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基本設計宅建士(宅地建物取引士)

宅建業の免許制度を整理する|欠格要件・更新・案内所の届出

宅建士試験は宅建業法だけで50問中20問(4割)を占め、そのなかでも「免許制度」は最初に学ぶことになる単元です。当サイトでは令和8年度宅建試験(2026年10月18日実施)に向けて、1日20問×30日で全単元を一巡するドリル企画を進めており、Day1のテーマがまさにこの免許制度・欠格要件です。この記事はドリルを解く前に読む「教科書」として、免許の種類・有効期間・更新・免許換え・欠格要件という骨格と、直近の制度変更を整理します。

宅地建物取引業を営もうとする者が事務所の数によって知事免許・大臣免許のどちらを受けるかを判定し、有効期間5年のうちに更新または免許換えを行う流れ、欠格要件に該当すると免許を受けられない関係を示す模式図


早見表|宅建業免許の基本

項目内容根拠条文
免許が必要な行為宅地・建物の売買/交換を自ら行うこと、売買・交換・貸借の代理または媒介を業として行うこと宅建業法2条2号・3条1項
免許権者の区分事務所が1つの都道府県内のみ→都道府県知事免許/2以上の都道府県にまたがる→国土交通大臣免許宅建業法3条1項
免許の有効期間5年宅建業法3条2項
更新の申請時期有効期間満了の日の90日前から30日前までの間宅建業法3条3項・施行規則3条
免許換えが必要な場合事務所の新設・廃止・移転で免許権者(知事⇔大臣、知事⇔別の知事)が変わるとき宅建業法7条
欠格要件に該当する場合免許を受けられない、または既存の免許が取り消される宅建業法5条

この単元でまず押さえておきたいのは、「免許」という言葉が指す対象は法人・個人事業主としての宅地建物取引業者そのものであり、後述する宅地建物取引士の「登録」とは別の手続きだという点です。この違いは次回のテキスト記事(宅建士制度・専任の設置義務)で改めて整理しますが、免許=業者、登録=個人、という対応をここで意識しておくと2つの単元を混同しにくくなります。


知事免許と大臣免許|事務所の数で決まる

免許権者がどちらになるかは、事務所を設置する都道府県の数だけで決まります。1つの都道府県内に事務所が収まっていれば、その都道府県知事の免許を受けます。事務所が2つ以上の都道府県にまたがる場合は、事業規模の大小にかかわらず国土交通大臣の免許が必要になります。「事業規模が大きいから大臣免許」という理解は不正確で、あくまで事務所の所在地の広がり方で判断される点に注意してください。

大臣免許といっても国土交通省の窓口に直接出向くわけではなく、申請書は主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して提出する仕組みになっています。知事免許と大臣免許で免許取得までにかかる期間の目安が異なる(大臣免許のほうが日数を要する傾向にある)という実務上の傾向も、資格学校の解説記事などで紹介されています。


免許換え(7条)|免許権者が変わるときの手続き

事業を続けている間に事務所の新設・移転・廃止があっても、免許権者自体が変わらないのであれば「変更の届出」(9条)で足り、免許換えは不要です。免許換えが必要になるのは、免許権者そのものが切り替わる次の3パターンです。

パターン具体例
大臣免許→知事免許2つの都道府県に事務所があった業者が、一方の事務所を廃止して1都道府県のみになる
知事免許→大臣免許1つの都道府県のみに事務所があった業者が、別の都道府県にも事務所を新設する
知事免許→別の知事免許1つの都道府県のみに事務所があった業者が、事務所を廃止して別の都道府県へ移転する

免許換えによって受けた新しい免許の有効期間は、従前の免許の残存期間を引き継ぐのではなく、あらためて5年からスタートします。「免許換え=新規免許を受け直す手続き」という理解を持っておくと、有効期間の起算点を問う出題にも対応しやすくなります。


欠格要件(5条)|免許を受けられない・取り消される場合

欠格要件は宅建業法5条にまとめて規定されており、Day1ドリルでも個数問題(四肢すべての正誤判断を要求する形式)で狙われやすい単元です。代表的な区分を整理すると次のようになります。

区分内容の考え方
経済的な信用に関するもの破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない者は欠格要件に該当する。復権を得た後は改めて免許を受けられる
刑罰に関するもの拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から一定期間(5年)を経過しない者(令和7年6月1日施行の刑法改正で懲役・禁錮は拘禁刑に統合)
反社会的勢力に関するもの暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員、またはこれに該当しなくなった日から一定期間(5年)を経過しない者
業務上の不正・不誠実に関するもの免許の申請前一定期間内に宅建業に関し不正または著しく不当な行為をした者、免許を取り消され取消しの日から一定期間(5年)を経過しない者
心身の故障に関するものかつては成年被後見人・被保佐人であることそのものが欠格要件とされていたが、現在は「心身の故障により宅地建物取引業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの」に改められている

最後の区分は、令和元年の成年後見制度に関する欠格条項見直しで変更された部分です。「成年被後見人・被保佐人=一律に免許を受けられない」という古い理解のまま覚えていると誤答につながるため、「個々の心身の状態を国土交通省令の基準に照らして判断する」という現行の考え方に置き換えて理解しておく必要があります。欠格要件は数が多く暗記の負担が大きい単元ですが、「誰の何を理由に、いつまで欠格とするのか」という主体・理由・期間の3点をセットで整理すると混同しにくくなります。


令和7年4月1日施行の改正|名簿・標識の記載事項変更

免許制度そのものではありませんが、免許を受けた業者が備え置く宅地建物取引業者名簿・従業者名簿・標識(宅地建物取引業者票)については、令和7年4月1日に施行規則の改正が行われています。直近の実務変更は試験でも狙われやすいため、ここで整理しておきます。

対象改正前改正後
宅地建物取引業者名簿・標識事務所ごとに置かれている専任の宅地建物取引士の氏名を記載専任の宅地建物取引士の氏名の記載は廃止し、専任の宅地建物取引士の数を記載する扱いに変更
標識専任の宅地建物取引士の氏名欄あり事務所の代表者氏名の欄を追加
従業者名簿性別・生年月日を記載事項に含む性別・生年月日の記載は不要に変更

標識についてはさらに、令和7年12月1日以降のサイズ基準(A3判で作成できる大きさ)への変更も行われています。これらは免許そのものの要件ではなく業務上の規制(帳簿・標識・従業者名簿)の単元(Day23)とも関わる論点ですが、名簿の管理主体が免許権者である都道府県・国土交通省であるという点で免許制度の単元とも接続しています。改正の背景には、専任の宅地建物取引士の氏名という個人情報を公衆の見やすい場所に掲示する標識・閲覧対象の名簿に記載し続けることへの見直しがあるとされています。


案内所等の届出(50条2項)|事務所以外で契約を扱う場所

分譲マンションのモデルルームや、現地に設ける案内所のように、事務所以外の場所で契約の締結や申込みの受付を行う場合は、その案内所等について届出が必要です。届出先は免許権者と、案内所等の所在地を管轄する都道府県知事の両方であり、業務を開始する日の10日前までに行う必要があります。この「10日前まで」は起算日を業務開始日の前日から数える「中10日」の考え方で計算するため、日数の数え方を問う出題にも注意が必要です。

案内所等には専任の宅地建物取引士を1名以上置く義務がありますが、この専任の宅地建物取引士の設置義務や宅建士登録そのものの仕組みは、次回のテキスト記事で改めて整理します。


学習の進め方

ステップ内容
1. 免許権者の判定基準を押さえる事務所の数(1都道府県内か、2以上か)だけで知事免許・大臣免許が決まることを理解する
2. 有効期間・更新の数字を覚える有効期間5年、更新申請は満了90日前から30日前までという2つの数字をセットで覚える
3. 免許換えの3パターンを整理する免許権者が変わる場合だけ免許換えが必要になることを、変更の届出(9条)との違いとあわせて理解する
4. 欠格要件を主体・理由・期間で整理する5条の欠格要件を丸暗記せず、誰が・何を理由に・いつまで欠格になるのかで分類する
5. 直近の改正を押さえる令和7年4月1日施行の名簿・標識の記載事項変更など、実務の変更点を確認する

法令の具体的な数値・記載事項は改正によって見直されることがあるため、学習の最終段階では必ずe-Gov法令検索や国土交通省の公表資料で最新の内容を確認してください。


まとめ

  • 宅建業の免許権者は事務所の数(1都道府県内か2以上か)だけで決まり、都道府県知事免許と国土交通大臣免許の2種類がある(3条1項)
  • 免許の有効期間は5年で、満了90日前から30日前までの間に更新申請を行う(3条2項・3項)
  • 事務所の新設・移転・廃止で免許権者が変わるときは免許換え(7条)が必要で、新しい免許は改めて5年からスタートする
  • 欠格要件(5条)は破産・刑罰・反社会的勢力・不正行為・心身の故障など複数の区分から成り、成年被後見人・被保佐人は現在は個別の心身の状態で判断される
  • 令和7年4月1日施行の改正で、宅地建物取引業者名簿・標識・従業者名簿の記載事項が変更されている
  • 案内所等の届出(50条2項)は業務開始日の10日前までに、免許権者と案内所所在地の知事の両方に対して行う

この単元の理解を確認するには、宅建 1日20問ドリル Day1|宅建業法・免許制度 を解いてみてください。ドリル全体の構成は 宅建 1日20問ドリル|30日で全単元を一巡する予想問題600問(令和8年度対応) にまとめています。

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