに限り、無効となります(93条1項)。

3は誤りです。93条1項ただし書が保護しているのは、表意者の真意でないことを知らなかった(善意の)相手方であり、無効を対抗できるかどうかの場面とは異なる話です。この選択肢は93条2項が保護する対象(善意の第三者)を相手方にすり替えています。

4は誤りです。心裡留保による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができません(93条2項)。

心裡留保は「原則有効、相手方が悪意又は有過失なら無効」という構造と、「その無効は善意の第三者に対抗できない」という第三者保護の2段構えです。「誰の善意・悪意が問題になっているか(相手方か第三者か)」を取り違えないようにしましょう。


問2 通謀虚偽表示

通謀虚偽表示(民法94条)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、取り消すことができる。
  2. 相手方と通じてした虚偽の意思表示は無効であるが、その無効は善意の第三者に対抗することができない。
  3. 相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効は、第三者が善意であるか悪意であるかにかかわらず、その第三者に対抗することができる。
  4. 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、当事者間においては有効であり、無効となるのは第三者に対する関係に限られる。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。通謀虚偽表示による意思表示は、取消しの対象ではなく、はじめから無効です(94条1項)。

2が正しい記述です。相手方と通じてした虚偽の意思表示は無効であり(94条1項)、その無効は善意の第三者に対抗することができません(94条2項)。

3は誤りです。94条2項が保護するのは善意の第三者に限られ、悪意の第三者に対しては、当事者は虚偽表示の無効を対抗することができます。

4は誤りです。通謀虚偽表示は当事者間においても無効であり、第三者との関係でのみ無効になるものではありません。むしろ当事者間では無効であるという原則を、善意の第三者との関係でだけ主張できなくするのが94条2項の構造です。

通謀虚偽表示は「当事者間では無効」が原則で、「善意の第三者にはその無効を主張できない」という例外が94条2項です。原則と例外の対象(当事者間か第三者との関係か)を取り違えないようにしましょう。


問3 94条2項の「第三者」の範囲(組み合わせ問題)

AがBと通謀して、A所有の土地をBに売却したように仮装した。94条2項の「第三者」に関する次のア〜エの記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

ア 虚偽表示の相手方Bから、その土地を譲り受けた者は、94条2項の第三者に含まれる。

イ 虚偽表示の目的物である土地を差し押さえた、Bに対する差押債権者も、94条2項の第三者に含まれ得る。

ウ 94条2項の第三者として保護されるためには、善意であることに加えて、その土地について登記を備えていることが必要である。

エ その土地について何らの権利も取得していない、Bに対する単なる一般債権者も、94条2項の第三者に含まれる。

  1. アイ
  2. アウ
  3. イエ
  4. ウエ

解答・解説

正答は1です。

アは正しい記述です。虚偽表示の相手方から目的物を譲り受けた者(転得者)は、虚偽表示の外観を信頼して新たな法律上の利害関係に入った者であり、94条2項の第三者に含まれます。

イも正しい記述です。虚偽表示の目的物を差し押さえた差押債権者も、その目的物について新たな法律上の利害関係を有するに至った者として、94条2項の第三者に含まれ得ます。

ウは誤りです。94条2項の第三者として保護されるために登記を備えていることまでは要件とされておらず、善意であれば足りるとするのが判例・通説です。「善意」という主観的要件に「登記」という対抗要件を上乗せした誤りです。

エは誤りです。目的物について何らの権利も取得していない単なる一般債権者は、その目的物について法律上の利害関係を有するに至ったとはいえず、94条2項の第三者には含まれません。

したがって、正しいものはア・イであり、正答は1です。94条2項の「第三者」は、虚偽表示の目的物について新たに法律上の利害関係を取得した者かどうかで判断され、登記の有無や、単なる一般債権者かどうかで区別される点を押さえておきましょう。


問4 錯誤①(意思の不存在・動機の錯誤)

錯誤(民法95条)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 意思表示に対応する意思を欠く錯誤に基づく意思表示は、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであれば、取り消すことができる。
  2. 表意者が法律行為の基礎とした事情についての認識が真実に反する錯誤(いわゆる動機の錯誤)は、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたかどうかにかかわらず、取り消すことができる。
  3. 錯誤による意思表示は、取消しの対象ではなく、はじめから無効である。
  4. 錯誤に基づく意思表示は、その錯誤の重要性を問わず、表意者が誤って意思表示をしたことさえ証明できれば取り消すことができる。

解答・解説

正答は1です。

1が正しい記述です。意思表示に対応する意思を欠く錯誤(1号錯誤)に基づく意思表示は、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときに取り消すことができます(95条1項1号)。

2は誤りです。動機の錯誤(2号錯誤)による取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができます(95条2項)。表示の有無を問わないとする点が誤りです。

3は誤りです。平成29年改正により、錯誤による意思表示は無効ではなく取消しの対象とされています(95条1項)。

4は誤りです。錯誤による取消しには、錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであることが要件とされており、重要性を問わないわけではありません(95条1項柱書)。

錯誤には「意思表示に対応する意思を欠く錯誤(1号)」と「動機の錯誤(2号)」の2種類があり、2号錯誤だけは「事情が法律行為の基礎とされていることの表示」が別途要件になる点が急所です。


問5 錯誤②(重大な過失・第三者保護)

錯誤に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合、相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったときであっても、表意者は錯誤による取消しをすることができない。
  2. 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合であっても、相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたときは、表意者は錯誤による取消しをすることができる。
  3. 錯誤による意思表示の取消しは、第三者が善意でありさえすれば、過失の有無を問わずその第三者に対抗することができない。
  4. 錯誤による意思表示の取消しは、第三者の善意・悪意にかかわらず、その第三者に対抗することができる。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合でも、相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、例外的に表意者は取消しをすることができます(95条3項1号)。

2が正しい記述です。表意者に重大な過失があった場合の例外の一つとして、相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき(いわゆる共通錯誤)が定められています(95条3項2号)。

3は誤りです。錯誤による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができません(95条4項)。善意であれば過失があってもよいとする点が誤りです。

4は誤りです。3のとおり、善意でかつ過失がない第三者に対しては、錯誤による取消しを対抗することができません。

「重過失があると原則として取り消せないが、相手方が悪意重過失、又は相手方も同一の錯誤に陥っていた場合は取り消せる」という2つの例外と、「取消しは善意無過失の第三者に対抗できない」という第三者保護要件(詐欺・96条3項と同じ「善意でかつ過失がない」という水準)をセットで覚えておきましょう。


問6 詐欺による取消しと第三者保護

BはAをだまして、Aが所有する土地をBに売却させた。Bはその後、この土地を、事情を知らないCに転売した。詐欺による意思表示の取消しに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. Cが取消し前に土地を取得していた場合、Cが善意でありさえすれば、過失の有無を問わずAは取消しをCに対抗することができない。
  2. Cが取消し前に土地を取得していた場合、Cが善意であっても過失があるときは、Aは取消しをCに対抗することができる。
  3. 詐欺による意思表示の取消しは、第三者の善意・悪意にかかわらず、Aはその第三者に対抗することができる。
  4. Aは、Bの詐欺を理由に契約を取り消さなくても、契約は当然に無効であるとして土地の返還を求めることができる。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。96条3項によって保護される第三者は、善意でかつ過失がないことが要件であり、善意でありさえすれば過失があってもよいわけではありません。

2が正しい記述です。Cが善意であっても過失があるときは、96条3項の第三者として保護されず、Aは取消しをCに対抗することができます。

3は誤りです。詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対しては対抗することができません(96条3項)。

4は誤りです。詐欺による意思表示は無効ではなく取り消すことができる行為であり、Aによる取消しの意思表示があって初めて遡って無効になります。

96条3項の第三者保護要件は、平成29年改正で「善意」から「善意でかつ過失がない」ことに引き上げられています。古い基準(善意のみ)のまま覚えていると数値・要件のすり替えに気づけません。


問7 詐欺と強迫の比較(組み合わせ問題)

詐欺又は強迫による意思表示に関する次のア〜エの記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

ア 詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

イ 強迫による意思表示の取消しも、詐欺の場合と同様、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

ウ 相手方に対する意思表示について第三者が強迫を行った場合、表意者は、相手方がその事実を知っていたかどうかにかかわらず、その意思表示を取り消すことができる。

エ 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合、相手方がその事実を知らず、かつ知らなかったことについて過失がなかったときであっても、表意者はその意思表示を取り消すことができる。

  1. アイ
  2. アウ
  3. イエ
  4. ウエ

解答・解説

正答は2です。

アは正しい記述です。詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができません(96条3項)。

イは誤りです。強迫による意思表示については、詐欺のような第三者保護規定(96条3項)が設けられておらず、第三者の善意・悪意にかかわらず取消しを対抗することができます。

ウは正しい記述です。96条2項は第三者が詐欺を行った場合についてのみ相手方の認識を要件としており、第三者が強迫を行った場合には対応する規定がないため、表意者は相手方の認識の有無にかかわらず取り消すことができます(96条1項)。

エは誤りです。相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合、表意者が取り消すことができるのは、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限られます(96条2項)。相手方が善意無過失であった場合は取り消すことができず、この選択肢は要件を反対にしています。

したがって、正しいものはア・ウであり、正答は2です。詐欺には「相手方の認識(96条2項)」と「第三者保護(96条3項)」の2つの制約があるのに対し、強迫にはどちらの制約もないという非対称性が、この分野の最大の急所です。


問8 未成年者の法律行為

未成年者の法律行為(民法5条)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならず、単に権利を得る行為についても同意を要する。
  2. 未成年者が法定代理人の同意を得ずにした法律行為は、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為を除き、取り消すことができる。
  3. 法定代理人が目的を定めて処分を許した財産であっても、未成年者はその目的の範囲を超えて自由に処分することができる。
  4. 法定代理人が目的を定めずに処分を許した財産は、未成年者がこれを処分することはできない。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、法定代理人の同意を得る必要がありません(5条1項ただし書)。

2が正しい記述です。未成年者が法定代理人の同意を得ずにした法律行為(単に権利を得、又は義務を免れる行為を除く)は、取り消すことができます(5条1項本文・2項)。

3は誤りです。法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において未成年者が自由に処分することができるのであり、目的の範囲を超えて自由に処分できるわけではありません(5条3項前段)。

4は誤りです。法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産についても、未成年者は自由に処分することができます(5条3項後段)。3の「目的の範囲内」という限定と混同しないようにしましょう。

未成年者の同意なしの行為は原則取り消せますが、①単に権利を得・義務を免れる行為、②目的を定めて処分を許した財産の目的の範囲内の処分、③目的を定めずに処分を許した財産の処分、の3つは例外的に同意不要という整理が急所です。


問9 未成年者の営業の許可

未成年者の営業の許可(民法6条)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
  2. 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関する行為について同意不要となるが、営業以外の日常の法律行為についても行為能力の制限が一括して解除される。
  3. 営業を許された未成年者にその営業に堪えることができない事由が生じても、法定代理人がその許可を取り消し、又は制限することはできない。
  4. 未成年者が営業の許可を受けるには、家庭裁判所の審判を経なければならない。

解答・解説

正答は1です。

1が正しい記述です。一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有します(6条1項)。

2は誤りです。行為能力が及ぶのは許可を受けた営業に関する行為に限られ、営業以外の法律行為にまで行為能力の制限が一括して解除されるものではありません。

3は誤りです。未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、法定代理人は、その許可を取り消し、又はこれを制限することができます(6条2項)。

4は誤りです。営業の許可は法定代理人が与えるものであり、家庭裁判所の審判を要件とするものではありません(6条1項)。成年後見・保佐・補助開始の審判(7条・11条・15条)と混同しないようにしましょう。

未成年者の営業許可は「その営業に関してだけ」成年者と同じ扱いになる点、そして許可を取り消し・制限できるのは家庭裁判所ではなく法定代理人である点が急所です。


問10 成年被後見人の法律行為

成年被後見人の法律行為(民法9条)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 成年被後見人の法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を含め、取り消すことができる。
  2. 成年被後見人の法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き、取り消すことができる。
  3. 成年被後見人が成年後見人の同意を得て法律行為をした場合は、その行為を取り消すことができない。
  4. 後見開始の審判は、本人からの請求によってすることができ、配偶者や四親等内の親族からの請求によってすることはできない。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。日用品の購入その他日常生活に関する行為については、成年被後見人の法律行為であっても取り消すことができません(9条ただし書)。

2が正しい記述です。成年被後見人の法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き、取り消すことができます(9条)。

3は誤りです。成年被後見人は、事理を弁識する能力を欠く常況にある者であるため、成年後見人の同意を得て行為をしたとしても、その同意どおりに行為ができるとは限らず、原則どおり取り消すことができます。これは、保佐人・補助人の同意があれば取り消せなくなる被保佐人・被補助人の制度(13条4項・17条4項の反対解釈)と異なる点です。

4は誤りです。後見開始の審判は、本人のほか、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求によりすることができます(7条)。

成年被後見人には「同意を得ていれば取り消せない」という仕組みがない点が、被保佐人・被補助人との最大の違いです。「同意」という言葉が出てくる制限行為能力者制度の中で、成年被後見人だけは同意の有無を問わず原則取り消せるという構造を押さえておきましょう。


問11 被保佐人の同意を要する行為(組み合わせ問題)

被保佐人が保佐人の同意を得なければならない行為(民法13条1項)に関する次のア〜エの記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

ア 被保佐人が、元本を領収するには、保佐人の同意を得なければならない。

イ 被保佐人が、日用品の購入その他日常生活に関する行為をするには、保佐人の同意を得なければならない。

ウ 被保佐人が、建物の新築、改築、増築又は大修繕をするには、保佐人の同意を得なければならない。

エ 被保佐人が、民法602条に定める期間内の賃貸借(短期賃貸借)をするには、保佐人の同意を得なければならない。

  1. アイ
  2. アウ
  3. イエ
  4. ウエ

解答・解説

正答は2です。

アは正しい記述です。被保佐人が元本を領収し、又は利用するには、保佐人の同意を得なければなりません(13条1項1号)。

イは誤りです。13条1項各号に掲げる行為であっても、日用品の購入その他日常生活に関する行為(9条ただし書に規定する行為)については、保佐人の同意を要しません(13条1項柱書ただし書)。

ウは正しい記述です。被保佐人が新築、改築、増築又は大修繕をするには、保佐人の同意を得なければなりません(13条1項8号)。

エは誤りです。保佐人の同意を要するのは民法602条に定める期間を「超える」賃貸借であり(13条1項9号)、602条の期間内の賃貸借(短期賃貸借)については同意を要しません。「期間を超える」を「期間内」に置き換えた数値・範囲のすり替えです。

したがって、正しいものはア・ウであり、正答は2です。13条1項各号は「元本の領収・借財保証・重要財産の得喪・訴訟行為・贈与和解仲裁合意・相続の承認放棄や遺産分割・贈与の拒絶や遺贈の放棄等・新築改築増築大修繕・602条を超える期間の賃貸借」という列挙であり、かつ日用品の購入等の日常行為は除外されるという2段構えを押さえておきましょう。


問12 被補助人と補助開始の審判

被補助人・補助開始の審判(民法15条・17条)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 補助開始の審判は、本人以外の者の請求によってする場合であっても、本人の同意を必要としない。
  2. 補助開始の審判は、本人以外の者の請求によってする場合には、本人の同意がなければならない。
  3. 家庭裁判所は、被補助人が特定の法律行為をするには補助人の同意を得なければならない旨の審判をする場合、対象となる行為の種類に制限はない。
  4. 補助開始の審判は、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者を対象とする。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければなりません(15条2項)。これは、被保佐人を対象とする保佐開始の審判(11条)には設けられていない、被補助人保護のための独自の要件です。

2が正しい記述です。1のとおり、本人以外の者の請求による補助開始の審判には本人の同意が必要です(15条2項)。

3は誤りです。補助人の同意を得なければならない旨の審判で対象とすることができる行為は、13条1項に規定する行為の一部に限られます(17条1項ただし書)。対象範囲に制限がないとする点が誤りです。

4は誤りです。「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」は後見開始の審判の対象(7条)です。補助開始の審判の対象は「事理を弁識する能力が不十分である者」であり(15条1項)、後見・保佐の原因がある者は除かれます(15条1項ただし書)。後見・保佐・補助の対象者の程度を入れ替えた誤りです。

被補助人は「本人の同意」が審判の要件になる点、そして対象行為が13条1項所定の行為の「一部」に限られる点が、被保佐人との違いとして狙われやすいところです。


問13 制限行為能力者の相手方の催告権

制限行為能力者の相手方の催告権(民法20条)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者となった後、その者に対し、1週間以上の期間を定めて追認するかどうかの確答を催告することができる。
  2. 制限行為能力者の相手方が、行為能力者となった本人に対し1箇月以上の期間を定めて催告をした場合において、その期間内に確答がないときは、その行為を追認したものとみなされる。
  3. 制限行為能力者の相手方が、被保佐人に対して直接、その行為についての追認を催告した場合、被保佐人が単独で追認する旨を確答すれば、その行為は確定的に有効となる。
  4. 特別の方式を要する行為について、催告を受けた者が期間内にその方式を具備した旨の通知をしなかったときは、その行為を追認したものとみなされる。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。催告の期間は「1箇月以上」でなければならず、1週間以上ではありません(20条1項)。

2が正しい記述です。制限行為能力者が行為能力者となった後、相手方がその者に対し1箇月以上の期間を定めて追認するかどうかの催告をし、期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなされます(20条1項)。

3は誤りです。相手方は、被保佐人又は17条1項の審判を受けた被補助人に対しては、その保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができますが、被保佐人自身が単独で追認の確答をしても、それだけで行為が確定的に有効となるものではありません(20条4項)。この場合、期間内に追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなされます。

4は誤りです。特別の方式を要する行為について、期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないときは、その行為を「取り消したもの」とみなされるのであり、追認したものとみなされるのではありません(20条3項)。

20条は「行為能力者本人への催告→確答なければ追認とみなす」「保佐人・補助人への催告→確答なければ追認とみなす」「被保佐人・被補助人本人への催告→追認を得た旨の通知がなければ"取り消した"とみなす」という3パターンで、みなされる効果(追認か取消しか)が異なる点が急所です。


問14 制限行為能力者の詐術

制限行為能力者の詐術(民法21条)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 制限行為能力者が、自らが制限行為能力者であることを単に黙秘していたにすぎない場合は、他の言動と相まって相手方の誤信を強めたときであっても、詐術に当たることはない。
  2. 制限行為能力者が、自らが行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
  3. 制限行為能力者が詐術を用いて相手方を誤信させた場合であっても、法定代理人が別途取消しの意思表示をすれば、その行為を取り消すことができる。
  4. 詐術による取消しの制限は、未成年者について適用され、成年被後見人・被保佐人・被補助人には適用されない。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。制限行為能力者であることを単に黙秘していただけでは、原則として詐術には当たりませんが、判例上、他の言動と相まって相手方の誤信を強めたと認められる場合には、詐術に当たり得るとされています(最判昭和44年2月13日)。「常に詐術に当たらない」とする点が誤りです。

2が正しい記述です。制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができません(21条)。

3は誤りです。21条の要件を満たして取消しができなくなった以上、法定代理人が別途取消しの意思表示をしても、その行為を取り消すことはできません。

4は誤りです。21条は制限行為能力者一般に適用される規定であり、未成年者に限られません。

詐術は「単なる黙秘は原則セーフ、他の言動と相まって誤信を強めればアウト」という判例のラインが急所です。制限行為能力者を保護する制度が、詐術によって取引の安全を害した場合にまで及ぶわけではない、という21条の趣旨とあわせて押さえておきましょう。


問15 代理行為の要件・効果と顕名

Aは、自己が所有する土地の売却についてBに代理権を与えた。代理行為の要件・効果(民法99条・100条)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 代理人Bがその権限内において本人Aのためにすることを示してした意思表示は、いったんBに帰属した後、BからAに移転する。
  2. 代理人Bがその権限内において本人Aのためにすることを示してした意思表示は、本人Aに対して直接にその効力を生ずる。
  3. 代理人Bが本人Aのためにすることを示さないでした意思表示は、相手方Cがその事情を知っていたかどうかにかかわらず、B自身のためにしたものとみなされる。
  4. 相手方Cが代理人Bに対してした意思表示についても、99条の規定は適用されない。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。代理行為の効果は、代理人Bを経由することなく、直接本人Aに帰属します(99条1項)。

2が正しい記述です。代理人が権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生じます(99条1項)。

3は誤りです。代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、原則として代理人自身のためにしたものとみなされますが、相手方が代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、本人に対して直接に効力を生じます(100条)。相手方の認識の有無にかかわらず一律に代理人自身のためになるとする点が誤りです。

4は誤りです。99条1項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示についても準用されます(99条2項)。

代理行為の効果は本人に直接帰属し、代理人をいったん経由するものではないという構造(99条)と、顕名がない場合の例外(相手方が悪意又は有過失なら本人に効果帰属・100条ただし書)をセットで押さえておきましょう。


問16 代理行為の瑕疵

代理行為の瑕疵(民法101条)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 意思表示の効力が詐欺によって影響を受けるべき場合、その事実の有無は、本人について決するのが原則である。
  2. 意思表示の効力が錯誤によって影響を受けるべき場合、その事実の有無は、代理人について決する。
  3. 特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときであっても、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができる。
  4. 相手方が代理人に対してした意思表示の効力が、意思表示を受けた者がある事情を知っていたことによって影響を受けるべき場合、その事実の有無は本人について決する。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情の知・不知につき過失があったことによって影響を受けるべき場合、その事実の有無は、本人ではなく代理人について決するのが原則です(101条1項)。

2が正しい記述です。1のとおり、錯誤による影響についても、その事実の有無は代理人について決します(101条1項)。

3は誤りです。特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができません(101条3項)。本人が過失によって知らなかった事情についても同様です。

4は誤りです。相手方が代理人に対してした意思表示についても、その事実の有無は代理人について決します(101条2項)。本人について決するとする点が誤りです。

代理行為の瑕疵は「本人ではなく代理人を基準に判断する」という原則が一貫しており、例外として「代理人が特定の行為を委託されてこれをした場合、本人が知っていた事情を主張できない」という101条3項がある、という構造を押さえておきましょう。


問17 代理人の行為能力と復代理

代理人の行為能力・復代理(民法102条・104条・105条)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 制限行為能力者が代理人としてした行為は、本人がこれを取り消すことができる。
  2. 制限行為能力者が、行為能力者の法定代理人としてした行為は、行為能力の制限を理由に取り消すことができる。
  3. 委任による代理人(任意代理人)は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。
  4. 法定代理人は、やむを得ない事由がある場合を除き、自己の責任で復代理人を選任することができない。

解答・解説

正答は3です。

1は誤りです。制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができません(102条本文)。代理行為の効果は本人に帰属し、代理人自身が制限行為能力者であっても本人に不利益はないためです。

2は誤りです。行為能力の制限を理由に取消しができる例外が認められるのは、制限行為能力者が「他の制限行為能力者」の法定代理人としてした行為に限られます(102条ただし書)。この選択肢は代理される本人を「行為能力者」に置き換えており、この場合には例外は適用されず、1の原則どおり取り消すことができません。

3が正しい記述です。委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができません(104条)。

4は誤りです。法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができ、やむを得ない事由があるときに限られるものではありません。やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負うことになります(105条)。「やむを得ない事由がある場合を除き選任できない」という限定は、法定代理人ではなく任意代理人(104条)の要件です。

任意代理人は「本人の許諾又はやむを得ない事由」がなければ復代理人を選任できないのに対し、法定代理人は自己の責任で自由に選任でき、やむを得ない事由がある場合は選任・監督についての責任のみに軽減される、という非対称性が急所です。制限行為能力者が代理人としてした行為は原則取り消せませんが、「他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為」という限られた場面だけは例外となる点も、あわせて押さえておきましょう。


問18 自己契約・双方代理と代理権の濫用(組み合わせ問題)

代理権の制限に関する次のア〜エの記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

ア 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は代理権を有しない者がした行為とみなされる。

イ 同一の法律行為について、当事者双方の代理人としてした行為は、本人があらかじめ許諾した行為であっても、代理権を有しない者がした行為とみなされる。

ウ 債務の履行として当事者双方の代理人となる行為は、自己契約及び双方代理の禁止の対象とならない。

エ 代理人と本人との利益が相反する行為は、本人があらかじめ許諾していた場合であっても、代理権を有しない者がした行為とみなされる。

  1. アイ
  2. アウ
  3. イエ
  4. ウエ

解答・解説

正答は2です。

アは正しい記述です。代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は代理権を有しない者がした行為とみなされます(107条、代理権の濫用)。

イは誤りです。同一の法律行為について当事者双方の代理人としてした行為は、原則として代理権を有しない者がした行為とみなされますが、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りではありません(108条1項ただし書)。「許諾した行為であっても」みなされるとする点が誤りです。

ウは正しい記述です。債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為は、自己契約及び双方代理の禁止の対象となりません(108条1項ただし書)。

エは誤りです。代理人と本人との利益が相反する行為も、本人があらかじめ許諾した行為については、代理権を有しない者がした行為とはみなされません(108条2項ただし書)。イと同様、ただし書の例外を無視した誤りです。

したがって、正しいものはア・ウであり、正答は2です。107条(代理権の濫用)は代理人の「目的」と相手方の認識を要件とするのに対し、108条(自己契約・双方代理・利益相反)は行為の「類型」そのものを問題にし、いずれも「債務の履行」や「本人の事前許諾」があれば適用が除外される、という構造の違いを押さえておきましょう。


問19 表見代理

表見代理(民法109条・110条)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、第三者がその他人に代理権が与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときであっても、その代理権の範囲内で行われた行為について責任を負う。
  2. 代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときは、権限外の行為の表見代理が成立し得る。
  3. 代理権授与の表示による表見代理は、代理人がその代理権の範囲外の行為をした場合には、いかなる事情があっても成立する余地がない。
  4. 表見代理が成立する場合、無権代理人は、117条による履行又は損害賠償の責任を負う必要がなくなる。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。代理権授与の表示による表見代理は、第三者が、その他人に代理権が与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは成立しません(109条1項ただし書)。

2が正しい記述です。代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときは、権限外の行為の表見代理が成立します(110条)。

3は誤りです。代理権授与の表示をした者は、その代理権の範囲内において他人が行為をしたとすれば責任を負うべき場合において、その他人が代理権の範囲外の行為をしたときであっても、第三者にその行為について代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、責任を負います(109条2項)。「いかなる事情があっても成立する余地がない」とする点が誤りです。

4は誤りです。表見代理が成立する場合、相手方は本人に対して表見代理の主張をするか、無権代理人の責任(117条)を追及するかを選択できるとするのが判例であり、表見代理の成立によって無権代理人の責任が当然になくなるものではありません。

権限外の行為の表見代理(110条)は「基本代理権の存在+第三者の正当な理由(無過失)」が要件であり、代理権授与表示の表見代理(109条)の要件(第三者の善意無過失)と組み合わさって適用される場面(109条2項)もあるという関係を押さえておきましょう。


問20 無権代理人の責任

無権代理人の責任(民法113条・117条)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなくても、当然に本人に対して効力を生ずる。
  2. 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
  3. 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったときは、その者が自己に代理権がないことを知っていた場合を含め、117条の責任を免れる。
  4. 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたときであっても、117条の責任を免れることはできない。

解答・解説

正答は2です。

1は誤りです。代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じません(113条1項)。

2が正しい記述です。他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負います(117条1項)。

3は誤りです。相手方が過失によって代理権がないことを知らなかった場合は117条の責任を免れるのが原則ですが、契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたとき(悪意のとき)は、この限りではなく、責任を免れません(117条2項2号ただし書)。「知っていた場合を含め責任を免れる」とする点が誤りです。

4は誤りです。他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたときは、117条1項の責任を負いません(117条2項3号)。

無権代理人の責任(117条)は、①相手方が代理権のないことについて悪意、②相手方が過失によって知らなかった(ただし無権代理人自身が悪意なら免責されない)、③無権代理人が制限行為能力者であった、という3つの場合に免責されるという構造が急所です。


まとめとDay8への導線

Day7では、権利関係の民法総則から、意思表示(心裡留保・通謀虚偽表示・錯誤・詐欺又は強迫)、制限行為能力(未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人・詐術)、代理(代理行為の要件効果・瑕疵・代理人の行為能力・復代理・自己契約及び双方代理・代理権の濫用・表見代理・無権代理)まで、民法総則の頻出範囲を20問(うち組み合わせ問題3問)で確認しました。権利関係は暗記だけでは得点が伸びにくい分野ですが、条文の要件(誰の善意・悪意か、ただし書の例外はあるか)を一つずつ丁寧に確認する習慣が、そのまま得点力につながると筆者は考えています。

明日のDay8では、宅建業法の広告規制・8種制限①(クーリングオフ・手付金等保全)を扱う予定です。全体の進捗やDay一覧は、宅建 1日20問ドリル|30日で全単元を一巡する予想問題600問から確認できます。


あわせて読みたい

  • #宅建士
  • #予想問題
  • #権利関係
  • #民法
  • #意思表示
  • #代理

参考書籍でさらに学ぶ

※ この欄は書籍のアフィリエイト広告(Amazon・楽天)を含みます。価格・在庫・最新の年度版はリンク先でご確認ください。

  • みんなが欲しかった! 宅建士の教科書

    権利関係・宅建業法・法令上の制限・税その他をフルカラーで整理した定番の入門テキスト。年版更新に注意。

  • わかって合格(うか)る宅建士 基本テキスト

    図解中心で初学者にもわかりやすいと評判の基本テキスト。教科書は1冊に絞って繰り返す使い方が効率的。

  • 宅建士 過去問題集(12年分・分野別)

    過去問演習の定番。35条37条・8種制限など頻出単元から優先して繰り返すのがおすすめ。

→ 建築設備士のおすすめ参考書まとめ

関連記事

基本設計

借地借家法をゼロから整理する|借地の存続期間・更新・建物買取請求権と、借家の対抗要件・正当事由・定期借家

宅建士試験の権利関係で毎年ほぼ確実に出題される借地借家法を、借地(存続期間・更新・建物買取請求権・定期借地権)と借家(対抗要件・更新拒絶の正当事由・造作買取請求権・定期建物賃貸借)に分けて図表で整理する記事です。条文(借地借家法3条・4条・13条・22条〜24条・28条・31条・33条・38条等)に基づくオリジナル演習問題12問付き。

基本設計

宅建 1日20問ドリル Day6|法令上の制限・建築基準法(用途制限・建蔽率容積率・高さ制限)

令和8年度の宅地建物取引士試験を見据えた「1日20問ドリル」Day6。法令上の制限のうち建築基準法を中心に、用途地域の用途制限・建蔽率と容積率・接道義務とセットバック・高さ制限(絶対高さ・道路斜線・隣地斜線・北側斜線)・日影規制・防火地域と準防火地域・建築確認(令和7年4月施行の4号特例縮小を含む)を四肢択一20問(個数問題含む)で確認できる予想問題・解説付き記事です。

基本設計

宅建 1日20問ドリル Day5|法令上の制限・都市計画法(区域区分・用途地域・開発許可)

令和8年度の宅地建物取引士試験を見据えた「1日20問ドリル」Day5。法令上の制限のうち都市計画法を中心に、都市計画区域・区域区分・用途地域・地区計画・開発許可の面積要件と例外を四肢択一20問(個数問題含む)で確認できる予想問題・解説付き記事です。