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基本設計電験三種(第三種電気主任技術者)

電験三種「電力」の攻略法|発電・送配電・変電の頻出分野

電験三種の「電力」科目は、理論科目に比べて暗記要素の比重が上がる一方、送配電の分野では電圧降下や短絡容量といった計算問題も一定数出題される、暗記と計算のバランスが求められる科目です。範囲も発電所の種類から送配電線路、電気材料まで幅広く、闇雲に手を広げると時間切れになりやすいというのが、この科目に取り組んだ筆者の実感です。

この記事では、電験三種「電力」科目の分野構成、発電・変電・送配電それぞれの頻出テーマ、そして暗記と計算のバランスの取り方を整理します。資格全体の位置づけや試験日程は 電験三種とは|試験日程・科目・合格率・電気設備の実務との関係 を、直前期の優先順位づけは 電験三種 試験直前1ヶ月の追い込み方|科目別優先順位のつけ方 を、理論科目の攻略法は 電験三種「理論」の攻略法|出題分野マップと勉強の順序 をあわせて参照してください。


早見まとめ

項目内容
出題範囲発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む)の設計及び運用並びに電気材料
試験時間90分
配点の目安A問題14問×5点+B問題3問×10点=100点満点
解答方式五肢択一(CBT方式またはマークシート方式)
科目の性質暗記中心の分野と計算中心の分野が混在する
頻出テーマ火力発電のサイクル、水力発電の出力計算、送配電線路の電圧降下・たるみ

配点の内訳・合格基準点は年度によって細部が調整されることがあるため、正確な情報は電気技術者試験センター(shiken.or.jp)で確認してください。


「電力」科目とは|発電から需要家までの一連の流れを問う科目

電気技術者試験センターの試験概要によると、電力科目の出題範囲は「発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む)の設計及び運用並びに電気材料」に関する事項とされています。試験時間・配点は理論科目と同じく90分・100点満点の構成です。

範囲を大づかみに捉えると、電力科目は「発電所で電気をつくる」「変電所で電圧を変える」「送配電線路で電気を届ける」「屋内配線・電気材料まで扱う」という、電気が生まれてから使われるまでの一連の流れをそのまま試験範囲にした科目だといえます。理論科目が電気の物理的な原理を扱うのに対し、電力科目は発電設備や送配電設備という具体的な設備・システムを対象にしている点が大きな違いです。設備の名称や仕組みを覚える暗記の要素と、出力計算・電圧降下計算といった計算の要素が両方含まれるため、暗記科目と割り切ってしまうと計算問題で取りこぼし、計算科目と割り切ってしまうと発電方式の暗記で足元をすくわれる、というのがこの科目の難しさだと筆者は感じています。


分野構成マップ|電力科目は何を問われているか

電力科目で扱われる内容を分野ごとに整理すると、次のような構成になります。以下は一般的な分野区分としての整理であり、出題比重は年度によって変動します。

分野内容の目安性質
水力発電水のエネルギーと出力計算、水車の種類、キャビテーション計算問題が出やすい
火力発電熱サイクル、ボイラ・タービンの構成、熱効率、環境対策暗記と計算が混在
原子力発電原子炉の種類、核燃料サイクル、原子力発電の特徴暗記中心
新エネルギー発電太陽光・風力などの再生可能エネルギーの特徴と系統連系暗記中心、近年出題が増加傾向
変電所変圧器・遮断器などの機器の役割、変電所の構成暗記と計算が混在
送電線路架空送電線・地中送電線の設計、電圧降下、たるみ、短絡容量計算問題が出やすい
配電線路配電方式、屋内配線を含む配電系統の設計暗記と計算が混在
電気材料絶縁材料・導体材料などの特性暗記中心

発電分野は水力・火力・原子力・新エネルギーの4本柱、それに変電所・送配電・電気材料が加わる構成だとイメージしておくと、学習計画が立てやすくなります。


発電分野の頻出テーマ|水力・火力・原子力・再エネ

発電分野は4つの発電方式それぞれで問われ方の性質が異なります。

水力発電は、水の位置エネルギーを電気エネルギーに変える仕組みそのものを問う分野で、有効落差・流量から発電出力を求める計算問題が定番です。水車の種類(ペルトン水車・フランシス水車など)とその特徴、キャビテーション・水撃作用といった現象名も合わせて出題されるため、計算と用語暗記の両方を押さえておく必要があります。

火力発電は、ランキンサイクルを中心とした熱サイクルの仕組み、ボイラ・タービン・発電機という設備構成、熱効率を高めるための対策(再熱サイクル・再生サイクルなど)、そして燃料の発熱量から熱効率を求める計算問題までが範囲に含まれます。仕組みの理解と計算の両方が必要で、電力科目の中でも学習に時間がかかりやすい分野だと筆者は感じています。

原子力発電は、原子炉の種類(軽水炉のうち沸騰水型・加圧水型など)と特徴、核燃料サイクルの流れといった暗記要素が中心です。水力・火力に比べると計算問題の比重は小さく、用語と仕組みの整理に時間を使う分野になります。

新エネルギー発電は、太陽光発電・風力発電を中心とした再生可能エネルギーの特徴、系統連系の考え方を扱う分野です。エネルギー政策の変化を反映して近年出題が増えている印象があり、水力・火力・原子力に比べて新しい分野である分、参考書の版年が古いと情報が薄いことがある点に注意が必要です。


変電所・送配電分野の頻出テーマ

変電所分野は、変圧器・遮断器・断路器といった主要機器の役割、変電所の構成、保護協調の考え方が中心です。建物内の受変電設備(キュービクル)と共通する考え方も多く、実務で受変電設備に触れたことがある人には比較的イメージしやすい分野だと思います。受変電設備の基礎的な構成については、当サイトの 受変電設備の基礎|キュービクルの構成と単線結線図の読み方 でも整理しているので、電力設備のイメージをつかむ補助として参考にしてください。

送配電分野は、電力科目の中でも計算問題が集中しやすい分野です。代表的な計算テーマには次のようなものがあります。

  • 電線のたるみ計算:径間・張力・電線の自重から、電線のたるみの大きさを求める計算
  • 電圧降下:送電線・配電線のインピーダンスと負荷電流から、送電端・受電端の電圧差を求める計算
  • 短絡容量:系統事故時に流れる短絡電流の大きさを求め、遮断器の遮断容量の妥当性を検討する計算

このうち電圧降下の考え方は、規模は異なりますが建物内の幹線設計における電圧降下の考え方と共通する部分があります。当サイトの 幹線サイズと電圧降下の基礎|負荷電流・こう長・許容電流の考え方 で扱っている「こう長×電流に比例して電圧降下が大きくなる」という考え方の骨格は、送配電線路の電圧降下計算にも通じるものがあり、実務のイメージと結びつけて理解する助けになると筆者は感じています。


配電・電気材料分野

配電分野は、高圧配電線から低圧配電線を経て需要家に電気が届くまでの配電方式(樹枝状方式・ループ方式など)、屋内配線の設計上の考え方までを扱います。送配電線路ほど計算問題の比重は高くありませんが、配電方式の特徴を問う暗記要素の問題が一定数出題されます。

電気材料分野は、電線に使われる導体材料(銅・アルミなど)や、ケーブル・がいしなどに使われる絶縁材料の特性を問う、電力科目の中でも純粋な暗記分野です。出題数自体は多くありませんが、他の分野と違って対策に時間がかからないため、直前期に一気に詰め込んでも間に合いやすい分野だと筆者は捉えています。


暗記と計算のバランスの取り方

電力科目の学習で意識したいのは、暗記分野と計算分野を分けて、それぞれに適した進め方をすることです。原子力発電・新エネルギー発電・電気材料のような暗記中心の分野は、参考書を読んで用語を整理し、過去問で表現の言い換えパターンに慣れる、という進め方が効率的です。一方、水力発電の出力計算や送配電線路の電圧降下・たるみ計算のような計算分野は、理論科目で鍛えた計算力を土台に、電力科目特有の公式(水力発電の出力の式、たるみの式など)を追加で覚え、実際に手を動かして計算練習を積む必要があります。

筆者の実感としては、電力科目は理論科目をある程度固めた後に取り組む方がスムーズです。理論科目で身につけたオームの法則・電力の計算といった基礎が、送配電分野の電圧降下計算にそのまま活きてくるためです。逆に理論を後回しにしたまま電力科目の計算問題に取り組むと、公式は覚えていても計算の意味がつかめず、遠回りになりやすいと感じています。学習の配分としては、暗記分野に7割、計算分野に3割の時間、というような単純な比率ではなく、自分が計算問題でどれだけ時間を使ってしまうかを過去問で早めに確認し、そこから逆算して計算分野への配分を決めるのが実態に合った進め方だと思います。


よくある誤解

  • 「電力は暗記科目だから理論より楽」とは限らない:発電分野は暗記中心の部分が多い一方、送配電分野には理論科目に匹敵する計算問題が含まれており、暗記だけで乗り切れる科目ではありません。
  • 「発電方式は4つとも同じくらい深く覚える必要がある」わけではない:水力・火力は計算問題まで含めて出題されやすく、原子力・新エネルギーは用語・仕組みの理解が中心になりやすいなど、方式ごとに問われ方の重心が異なります。
  • 「送配電の計算は電力科目だけの話」ではない:送配電線路の電圧降下・たるみの考え方は、建物内の幹線設計における電圧降下の考え方とも通じる部分があり、実務のイメージと結びつけて理解すると定着しやすくなります。

電力科目は範囲が広く、発電・変電・送配電・電気材料のどこにどれだけ時間を配分すべきか、自分だけで判断するのが難しいと感じる人もいるかもしれません。カリキュラムが体系立てられた講座を使って、分野ごとの優先順位づけごと任せてしまうという選択肢もあります。

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まとめ

  • 電力科目は「発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送配電線路の設計及び運用並びに電気材料」が出題範囲で、90分・100点満点の構成
  • 発電(水力・火力・原子力・新エネルギー)・変電所・送配電・配電・電気材料という一連の流れが範囲になっている
  • 水力発電の出力計算や送配電線路の電圧降下・たるみ計算は計算問題が出やすく、原子力発電や電気材料は暗記中心
  • 送配電分野の電圧降下の考え方は、建物内の幹線設計における電圧降下の考え方とも通じる部分がある
  • 理論科目である程度の計算力を固めてから電力科目に取り組む方が、送配電分野の計算問題にスムーズに対応しやすい

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