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基本設計電気設備

コンセント・OAフロア配線設備の計画の基礎|分岐回路とフリーアクセスフロアの高さ選定

コンセント設備は、電気設備のなかでも「地味だが揉めやすい」単元だと筆者は感じています。照明や受変電のように容量計算の理屈がはっきりしているわけではなく、テナントの働き方・什器レイアウト・IT機器の増減によって必要な数も位置も変わり続けるためです。とはいえ計画の骨格自体はシンプルで、「分岐回路の負荷をどう配分するか」と「OAフロア(フリーアクセスフロア)の高さをどう選ぶか」という2つの判断に整理できます。

この記事では、事務所ビルを主な想定として、コンセント回路の基礎、コンセントの種類、OAフロアの構造と高さ選定、強電・弱電の配線区分、そして増設・改修時に見落としやすい点を基本設計の視点で整理します。分岐回路の詳しい仕組みや幹線・動力設備との関係は動力設備の計画|電動機・インバータ・力率改善の基礎、電気室・EPSの計画は電気室・EPSの計画|位置・広さの目安・搬入経路・浸水対策の考え方もあわせてご覧ください。


図で見る(全体像)

OAフロア断面の高さ区分(30/50/75/100mm以上)と、床下での強電ケーブル・弱電ケーブルの離隔配置、分岐回路からコンセントへ電気が配られる系統構成を示す模式図


早見まとめ

細かい話に入る前に、コンセント回路とOAフロアの考え方を1つの表に集約しておきます。具体的な負荷容量・離隔距離は、内線規程や建物ごとの電気設計基準に照らして確認してください。

項目代表値・考え方備考
分岐回路の基本一般負荷の分岐回路は15A・20A(単相100V)が中心。1回路に負荷を積み上げすぎない内線規程(JEAC 8001)等の考え方に基づき、回路数・遮断器容量を計画する
コンセントの種類一般形・アース付(2P+E)・引掛形・防雨形・医用など、用途に応じて使い分けるOA機器はアース付を基本とする
OAフロアの高さ30mm・50mm・75mm・100mmが標準的な区分配線量が多い部屋・サーバー機器を置く部屋は100mm以上を検討
高床(150mm以上)サーバー室・電算機室などで採用されることがある床下に空調ダクトや配管を通す余地も生まれる
強電・弱電の配線区分電源系統とLAN・電話系統は原則として配線ルートを分ける誘導障害・発熱・見分けやすさの観点から系統を分離するのが基本
増設への備え分電盤に予備回路・予備スペースを確保しておく竣工後の増設は天井・床の解体を伴いやすく手戻りが大きい

コンセント回路の基礎:分岐回路の負荷配分

コンセント設備の出発点は、「1つの分岐回路にどれだけの負荷をぶら下げるか」という考え方です。事務所のコンセント回路は一般的に単相100Vの15A・20A回路が使われ、パソコン・モニター・複合機・空気清浄機といった負荷を、回路ごとの許容電流に収まるように配分していきます。

コンセントの「口数」だけを増やしても、その先につながる分岐回路自体の容量が足りなければ、ブレーカーが落ちる・電圧降下が大きくなるといった不具合につながります。特にOA機器が密集する執務室では、竣工時の想定よりも机上の電気製品が増えることが多いため、分岐回路の数・分電盤の予備回路にどれだけ余裕を持たせるかが、計画段階での重要な判断になります。負荷の見積もりは建物用途・部屋の使われ方によって幅が大きいため、具体的な負荷容量の目安は内線規程や建物ごとの電気設計基準・過去の実績値と照らし合わせながら詰めていくのが実務上の進め方です。

なお、分電盤・ブレーカーの基本的な役割分担(アンペアブレーカー・漏電ブレーカー・安全ブレーカー)については分電盤とブレーカーの基礎|家の電気はどう分配され、なぜ落ちるのかで住宅レベルの考え方を整理していますので、事務所の分岐回路を考える前提知識としてあわせて確認しておくと理解がつながります。


コンセントの種類と使い分け

コンセントには形状・機能によっていくつかの種類があり、設置場所に応じて使い分けます。

種類特徴主な設置場所
一般形(2P)接地極のない標準的なコンセント一般的な壁付コンセント
アース付(2P+E)接地極付きで、機器の外箱を接地できるパソコン・複合機・OA機器周り
引掛形ねじって抜け止めする形状。振動・引っ張りで抜けにくい什器の裏側、抜けると困る機器周り
防雨形カバー付きで雨がかりに対応屋外・軒下・機械室外部
医用(規格コンセント)医療機関で電源系統ごとに色分けされる特殊なコンセント病院の病室・手術室等

事務所のOAフロア配下では、アース付コンセントを基本とするのが一般的です。パソコンやサーバー機器はノイズの影響を受けやすいため、接地をきちんと取ることが、機器の誤動作防止や感電防止の両面で重要になります。

参考までに、病院などでは電源の種類ごとにコンセントの色を分ける運用があり、白色は商用電源、赤色は非常用電源(自家発電に接続)、緑色は無停電電源(UPSに接続、瞬断が許されない生命維持装置等に使用)といった区分が知られています。事務所のコンセント計画とは目的が異なりますが、「電源の系統ごとにコンセントを区別する」という発想そのものは、事務所ビルでも一般コンセントとUPS付きコンセント(サーバー・重要機器向け)を色や表示で見分けられるようにしておく際の参考になります。


OAフロア(フリーアクセスフロア)の基礎

OAフロア(フリーアクセスフロア)は、床を二重にしてその下の空間にコンセント・LAN配線を通すための仕組みです。配線を床上に露出させずに済み、レイアウト変更にも柔軟に対応できることから、事務所ビルの執務室では標準的な仕様になっています。

高さの選び方

OAフロアの高さは、代表的なもので30mm・50mm・75mm・100mmという区分があります。高さが低いほど施工コスト・段差の影響は小さく済みますが、収容できる配線量には限りがあります。配線量が多い部屋やサーバー機器を置く部屋では、100mm以上、場合によっては150mm以上の高床を検討するのが実務上の考え方です。高床にするほど、床下に空調ダクトや配管を通す余地も生まれますが、その分だけ天井高が圧迫されたり、スロープ・段差の処理が必要になったりするため、建築計画側との調整が欠かせません。

構造の種類

OAフロアの構造には、大きく分けて支持脚(パーマネントベース等)でパネルを持ち上げる方式と、パネル自体を積み重ねて置く置敷き型の方式があります。支持脚方式は高さの自由度が高く、配線収容量も確保しやすい一方、置敷き型は施工が簡易でコストを抑えやすいという特徴があります。どちらを選ぶかは、想定する配線量・改修の頻度・予算のバランスで決まります。

アンダーカーペット配線との違い

配線を床下に通す方法としては、OAフロアのほかに、薄いフラットケーブルを床仕上げの下に直接敷設するアンダーカーペット配線という選択肢もあります。アンダーカーペット配線は段差がほとんど生じず、既存の床をそのまま活かして低コストで導入できる利点がありますが、収容できる配線量には限りがあり、レイアウト変更のたびに床仕上げをめくって配線をやり直す手間が生じやすいという弱点があります。将来的なレイアウト変更の頻度が高い執務室ではOAフロア、変更が少なく段差も避けたい部屋ではアンダーカーペット配線、というように使い分けるのが実務上の考え方です。


配線計画のポイント:強電と弱電、防火区画との取り合い

OAフロアの床下は、電源ケーブル(強電)とLAN・電話ケーブル(弱電)が同じ空間を通ることになります。ここで意識しておきたいのが次の点です。

  • 強電・弱電の配線ルートの分離: 電源系統とLAN・電話系統は、誘導障害や発熱の影響を避けるため、原則として別のケーブルラック・配線トレンチに分けて敷設するのが基本の考え方です。同じ経路に混在させる場合は、間仕切り(セパレータ)を設けるなどの配慮が必要になります。
  • 配線の識別: 竣工後の維持管理・増設工事をスムーズに行えるよう、系統ごとにケーブルのラベリング・色分けをしておくことが実務上重要です。
  • 防火区画の貫通処理: OAフロア内の配線が防火区画・防煙区画を貫通する場合は、耐火措置(貫通部の充填材等)を施す必要があります。床下配線は目に見えにくい分、施工段階での確認が漏れやすい箇所でもあります。
  • 点検口の確保: OAフロアには点検口(フロアパネルの着脱)を適切な間隔で設け、竣工後の増設・トラブル対応時にパネルをすべてめくらなくても配線にアクセスできるようにしておきます。

増設・改修時によくある課題

コンセント・OAフロア設備は、竣工時点の計画がそのまま長く使われるとは限りません。テナントの入れ替わりやレイアウト変更のたびに、次のような課題が実際に発生しやすいと筆者は考えています。

  • コンセント不足: 竣工時の想定よりOA機器が増え、机上でOAタップ(テーブルタップ)を多用することになり、タコ足配線が常態化してしまう。分岐回路自体の容量が不足している場合は、タップを増やしても解決しません。
  • レイアウト変更への対応力不足: OAフロアの高さや配線収容量が不足していると、間仕切り変更のたびに床の一部を解体して配線をやり直す必要が生じ、工事費・工期の負担が大きくなります。
  • 強電・弱電の混在によるノイズ: 増設工事の過程で配線ルートの区分が崩れ、電源ケーブルとLANケーブルが近接・平行に長く敷設されてしまうと、通信品質の低下につながることがあります。

これらの課題は、設計段階で分岐回路・分電盤の予備容量とOAフロアの高さに余裕を持たせておくことである程度回避できます。竣工後の増設は床・天井の解体を伴いやすく、稼働中のオフィスでは工事のタイミング自体が制約になるため、初期段階での余裕の持たせ方が長期的なコストを左右するというのが実務上の実感です。


まとめ

  • コンセント設備の計画は「分岐回路の負荷配分」と「OAフロアの高さ選定」という2つの判断が中心になる
  • コンセントには一般形・アース付・引掛形・防雨形・医用などの種類があり、OA機器周りはアース付を基本とする
  • OAフロアの高さは30/50/75/100mmが代表的な区分で、配線量が多い部屋は100mm以上、サーバー室等は150mm以上を検討する
  • OAフロアの構造には支持脚方式と置敷き型があり、高さの自由度・コストのバランスで選ぶ
  • 強電(電源)と弱電(LAN・電話)の配線ルートは原則として分離し、防火区画の貫通部には耐火措置を施す
  • 増設・改修時のコンセント不足やノイズ混入を避けるため、設計段階で分電盤の予備回路とOAフロアの余裕を確保しておくことが実務上のポイント

コンセント・OAフロア設備は、竣工後もレイアウト変更のたびに手を入れ続ける設備です。本記事の内容は一般的な考え方の整理であり、具体的な負荷容量・離隔距離・防火区画の措置は、必ず内線規程・建物ごとの電気設計基準・所轄消防署等との確認のうえ進めてください。


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