建築設備.tech
基本設計電験三種(第三種電気主任技術者)

電験三種の科目合格制度の使い方|何年計画で取るかの戦略

電験三種は理論・電力・機械・法規の4科目で構成されていますが、この4科目を同じ回で全部揃えなければ合格できない試験ではありません。電気技術者試験センターの制度上、正式には「科目別合格制度(科目合格留保制度)」と呼ばれる仕組みがあり、一部の科目だけ合格した場合でも、その合格を数年間キープしながら残りの科目を後から埋めていく受け方ができます。筆者自身、電験三種の学習を始める前はこの制度の存在をうっすらとしか知らず、「4科目まとめて受からないと意味がない」と思い込んでいた時期がありました。

この記事では、科目合格制度の正確な仕組みと、年2回実施される試験を前提にした複数年計画の組み方を整理します。制度の全体像や試験日程については、まず 電験三種とは|試験日程・科目・合格率・電気設備の実務との関係 を参照してください。CBT方式と筆記方式のどちらを選ぶかで迷っている人は、電験三種 CBTと筆記の選び方|違い・メリット・注意点 もあわせて参考にしてください。


科目合格制度(科目合格留保制度)の正確な仕組み

電気技術者試験センターが公開している試験概要によると、科目合格制度は次のように説明されています。

試験は科目ごとに合否が決定され、4科目すべてに合格すれば第三種電気主任技術者試験が合格となります。また、4科目中、一部の科目だけ合格した場合は、「科目合格」となり、最初に合格した試験以降、その申請により最大で連続して5回まで当該科目の試験が免除されます。

ポイントを整理すると、次の3点になります。

  • 4科目すべてに合格して初めて「試験合格」となる(科目合格を積み上げただけでは資格取得にはならない)
  • 一部科目のみ合格した場合は「科目合格」となり、その科目は最初に合格した試験以降、申請により最大で連続5回まで免除される
  • 免除は自動ではなく、受験申込みの際に免除申請をする必要がある

「連続5回」という回数は、試験が年2回(上期・下期)実施されることを踏まえると、単純計算でおよそ2年半から3年分の受験機会に相当します。ただし「5回」というのはあくまで上限であり、その間に4科目すべてを合格で揃えられなければ、最初に取った科目合格の効力は切れてしまいます。免除の状況は、電気技術者試験センターのサイトで公開されている「免除情報の検索」から自分の科目ごとの免除状況を確認できるので、複数年計画で進めている人は定期的にチェックしておくと安心です。


なぜ「何年計画で取るか」を先に決めた方がよいか

電験三種は範囲が広い試験なので、社会人が仕事と両立しながら学習する場合、4科目を1回の試験でまとめて仕上げるのが必ずしも最短ルートとは限りません。筆者は、最初から「今回は理論と法規に絞る」「電力と機械は次の回に回す」というように、受験する科目数をあらかじめ絞り込む戦略にも合理性があると考えています。

一方で、科目合格には「最大連続5回」という期限があるため、何も計画を立てずになんとなく受け続けると、最初に取った科目の免除期限が近づいていることに気づかないまま、残りの科目を落としてしまうリスクがあります。特に、免除期限ぎりぎりの回で残りの科目を落としてしまうと、最初に取った科目合格の効力が切れて、その科目からまた受け直すことになりかねません。この「期限切れによるやり直し」を避けるために、最初に「何年計画で4科目を揃えるか」という大枠を決めておくことを筆者はおすすめします。


2年計画・3年計画の組み方の例

年2回実施(上期・下期)を前提にすると、大きく分けて次のような計画パターンが考えられます。

計画パターン受験回数の目安1回あたりの受験科目数向いている人
1年計画1〜2回4科目まとめて、または2回に分けて4科目学習時間をまとまって確保できる人
2年計画3〜4回1回あたり1〜2科目仕事と両立しながら着実に進めたい人
3年計画5〜6回1回あたり1科目ずつ学習時間の確保が特に難しい人、科目ごとにじっくり取り組みたい人

3年計画の場合、5〜6回の受験機会をフルに使う形になるため、最初に合格した科目の「連続5回まで」という免除上限に近づく可能性がある点には注意が必要です。3年以上かけるつもりであれば、最初に合格した科目をできるだけ早い段階で確定させ、免除期限の残り回数を常に意識しながら計画を調整することが大切だと筆者は考えています。

科目数を絞る場合の組み合わせ方としては、次のような考え方があります。

  • 理論を最優先で確定させる:理論は電力・機械の計算問題の土台になる内容が多いため、早い段階で合格を確定させておくと、以降の科目の理解が進みやすくなります。
  • 法規は後半に回しやすい:法規は暗記中心の科目で直前期の詰め込みが効きやすいため、他の科目より後の回に回しても対応しやすい傾向があります。
  • 電力・機械は学習ボリュームで前後させる:どちらも範囲が広いため、自分が計算問題と暗記のどちらを得意とするかで、先に着手する科目を決めるとよいでしょう。

これはあくまで一般的な傾向であり、得意・不得意には個人差があるため、自分の学習の進み具合を見ながら計画を柔軟に調整する姿勢が重要です。


「法規が残りやすい」という定説との向き合い方

電験三種の受験者の間では「理論・電力・機械は早めに合格できても、法規だけ最後まで残ってしまう」という話をしばしば耳にします。法規は電気設備技術基準などの条文知識に加え、電気施設管理の計算問題も出題されるため、一見すると暗記科目に見えて実は独特の対策が必要な科目です。

この定説がどの程度当てはまるかは受験者ごとの学習スタイルによって差があると筆者は考えていますが、もし複数年計画を組む際に「法規を最後に残す」戦略を取るのであれば、次の点には注意しておいた方がよいでしょう。

  • 法規を最後の1科目として残す場合、他の3科目の免除期限が先に切れてしまわないよう、逆算したスケジュールを組む
  • 法規の暗記量を甘く見て後回しにしすぎると、直前期の詰め込みだけでは対応しきれない可能性がある
  • 電気施設管理の計算問題は、法規の中でも独立した対策が必要なので、暗記だけに偏らない学習配分を意識する

「法規は最後に詰め込めば何とかなる」という前提だけに頼らず、法規も他の科目と同じように計画の中に学習時間を確保しておく方が、結果的に無理のない進め方になると筆者は感じています。


科目合格制度を使う上での注意点

科目合格制度は柔軟な受け方ができる一方で、次のような点は誤解しやすいので注意が必要です。

  • 免除は自動適用ではない:科目合格した科目の免除を受けるには、次回以降の受験申込み時に免除申請をする必要があります。申請を忘れると、せっかくの科目合格が活かされず、その科目をまた受け直すことになりかねません。
  • 「連続5回」は暦年ではなく受験機会の回数:年2回実施なので、5回という回数は暦の上ではおよそ2年半〜3年に相当しますが、あくまで「実施される試験の回数」でカウントされる点を押さえておきましょう。
  • 免除状況は自分で確認する必要がある:電気技術者試験センターの「免除情報の検索」で自分の科目合格の状況を確認できます。複数年計画で進めている場合は、受験申込みの前に必ず確認しておくことをおすすめします。

電験三種は独学でも十分に狙える試験ですが、複数年計画で科目を積み上げていく場合、どの科目をどの順番で確定させていくかを自分だけで組み立てるのが難しいと感じる人もいるかもしれません。カリキュラムが体系立てられた講座を利用して、科目ごとの優先順位づけごと相談できる環境を使うという選択肢もあります。

PR 電験三種の対策講座: 資格合格支援スクール【能セン】


まとめ

  • 科目合格制度(科目合格留保制度)は、最初に合格した試験以降、申請により最大で連続5回まで当該科目の試験が免除される仕組み
  • 免除は自動適用ではなく、受験申込み時に自分で申請する必要がある
  • 年2回実施を前提に、1年・2年・3年計画のどれで4科目を揃えるかを最初に決めておくと、免除期限切れのリスクを避けやすい
  • 理論は早めに確定させると以降の科目の理解が進みやすく、法規は暗記中心で後半に回しやすいが計算問題への対策も忘れないこと
  • 3年以上かけるつもりの場合は、最初に合格した科目の免除期限(連続5回)を常に意識しながら計画を調整する

あわせて読みたい

  • #電験三種
  • #第三種電気主任技術者
  • #科目合格制度
  • #学習計画
  • #資格取得戦略

参考書籍でさらに学ぶ

※ この欄は書籍のアフィリエイト広告(Amazon・楽天)を含みます。価格・在庫・最新の年度版はリンク先でご確認ください。

  • みんなが欲しかった! 電験三種の教科書&問題集(理論・電力・機械・法規)

    科目ごとに1冊で完結する初学者向けの定番シリーズ。まず1科目から着手するときに。

  • 電験三種 過去問題集

    過去問中心の対策に。年版が変わるので最新版を選ぶこと。

  • 電験三種 完全攻略問題集

    頻出論点に絞った問題集。直前期の総仕上げにも使いやすい。

→ 建築設備士のおすすめ参考書まとめ

関連記事