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基本設計電気通信資格(電通主任・工事担任者)

「設備及び設備管理」科目の勉強法|伝送交換・線路それぞれの攻略法

電気通信主任技術者試験の3科目のうち、受験者が最も対策に時間を取られるのが「設備及び設備管理」だと筆者は感じています。試験時間は150分と3科目中最長で、出題範囲も伝送・交換・無線・通信電力・サーバ設備からIPネットワーク、あるいは通信線路・水底線路・通信土木まで、装置寄りか線路寄りかで大きく色合いが変わります。名前だけを見ると地味な科目ですが、実際に過去問を開くと守備範囲の広さに面食らう人は多いのではないでしょうか。

この科目は、令和3年度の制度改正で旧「専門的能力」科目(伝送交換は伝送・交換・無線・データ通信・通信電力の5分野、線路は通信線路・水底線路・通信土木の3分野の中から1分野を選択する方式でした)が廃止され、その内容の一部が「設備及び設備管理」に吸収統合されたという経緯があります。つまり現在この科目を受ける人は、以前なら別科目として選択式だった専門分野の知識も、統合後の1科目の中でまとめて問われる立場にあるということです。範囲が広がった分、闇雲に手を広げるより「どこにどれだけ時間を配分するか」を先に決めてから学習を始めた方が効率がよいというのが、筆者が伝送交換主任技術者・線路主任技術者の両方を取得した実感です。

この記事では、現行の「伝送交換設備及び設備管理」「線路設備及び設備管理」それぞれの出題範囲がどう広がったのか、伝送交換と線路のどちらを選ぶかの考え方、分野別の学習戦略、過去問と参考書の使い方、そして出題の新旧傾向までを整理します。資格全体の位置づけについては当サイトのハブ記事「電気通信主任技術者・工事担任者 学習ガイド」、伝送交換・線路の違いそのものについては「電気通信主任技術者とは?」もあわせて参照してください。


早見まとめ

項目 内容
科目名 伝送交換主任技術者:伝送交換設備及び設備管理/線路主任技術者:線路設備及び設備管理
出題形式 マークシート方式、大問8〜9問構成で計60問
試験時間 150分(3科目中もっとも長い)
満点・合格点の目安 満点150点、合格点は目安として90点以上(年度により補正あり)
沿革 令和3年度改正で旧「専門的能力」科目(伝送交換5分野・線路3分野から選択)を統合、範囲が拡大
伝送交換の主な柱 伝送設備、交換設備、無線設備、通信電力設備、サーバ設備、IPネットワーク、設備管理・施工管理・維持運用、セキュリティ管理、ソフトウェア管理
線路の主な柱 通信線路、水底線路、通信土木、設備管理・施工管理・維持運用、セキュリティ管理

科目名・満点・合格点の運用は年度によって細部が変わることがあります。出願前は必ず日本データ通信協会 電気通信国家試験センター(dekyo.or.jp)の最新の受験案内・出題範囲一覧で確認してください。


「設備及び設備管理」科目とは|旧専門的能力科目の統合でどう変わったか

現行の電気通信主任技術者試験は、①電気通信システム、②設備及び設備管理(伝送交換主任技術者は「伝送交換設備及び設備管理」、線路主任技術者は「線路設備及び設備管理」)、③法規の3科目構成です。このうち②の「設備及び設備管理」は、令和3年度第1回試験より前は存在していた「専門的能力」という別科目(伝送交換は伝送・交換・無線・データ通信・通信電力の5つの専門分野から1つ、線路は通信線路・水底線路・通信土木の3つの専門分野から1つを選んで受験する方式でした)が廃止され、その内容の一部がこの科目に統合されたという経緯を持っています。

制度改正前を知らない人からすると「もともとこういう科目だった」と思うかもしれませんが、実際には以前は選択制だった専門分野の知識が、統合後は選択の余地なく1科目の中に含まれる形になったという変化です。日本データ通信協会が公開している出題範囲表を見ると、伝送交換設備及び設備管理は伝送設備・交換設備・無線設備・通信電力設備・サーバ設備・IPネットワークという幅広い技術分野に加え、設備管理・施工管理・維持運用管理・セキュリティ管理・ソフトウェア管理までを含む構成になっています。線路設備及び設備管理も同様に、通信線路・水底線路・通信土木という3本柱に加え、設備管理・施工管理・維持運用・セキュリティ管理が含まれます。

出題数・試験時間についても、この科目は他の2科目より重い設計になっています。マークシート方式の大問が8〜9問、解答数の合計は60問という構成で、試験時間は150分と3科目の中で最も長く割り当てられています。満点は150点で、合格点は目安として90点以上とされていますが、年度ごとの難易度差を補正する仕組みもあるため、正確な合格基準は受験する年度の公式発表で必ず確認してください。試験時間の長さと出題数の多さは、範囲の広さをそのまま反映していると考えてよいと思います。


伝送交換と線路、どちらを選ぶか|仕事内容・得意分野からの判断

電気通信主任技術者を初めて受験する人にとって、伝送交換主任技術者と線路主任技術者のどちらを選ぶかは最初の関門です。「設備及び設備管理」科目の内容がそのまま日々の実務や得意分野と重なっているかどうかで、学習の負担感はかなり変わってくると筆者は感じています。

判断の軸としては、次のように考えるとイメージしやすいはずです。

判断材料 伝送交換主任技術者が向いているケース 線路主任技術者が向いているケース
日々の業務 交換局・データセンター内の装置、サーバ、ネットワーク機器を扱う ケーブルの敷設・接続、管路・とう道などの土木構造物を扱う
得意分野 IT・ネットワーク、ソフトウェア、無線通信の知識に抵抗が少ない 土木・建設分野の知識、ケーブルの物理的な特性に抵抗が少ない
建築設備との接点 通信機械室・MDF/IDFの計画、サーバルームの設計に関心がある 引き込み管路、構内配線ルート、外構部の設計に関心がある
学習の入りやすさ IPネットワークや情報セキュリティなどIT系資格の知識が流用しやすい 電気工事・土木施工管理など現場系資格の知識が流用しやすい

筆者自身は建築設備の仕事を通じて機械室やケーブルルートの両方に触れる機会があったため、最終的に両方を取得しましたが、最初の1つを選ぶ段階では「自分が普段どちらの設備に近い場所で仕事をしているか」を素直に判断材料にするのがよいと思います。装置・ソフトウェア寄りの実務が多い人は伝送交換、ケーブル・構造物寄りの実務が多い人は線路を軸に据え、余力があれば後からもう一方に手を広げるという進め方が、学習の重複を最小限にしながら無理なく進められる順番だと感じています。

どちらか一方を選んだからといって、もう一方の知識が全く不要になるわけではありません。伝送交換設備及び設備管理にも通信電力設備やデータセンターの建築物に関する項目が含まれますし、線路設備及び設備管理にも設備管理・施工管理・セキュリティ管理という共通性の高い分野が含まれています。「どちらを主軸にするか」を決めた上で、共通する管理系の分野は両方に効いてくるという理解を持っておくと、学習の優先順位がつけやすくなります。


伝送交換設備及び設備管理の学習戦略

伝送交換設備及び設備管理は、内容を大きく「伝送設備」「交換設備」「無線設備」「通信電力設備」「サーバ設備」「IPネットワークの基本技術・TCP/IPプロトコル技術」という技術系の柱と、「設備管理」「施工管理」「維持・運用管理」「セキュリティ管理」「ソフトウェア管理」という管理系の柱に分けて捉えると学習計画が立てやすくなります。

技術系の柱では、有線伝送技術(光伝送・デジタル伝送・アナログ伝送)と伝送ネットワーク技術(光ネットワーク・メタリックアクセス・CATVアクセス)が伝送設備の中心、移動通信網設備・IP電話設備・デジタル交換設備が交換設備の中心です。無線設備は電波伝搬や無線送受信装置、衛星回線、移動通信設備までを含みます。これらは工事担任者や情報処理技術者試験(特にネットワークスペシャリスト試験)と重なる部分もあるため、すでにIT系の資格・実務経験がある人は導入のハードルが下がりやすい分野だと感じます。逆にこの分野に馴染みが薄い場合は、通信ケーブルの種類や伝送方式といった基礎用語から丁寧に押さえた方が、後半のIPネットワーク分野の理解もスムーズになります。

管理系の柱は、設備管理の概要・通信品質、施工計画・工程管理・品質管理・安全管理、維持・運用・保全・安全信頼性対策・災害対策、セキュリティ管理(サイバー攻撃・サイバーセキュリティ管理・セキュリティ対策)、そしてソフトウェア開発・導入・維持運用のプロセスまでを含みます。技術系の柱に比べて「暗記して得点しやすい」性質の分野が多く、PDCAサイクルや品質管理の考え方など、他の資格試験でも見覚えのある概念が出てくることも少なくありません。技術系の柱に学習時間を取られがちですが、管理系の柱は得点効率がよいことが多いため、後回しにしすぎないよう意識するとよいと思います。


線路設備及び設備管理の学習戦略

線路設備及び設備管理は、「通信線路」「水底線路」「通信土木」という3本柱に、伝送交換と共通性の高い「設備管理」「施工管理」「維持・運用」「セキュリティ管理」が加わる構成です。

通信線路は、アクセス系・中継系の線路伝送技術、光伝送技術、通信ケーブルの種類・特性・敷設・接続方法、架空線路構造物、そして線路設計(光ファイバーケーブル設計、HFC設計、メタリックケーブル設計、架空構造物の設計)までを含みます。線路主任技術者の学習の中心はこの分野になることが多く、光ファイバーケーブルとメタリックケーブルそれぞれの特性・施工方法の違いを押さえておくことが土台になります。水底線路は、海底に敷設される光ファイバーケーブルの中継伝送技術・敷設技術・保守技術・設計を扱う分野で、日常の建築設備業務ではあまり接点がない領域ですが、出題範囲としては独立した柱になっているため、基本用語だけでも確実に押さえておく必要があります。通信土木は、通信管路・マンホール・ハンドホール・とう道といった構造物の種類・特性・保守技術・設計・建設工法を扱う分野で、建築・土木分野の実務経験がある人にとっては比較的イメージしやすい内容だと思います。

管理系の柱(設備管理・施工計画・工程管理・品質管理・安全管理・維持運用・保全・災害対策・セキュリティ管理)は、伝送交換設備及び設備管理とほぼ同じ枠組みで出題されます。両方の主任技術者資格を目指す場合、この管理系の学習内容は共通して使える部分が多いため、先にどちらか一方でしっかり理解しておけば、もう一方の受験時の負担を軽くできるという利点があります。筆者が両方を取得する中で感じたのは、技術系の柱は伝送交換と線路で別物として学び直す必要がある一方、管理系の柱は共通言語として使い回せる、という感覚です。


過去問と参考書の使い方|出題の新旧傾向を踏まえて

この科目の対策で軸になるのは、やはり過去問の反復です。範囲が広いだけに、参考書を通読してから過去問に取り組むという順番よりも、まず直近数回分の過去問に目を通して「どの分野が繰り返し問われているか」の感覚をつかみ、そこから参考書で知識を補強するという進め方の方が効率的だと筆者は考えています。過去問は日本データ通信協会の公式サイトで無料公開されているため、まずはそちらで出題形式・難易度感を確認するのがよいスタートです。

参考書を選ぶ際は、版年・改訂年に注意することを強くおすすめします。この分野は技術の入れ替わりが速く、古い版のテキストでは近年重視されている項目(後述するIP系・光系の技術など)が薄い、あるいは掲載されていないことがあります。筆者が過去に参考書を見比べた際も、版によってページ数や章構成、収録されている技術項目にかなりの差があるという経験をしました。書店やオンラインストアで購入する際は、発行年・版数を確認し、できるだけ新しい版を選ぶことが遠回りを避けるコツです。特にこの科目は令和3年度の制度改正で範囲が広がっているため、改正前の版のテキストでは統合された旧専門的能力分野の内容が反映されていない可能性がある点にも注意してください。

学習の型としては、①過去問を解いて出題傾向と自分の弱点分野を把握する、②弱点分野を参考書やスキル標準の該当項目で補強する、③再度過去問(できれば直近5回分程度)を解いて定着度を確認する、というサイクルを回すのが基本になります。管理系の分野は暗記で対応しやすいため直前期にまとめて詰め込む、技術系の分野は理解に時間がかかるため早い段階から継続的に触れておく、というように分野の性質に応じてサイクルの回し方を変えるとよいと思います。


出題の新旧傾向|IP化・光化でどこが厚くなっているか

技術の進歩に伴って、この科目の出題範囲の「重心」も徐々に移り変わっています。出題範囲表を見る限り、伝送交換設備及び設備管理ではIPネットワークの基本技術・TCP/IPプロトコル技術・仮想化技術・データセンター・IP電話設備といったIP系・仮想化系の項目が独立した区分として設けられており、線路設備及び設備管理でも光伝送技術・光ファイバーケーブルの設計・光伝送システムといった光系の技術が線路分野の中心的な位置を占めています。かつてアナログ伝送やメタリックケーブルが中心だった時代の参考書と比べると、この比重の変化は明確です。

これは実際の通信インフラの進化を反映した自然な流れで、通信キャリアの基幹網・アクセス網の光化、企業ネットワークやデータセンターのIP化・仮想化・クラウド化が進んだことに合わせて、試験の出題範囲もその実態を追いかける形で更新されてきたと理解しておくとよいと思います。逆に言えば、旧来のアナログ伝送やメタリックケーブルの基礎知識が不要になったわけではなく、土台としてのアナログ・メタリック技術の理解の上に、IP系・光系の応用知識が積み上がっているという構造で捉えるのが実情に近いはずです。参考書やスキル標準を確認する際は、基礎技術の章を飛ばさず、その上でIP系・光系の項目にどれだけページが割かれているかを一つの新しさの目安にするとよいでしょう。

セキュリティ管理の分野についても、サイバー攻撃・サイバーセキュリティ管理・サイバーセキュリティ対策という区分が伝送交換・線路の両方に共通して設けられており、暗号化技術や認証技術、不正アクセス対策といった項目が明確に位置づけられています。これも通信インフラを取り巻く脅威の変化を反映した比較的新しい重点分野といえるため、旧い参考書ほど手薄になりやすい部分だという認識を持っておくとよいと思います。


学習時間の目安

学習時間はすでに持っている知識・実務経験によって大きく変わるため、一律の時間数を断定することは避けたいと思いますが、目安としての幅は次のように捉えておくと計画が立てやすいはずです。

前提となる背景 「設備及び設備管理」科目にかける学習時間の目安
工事担任者や情報処理技術者試験など関連資格の学習経験があり、実務でも近い分野を扱っている 数十時間〜100時間程度
通信・IT分野の実務経験はあるが、この科目特有の管理系・法令系の知識は初めて 100時間前後〜150時間程度
通信分野が実質的に未経験で、基礎用語から学ぶ必要がある 150時間以上を見ておくのが安全

この科目は範囲が広く試験時間も長いため、他の2科目(電気通信システム・法規)に比べて学習時間の配分を厚めに取る受験者が多い印象があります。全体の学習計画を立てる際は、「設備及び設備管理」に最も多くの時間を割り当て、残りを電気通信システム・法規に振り分けるという配分を基本形にしておくと、範囲の広さに振り回されにくくなると筆者は考えています。あくまで目安であり、実際に過去問を数回分解いてみて自分の得点感覚とかかる時間を測った上で、計画を調整していくことをおすすめします。


よくある誤解

  • 「専門的能力科目がなくなったから範囲が狭くなった」わけではない:科目名がなくなっただけで、その内容の一部は「設備及び設備管理」の中に統合されています。以前は選択式だった専門分野の知識も、現在は選択の余地なく学習対象に含まれるため、実質的には範囲が広がったと捉えるのが正確です。
  • 「伝送交換と線路で管理系の分野もまったく別物」ではない:設備管理・施工管理・維持運用・セキュリティ管理といった管理系の柱は、伝送交換・線路の両方でほぼ共通の枠組みが使われています。技術系の分野ほど区分ごとの差はない点は、学習計画を立てる上で押さえておくと効率化しやすいポイントです。
  • 「古い参考書でも過去問さえ解ければ十分」とは限らない:制度改正でIP系・光系・セキュリティ管理といった分野の比重が増えているため、版年の古いテキストでは近年の出題傾向を十分カバーできていないことがあります。過去問と参考書は、できるだけ新しい版のもので組み合わせるようにしてください。

まとめ

  • 「設備及び設備管理」は伝送交換主任技術者・線路主任技術者どちらも受験する科目で、150分・60問という3科目中最も重い構成
  • 令和3年度改正で旧「専門的能力」科目が廃止され、その内容の一部が「設備及び設備管理」に統合された結果、実質的に出題範囲が広がっている
  • 伝送交換は装置・ソフトウェア寄り、線路はケーブル・構造物寄りの内容で、自分の実務や得意分野に近い方を軸に選ぶのが無理のない進め方
  • 伝送交換は伝送・交換・無線・通信電力・サーバ設備・IPネットワーク、線路は通信線路・水底線路・通信土木が技術系の中心的な柱
  • 管理系の分野(設備管理・施工管理・維持運用・セキュリティ管理)は伝送交換・線路で共通性が高く、得点効率もよい
  • IP化・光化・セキュリティ強化という技術トレンドを反映して出題の重心が動いているため、参考書は版年に注意して選ぶ

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