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基本設計電験三種(第三種電気主任技術者)

電験三種「理論」の攻略法|出題分野マップと勉強の順序

電験三種の4科目の中で、最初に何から手をつけるべきか迷ったら「理論」から始めるのが定石だと筆者は考えています。理論は単独の科目であると同時に、電力・機械の計算問題を解くための土台にもなっているからです。逆に言えば、理論でつまずいたまま電力・機械に進むと、計算問題のところで毎回足止めを食らうことになりかねません。

この記事では、電験三種「理論」科目の出題分野がどう構成されているか、学習をどの順序で進めると効率がよいか、計算力をどう鍛えるか、そして多くの人がつまずく複素数・ベクトルの壁をどう越えるかを整理します。資格全体の位置づけや試験日程は 電験三種とは|試験日程・科目・合格率・電気設備の実務との関係 を、試験直前の追い込み方は 電験三種 試験直前1ヶ月の追い込み方|科目別優先順位のつけ方 をあわせて参照してください。


早見まとめ

項目内容
出題範囲電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測
試験時間90分
配点の目安A問題14問×5点+B問題3問×10点=100点満点
解答方式五肢択一(CBT方式またはマークシート方式)
他科目との関係電力・機械の計算問題の土台になる
学習の軸公式の暗記よりも、手を動かして計算する練習量

配点の内訳・合格基準点は年度によって細部が調整されることがあるため、正確な情報は電気技術者試験センター(shiken.or.jp)で確認してください。


「理論」科目とは|他科目の土台になる位置づけ

電気技術者試験センターの試験概要によると、理論科目の出題範囲は「電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測」に関する事項とされています。試験時間は90分で、A問題14問(各5点)とB問題3問(各10点、選択問題を含む年度もあります)の合計100点満点という構成が長年続いています。

筆者がこの科目を「最優先」と考える理由は、範囲そのものの重要性以上に、電力・機械の両科目で理論の計算手法をそのまま使う場面が多いことにあります。電力科目の電圧降下や短絡容量の計算、機械科目の電動機のすべり・トルク計算は、いずれもオームの法則や交流回路の基本式が土台になっています。理論を後回しにして電力・機械の過去問を解こうとすると、公式は覚えていても「なぜその式が成り立つのか」が分からず、応用問題で崩れやすいというのが筆者の実感です。逆に理論をある程度固めてから電力・機械に進むと、計算過程の見通しが立てやすくなり、学習全体のスピードが上がると感じています。


出題分野マップ|理論科目は何を問われているか

理論科目で扱われる内容は、大きく次のような分野に分けて捉えると全体像がつかみやすくなります。市販テキストの章立てもおおむねこの並びに沿っていることが多いですが、以下はあくまで一般的な分野区分としての整理です。

分野内容の目安位置づけ
直流回路オームの法則、キルヒホッフの法則、合成抵抗、ブリッジ回路全ての土台になる基礎分野
静電気・コンデンサクーロンの法則、電界・電位、コンデンサの合成容量直流回路と並ぶ基礎分野
電磁気・電磁力磁界、電磁力、電磁誘導、インダクタンス交流回路・電動機の理解につながる
交流回路正弦波交流、リアクタンス、インピーダンス、共振回路直流回路の考え方を複素数に拡張した分野
三相交流Y結線・Δ結線、三相電力の計算電力科目の送配電・変電と直結する分野
電子理論ダイオード・トランジスタの基礎、増幅回路、電子理論全般出題比重は他分野よりやや小さいが独立して問われる
電気計測・電子計測指示電気計器の種類、測定誤差、電力・電力量の測定実務にも直結する暗記寄りの分野

分野ごとの出題比重は年度によって変動しますが、直流回路・交流回路・三相交流を中心とした計算問題が科目全体の土台になっている点は例年大きく変わらないというのが、過去問を通して見た筆者の感覚です。


学習の順序|どこから手をつけるか

理論科目は分野同士のつながりが強いため、学習の順序を意識すると遠回りを減らせます。筆者がすすめる大まかな順序は次のとおりです。

  1. 直流回路:オームの法則・キルヒホッフの法則・合成抵抗の計算に習熟する。全分野の土台。
  2. 静電気・コンデンサ、電磁気・電磁力:直流回路で身につけた計算の考え方を、電界・磁界の分野に応用する。
  3. 交流回路:直流回路の考え方を複素数・ベクトルに拡張する。理論科目最大の山場になりやすい。
  4. 三相交流:交流回路の応用として位置づけ、電力科目の送配電・変電の理解にもつなげる。
  5. 電子理論:出題比重は相対的に小さいものの、独立した分野として一定の時間を確保する。
  6. 電気計測・電子計測:暗記要素が強く、直前期にまとめて詰め込んでも間に合いやすい。

この順序どおりに一直線に進める必要はありませんが、「直流回路→交流回路→三相交流」という計算分野の流れを崩さないことが、遠回りを避けるうえで大事だと筆者は考えています。電気計測のような暗記寄りの分野は、計算分野の合間や直前期に差し込む形で学習計画に組み込むとバランスが取りやすくなります。


計算力の鍛え方|公式暗記だけでは伸びない

理論科目でつまずきやすい原因の多くは、公式を覚えているのに使いこなせない、というところにあると筆者は感じています。公式暗記だけでは対応できない理由は、電験三種の計算問題が単一の公式を当てはめるだけでは解けず、複数の公式を組み合わせて答えにたどり着く構成になっていることが多いためです。計算力を鍛えるうえで意識したいポイントは次のとおりです。

  • 導出過程を1回は自分の手で追う:公式を丸暗記するのではなく、なぜその式が成り立つのかを一度は自分で確認しておくと、応用問題での対応力が上がります。
  • 単位を意識して計算する:計算過程で単位が合っているかを確認する癖をつけると、途中式のミスに自分で気づきやすくなります。
  • 有効数字・電卓操作に慣れる:CBT方式・筆記方式どちらも使用できる電卓は四則演算と開平(√)機能のみです。関数電卓に頼らず手計算で処理する練習を積んでおく必要があります。
  • 量をこなして計算スピードを上げる:90分で17問(選択を含む)を解く時間配分を考えると、1問あたりにかけられる時間は限られます。同じような計算パターンを繰り返し解いて、スピードと正確さの両方を鍛える必要があります。

理論科目は「理解していれば解ける」段階から「時間内に正確に解ける」段階まで持っていく必要があるという点で、他の暗記寄りの科目とは鍛え方が異なる科目だと筆者は捉えています。


複素数・ベクトルの壁の越え方

交流回路・三相交流の分野で多くの人がつまずくのが、複素数やベクトルを使った計算です。直流回路までは実数の四則演算で済んでいたところに、突然「虚数」や「位相」という概念が登場するため、ここで学習が止まってしまう人は少なくないと筆者は感じています。

この壁を越えるために筆者が有効だと考えているアプローチは次のとおりです。

  • 複素数を「大きさと向きを持つ数」として図でイメージする:数式だけで理解しようとせず、複素平面上のベクトルとして図を描きながら計算過程を追うと、感覚的につかみやすくなります。
  • インピーダンスの直列・並列合成を、直流回路の抵抗の合成と対応させて覚える:直流回路で身につけた「合成抵抗」の考え方が、交流回路の「合成インピーダンス」にそのまま応用できることを意識すると、新しい概念として身構えすぎずに済みます。
  • 三相交流はまずY結線・Δ結線の基本形を固める:相電圧・線間電圧、相電流・線電流の関係を図で整理してから計算問題に入ると、公式の丸暗記に頼らずに済みます。
  • 簡単な数値例で手を動かす回数を増やす:複雑な過去問にいきなり挑む前に、単純な数値のパターンで計算の型に慣れておくと、本番の応用問題でも落ち着いて対応しやすくなります。

複素数・ベクトルの分野は、一度感覚をつかんでしまえば交流回路・三相交流の両方に効いてくる分野です。ここで時間をかけて基礎を固めておくことが、結果的に電力・機械科目の計算問題にも波及すると筆者は考えています。


過去問との付き合い方

理論科目に限らず電験三種全体に言えることですが、テキストを通読してから過去問に入るより、早い段階で過去問に触れて出題形式・計算の分量感をつかんでおく方が効率的だと筆者は考えています。理論科目は特に、同じ考え方を使う類題が形を変えて繰り返し出題される傾向があるため、過去問を解きながら「この計算パターンはどの分野の応用か」を意識して仕分けていくと、限られた学習時間を有効に使いやすくなります。分からない問題に出会ったら、該当する分野の基礎に立ち返って確認し、再度同じ過去問を解き直すというサイクルを回すのが、遠回りに見えて結果的に近道になることが多いというのが筆者の実感です。


よくある誤解

  • 「理論は暗記科目ではないから公式さえ覚えれば大丈夫」ではない:公式を覚えていても、複数の公式を組み合わせて解く応用問題には対応しきれないことが多く、導出過程の理解と計算練習の両方が必要です。
  • 「電子理論・電気計測は出題比重が小さいから後回しでよい」とは限らない:出題比重は年度によって変動するため、独立した分野として一定の学習時間を確保しておく方が安全です。
  • 「複素数が分かればそれで交流回路は終わり」ではない:複素数の計算そのものに加えて、三相交流の結線方式や電力計算まで一連の流れとして理解しておく必要があります。

理論科目は独学でも十分に対策できますが、複素数・交流回路のあたりで独学がうまく進まないと感じる人もいるかもしれません。体系立てられたカリキュラムで学習の順序ごと任せてしまうという選択肢もあります。

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まとめ

  • 理論科目は「電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測」が出題範囲で、90分・100点満点の構成
  • 電力・機械の計算問題の土台になるため、電験三種学習の中で最優先に位置づけるのが定石
  • 学習は直流回路→静電気・電磁気→交流回路→三相交流→電子理論→電気計測の順序で進めると遠回りが少ない
  • 計算力は公式暗記だけでは伸びず、導出過程の理解・単位を意識した計算・電卓操作への慣れが必要
  • 複素数・ベクトルは図でイメージし、直流回路の合成抵抗と対応させて理解すると壁を越えやすい

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