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基本設計電気通信資格(電通主任・工事担任者)

第一級陸上無線技術士と電気通信主任技術者の関係|科目免除と学習範囲の重なり

電気通信主任技術者や工事担任者について調べていると、資格の紹介ページや参考書の巻末に「第一級陸上無線技術士」(一陸技)の名前が並んでいるのを見かけることがあります。どちらも通信インフラに関わる国家資格ですが、根拠になっている法律も試験を実施している機関も異なる、まったく別系統の資格です。

それでも両者の間には科目免除の関係があり、どちらかを先に取得しておくと、もう一方の受験科目を減らせる場面があります。この記事では、一陸技と電気通信主任技術者がどういう位置づけの違う資格なのか、科目免除は実際にどの方向でどの科目に効くのか、学習範囲はどこまで重なるのかを、公式の免除科目一覧表をもとに整理します。筆者は電気通信主任技術者(伝送交換・線路)と工事担任者を保有する立場ですが、一陸技については保有資格ではなく、あくまで制度上の関係を調べた範囲での整理として読んでいただければと思います。


早見まとめ:一陸技と電気通信主任技術者の科目免除

保有している資格 これから受験する試験 免除される科目 免除されない科目
第一級陸上無線技術士 電気通信主任技術者(伝送交換主任技術者) 電気通信システム 設備及び設備管理・法規
第一級陸上無線技術士 電気通信主任技術者(線路主任技術者) 電気通信システム 設備及び設備管理・法規
電気通信主任技術者(伝送交換主任技術者) 第一級陸上無線技術士 無線工学の基礎・無線工学A 無線工学B・法規
電気通信主任技術者(線路主任技術者) 第一級陸上無線技術士 無線工学の基礎 無線工学A・無線工学B・法規

一陸技保有による電気通信主任技術者側の免除は、伝送交換・線路のどちらを受験する場合でも「電気通信システム」1科目にとどまります。一方、電気通信主任技術者側から一陸技を受験する場合は、伝送交換主任技術者の方が免除される科目数が多く、線路主任技術者は「無線工学の基礎」のみという非対称な関係になっています。どちらの免除も自動適用ではなく、試験申請の際に自分で申請する必要がある点は共通です。


第一級陸上無線技術士とは|無線従事者資格としての位置づけ

第一級陸上無線技術士は、電波法にもとづく「無線従事者」資格のひとつです。無線従事者資格は、無線局に設置された無線設備の操作や技術的な保守を行うために必要な資格で、総務大臣から指定試験機関の指定を受けた公益財団法人日本無線協会が試験を実施しています。電気通信主任技術者・工事担任者の試験を実施している日本データ通信協会 電気通信国家試験センターとは、実施団体も根拠法もまったく別です。

一陸技の試験科目は、無線工学の基礎・無線工学A・無線工学B・法規(電波法規)の4科目で構成されています。無線工学の基礎は電気回路や電子回路など無線技術全般の土台となる内容、無線工学Aは無線設備の理論と構造、無線工学Bはアンテナや電波伝搬が中心で、法規は電波法をはじめとする関連法令を扱います。取得すると、テレビ・ラジオ放送局や大規模な無線通信施設など、比較的出力の大きい陸上の無線局における無線設備の技術操作・保守にあたることができます。

資格の性格としては「無線局の無線設備そのもの」を対象にした技術者資格であり、次に説明する電気通信主任技術者とは対象範囲がはっきり異なります。無線従事者資格には一陸技のほかにも第二級陸上無線技術士や各種の特殊無線技士など複数の区分がありますが、一陸技はその中でも扱える無線設備の出力・種別の制限が少ない上位区分にあたる資格です。


電気通信主任技術者との違い|根拠法と対象設備の切り分け

電気通信主任技術者は電気通信事業法にもとづく資格で、電気通信事業者が設置する事業用電気通信設備の工事・維持・運用を監督する立場の資格です。伝送交換主任技術者と線路主任技術者に分かれ、対象になるのは無線設備だけでなく、有線の伝送路・交換設備・線路設備を含めた電気通信回線設備全体という点が一陸技との大きな違いです。

整理すると、一陸技は「個別の無線局に置かれた無線設備」を対象とした電波法上の資格、電気通信主任技術者は「電気通信事業者が保有する設備全体」を対象とした電気通信事業法上の資格、という切り分けになります。同じ「通信」というくくりで語られることが多いものの、法律上の根拠も、資格が保証する業務の範囲も別物です。ただし、事業者が保有する伝送路にマイクロ波無線中継などの無線区間が含まれる場合には、無線設備の技術操作に一陸技相当の知識が、回線全体の維持・運用に電気通信主任技術者の知識が、それぞれ必要になる場面があり、両資格が実務で接点を持つケースはあります。


科目免除の関係|どちらの方向にも免除があるが範囲は非対称

科目免除は「一陸技を持っていると電気通信主任技術者が有利になる方向」と、「電気通信主任技術者を持っていると一陸技が有利になる方向」の両方に存在しますが、免除される科目数は同じではありません。

一陸技保有→電気通信主任技術者の免除は、電気通信主任技術者の免除科目一覧表で確認できます。第一級陸上無線技術士を保有している場合、伝送交換主任技術者・線路主任技術者のどちらを受験する場合でも「電気通信システム」科目のみが免除対象で、「設備及び設備管理」「法規」は免除されません。なお、令和3年度第1回試験より前は「専門的能力」という科目が別途存在し免除の扱いも当時と異なっていたため、古い情報源を参照する際は年度に注意してください。

電気通信主任技術者保有→一陸技の免除は、電波法施行規則にもとづく試験の一部免除として定められています。伝送交換主任技術者を保有している場合は「無線工学の基礎」及び「無線工学A」の2科目、線路主任技術者を保有している場合は「無線工学の基礎」1科目が、それぞれ一陸技受験時に免除されます。同じ電気通信主任技術者でも伝送交換と線路で免除される科目数が異なる点は見落としやすいところで、伝送交換主任技術者の出題範囲の方が無線区間を含む伝送方式との重なりが大きいことが背景にあると考えられます。

どちらの免除も、試験の申込み手続きの中で自分から申請する必要があり、資格を持っているだけで自動的に科目が外れるわけではありません。この申請の考え方は電気通信主任技術者の科目免除全般に共通する仕組みで、別記事「電気通信主任技術者の科目免除ガイド」でも触れています。


学習範囲の重なり|無線工学と電気通信システム・設備科目

免除制度から逆算すると、両資格の出題範囲がどこで重なっているかも見えてきます。一陸技の無線工学A・無線工学Bは、無線設備の回路構成やアンテナ・電波伝搬など無線に固有の内容が中心です。これに対して電気通信主任技術者の「電気通信システム」科目は、有線・無線を含む伝送方式全般を俯瞰する内容になっており、マイクロ波多重無線や衛星通信のような無線区間を使った伝送技術の基礎知識という点で、一陸技の無線工学分野と接点があります。これが、一陸技保有者が電気通信システム科目の免除対象になっている理由と考えられます。

一方、電気通信主任技術者の「設備及び設備管理」「法規」は、電気通信事業法・有線電気通信法など事業法特有の内容が中心で、一陸技側の出題範囲(電波法規、無線設備の技術操作)とは重なりが薄く、免除の対象にもなっていません。逆に一陸技の「無線工学の基礎」は電気・電子回路の基礎という共通性が高い分野のため、電気通信主任技術者側からの免除対象になりやすいと理解しておくとよさそうです。

このように、免除される科目は「両方の試験で内容が実質的に重なっている部分」に限られており、免除されない科目については、もう一方の資格を持っていてもゼロから学習する必要がある点は変わりません。


どちらを先に取るかの考え方

順序をどう考えるかは、目的と免除の使い勝手の両面から整理できます。

放送局や大規模な無線通信施設など、無線設備そのものの技術操作に直接関わる仕事を目指すのであれば、一陸技が本筋の資格になります。一方、電気通信事業者の設備の工事・維持・運用の監督に関わる仕事であれば、電気通信主任技術者が本筋です。目的がはっきりしているなら、まずその本筋の資格から取り組むのが基本だと筆者は考えています。

免除の使い勝手だけで見ると、電気通信主任技術者(特に伝送交換主任技術者)を先に取得しておいた方が、一陸技側で免除される科目数(無線工学の基礎・無線工学Aの2科目)が多く、学習負担を減らしやすい組み合わせになります。逆に一陸技を先に取っても、電気通信主任技術者側で免除されるのは電気通信システムの1科目にとどまるため、免除効果だけを目的に一陸技から着手するメリットは大きくありません。両資格を無理に同時並行で狙うより、本筋の目的に合わせて主軸を決め、免除は「取得済みの資格のおまけ」くらいの位置づけで考えるのが現実的だと思います。


仕事での使い分け|無線局と電気通信設備

資格の使いどころも、対象になる設備の違いに沿って整理できます。一陸技は無線局に設置された無線設備の技術操作・保守が対象で、放送事業者や大規模な無線通信施設など、無線局ごとに選任義務が生じる場面で必要とされる資格です。電気通信主任技術者は、電気通信事業者が保有する事業用電気通信設備(有線・無線を問わず伝送路・交換設備・線路設備全体)の工事・維持・運用の監督が対象で、無線局単位ではなく事業者の設備全体を見る立場の資格という違いがあります。

建築設備の実務との接点で見ると、館内交換設備・構内LAN・弱電設備といった領域は電気通信主任技術者や工事担任者の領域に近く、一陸技が直接関わるのは主に無線局を運用する事業者側の話になります。両資格を併記しているサイトが多いのは、通信インフラという広いくくりで隣接しているためであって、実務で担う役割そのものは別物だと理解しておくと、資格選びで迷いにくくなると思います。


よくある誤解

  • 「一陸技を持っていれば電気通信主任技術者の受験科目がまとめて減る」わけではない:免除されるのは「電気通信システム」1科目のみで、「設備及び設備管理」「法規」は一陸技を持っていても通常どおり受験が必要です。工事担任者(総合通信等)保有による免除と混同しやすいところですが、免除される科目自体は同じ「電気通信システム」でも、根拠になる資格は別々に規定されています。
  • 「電気通信主任技術者ならどちらの区分でも一陸技側の免除は同じ」ではない:伝送交換主任技術者は2科目、線路主任技術者は1科目と、免除される科目数が異なります。どちらの区分を持っているかによって一陸技受験時の負担が変わる点は見落としやすいところです。
  • 「免除は資格を持っていれば自動的に適用される」わけではない:電気通信主任技術者側の免除と同じく、一陸技側の免除(電波法施行規則にもとづく試験の一部免除)も、受験申請の手続きの中で自分から申し出る必要があります。申請を忘れると、免除対象の科目も通常どおり受験することになります。
  • 「一陸技と電気通信主任技術者はどちらか一方があれば十分」ではない:対象になる設備の範囲が異なるため、無線局の無線設備を扱うか、電気通信事業者の設備全体を扱うかという目的によって必要な資格が変わります。免除関係があるからといって、片方が片方の上位互換というわけではありません。

まとめ

  • 第一級陸上無線技術士(一陸技)は電波法にもとづく無線従事者資格で、実施団体は公益財団法人日本無線協会。電気通信事業法にもとづく電気通信主任技術者とは根拠法・実施団体ともに別系統
  • 一陸技保有者が電気通信主任技術者(伝送交換・線路とも)を受験する場合、免除されるのは「電気通信システム」1科目のみ
  • 電気通信主任技術者保有者が一陸技を受験する場合、伝送交換主任技術者は「無線工学の基礎」「無線工学A」の2科目、線路主任技術者は「無線工学の基礎」1科目が免除される
  • 免除は自動適用ではなく、試験申込みの際に自分で申請する必要がある
  • 学習範囲が重なるのは無線工学分野の一部にとどまり、それ以外の科目はどちらの資格を持っていてもゼロから学習が必要
  • 免除効果だけを目的に順序を決めるより、目指す仕事(無線局か電気通信設備か)に合わせて本筋の資格から取り組むのが現実的

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