宅建 1日20問ドリル Day3|宅建業法・営業保証金と弁済業務保証金分担金(予想問題・解説付き)
「1日20問ドリル」は、令和8年度(2026年)の宅地建物取引士試験を見据え、筆者が独自に作成した予想問題を1日20問ずつ、30日で全単元を一巡できるように構成した連載です。Day3となる今回は、宅建業法の中でも毎年必ずといってよいほど出題される営業保証金と、その代替制度である弁済業務保証金分担金(保証協会制度)を取り上げます。
営業保証金と弁済業務保証金分担金は、供託額・供託先・手続の期限がそれぞれ異なるため混同しやすい一方、「どちらの制度でも取引の相手方の債権が保護される」という目的は共通しています。本記事では、両制度の共通点と相違点を意識しながら、供託額・事業開始のタイミング・還付・不足額の供託・保管替え・取戻しという流れに沿って20問を構成しました。
なお、本問題集は筆者(当サイト)が独自に作成した予想問題であり、実際の試験問題の的中や出題を保証するものではありません。法令は令和8年4月1日現在施行されているものを基準に作問していますが、受験にあたっては最新の法令・公式発表を必ずご確認ください。
一連のドリルの全体構成は、ハブ記事「宅建 1日20問ドリル|30日で全単元を一巡する予想問題600問(令和8年度対応)」でまとめています。あわせてご覧ください。
出題テーマと予想の考え方
宅建業法20問のうち、営業保証金・弁済業務保証金分担金の分野は例年1〜2問前後の出題ですが、35条書面・37条書面と並んで制度の仕組みそのものを問う出題が多く、丸暗記よりも「なぜその手続が必要か」を理解しているかどうかで得点が分かれる分野です。本記事の20問は、下表のような配分で構成しました。
| テーマ | 出題頻度 | 対応問番号 |
|---|---|---|
| 営業保証金の供託額・供託方法・事業開始のタイミング | ★★★★★ | 問1・問3・問4 |
| 案内所の扱い | ★★★☆☆ | 問5 |
| 営業保証金の還付・不足額供託・保管替え | ★★★★☆ | 問6・問7・問8・問9 |
| 営業保証金の取戻し | ★★★★☆ | 問10・問11 |
| 弁済業務保証金分担金の額・納付方法・保証協会による供託 | ★★★★★ | 問2・問12・問13・問14 |
| 弁済業務保証金の還付・還付充当金・社員の地位喪失 | ★★★★★ | 問15・問16・問17 |
| 弁済業務保証金の取戻し・準備金制度・両制度の比較 | ★★★☆☆ | 問18・問19・問20 |
個数問題(次のア〜エの記述のうち、正しいものはいくつあるか、という形式)を4問(問4・問9・問14・問19)に混ぜています。個数問題は選択肢を1つだけ読んで消去法で解くことができないため、四肢すべてを丁寧に読む練習として活用してください。
予想問題20問
問1 営業保証金の供託額と供託先
営業保証金に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- 営業保証金の額は、宅建業に係る事務所だけでなく、契約を締結し、又は契約の申込みを受ける権限を有する案内所の数に応じても加算される。
- 宅建業者は事業を開始する前に、主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所につき事務所ごとに500万円を合算した額の営業保証金を供託しなければならない。
- 営業保証金は、宅建業者の主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。
- 営業保証金は金銭のほか、国債証券その他一定の有価証券をもって供託することも認められている。
解答・解説
正答:1
1が誤りです。営業保証金の額の算定基礎となるのは宅建業法上の「事務所」に限られ、契約締結権限を有する案内所は営業保証金の加算対象に含まれません。案内所には専任の宅地建物取引士の設置義務や標識の掲示義務がありますが、営業保証金の額が案内所の数に応じて増えるわけではありません。
2は正しい記述です。営業保証金の額は、主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所につき事務所ごとに500万円を合算した額です(宅地建物取引業法施行令2条の4)。
3は正しい記述です。営業保証金は、宅建業者の主たる事務所の最寄りの供託所にまとめて供託します(宅地建物取引業法25条1項)。
4は正しい記述です。営業保証金は金銭のほか、国債証券その他の一定の有価証券をもって供託することも認められています(宅地建物取引業法25条3項)。
根拠条文:宅地建物取引業法25条1項・3項、宅地建物取引業法施行令2条の4
問2 弁済業務保証金分担金の額と納付先
弁済業務保証金分担金に関する記述として、正しいものはどれか。
- 弁済業務保証金分担金の額は、営業保証金と同じく主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所につき事務所ごとに500万円である。
- 弁済業務保証金分担金の額は、主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円である。
- 保証協会の社員は、弁済業務保証金分担金を国土交通大臣の指定する供託所に直接納付しなければならない。
- 弁済業務保証金分担金の額は、宅建業者の直近事業年度の取引実績に応じて保証協会が個別に算定するものであり、事務所の数とは無関係に定められる。
解答・解説
正答:2
1は誤りです。1,000万円・500万円という金額は営業保証金の供託額であり、弁済業務保証金分担金の額とは異なります。両制度の金額を混同しないよう注意が必要です。
2が正しい記述です。弁済業務保証金分担金の額は、主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円です(宅地建物取引業法施行令7条)。
3は誤りです。弁済業務保証金分担金は保証協会に対して納付するものであり、供託所に直接納付するものではありません。分担金の納付を受けた保証協会が、これに相当する額の弁済業務保証金を供託所に供託します。
4は誤りです。弁済業務保証金分担金の額は、事務所の数に応じて主たる事務所60万円・その他の事務所ごとに30万円という定額で定められており、取引実績によって個別に算定されるものではありません。
根拠条文:宅地建物取引業法64条の9第1項、宅地建物取引業法施行令7条
問3 事業開始のタイミング
営業保証金の供託と事業開始の関係に関する記述として、正しいものはどれか。
- 宅建業者は免許を受けた後、営業保証金を供託する前であっても、供託した旨を届け出る見込みがあれば事業を開始することができる。
- 新たに事務所を設置した場合、その事務所分の営業保証金を供託した旨をその事務所の最寄りの供託所に届け出た後でなければ、その事務所で事業を開始することができない。
- 宅建業者は、営業保証金を供託した旨を免許権者に届け出た後でなければ、事業を開始することができない。
- 事業を開始した後に営業保証金の供託・届出手続を行った場合であっても、免許の効力や監督処分には何ら影響を及ぼさない。
解答・解説
正答:3
1は誤りです。事業を開始できるのは、営業保証金を実際に供託し、かつその旨を届け出た後です。届け出る見込みがあるというだけでは足りません。
2は誤りです。営業保証金を供託した旨の届出先は、供託所ではなく免許権者(国土交通大臣又は都道府県知事)です。届出の相手方を取り違えている点で誤りです。
3が正しい記述です。宅建業者は、営業保証金を供託した旨を免許権者に届け出た後でなければ、事業を開始することができません(宅地建物取引業法25条4項・5項)。
4は誤りです。届出前に無届で事業を開始した場合、監督処分(指示処分・業務停止処分等)の対象となり得るため、免許の効力や監督処分に影響がないとはいえません。
根拠条文:宅地建物取引業法25条4項・5項
問4 届出・催告・免許の取消し
営業保証金の届出と免許の取消しに関する次のア〜エの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア 宅建業者は、免許を受けた日から3か月以内に営業保証金を供託した旨の届出をしないときは、免許権者からその届出をすべき旨の催告を受ける。
イ 催告が到達した日から1か月以内に営業保証金を供託した旨の届出がないときは、免許権者はその免許を取り消すことができる。
ウ 免許を受けた日から3か月以内に営業保証金を供託した旨の届出があったときは、免許権者による催告が行われることはない。
エ 免許の取消しは「取り消すことができる」という免許権者の裁量的な処分であり、催告到達後1か月以内に届出がなかった場合に免許権者が必ず免許を取り消さなければならないと定められているわけではない。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- 四つ
解答・解説
正答:4
アは正しい記述です。免許を受けた日から3か月以内に営業保証金を供託した旨の届出がないときは、免許権者は届出をすべき旨の催告をしなければなりません(宅地建物取引業法25条6項)。
イは正しい記述です。催告が到達した日から1か月以内に届出がないときは、免許権者はその免許を取り消すことができます(宅地建物取引業法25条7項)。
ウは正しい記述です。3か月以内に届出があれば、そもそも催告を行う前提事由(届出がないこと)が生じないため、催告は行われません。
エも正しい記述です。25条7項の文言は「免許を取り消すことができる」であり、免許権者に取消しを義務付ける規定ではありません。催告到達後1か月以内に届出がなかった場合でも、免許権者の判断により取消し以外の対応がとられる余地があります。
したがって、正しいものはア・イ・ウ・エの四つです。
根拠条文:宅地建物取引業法25条6項・7項
問5 案内所の扱い
案内所に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- 案内所は営業保証金の額の算定基礎となる事務所に含まれるため、案内所を設置するごとに500万円の営業保証金を追加で供託しなければならない。
- 契約を締結し、又は契約の申込みを受ける案内所を設置する場合、業務を開始する日の10日前までに、免許権者及び案内所の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
- 契約を締結し、又は契約の申込みを受ける案内所には、原則として1名以上の専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
- 案内所には、業務内容を表示した標識を掲示しなければならない。
解答・解説
正答:1
1が誤りです。営業保証金の額の算定基礎となる「事務所」に案内所は含まれません。案内所をいくつ設置しても、それによって営業保証金の供託額が増えることはありません。
2は正しい記述です。契約を締結し、又は契約の申込みを受ける案内所を設置する場合、業務を開始する日の10日前までに、免許権者及び案内所の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければなりません(宅地建物取引業法50条2項)。
3は正しい記述です。契約を締結し、又は契約の申込みを受ける案内所には、原則として1名以上の専任の宅地建物取引士を置かなければなりません(宅地建物取引業法31条の3)。
4は正しい記述です。案内所には、業務内容を表示した標識を掲示しなければなりません(宅地建物取引業法50条1項)。
案内所は「専任の宅建士の設置」「標識の掲示」「業務開始10日前までの届出」といった義務は課される一方で、営業保証金の対象そのものではないという点が、事務所との最大の違いです。
根拠条文:宅地建物取引業法31条の3、50条1項・2項、宅地建物取引業法施行令2条の4
問6 営業保証金の還付請求権者の範囲
営業保証金の還付に関する記述として、正しいものはどれか。
- 宅建業者Aと宅建業に関し取引をした者は、その者が宅建業者であるか否かにかかわらず、Aが供託した営業保証金から弁済を受ける権利を有する。
- 宅建業者Aと宅建業に関し取引をした者(宅建業者を除く)は、その取引により生じた債権に関し、Aが供託した営業保証金からその弁済を受ける権利を有する。
- 営業保証金からの還付を受けるためには、あらかじめ宅建業者Aの承諾を得なければならない。
- 営業保証金の還付請求は、還付請求権者の住所地を管轄する供託所に対して行うものであり、宅建業者Aの主たる事務所の最寄りの供託所に対して行うものではない。
解答・解説
正答:2
1は誤りです。宅建業に関し取引をした相手方が宅建業者である場合、その宅建業者は還付を受ける権利を有しません。宅建業者同士の取引は、専門知識を持つ者同士の取引として、営業保証金による保護の対象から除かれています。
2が正しい記述です。宅建業者Aと宅建業に関し取引をした者(宅建業者を除く)は、その取引により生じた債権に関し、Aが供託した営業保証金からその弁済を受ける権利を有します(宅地建物取引業法27条1項)。
3は誤りです。還付は法律上の権利であり、宅建業者Aの承諾を得る必要はありません。
4は誤りです。営業保証金の還付請求は、宅建業者Aが供託した供託所、すなわちAの主たる事務所の最寄りの供託所に対して行います。還付請求権者の住所地を基準とするものではありません。
根拠条文:宅地建物取引業法27条1項
問7 営業保証金の還付の限度額
営業保証金の還付の限度額に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- 営業保証金の還付を受けることができる額は、宅建業者が供託した営業保証金の額を限度とする。
- ある宅建業者について生じた還付請求の総額が供託額を超える場合、各還付請求権者は債権額に応じて案分された額の還付を受けるにとどまる。
- 還付を受けた金額の合計が供託した営業保証金の額に達した場合であっても、宅建業者は追加の営業保証金を供託する義務を負わない。
- 営業保証金の還付を受ける権利は、供託されている営業保証金の全体(主たる事務所分・その他の事務所分の合計額)を対象とし、事務所ごとに区分されているものではない。
解答・解説
正答:3
1は正しい記述です。還付を受けることができる額は、宅建業者が供託した営業保証金の額が限度です。
2は正しい記述です。供託額を超える還付請求があった場合、各請求権者は債権額に応じて案分された額の還付を受けるにとどまります。
3が誤りです。還付により営業保証金に不足を生じたときは、宅建業者は免許権者から通知を受けた日から2週間以内に不足額を供託しなければなりません(宅地建物取引業法28条1項)。追加供託の義務がないとする記述は誤りです。
4は正しい記述です。営業保証金は主たる事務所分・その他の事務所分を合算した一体の供託物として扱われ、還付を受ける権利も事務所ごとに区分されているものではありません。
根拠条文:宅地建物取引業法27条2項、28条1項
問8 不足額供託の期限
営業保証金の不足額の供託に関する記述として、正しいものはどれか。
- 営業保証金に不足を生じた場合、宅建業者は免許権者からの通知を待つことなく、不足を知った時点で速やかに不足額を供託しなければならない。
- 不足額の供託をした宅建業者は、供託した日から1か月以内にその旨を免許権者に届け出なければならない。
- 不足額の供託義務は主たる事務所分の営業保証金についてのみ生じ、その他の事務所分の還付による不足については供託義務が生じない。
- 営業保証金に不足を生じた場合、宅建業者は免許権者から通知を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。
解答・解説
正答:4
1は誤りです。不足額の供託義務は、免許権者から不足が生じた旨の通知を受けたことを起点とします。宅建業者が自ら不足に気付いた時点を起点とするものではありません。
2は誤りです。不足額を供託した宅建業者は、供託した日から2週間以内にその旨を免許権者に届け出なければなりません(宅地建物取引業法28条2項)。「1か月以内」ではありません。
3は誤りです。不足額の供託義務は、主たる事務所分・その他の事務所分の区別なく、営業保証金全体について不足が生じた場合に生じます。
4が正しい記述です。営業保証金に不足を生じた場合、宅建業者は免許権者から通知を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければなりません(宅地建物取引業法28条1項)。
根拠条文:宅地建物取引業法28条1項・2項
問9 営業保証金の保管替え
営業保証金の保管替えに関する次のア〜エの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア 主たる事務所を移転した場合、有価証券を含めて供託しているときであっても、金銭のみで供託している場合と同様に、移転後の供託所への保管替えを請求することができる。
イ 保管替えの請求は、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に対して行うものであり、従前の供託所に対して行うものではない。
ウ 営業保証金を金銭のみで供託している宅建業者が主たる事務所を移転し最寄りの供託所が変更した場合、遅滞なく、従前の供託所に対して移転後の供託所への保管替えを請求しなければならない。
エ 保管替えの請求をしてから移転後の供託所への移送が完了するまでの間、当該宅建業者は事業を停止しなければならない。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- 四つ
解答・解説
正答:1
アは誤りです。有価証券を含めて供託している場合は保管替えの請求ができず、遅滞なく移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に営業保証金を新たに供託しなければなりません。
イは誤りです。保管替えの請求は、営業保証金を現に保管している従前の供託所に対して行います。請求先を移転後の供託所とする記述は誤りです。
ウは正しい記述です。金銭のみで供託している場合、主たる事務所の移転により最寄りの供託所が変更したときは、遅滞なく、従前の供託所に対し移転後の供託所への保管替えを請求しなければなりません(宅地建物取引業法29条1項)。
エは誤りです。保管替えの手続中であることを理由に事業を停止しなければならないという規定はありません。
したがって、正しいものはウの一つです。
根拠条文:宅地建物取引業法29条1項
問10 営業保証金の取戻し(原則)
営業保証金の取戻しに関する記述として、正しいものはどれか。
- 営業保証金の取戻し公告に定める期間は、宅建業者が自由に定めることができ、法令上の下限はない。
- 宅建業者が免許の有効期間満了、廃業等により営業保証金を取り戻す場合、原則として還付請求権者に対し、6か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内に申出がなかったときに取り戻すことができる。
- 取戻し事由が発生した場合、宅建業者は公告を行うことなく、直ちに営業保証金の全額を取り戻すことができる。
- 営業保証金の取戻し公告は、宅建業者ではなく免許権者が宅建業者に代わって実施しなければならない。
解答・解説
正答:2
1は誤りです。公告に定める期間は、6か月を下ってはならないという下限が法令上定められています。
2が正しい記述です。営業保証金を取り戻す場合、原則として還付請求権者に対し、6か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内に申出がなかったときに取り戻すことができます(宅地建物取引業法30条2項)。
3は誤りです。原則として公告の手続を経ることが必要であり、公告なしに直ちに取り戻せるわけではありません(例外は問11で扱います)。
4は誤りです。取戻し公告を行うのは、取戻しをしようとする宅建業者自身です。免許権者が代わって行う制度ではありません。
根拠条文:宅地建物取引業法30条2項
問11 営業保証金の取戻し(公告が不要な場合)
営業保証金の取戻しにおいて公告を要しない場合に関する記述として、正しいものはどれか。
- 宅建業者が保証協会の社員となったことにより従前供託していた営業保証金を取り戻す場合であっても、他の取戻し事由の場合と同様に、還付請求権者に対する6か月を下らない期間の公告を要する。
- 保証協会の社員となったことによる営業保証金の取戻しは、社員となった日から10年を経過した後でなければ認められない。
- 宅建業者が保証協会の社員となったことにより営業保証金を取り戻す場合、加入前の取引に係る債権も保証協会の弁済業務保証金による保護の対象に含まれるため、還付請求権者に対する公告を行うことなく営業保証金を取り戻すことができる。
- 取戻し事由が発生した時から10年を経過した場合であっても、還付請求権者に対する公告を行わなければ営業保証金を取り戻すことができない。
解答・解説
正答:3
1は誤りです。保証協会の社員となったことにより営業保証金を取り戻す場合は、公告を要しない例外に当たります。
2は誤りです。10年という期間は、保証協会加入とは別の取戻し事由(取戻し事由発生から10年経過した場合)に関する要件であり、保証協会加入による取戻しの要件ではありません。
3が正しい記述です。保証協会の社員となる前に取引をした者も、社員となった後は弁済業務保証金からの還付によって保護されるため(宅地建物取引業法64条の8第1項)、従前の営業保証金について還付請求権者への公告を行うことなく取り戻すことができます。
4は誤りです。取戻し事由が発生した時から10年を経過したときは、公告を行うことなく営業保証金を取り戻すことができます(宅地建物取引業法30条2項ただし書)。10年経過による取戻し権の消滅時効を踏まえた例外です。
根拠条文:宅地建物取引業法30条2項ただし書、64条の8第1項
問12 弁済業務保証金分担金の納付方法
弁済業務保証金分担金の納付方法に関する記述として、正しいものはどれか。
- 弁済業務保証金分担金は、営業保証金と同様に、金銭のほか国債証券その他の有価証券をもって納付することができる。
- 保証協会が分担金の納付を受けて供託所に供託する弁済業務保証金についても、分担金と同様に金銭による供託以外は認められていない。
- 弁済業務保証金分担金の納付額は、宅建業者が保証協会に加入した時点における直近事業年度の取引実績に応じて、事務所の数とは無関係に個別に算定される。
- 弁済業務保証金分担金は金銭で納付しなければならず、有価証券による納付は認められていない。
解答・解説
正答:4
1は誤りです。有価証券による納付が認められているのは営業保証金の供託についてであり、弁済業務保証金分担金の納付は金銭に限られます。
2は誤りです。保証協会が社員から受け取った分担金相当額を供託所に供託する際の弁済業務保証金は、分担金とは異なり、金銭のほか国債証券その他の一定の有価証券によっても供託することができます。分担金の納付方法(金銭のみ)と保証協会による供託方法(金銭又は有価証券)を混同しないよう注意が必要です。
3は誤りです。分担金の額は、主たる事務所60万円・その他の事務所ごとに30万円という定額であり、取引実績に応じて個別に算定されるものではありません。
4が正しい記述です。弁済業務保証金分担金は金銭で納付しなければならず、有価証券による納付は認められていません(宅地建物取引業法64条の9第1項)。
根拠条文:宅地建物取引業法64条の9第1項
問13 保証協会による弁済業務保証金の供託
保証協会による弁済業務保証金の供託に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- 保証協会は、社員から弁済業務保証金分担金の納付を受けた後、その社員が事業を継続している限り、これに相当する額の弁済業務保証金を供託所に供託する義務を負わない。
- 保証協会は、社員から弁済業務保証金分担金の納付を受けたときは、その日から1週間以内に、これに相当する額の弁済業務保証金を国土交通大臣の指定する供託所に供託しなければならない。
- 保証協会は、弁済業務保証金を供託したときは、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
- 保証協会が供託する弁済業務保証金は、金銭のほか、国債証券その他の一定の有価証券をもって供託することも認められている。
解答・解説
正答:1
1が誤りです。保証協会は、社員から弁済業務保証金分担金の納付を受けたときは、社員の事業継続の有無にかかわらず、その日から1週間以内に、これに相当する額の弁済業務保証金を供託所に供託する義務を負います。
2は正しい記述です。保証協会は、分担金の納付を受けた日から1週間以内に、これに相当する額の弁済業務保証金を国土交通大臣の指定する供託所に供託しなければなりません(宅地建物取引業法64条の7第1項)。
3は正しい記述です。保証協会は、弁済業務保証金を供託したときは、その旨を国土交通大臣に届け出なければなりません(宅地建物取引業法64条の7第2項)。
4は正しい記述です。保証協会が供託する弁済業務保証金は、金銭のほか、国債証券その他の一定の有価証券をもって供託することも認められています。
根拠条文:宅地建物取引業法64条の7第1項・第2項
問14 新設事務所における分担金の納付期限
保証協会の社員が新たに事務所を設置した場合の弁済業務保証金分担金に関する次のア〜エの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア 保証協会の社員である宅建業者が新たに事務所を設置したときは、その日から2週間以内に、当該事務所分の弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければならない。
イ 営業保証金制度の場合と異なり、新設事務所について弁済業務保証金分担金の納付前であっても、その事務所において事業を開始することができる。
ウ 新設事務所に係る弁済業務保証金分担金の額は、事務所の年間売上高に応じて算定されるものであり、事務所ごとに定額で定められているものではない。
エ 新設事務所に係る弁済業務保証金分担金の納付を2週間以内に行わなかった場合であっても、保証協会の社員としての地位や事業継続に何ら影響を及ぼすことはない。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- 四つ
解答・解説
正答:2
アは正しい記述です。保証協会の社員である宅建業者が新たに事務所を設置したときは、その日から2週間以内に、当該事務所分の弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければなりません(宅地建物取引業法64条の9第2項)。
イは正しい記述です。営業保証金制度では、新設事務所分の供託・届出を済ませてからでなければその事務所で事業を開始できないのに対し、弁済業務保証金分担金制度では、事務所設置の日から2週間以内に納付すればよく、納付前であっても事業を開始できる点が大きな違いです。
ウは誤りです。新設事務所分の分担金の額も、他の事務所と同じく事務所ごとに30万円という定額で定められており、売上高に応じて算定されるものではありません。
エは誤りです。分担金の納付は法律上の義務であり、期限内に納付しない場合には保証協会の会則等に基づく措置の対象となり得るため、地位や事業継続に何ら影響がないとはいえません。
したがって、正しいものはア・イの二つです。
根拠条文:宅地建物取引業法64条の9第2項
問15 保証協会加入前の取引に関する還付保護
弁済業務保証金の還付を受けることができる債権の範囲に関する記述として、正しいものはどれか。
- 宅建業者が保証協会の社員となる前に当該宅建業者と取引をした者は、社員となった後の弁済業務保証金からの還付を受ける権利の対象には含まれない。
- 保証協会の社員となる前の取引に関する債権について弁済業務保証金からの還付を受けるためには、あらかじめ保証協会の個別の承認を受けなければならない。
- 保証協会の社員となる前に宅建業者と取引をした者も、当該宅建業者が保証協会の社員となった後は、その社員である宅建業者と取引をしたものとみなされ、弁済業務保証金からの還付を受ける権利の対象となる。
- 保証協会の社員となる前の取引に関する債権については、営業保証金からの還付と弁済業務保証金からの還付の両方を重ねて請求することができる。
解答・解説
正答:3
1は誤りです。加入前の取引に係る債権であっても、保証協会の社員となった後は還付を受ける権利の対象となります。
2は誤りです。個別の承認を要するという規定はなく、加入前の取引に係る債権も当然に保護の対象となります。
3が正しい記述です。保証協会の社員となる前に宅建業者と取引をした者も、その宅建業者が保証協会の社員となった後は、その社員である宅建業者と取引をしたものとみなされ、弁済業務保証金からの還付を受ける権利の対象となります(宅地建物取引業法64条の8第1項)。既存の取引先を保護するための規定で、営業保証金制度にはない弁済業務保証金制度特有の仕組みです。
4は誤りです。ある取引により生じた債権について、営業保証金と弁済業務保証金の両方から重ねて還付を受けることはできません。
根拠条文:宅地建物取引業法64条の8第1項
問16 還付充当金の納付
弁済業務保証金の還付充当金に関する記述として、正しいものはどれか。
- 保証協会の社員は、弁済業務保証金の還付があったことを自ら知った場合、保証協会からの通知を待つことなく、その時点で還付充当金の納付義務を負う。
- 還付充当金の納付期限は、保証協会からの通知を受けた日から1か月以内である。
- 還付充当金の納付を怠った場合であっても、保証協会の社員としての地位には影響を及ぼさない。
- 保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該社員に対し、還付額に相当する還付充当金を納付すべきことを通知し、通知を受けた社員は、その通知を受けた日から2週間以内にこれを納付しなければならない。
解答・解説
正答:4
1は誤りです。還付充当金の納付は、保証協会からの通知を起点として期限が定められており、社員が独自に知った時点を起点とするものではありません。
2は誤りです。還付充当金の納付期限は、通知を受けた日から2週間以内です。「1か月以内」ではありません。
3は誤りです。期限内に還付充当金を納付しないときは、保証協会の社員としての地位を失います(次の問17参照)。
4が正しい記述です。保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該社員に対し、還付額に相当する還付充当金を納付すべきことを通知し、通知を受けた社員は、その通知を受けた日から2週間以内にこれを納付しなければなりません(宅地建物取引業法64条の10第1項・第2項)。
根拠条文:宅地建物取引業法64条の10第1項・第2項
問17 社員の地位を失った場合の措置
保証協会の社員の地位を失った場合の措置に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- 還付充当金を通知された期限内に納付しなかったことにより保証協会の社員としての地位を失った宅建業者は、その後いかなる方法によっても宅建業を継続することができない。
- 通知を受けた日から2週間以内に還付充当金を納付しないときは、保証協会の社員としての地位を失う。
- 保証協会の社員としての地位を失った宅建業者は、その地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託すれば、宅建業を継続することができる。
- 社員としての地位を失ったことに伴い営業保証金を供託する場合、その額は主たる事務所1,000万円・その他の事務所ごとに500万円という通常の営業保証金の算定基準による。
解答・解説
正答:1
1が誤りです。保証協会の社員としての地位を失った宅建業者であっても、地位を失った日から1週間以内に通常の営業保証金を供託すれば、宅建業を継続することができます。地位を失った時点で宅建業の継続が一切できなくなるわけではありません。
2は正しい記述です。還付充当金の通知を受けた日から2週間以内に納付しないときは、保証協会の社員としての地位を失います(宅地建物取引業法64条の10第3項)。
3は正しい記述です。社員の地位を失った宅建業者は、その日から1週間以内に営業保証金を供託すれば、宅建業を継続することができます(宅地建物取引業法64条の15)。
4は正しい記述です。地位喪失後に供託する営業保証金の額は、保証協会に加入していない通常の宅建業者と同じ、主たる事務所1,000万円・その他の事務所ごとに500万円という基準によります。
根拠条文:宅地建物取引業法64条の10第3項、64条の15
問18 弁済業務保証金の取戻し
保証協会による弁済業務保証金の取戻しに関する記述として、正しいものはどれか。
- 保証協会の社員が社員でなくなった場合、保証協会は当該社員であった者に係る弁済業務保証金を取り戻すことなく、保証協会内部で保有し続ける。
- 保証協会は、社員が社員でなくなったときは、その者に係る弁済業務保証金を取り戻すことができ、この場合、あらかじめ還付請求権者に対し6か月を下らない期間を定めて申し出るべき旨を公告しなければならない。
- 保証協会が弁済業務保証金を取り戻す際の還付請求権者への公告は、当該社員であった宅建業者自身が行わなければならない。
- 保証協会は、社員が社員でなくなった日から2週間以内に弁済業務保証金を取り戻さなければ、その権利を失う。
解答・解説
正答:2
1は誤りです。保証協会は、社員が社員でなくなったときは、当該社員であった者に係る弁済業務保証金を取り戻すことができます。取り戻さずに保有し続ける制度ではありません。
2が正しい記述です。保証協会は、社員が社員でなくなったときは、その者に係る弁済業務保証金を取り戻すことができ、この場合、あらかじめ還付請求権者に対し6か月を下らない期間を定めて申し出るべき旨を公告しなければなりません(宅地建物取引業法64条の11)。
3は誤りです。この場合の公告は保証協会が行うものであり、社員であった宅建業者自身が行うものではありません。営業保証金の取戻し公告(宅建業者自身が行う)と主体が異なる点に注意が必要です。
4は誤りです。2週間以内という期間制限は定められていません。
根拠条文:宅地建物取引業法64条の11第1項〜第4項
問19 営業保証金制度と弁済業務保証金分担金制度の比較
営業保証金制度と弁済業務保証金分担金制度の比較に関する次のア〜エの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア 営業保証金の供託額は主たる事務所1,000万円・その他の事務所500万円であるのに対し、弁済業務保証金分担金の額は主たる事務所60万円・その他の事務所30万円であり、後者の方が宅建業者の初期負担は少ない。
イ 営業保証金は金銭のほか有価証券によっても供託できるのに対し、弁済業務保証金分担金は金銭による納付に限られる。
ウ 宅建業者は、営業保証金の供託と弁済業務保証金分担金の納付のいずれについても、双方を組み合わせて一部ずつ履行することが認められている。
エ 保証協会の社員となる前に宅建業者と取引をした者も、その宅建業者が保証協会の社員となった後は、弁済業務保証金からの還付を受ける権利の対象に含まれる。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- 四つ
解答・解説
正答:3
アは正しい記述です。供託額・分担金額の比較のとおり、弁済業務保証金分担金制度を利用する方が初期の金銭的負担は小さくなります。
イは正しい記述です。営業保証金は金銭のほか有価証券によっても供託できますが、弁済業務保証金分担金は金銭による納付に限られます。
ウは誤りです。宅建業者は、営業保証金を自ら供託する方法と、保証協会の社員となって弁済業務保証金分担金を納付する方法のいずれか一方を選択する仕組みであり、両方を組み合わせて一部ずつ履行することは認められていません。
エは正しい記述です。加入前の取引に係る債権も、社員となった後は弁済業務保証金からの還付を受ける権利の対象となります(宅地建物取引業法64条の8第1項)。
したがって、正しいものはア・イ・エの三つです。
根拠条文:宅地建物取引業法25条、64条の8第1項、64条の9第1項
問20 弁済業務保証金準備金と特別弁済業務保証金分担金
弁済業務保証金準備金に関する記述として、正しいものはどれか。
- 保証協会は、還付充当金の納付を受けたときであっても、当該金銭を弁済業務保証金準備金として積み立てることは認められていない。
- 特別弁済業務保証金分担金の納付を求められた社員は、通知を受けた日から2週間以内にこれを納付しなければならない。
- 弁済業務保証金準備金は、保証協会が社員の営業成績に応じて分配する利益積立金であり、還付の原資とは関係のない制度である。
- 保証協会は、還付充当金の納付を受けた金銭等を弁済業務保証金準備金として積み立てなければならず、供託すべき弁済業務保証金にこの準備金を充ててもなお不足するときは、社員に対し、その分担金の額に応じて特別弁済業務保証金分担金を納付すべきことを通知しなければならない。
解答・解説
正答:4
1は誤りです。保証協会は、社員から納付された還付充当金等を弁済業務保証金準備金として積み立てなければなりません。
2は誤りです。特別弁済業務保証金分担金の納付期限は、通知を受けた日から1か月以内です。還付充当金の納付期限(2週間以内)と混同しないよう注意が必要です。
3は誤りです。弁済業務保証金準備金は、還付充当金の未納等に備えて保証協会が積み立てる制度であり、還付の原資が不足した場合の供託に充てられるものです。社員への利益分配とは性格が異なります。
4が正しい記述です。保証協会は、還付充当金の納付を受けた金銭等を弁済業務保証金準備金として積み立てなければならず、供託すべき弁済業務保証金にこの準備金を充ててもなお不足するときは、社員に対し、その分担金の額に応じて特別弁済業務保証金分担金を納付すべきことを通知しなければなりません(宅地建物取引業法64条の12)。通知を受けた社員は、通知を受けた日から1か月以内にこれを納付しなければならず、納付しない場合は社員の地位を失います。
根拠条文:宅地建物取引業法64条の12
まとめ
営業保証金と弁済業務保証金分担金は、「取引の相手方の債権を保護する」という目的こそ共通していますが、供託額・供託方法・届出や納付の期限・還付の仕組み・取戻しの手続まで、細かな部分で相違点が数多くあります。丸暗記に頼るのではなく、「営業保証金はどうか」「弁済業務保証金分担金はどうか」を常にセットで比較しながら整理することが、この分野を得点源にする近道だと筆者は考えています。特に、還付充当金の納付期限(2週間)と特別弁済業務保証金分担金の納付期限(1か月)のように、似た制度で期限の長さが異なる論点は、本試験でも狙われやすいポイントです。
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