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基本設計電気通信資格(電通主任・工事担任者)

工事担任者「総合通信」の勉強法|3科目の出題傾向と学習順序

工事担任者「総合通信」の試験は、電気通信技術の基礎、端末設備の接続のための技術及び理論、端末設備の接続に関する法規という3科目で構成されています。工事担任者の5区分の中で最上位に位置づけられる区分だけあって、アナログ・デジタルの両方の伝送路設備を対象とする分、出題範囲も他区分より広く感じられると思います。筆者は電気通信主任技術者を先に取得した状態で総合通信(当時の資格区分名ではAI・DD総合種)を受験した経験があり、免除の関係で技術系の科目を中心に対策した記憶があります。この記事では、そのときの学習の進め方も踏まえながら、3科目それぞれの出題傾向、科目合格制度の仕組み、学習順序の考え方を整理します。

想定している読者は、これから総合通信に挑戦しようとしている人、第一級アナログ通信・第一級デジタル通信から総合通信へのステップアップを検討している人、あるいは電気通信主任技術者を見据えて総合通信を「足がかり」として位置づけたい人です。総合通信は範囲が広い分、闇雲に全部を均等に勉強しようとすると時間がいくらあっても足りなくなるので、科目ごとの性格の違いを理解した上で優先順位をつけることが大事だと筆者は考えています。資格区分そのものの全体像や、総合通信を含む5区分の違いについては「工事担任者とは?」の記事で扱っているので、区分の位置づけがまだ曖昧な場合は先にそちらを読んでおくと、この記事の内容がつながりやすいと思います。


早見まとめ:総合通信3科目の出題傾向

科目 主な出題分野 性格
①電気通信技術の基礎 電気回路・電子回路・論理回路・伝送理論・伝送技術 計算問題中心。他区分と共通する土台の科目
②端末設備の接続のための技術及び理論 端末設備の技術(I・II)、総合デジタル通信の技術、ネットワークの技術、トラヒック理論等、情報セキュリティの技術、接続工事の技術(I〜IV)及び施工管理 3科目の中で出題範囲が最も広い。実務寄りの知識問題が多い
③端末設備の接続に関する法規 電気通信事業法、工事担任者規則、認定等規則、有線電気通信法、端末設備等規則(I・II)、有線電気通信設備令、不正アクセス禁止法、電子署名法 条文の趣旨・数値要件を問う問題が中心。過去問の焼き直しが多い

科目合格した科目は、合格した試験が行われた月の翌月の初めから起算して3年間、免除の対象になります(詳細は後述)。出題範囲・科目免除の条件は年度や規則改正で見直されることがあるため、出願前は必ず日本データ通信協会 電気通信国家試験センター(dekyo.or.jp)の最新情報で確認してください。


電気通信技術の基礎|回路と伝送理論が土台になる科目

「電気通信技術の基礎」は、電気回路・電子回路・論理回路・伝送理論・伝送技術という5つの分野から構成される科目です。総合通信に限らず工事担任者のどの区分でも共通して出題される、いわば土台にあたる科目だと言えます。電気系の資格(電気工事士や電気主任技術者)を先に持っている人であれば、電気回路・電子回路の計算問題は比較的取り組みやすく感じるはずです。一方で、論理回路(AND・OR・NOTなどの論理演算、真理値表)や伝送理論(伝送損失、S/N比、標本化定理あたりの考え方)は、電気系の資格だけでは触れてこなかった人もいるため、初めて学ぶ場合はここでつまずきやすい印象があります。

この科目は計算問題の比重が高く、公式を覚えるだけでなく実際に手を動かして計算する練習量がものを言います。逆に言えば、パターンさえつかめば安定して得点しやすい科目でもあります。筆者の感覚では、他の2科目に比べて「センスより演習量」で得点が伸びやすい科目なので、早めに過去問演習に着手して出題パターンに慣れておくと後が楽になります。


端末設備の接続のための技術及び理論|出題範囲が最も広い科目

「端末設備の接続のための技術及び理論」は、3科目の中でもっとも出題範囲が広い科目です。端末設備の技術(I・II)、総合デジタル通信(ISDN)の技術、ネットワークの技術、トラヒック理論等、情報セキュリティの技術、接続工事の技術(I〜IV)及び施工管理と、細かく分けると6つの分野にまたがっています。

範囲が広い理由は、総合通信がアナログ・デジタルの両方の伝送路設備を対象とする区分だからです。第一級アナログ通信・第一級デジタル通信であればそれぞれアナログ系・デジタル系のどちらかに範囲が絞られますが、総合通信はその両方を1つの科目でカバーする必要があります。ネットワークの技術(LAN・ルーティング・IPアドレスなど)、情報セキュリティの技術(不正アクセス対策、暗号化の基礎)といった比較的新しい分野も含まれており、通信インフラの技術トレンドに応じて出題内容がアップデートされていく科目でもあります。

出題範囲が広い分、この科目を「全分野を満遍なく深く理解する」つもりで対策しようとすると学習時間がいくらあっても足りません。筆者の実感としては、過去問で頻出の分野(端末設備の技術、接続工事の技術あたり)に比重を置きつつ、情報セキュリティやトラヒック理論等の出題数が少ない分野は基本的な用語と考え方を押さえる程度に留める、というメリハリのつけ方が現実的だと思います。


端末設備の接続に関する法規|条文の趣旨と数値要件を押さえる

「端末設備の接続に関する法規」は、電気通信事業法、工事担任者規則、認定等規則、有線電気通信法、端末設備等規則(I・II)、有線電気通信設備令、不正アクセス禁止法、電子署名法といった関係法令から出題される科目です。法律の条文をそのまま暗記するというより、「どの設備にどんな技術基準が求められているか」「工事担任者はどこまでの工事を行ってよいか」といった制度の趣旨を理解することが得点につながります。

この科目は過去問の焼き直しに近い出題が多いというのが筆者の印象です。条文の趣旨を一度理解してしまえば、あとは過去問演習で「この条文はこう問われる」というパターンに慣れる学習が効率的です。ただし、有線電気通信設備令や端末設備等規則には技術基準に関わる具体的な数値(絶縁抵抗の基準値など)が登場する箇所もあり、そうした数値問題は暗記が必要になります。数値を丸暗記するだけでなく、「なぜその基準が定められているか」という背景(安全性の確保、他の回線への影響防止など)を意識しておくと記憶に残りやすいと感じています。

法規は改正が入ることもあるため、使用する問題集・テキストは可能な限り最新版を選ぶことが重要です。この点は次の科目合格制度・学習法の章でも触れます。


科目合格制度|合格した科目は3年間免除される

工事担任者試験には、3科目のうち一部の科目だけに合格した場合、その科目を次回以降の試験で免除できる「科目合格」の制度があります。科目合格の有効期間は、科目合格した試験が行われた月の翌月の初めから起算して3年間です。定期試験(総合通信が該当する試験種別)の場合はこの3年以内に実施される最後の試験の申請受付期限まで、CBT方式の試験の場合は有効期間の最終日の30日前までが免除申請の目安になります。

この制度があるため、総合通信のように出題範囲が広い区分では、無理に1回の受験で3科目すべてに合格しようとせず、得意な科目から確実に合格を積み重ねていく戦略も現実的です。たとえば1回目の受験で「電気通信技術の基礎」と「法規」に合格し、「端末設備の接続のための技術及び理論」だけを次回に持ち越す、という進め方であれば、2回目の対策範囲を1科目に絞り込めます。総合通信は年2回の定期試験なので、3年間という猶予があれば複数回のチャンスを使って計画的に合格を積み上げることができます。

なお、電気通信主任技術者や他の工事担任者区分の保有による科目免除(受験前から特定科目が免除される制度)とは別の仕組みである点に注意してください。科目合格による免除は「一度その試験で合格した科目」が対象で、資格保有による免除は「他の資格を持っていることで最初から対象科目が外れる」制度です。両方の免除条件を混同しないよう、出願前には必ず日本データ通信協会の最新の案内で確認することをおすすめします。他資格保有による免除の詳しい関係は、電気通信主任技術者との受験順序を扱った記事でも整理しています。


学習順序の考え方|基礎→技術→法規で積み上げる

3科目をどの順番で学習するかは、それぞれの科目の性格を踏まえると決めやすくなります。筆者がすすめたいのは、①電気通信技術の基礎→②端末設備の接続のための技術及び理論→③端末設備の接続に関する法規、という順番です。

理由は、①で扱う電気回路・伝送理論の基礎知識が、②で登場する端末設備の技術や接続工事の技術を理解する土台になるからです。基礎の計算問題でつまずいたまま②に進んでしまうと、伝送速度や信号のやり取りに関する説明の意味がつかみにくくなります。逆に、①をある程度固めてから②に進むと、技術的な説明の理解が早くなる実感があります。

③の法規は、①②とは性格が異なる暗記寄りの科目です。他の2科目の学習を進めながら並行して法規の過去問にも触れておき、直前期に法規の暗記量を仕上げる、という進め方が時間配分としては現実的だと筆者は考えています。法規だけを最初から最後まで独立してやり切ろうとするより、技術系の科目と並行させて「隙間時間は法規の過去問を1問解く」くらいの位置づけにしておくと、最後まで息切れしにくくなります。


過去問中心の学習法|「実戦問題」型問題集の回し方

学習の中心に据えるべきは、市販されている「実戦問題」型の問題集、つまり直近数回分の本試験問題をそのまま収録し、各設問に解説がついているタイプの問題集だと筆者は考えています。筆者自身、電気通信主任技術者に合格した後で総合通信(当時の区分名)を受験した際は、この形式の問題集を使い、過去5年分をひと通り解くという進め方をしました。

具体的な回し方は次のとおりです。まず問題を解き、正解・不正解に関わらず解説を必ず読みます。解説を読んでも理解できない箇所は、条文や技術用語をネットや辞書的な資料で調べます。調べた内容はノートにまとめておくと、後で見返しやすくなります。分厚い解説中心のテキストを一冊買って最初から通読するより、この「実戦問題を解く→解説で理解する→わからなければ調べる」というサイクルを繰り返す方が、出題形式に早く慣れられて効率が良いというのが筆者の実感です。分厚いテキストは手元に置いておくと安心感はありますが、実際に使う機会は限られることが多く、まずは過去問演習を優先することをおすすめします。

もう一つ意識したいのは、問題集は必ず最新版を使うことです。工事担任者の試験範囲は法改正や技術動向に応じて見直されることがあり、古い版の問題集では正解・解説が現行の制度と食い違っている場合があります。筆者が受験したときも、ある年度の問題集で誤植だった箇所が翌版で修正されており、その修正箇所がちょうど本試験で出題されていたことがありました。数百円〜千円程度の差で最新版を買うかどうかを迷う必要はなく、素直に最新版を選ぶのが安全です。

過去問を5年分ほど繰り返し解くと、頻出分野・頻出のひっかけパターンが見えてきます。特に法規と端末設備の技術分野は過去問の類似問題が多く出る傾向があるため、演習量がそのまま得点力につながりやすい科目だと感じています。


総合通信ならではの範囲の広さ|アナログとデジタルの両方を扱う

総合通信を学習していて他の区分と違うと感じる点は、アナログ系とデジタル系の両方の知識が同時に問われることです。第一級アナログ通信であればアナログ伝送路設備と総合デジタル通信用設備(ISDN)に範囲が絞られ、第一級デジタル通信であればデジタル伝送路設備(ISDNを除く)に絞られますが、総合通信はこの両方をカバーする必要があります。

実務上、光回線やIP系のデジタル技術が主流になっている今、アナログの理論まで含めて学習する必要があるのかと感じる人もいるかもしれません。ただ、既存の建物にはまだアナログ回線や旧来のPBX設備が残っているケースもあり、また試験範囲としてもアナログ系の技術理論(変調・搬送波あたりの考え方)は現在も出題対象に含まれています。範囲が広い分、対策には時間がかかりますが、その分だけ総合通信の資格が示す「対応できる工事の幅」も広く、上位互換の資格としての価値につながっていると筆者は捉えています。

学習量を抑えたい場合は、まず第一級アナログ通信または第一級デジタル通信のどちらかに絞って取得し、実務経験を積みながら総合通信にステップアップする進め方も選択肢としてあります。ただし、最終的にアナログ・デジタルの両方を扱う立場を目指すのであれば、多少遠回りに感じても総合通信を最終目標に据えて学習計画を組む方が、後から範囲を広げ直す手間を省けると考えています。


電気通信主任技術者への足がかりとしての位置づけ

総合通信は、工事担任者の中でも電気通信主任技術者への接続がもっとも強い区分です。総合通信を保有していると、電気通信主任技術者試験の「電気通信システム」科目が免除され、受験科目が3科目から2科目に減ります。総合通信の学習で身につけた電気通信技術の基礎や関係法令の骨格は、そのまま電気通信主任技術者の学習の土台にもなるため、通信インフラを長期的に扱っていきたい人にとって総合通信は「単体の資格」であると同時に「次のステップへの足がかり」でもあると筆者は考えています。

逆に、電気通信主任技術者を先に取得している場合は、総合通信の「電気通信技術の基礎」「端末設備の接続のための技術及び理論」の2科目が免除され、実質的に「法規」1科目に集中して対策すればよい状態になります。筆者自身がこの逆ルートで総合通信を受験しており、免除のおかげで学習負担がかなり軽くなった実感があります。どちらの順番で受験するにしても、総合通信と電気通信主任技術者は科目免除でつながっているという前提を持っておくと、学習計画全体の見通しが立てやすくなります。両資格の受験順序の戦略については「工事担任者と電気通信主任技術者、どちらから受けるべきか」の記事で詳しく整理しているので、あわせて参考にしてください。


よくある誤解

  • 「総合通信は範囲が広いから全分野を均等に勉強しなければならない」わけではない:過去問演習を通じて頻出分野を見極め、出題数の少ない分野は基本用語の理解に留めるといったメリハリをつけた方が、限られた学習時間を効率よく使えます。
  • 「科目合格の免除と資格保有による免除は同じ制度」ではない:科目合格による免除は自分がその試験で合格した科目が対象(3年間有効)、資格保有による免除は他の資格を持っていることで最初から対象科目が外れる制度です。混同すると出願時に免除申請を誤る可能性があるため、出願前に必ず確認してください。
  • 「分厚いテキストを1冊仕上げれば十分」ではない:過去問演習を中心に据え、テキストは分からない箇所を調べる補助として使う方が、出題形式への対応力がつきやすいというのが筆者の実感です。

まとめ

  • 総合通信は電気通信技術の基礎、端末設備の接続のための技術及び理論、端末設備の接続に関する法規の3科目で構成される
  • 電気通信技術の基礎は計算問題中心、端末設備の接続のための技術及び理論は出題範囲が最も広い、法規は条文の趣旨と数値要件を問う科目という性格の違いがある
  • 科目合格は、合格した試験が行われた月の翌月の初めから起算して3年間有効で、複数回に分けて合格を積み上げる戦略も取れる
  • 学習順序は基礎→技術→法規の積み上げが理解しやすく、法規は他科目と並行して過去問に触れておくと直前期の負担が減る
  • 「実戦問題」型の過去問集を中心に、解く→解説で理解する→わからなければ調べるのサイクルを繰り返すのが効率的で、問題集は必ず最新版を選ぶ
  • 総合通信はアナログ・デジタル双方を扱う分範囲は広いが、電気通信主任技術者の科目免除にもつながる足がかりとしての価値がある

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