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基本設計電験三種(第三種電気主任技術者)

電験三種とは|試験日程・科目・合格率・電気設備の実務との関係

電験三種(第三種電気主任技術者試験)という名前は聞いたことがあっても、電気工事士とどう違うのか、何ができるようになる資格なのか、ピンとこない人も多いのではないでしょうか。筆者は電験三種を保有していますが、受験を決める前は自分も「電気の資格の中でどのくらい上位に位置するものなのか」がよく分かっていませんでした。

電験三種は、電気工事を行うための資格ではなく、電気設備を「監督する」立場を証明する資格です。ビルや工場で高圧受電をしている建物には、電気主任技術者の選任が電気事業法で義務づけられており、電験三種はその選任資格の入り口にあたります。建築設備の仕事、特に電気設備の設計・施工管理に関わっていると、この資格を持つ相手(あるいは自分自身がこの資格を取ること)が現場のあちこちで関わってくる場面が出てきます。

この記事では、電験三種がどういう資格なのか、試験の科目構成と科目合格制度の仕組み、令和8年度の試験日程、そして近年の合格率の推移を、資格保有者としての実感を交えながら整理します。個別の科目対策や直前期の勉強法は、今後この分野の記事を増やしながら掘り下げていく予定です。まずは全体像をつかむハブ記事として読んでもらえればと思います。試験が近い時期に読んでいる人は、電験三種 試験直前1ヶ月の追い込み方|科目別優先順位のつけ方 もあわせて参考にしてください。


早見まとめ

項目内容
正式名称第三種電気主任技術者試験
根拠法電気事業法
資格の目的電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5,000kW以上の発電所を除く)の主任技術者になれる資格
実施団体一般財団法人 電気技術者試験センター
試験科目理論・電力・機械・法規の4科目
解答方式五肢択一(CBT方式またはマークシート方式)
試験頻度年2回(上期・下期)
令和8年度上期CBT方式:7月16日~8月9日/筆記方式:8月30日
受験手数料インターネット申込み7,700円(非課税)

日程・手数料は年度ごとに見直されることがあるため、出願前は必ず電気技術者試験センター(shiken.or.jp)の最新の受験案内で確認してください。


電験三種とは|電気主任技術者制度における位置づけ

電験三種は、電気事業法に基づく電気主任技術者資格のうち、電圧5万ボルト未満(出力5,000kW以上の発電所を除く)の事業用電気工作物を対象とする資格です。ビル・工場・商業施設など、高圧または特別高圧で受電している建物には、電気設備の工事・維持・運用を監督する電気主任技術者の選任が義務づけられており、電験三種はその選任資格を得るための最も間口の広い区分にあたります。

電気主任技術者には第一種・第二種・第三種の区分があり、扱える電圧・設備規模が上位区分ほど広がります。第三種は多くの自家用電気工作物(中小規模のビルや工場など)をカバーできるため、実務上もっとも取得者数が多く、電気設備業界での需要が大きい区分です。電気工事士が「実際に配線・接続の作業を行う」資格であるのに対し、電気主任技術者は「その設備が技術基準に適合しているかを監督する」資格である点は、しばしば混同されるポイントなので押さえておきたいところです。電験三種を取得しただけで自動的に主任技術者になれるわけではなく、免状の交付を受けたうえで事業者から選任されて初めて主任技術者としての職務に就くことになります。選任・外部委託の仕組みについては、当サイトの 電気主任技術者の選任と外部委託承認制度の基礎 で詳しく整理しています。


試験科目と科目合格制度

電験三種は、理論・電力・機械・法規の4科目で構成されています。電気技術者試験センターの試験概要によると、それぞれの内容は次のとおりです。

科目内容の目安
理論電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測
電力発電所・蓄電所及び変電所の設計及び運転、送配電線路の設計及び運用、電気材料
機械電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、自動制御、メカトロニクスなど
法規電気法規(保安に関するもの)及び電気施設管理

解答方式は、会場や日時をある程度自分で選べるCBT方式(パソコンで解答)と、指定日にマークシートで解答する筆記方式のいずれかを選択でき、両者の併用はできません。試験は科目ごとに合否が決まり、4科目すべてに合格すると試験合格となります。一部科目のみ合格した場合は「科目合格」となり、最初に合格した試験以降、申請により最大で連続5回まで当該科目の試験が免除されます。年2回実施されるため、実質的には数年かけて4科目を揃えていく受け方も可能な制度です。理論は他の3科目の土台になる内容が多く、筆者自身も理論を軸に学習を組み立てた実感があります。科目ごとの具体的な勉強法は、「理論」の攻略法「電力」の攻略法「機械」の攻略法「法規」の攻略法で個別に掘り下げているので、あわせて参考にしてください。


令和8年度の試験日程

令和8年度の第三種電気主任技術者試験は、上期・下期の年2回実施されます。電気技術者試験センターが公開している実施日程によると、上期試験の日程は次のとおりです。

項目日程
受験申込み受付期間2026年5月18日(月)~6月4日(木)
CBT会場予約期間2026年6月11日(木)~7月12日(日)
CBT方式 試験期間2026年7月16日(木)~8月9日(日)
筆記方式 試験日2026年8月30日(日)
受験手数料インターネット申込み7,700円/書面申込み8,100円(いずれも非課税)

この記事を公開している時点で、上期のCBT方式はまさに実施期間の真っただ中にあり、筆記方式は約1ヶ月後に控えている時期にあたります。下期試験は、申込み受付が2026年11月9日~11月26日、CBT方式が2027年2月4日~2月28日、筆記方式が2027年3月21日という日程で予定されています。年度ごとに日程は変わるため、受験を検討する際は必ず電気技術者試験センター(shiken.or.jp)の最新情報を確認してください。


合格率の推移

電気技術者試験センターが公表している試験結果によると、直近の合格率は次のように推移しています。

年度受験者数合格者数合格率
令和4年度(合計)62,571人7,307人約11.7%
令和5年度(合計)52,735人9,894人約18.8%
令和6年度(合計)49,963人8,181人約16.4%
令和7年度(合計)48,942人6,365人約13.0%

合格率は年度によって10%台前半から後半まで幅があり、単純に「毎年同じ難易度」とは言えない試験です。ただし、この合格率は4科目すべてを一発で揃えた人だけの数値ではなく、科目合格制度によって複数回に分けて合格を積み上げていく受験者も多く含まれています。令和7年度は科目合格者だけでも13,539人おり、4科目一括の合格率だけを見て難易度を判断するのは実態とややずれる面があると筆者は考えています。


よくある誤解

  • 「電験三種があれば電気工事もできる」わけではない:電験三種は設備を監督する立場の資格であり、実際に配線・接続の作業を行うための資格は電気工事士です。監督者としての資格と、施工者としての資格は制度上まったく別物です。
  • 「電験三種に合格すればすぐ主任技術者になれる」わけではない:合格して免状の交付を受けたあと、事業者から実際に選任されて初めて主任技術者としての職務に就きます。免状の保有と選任は別の手続きです。
  • 「4科目を1回で揃えないと意味がない」わけではない:科目合格制度により、最初に合格した科目は最大連続5回まで免除が続きます。年2回の実施機会を使って、数年がかりで合格を積み上げる受け方も十分に現実的な戦略です。

建築設備の実務との接点

建築設備の仕事、特に電気設備の設計・施工管理に携わっていると、電験三種(あるいは電気主任技術者という制度そのもの)と接点を持つ場面が多くあります。高圧受電の建物では、竣工後の運用段階で電気主任技術者の選任方法(自社選任・兼任・外部委託)が論点になりますし、設計段階でも受変電設備の容量や保護協調の考え方は、電験三種の「電力」「機械」科目で問われる知識と重なる部分が少なくありません。受変電設備の基礎については、当サイトの 受変電設備の基礎|キュービクルの構成と単線結線図の読み方 でも整理しています。

筆者自身、電験三種の学習を通じて理論的な裏付けを持てたことで、現場で受変電設備や保護協調の話をする際に、単なる経験則ではなく制度・原理に基づいた説明ができるようになったという実感があります。建築設備士として建物全体の設計をまとめる立場と、電験三種の知識で電気設備の技術的な背景を理解している立場を両方持てると、電気設備の打ち合わせで一歩踏み込んだ提案がしやすくなると感じています。

ただし、電験三種は電気工作物の保安監督のための資格であり、建築設備の設計そのものを直接規定する資格ではありません。実務では「電気設備の技術的な背景を理解するための土台」として活きる場面が多い、という位置づけで捉えておくのが実態に近いと思います。


電験三種は独学でも十分に狙える試験ですが、範囲が広く科目間のつながりも意識する必要があるため、体系的にカリキュラムが組まれた講座を利用して学習効率を上げる選択肢もあります。

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まとめ

  • 電験三種は電気事業法に基づく資格で、電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物の主任技術者になるための資格
  • 電気工事の「作業」を行う資格ではなく、設備を「監督する」立場を証明する資格
  • 試験科目は理論・電力・機械・法規の4科目で、CBT方式または筆記方式を選んで受験する
  • 科目合格制度により、最初の合格から最大連続5回まで当該科目が免除される
  • 令和8年度上期はCBT方式が7月16日~8月9日、筆記方式が8月30日に実施される
  • 合格率は年度により10%台前半から後半まで変動し、科目合格を積み上げる受け方も現実的な選択肢
  • 建築設備の実務、特に電気設備の設計・施工管理と知識面での接点が大きい

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