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基本設計電気通信資格(電通主任・工事担任者)

「電気通信システム」科目の勉強法|過去問中心で攻略する基礎科目

電気通信主任技術者試験の「電気通信システム」は、伝送交換主任技術者・線路主任技術者のどちらを受験する場合でも共通して課される科目で、電気通信全般の基礎理論を問う位置づけになっています。筆者はこの科目を含めて電気通信主任技術者(伝送交換・線路の両方)に合格していますが、当初は出題範囲の広さに戸惑い、テキストを頭から読んでいくやり方ではなかなか得点が伸びなかった記憶があります。

この記事では、電気通信システム科目がどんな範囲を対象にしているか、なぜ過去問中心の学習法が有効だと言われるのか、dB計算やトラヒック理論といった計算問題にどう向き合うか、そして工事担任者や情報処理技術者試験(ネットワークスペシャリストなど)といった関連資格との出題範囲の重なりについて、筆者の理解と経験の範囲で整理します。具体的な出題範囲・配点・合格基準の最新情報は、必ず日本データ通信協会 電気通信国家試験センター(dekyo.or.jp)の受験案内で確認した上で、この記事は学習の進め方を考えるための材料として読んでもらえればと思います。

学習時間の目安についても触れますが、これは受験する人のバックグラウンド(工事担任者や情報処理技術者試験の学習経験があるか、電気・通信系の実務経験があるかなど)によって大きく変わるため、断定的な数字ではなく幅のある考え方として示します。


早見まとめ:電気通信システム科目の位置づけ

項目 内容
科目の位置づけ 伝送交換主任技術者・線路主任技術者で共通の科目(線路主任技術者試験の電気通信システムは伝送交換主任技術者試験と同一内容)
満点・合格点 満点100点、合格点60点以上(電気通信国家試験センター公表情報)
出題範囲の大枠 電気通信の基礎理論(電気回路・論理回路・電子回路等)、伝送、交換、無線、情報ネットワーク、トラヒック理論などが対象とされる
免除の可否 工事担任者の総合通信・第一級アナログ通信・第一級デジタル通信などの上位区分を保有していると免除対象になり得る
学習法の傾向 過去問を繰り返し解き、出題パターンに慣れる進め方が有効とされる
計算問題の代表分野 dB(デシベル)を使った伝送損失・利得の計算、トラヒック理論(呼量・呼損率・アーラン等)

出題範囲の詳細な項目立てや配点の内訳は年度によって表現が変わることがあるため、この表はあくまで学習の見取り図として使い、出願前は必ず公式の受験案内を確認してください。


電気通信システム科目の出題範囲|何が問われるか

電気通信システムは、特定の設備や技術に絞った科目ではなく、電気通信全般を支える基礎理論を横断的に問う科目です。おおまかに言うと、電気回路・論理回路・電子回路といった電気工学の基礎、信号を送る「伝送」の理論、回線をつなぎ替える「交換」の仕組み、電波を使った「無線」の基礎、そしてIPネットワークを中心とした「情報ネットワーク」の知識が対象になります。これに加えて、後述するトラヒック理論のような通信量を扱う数量的な分野も含まれます。

伝送交換主任技術者試験と線路主任技術者試験の両方で、この電気通信システムは同一の内容として扱われています。つまり、伝送交換寄りの実務をしている人にも線路寄りの実務をしている人にも共通して必要な「通信の基礎体力」を測る科目という位置づけだと筆者は理解しています。逆に言えば、②の科目(伝送交換設備及び設備管理、または線路設備及び設備管理)のような専門性の高い分野別知識ではなく、通信工学の基礎をどれだけ体系的に押さえているかが問われる科目です。

出題範囲は広い一方で、1つ1つのテーマの掘り下げはそこまで深くない、という感触を筆者は持っています。深い専門知識よりも「基礎理論を漏れなく押さえているか」を問う性格が強いため、後述するように過去問を通じて出題される分野の顔ぶれを把握してから学習を進める方が効率的だと感じました。


なぜ過去問中心の学習法が有効なのか|出題パターンの傾向

電気通信システムに限らず、電気通信主任技術者試験全体で「過去問を繰り返し解く」学習法が有効だとよく言われます。これは、出題される分野の顔ぶれが年度を経てもある程度一定していて、同じテーマの類似問題が形を変えて繰り返し出題される傾向があるためです。筆者自身も、テキストを通読してから過去問に取りかかるよりも、先に過去問を数年分解いて「よく出るテーマ」と「あまり出ないテーマ」の当たりをつけ、頻出テーマから重点的にテキストで補強する順番の方が手応えを感じました。

出題範囲が広い科目ほど、この「頻出テーマへの絞り込み」の効果は大きくなります。電気通信システムは前述のとおり電気回路から無線工学、情報ネットワークまで幅広い分野を含むため、全範囲を均等な深さで学習しようとすると時間がいくらあっても足りません。過去問を軸にすることで、実際の配点構成に沿った時間配分ができるようになります。

ただし、過去問だけを繰り返して解答パターンを暗記するやり方には限界があります。問題文の数値や条件を変えただけの類似問題が出題された場合は対応できても、視点を変えた出題や複数分野を組み合わせた問題には対応しにくくなるためです。過去問で頻出テーマを把握したら、そのテーマについては解説やテキストで「なぜその答えになるのか」の理屈まで理解しておくことを筆者はおすすめします。過去問演習と基礎理解を往復させる進め方が、結果的に一番遠回りにならないという実感があります。


計算問題の対策|dB計算とトラヒック理論の考え方

電気通信システムの中でも、計算問題は得点源にも失点源にもなりやすい分野です。代表的なものが、dB(デシベル)を使った伝送損失・利得の計算と、トラヒック理論(呼量・呼損率・アーランなど通信量を扱う理論)の計算です。

dB計算は、信号がケーブルや機器を通過する際にどれだけ減衰・増幅するかを、対数を使って足し算・引き算で扱えるようにする考え方です。公式を丸暗記するだけでなく、「dBは比を対数で表したもので、直列に接続した区間の損失・利得は単純に足し引きできる」という原理から理解しておくと、数値が変わった問題にも対応しやすくなります。

トラヒック理論は、電話交換のような通信設備において、どれくらいの通信量(呼量)が発生し、どれくらいの割合の呼が接続できずに失われるか(呼損率)を扱う理論です。アーランという単位や、呼数・呼量・呼損率といった用語の定義を正確に押さえた上で、公式に数値を当てはめる練習を繰り返すのが基本的な対策になります。この分野は独特の用語と考え方に最初は戸惑いやすいですが、パターンの数自体はそれほど多くないため、過去問で出題パターンを一通り経験しておくと本番でも落ち着いて対応しやすいというのが筆者の実感です。

いずれの計算問題も、公式の丸暗記だけに頼ると数値の変え方や問われ方が変わったときに崩れやすい点は共通しています。過去問演習で「どの公式をどの場面で使うか」の判断基準まで身につけておくことが、計算問題を得点源に変える近道だと筆者は考えています。


情報処理技術者試験(ネットワークスペシャリスト等)との出題範囲の重なり

電気通信システムの出題範囲には情報ネットワークに関する分野が含まれるため、経済産業省・IPA(情報処理推進機構)が実施する情報処理技術者試験、特にネットワークスペシャリスト試験と出題範囲が重なる部分があるとよく言われます。TCP/IPを中心としたプロトコルの知識やネットワーク構成に関する考え方は、両方の試験で問われる共通の土台と言えそうです。

ただし、両者は主催団体も試験の狙いも異なる別の資格です。ネットワークスペシャリスト試験はITネットワークの設計・構築・運用に軸足を置いた出題である一方、電気通信システムは電気通信事業法の枠組みの中で通信設備全体を俯瞰する基礎理論という位置づけです。「片方を勉強すればもう片方はノー勉で受かる」というほど範囲が一致しているわけではなく、あくまで基礎知識の一部が重なっている、という捉え方が実態に近いと筆者は考えています。

とはいえ、どちらか一方の学習経験がある人は、電気通信システムのネットワーク分野に関しては比較的とっつきやすく感じるはずです。逆に、電気通信主任技術者を取得した後にネットワークスペシャリストなど情報処理技術者試験に興味を持つ人も一定数いるようで、通信インフラ側の資格とIT側の資格を両輪で押さえておくと、キャリアの選択肢が広がりやすい分野だと感じています。


工事担任者「電気通信技術の基礎」との関係

工事担任者試験の3科目のうち「電気通信技術の基礎」は、電気回路・論理回路・伝送理論などを扱う科目で、電気通信システムと重なる基礎分野が少なくありません。工事担任者の総合通信・第一級アナログ通信・第一級デジタル通信などの上位区分を保有していると、電気通信主任技術者試験の電気通信システムが免除対象になり得ることも、この重なりの大きさを裏づけていると言えそうです(免除の条件・対象区分の詳細は「電気通信主任技術者の科目免除ガイド」で整理しています)。

免除を使わずに電気通信システムを受験する場合でも、工事担任者の「電気通信技術の基礎」で学んだ電気回路・論理回路・伝送理論の知識は、そのまま電気通信システムの土台として活きます。筆者自身、工事担任者を先に取得してから電気通信主任技術者に進んだ際、電気通信システムの範囲の一部にすでに見覚えがある状態で学習を始められたのは大きなアドバンテージだったと感じています。工事担任者と電気通信主任技術者、どちらから受験すべきか迷っている場合は「工事担任者と電気通信主任技術者、どちらから受けるべきか」もあわせて参考にしてください。

なお、工事担任者は端末設備の接続を扱う資格、電気通信主任技術者は通信事業者側の設備を監督する資格と、それぞれの目的は異なります。出題範囲が重なる部分があるからといって「どちらか一方だけで十分」というわけではない点は、両資格の関係を整理した「電気通信主任技術者・工事担任者 学習ガイド」でも触れているとおりです。


学習時間の目安と進め方

学習時間の目安は、受験する人が工事担任者や情報処理技術者試験の学習経験を持っているか、電気・通信系の実務にどれだけ携わっているかによって大きく変わるため、一律の時間数を示すのは実態に合わないと筆者は考えています。工事担任者の学習で電気回路・論理回路・伝送理論の基礎がすでに身についている人であれば、電気通信システムの学習は過去問演習を中心に比較的短期間でまとまる可能性がありますし、通信分野に初めて触れる人であれば、基礎理論の理解にもう少し時間をかける必要が出てくるはずです。

進め方としては、まず過去問を数年分解いて出題分野の傾向をつかみ、頻出テーマ(伝送損失・利得のdB計算、トラヒック理論、情報ネットワークの基礎など)から優先的にテキストで補強していく順番が、遠回りになりにくいと筆者は感じています。すべての分野を均等な深さで学習しようとするより、過去問の出題頻度に応じてメリハリをつけた方が、限られた学習時間を効率的に使えます。

法規・設備及び設備管理と並行して学習する場合は、電気通信システムだけに時間を偏らせすぎないバランスも意識してください。電気通信システムは満点100点に対して合格点60点以上とされており、突出した高得点を狙うよりも、頻出分野を確実に押さえて合格ラインを安定して超えることを目標に据える方が、他の科目との時間配分としても現実的だと筆者は考えています。


まとめ

  • 電気通信システムは伝送交換主任技術者・線路主任技術者で共通の科目で、電気回路・伝送・交換・無線・情報ネットワークなど電気通信の基礎理論を横断的に問う
  • 満点100点・合格点60点以上とされており、頻出テーマを確実に押さえて合格ラインを安定して超えることを目指すのが現実的
  • 出題分野の顔ぶれが年度を経ても一定している傾向があるため、過去問中心の学習で頻出テーマを把握してからテキストで補強する進め方が効率的
  • 計算問題ではdB計算とトラヒック理論が代表的な頻出分野で、公式の丸暗記より原理からの理解が応用力につながる
  • ネットワークスペシャリストなど情報処理技術者試験とは情報ネットワーク分野で重なりがあるが、範囲が一致するわけではなく別資格として捉えるのが実態に近い
  • 工事担任者「電気通信技術の基礎」と重なる基礎分野が多く、工事担任者を先に取得しておくと電気通信システムの学習土台になりやすい
  • 学習時間の目安は受験者のバックグラウンドで大きく変わるため、一律の時間数ではなく自分の経験に応じて調整する

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