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基本設計電気通信資格(電通主任・工事担任者)

電気通信主任技術者・工事担任者 学習ガイド|資格の全体像と選び方

電気通信主任技術者と工事担任者は、どちらも電気通信事業法に基づく国家資格でありながら、名前が似ているために違いが分かりにくいと感じている人は多いのではないでしょうか。筆者は電気通信主任技術者(伝送交換主任技術者・線路主任技術者の両方)と工事担任者を保有しており、実際に受験してみて「先に工事担任者を取ってから電気通信主任技術者に進む方が学習効率が良い」という実感を持っています。

この記事は、これから電気通信主任技術者・工事担任者を目指す人向けに、2つの資格がそれぞれ何を証明する資格なのか、どういう関係でつながっているのか、試験の実施団体や方式はどうなっているのかを整理したハブ記事です。個別の科目対策や勉強法は今後この分野の記事を増やしながら掘り下げていく予定なので、まずはこの記事で全体像をつかんでもらえればと思います。建築設備の仕事全体における通信資格の位置づけについては、当サイトの「資格・キャリア」ページ(/shikaku)もあわせて参照してください。

対象として想定しているのは、通信業界に入りたての人だけではありません。建築設備の仕事をしていて弱電・情報通信設備を担当することになった人、電気工事士や電気主任技術者からのキャリアの広がりとして通信資格に興味を持った人、あるいは工事担任者は持っているが電気通信主任技術者へのステップアップを検討している人など、通信資格に「これから」向き合う幅広い立場を想定しています。制度は法改正でたびたび更新されるため、この記事では制度の骨格と資格同士の関係性を中心に整理し、細かい出題範囲や年度ごとの数値は個別記事や公式情報での確認を前提にしています。


早見まとめ:2つの資格の位置づけ

項目 電気通信主任技術者 工事担任者
根拠法 電気通信事業法 電気通信事業法
実施団体 日本データ通信協会 電気通信国家試験センター 日本データ通信協会 電気通信国家試験センター
資格の性格 電気通信事業者が通信設備の工事・維持・運用を監督させるために選任する技術者資格 端末設備を通信回線に接続する工事を行うための資格
区分 伝送交換主任技術者/線路主任技術者 総合通信/第一級・第二級アナログ通信/第一級・第二級デジタル通信
主な試験科目数 3科目(免除適用で最大2科目) 3科目共通
試験方式 定期試験(年2回程度) 総合通信・第一級は定期試験(年2回)、第二級はCBT方式(通年)

この表はあくまで大枠の整理で、科目名や免除の詳細は年度によって変わることがあります。出願前は必ず日本データ通信協会 電気通信国家試験センター(dekyo.or.jp)の最新情報を確認してください。


電気通信主任技術者とは|伝送交換と線路の違い

電気通信主任技術者は、一定規模以上の電気通信事業者(通信キャリアやデータセンター事業者など)が、通信設備の工事・維持・運用を監督させるために選任することが電気通信事業法で義務づけられている資格です。電気工事における電気主任技術者の「通信版」とイメージすると分かりやすいかもしれません。資格制度そのものをさらに詳しく知りたい場合は、電気通信主任技術者とは?伝送交換・線路の違いと仕事内容 で仕事内容も含めて掘り下げています。

資格は大きく伝送交換主任技術者線路主任技術者の2区分に分かれています。伝送交換主任技術者は交換機・伝送装置・ネットワーク機器など「通信を成立させる装置側」の設備を対象とし、線路主任技術者はケーブル・管路・電柱など「通信を運ぶ線路設備」を対象とします。試験科目自体はどちらも①電気通信システム、②設備及び設備管理、③法規の3科目という構成は共通していますが、②設備及び設備管理の出題内容(伝送交換設備及び設備管理/線路設備及び設備管理)が区分によって異なります。なお、令和3年度第1回試験より前は①〜④の4科目(②専門的能力を含む)構成でしたが、専門的能力科目は廃止され、その内容の一部が②設備及び設備管理に統合されました。伝送交換・線路のどちらを先に取るべきかは、自分の業務や興味が装置側に近いか線路側に近いかで決めるのが自然だと筆者は考えています。各科目の具体的な勉強法は、「電気通信システム」科目の勉強法|過去問中心で攻略する基礎科目「設備及び設備管理」科目の勉強法|伝送交換・線路それぞれの攻略法電気通信主任技術者「法規」科目の勉強法|出題される法令と暗記のコツ でそれぞれ整理しています。

もう少し実務寄りに言い換えると、伝送交換主任技術者は「データセンターや交換局の中にある機器・ネットワークをどう安全に運用するか」という視点、線路主任技術者は「建物と建物、あるいは電柱から建物までをどうケーブルでつなぐか」という視点の資格だとイメージすると分かりやすいと思います。建築設備の仕事で言えば、線路主任技術者側の視点は引き込み管路や構内配線ルートの計画と、伝送交換主任技術者側の視点はMDF・IDFや通信機械室の設計と、それぞれ接点があります。どちらか一方だけを取ればよいというものではなく、扱う設備の中心が装置寄りか線路寄りかで選ぶのが実務的な判断基準になります。


工事担任者とは|資格区分の全体像(令和3年改正後)

工事担任者は、電話回線やインターネット回線などの通信回線に、端末設備(電話機・ルーター・PBXなど)を接続する工事を行うための資格です。令和3年4月1日の工事担任者規則改正で、資格区分が現在の5区分に再編されました。資格制度の詳しい経緯や仕事内容は 工事担任者とは?総合通信・第一級/第二級デジタル通信など資格区分の全体像 で解説しています。

現行区分 旧区分(参考) できる工事の範囲(概要)
総合通信 AI・DD総合種 アナログ・デジタルを問わず、あらゆる回線への端末設備の接続工事
第一級アナログ通信 AI第一種 アナログ伝送路設備への接続工事(回線数の制限なし)
第二級アナログ通信 AI第三種 アナログ伝送路設備への接続工事(小規模なもの)
第一級デジタル通信 DD第一種 デジタル伝送路設備への接続工事(総合デジタル通信用設備を除く)
第二級デジタル通信 DD第三種 デジタル伝送路設備への接続工事(小規模なもの)

改正前に取得した資格者証は、改正後も引き続き有効なまま新区分に読み替えられて使えます。試験科目は区分に関わらず①電気通信技術の基礎、②端末設備の接続のための技術及び理論、③端末設備の接続に関する法規の3科目共通です。区分ごとの違いは出題範囲の深さと対象設備であって、科目立て自体はシンプルという点は、これから挑戦する人にとって覚えておくと見通しが立てやすいポイントだと思います。

ここでいう「端末設備」とは、電話機・スマートフォン・ルーター・PBX(構内交換機)・ファイアウォールなど、通信回線の末端に接続される機器全般を指します。工事担任者の資格は、これらの端末設備を電話局側の回線(伝送路設備)に接続する工事について、技術基準を満たしていることを保証する立場の資格です。オフィスのLAN配線工事やビルへの光回線引き込み工事に関わる場面では、この資格が要求されることが多く、建築設備の現場でも情報通信設備を担当する技術者にとっては実務に直結する資格だと言えます。どの区分を取るべきか迷う場合は、扱う回線がアナログ中心かデジタル中心か、そして将来的にどこまで扱う範囲を広げたいかで判断するとよいと筆者は考えています。総合通信は上位互換にあたるため、長期的に通信インフラ全般を扱っていきたい場合は総合通信を目標に据えるのも一つの選択です。総合通信の3科目(電気通信技術の基礎/端末設備の接続のための技術及び理論/端末設備の接続に関する法規)の出題傾向と学習順序は、工事担任者「総合通信」の勉強法|3科目の出題傾向と学習順序 にまとめています。


2つの資格はどうつながっているか|科目免除の関係

工事担任者と電気通信主任技術者は、別々の資格でありながら科目免除という形でつながっています。工事担任者の総合通信・第一級アナログ通信・第一級デジタル通信のいずれかを保有していると、電気通信主任技術者試験の①電気通信システムが免除され、3科目ではなく2科目の受験で済みます。これに加えて、線路主任技術者と伝送交換主任技術者の相互の資格保有や、実務経験・学歴に応じた科目免除の制度もあります。免除条件は年度によって見直されることがあるため、詳細は日本データ通信協会の免除科目一覧表で確認してください。免除のパターンを工事担任者・実務経験・認定校ルート別に整理した記事として 電気通信主任技術者の科目免除ガイド|工事担任者・実務経験・認定校ルート もあわせて参照してください。

逆方向、つまり電気通信主任技術者を保有している状態で工事担任者を受験する場合にも一部科目が免除される仕組みがあります。筆者自身、電気通信主任技術者に合格した後で工事担任者を受験した際は、免除を活用して技術系の科目に絞って対策した記憶があります。ただし、この免除の対象科目や条件は年度によって見直されることがあるため、受験する年度の最新の免除科目一覧を必ず日本データ通信協会の公式ページで確認してから出願することを強くおすすめします。

どちらから受験するかで迷う場合、筆者は「工事担任者(総合通信や第一級デジタル通信など)を先に取り、その免除を使って電気通信主任技術者に進む」という順番が学習の積み上げとして無理がないと感じています。工事担任者で押さえる基礎知識(伝送理論、接続の技術、関係法令)が、そのまま電気通信主任技術者の土台になるためです。受験順序の考え方をさらに詳しく整理した記事として、工事担任者と電気通信主任技術者、どちらから受けるべきか|受験順序の戦略 も参照してください。


受験の流れ|実施団体・試験方式・頻度

両資格とも実施団体は日本データ通信協会 電気通信国家試験センターで、出願から合否発表までの流れも共通した枠組みで運用されています。

資格・区分 試験方式 頻度の目安
電気通信主任技術者 会場での定期試験 年2回程度(7月ごろ・1月ごろ)
工事担任者:総合通信/第一級アナログ通信/第一級デジタル通信 会場での定期試験 年2回(5月ごろ・11月ごろ)
工事担任者:第二級アナログ通信/第二級デジタル通信 CBT方式(全国のテストセンター) 通年(年末年始を除きほぼ毎日受験可)

第二級の区分はCBT方式のため、自分の都合に合わせて受験日を選びやすいという特徴があります。一方で総合通信・第一級・電気通信主任技術者は年2回の定期試験に限られるため、申込み期間を逃すと半年待つことになる点は注意が必要です。試験日程・申込み期間は年度ごとに更新されるため、受験を決めたら必ず日本データ通信協会の公式サイトで最新の実施回・申込み期間を確認してください。


建築設備の仕事とどう関わるか

建築設備の仕事、特に弱電・情報通信設備の設計や施工管理に関わっていると、電気通信主任技術者や工事担任者の知識が直接役に立つ場面が少なくありません。オフィスビルや商業施設のLAN設備、構内交換(PBX)設備、光ファイバーの引き込みなど、建物内の通信インフラは工事担任者が扱う「端末設備の接続」の延長線上にある領域だからです。建築設備士として建物全体の設計をまとめる立場と、電気通信主任技術者・工事担任者として通信インフラの専門性を持つ立場を両方持っていると、弱電設備の打ち合わせで通信事業者側の視点も踏まえた提案がしやすくなると筆者は感じています。弱電設備全体の分類や、構内交換設備の基礎については、当サイトの関連記事もあわせて参考にしてください。

もう少し具体的に言うと、大規模なオフィスビルやデータセンターでは、竣工後の通信設備の運用体制を検討する際に電気通信主任技術者の選任が必要になるケースがあります。設計・施工の段階からこうした運用要件を見据えておけると、機械室のスペース確保やMDF・IDFの配置計画がスムーズになります。また、通信キャリアや工事会社とのやり取りでは工事担任者の資格区分(総合通信なのか第一級デジタル通信なのかなど)によって対応できる工事範囲が変わるため、発注側としてもこの区分の違いを理解しておくと、依頼内容と資格のミスマッチを避けやすくなります。


よくある誤解

  • 「工事担任者があれば電気通信主任技術者は不要」ではない:工事担任者は端末設備の接続工事を行うための資格、電気通信主任技術者は通信事業者側の設備を監督するための資格で、対象とする業務の立場が異なります。免除でつながってはいますが、目的が別の資格である点に注意してください。
  • 「総合通信を取れば他の区分は覚えなくてよい」わけではない:総合通信は上位互換的な位置づけですが、実務で相手にする工事会社や発注書類では第一級・第二級といった区分名が使われることも多く、資格区分の対応関係は理解しておいた方が実務上混乱しません。
  • 「電気工事士があれば通信工事もできる」わけではない:強電を扱う電気工事士の資格と、通信回線への端末設備接続を扱う工事担任者の資格は、根拠法も対象設備も別物です。弱電・通信の工事には工事担任者の資格が必要になる場面がある点は、電気系の資格から通信分野に興味を持った人が誤解しやすいポイントだと筆者は感じています。

まとめ

  • 電気通信主任技術者は通信事業者の設備を監督する資格で、伝送交換主任技術者と線路主任技術者の2区分がある
  • 工事担任者は端末設備を通信回線に接続する工事の資格で、令和3年の改正により総合通信・第一級/第二級アナログ通信・第一級/第二級デジタル通信の5区分に再編された
  • 工事担任者(総合通信・第一級系)の保有者は電気通信主任技術者の「電気通信システム」科目が免除される
  • 逆方向の免除もあるが、対象科目・条件は年度で変わるため出願前に必ず公式情報で確認する
  • 電気通信主任技術者・工事担任者とも実施団体は日本データ通信協会 電気通信国家試験センターで、試験方式・頻度は区分によって異なる
  • 建築設備、特に弱電・情報通信設備の仕事と親和性が高く、建築設備士とのダブルライセンスとしても活きやすい

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参考書籍でさらに学ぶ

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  • 電気通信主任技術者試験全問題解答集(伝送交換主任技術者・線路主任技術者)

    過去8回分を収録した過去問中心の対策本。年版が変わるので最新版を選ぶこと。

  • これ1冊で最短合格 電気通信主任技術者 要点解説テキスト&問題集[伝送交換主任技術者編]

    電気通信システム・設備及び設備管理・法規の3科目を1冊に集約したテキスト&問題集。

  • 工事担任者 総合通信 実戦問題

    直近5回分の試験問題を収録。科目別の出題傾向分析つき。年版更新に注意。

  • 工事担任者 総合通信 標準テキスト(第2版)

    資格制度改正後の内容に対応した総合通信の標準テキスト。

  • 工事担任者 第一級デジタル通信 精選問題

    過去問を精選して収録。第一級デジタル通信の過去問中心の対策に。

  • 工事担任者 第1級デジタル通信 標準テキスト(第2版)

    第一級デジタル通信の基礎から法規まで押さえる標準テキスト。

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