建築設備.tech
維持管理管工事(空調・給排水)

配管の腐食と防食の基礎|異種金属接触・電食への対策と更生・更新の判断

配管の維持管理をしていると、赤水・漏水・ピンホールといった相談は、突き詰めると「腐食」の話に行き着くことが多い。腐食は水回りの配管につきものの現象だが、その原因は一様ではなく、管の内面が全体的にじわじわ薄くなっていくものもあれば、ごく小さな一点に穴が集中して開くもの、異なる金属をつないだことで一方だけが急速に痩せていくものまで、メカニズムによって進み方も対策もまったく異なる。

この記事では、配管に生じる腐食を実務でよく遭遇するパターンごとに整理したうえで、異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)・かい食・すきま腐食・埋設管の腐食(マクロセル腐食・迷走電流による電食)といった代表的な現象と、材料別に見た弱点、絶縁継手や電気防食といった対策の考え方、そして老朽化した配管を更生(内面をライニングし直す)するか更新(引き替える)するかをどう判断するかまでを見ていく。給水配管の材料選定そのものはさや管ヘッダー工法と給水配管材料で扱っているので、本記事では既設の金属配管に起きる腐食のメカニズムと、その後の維持管理・更新対応に絞って整理する。


図で見る(全体像)

配管腐食の3パターン(全面腐食・孔食・すきま腐食)、異種金属接触腐食と絶縁継手による対策、埋設管の電気防食(流電陽極方式・外部電源方式)を示した模式図


早見まとめ

項目 考え方・目安
全面腐食 管の内面・外面が広い範囲でほぼ均一に薄くなる腐食。赤水・出水不良の原因になりやすい
孔食(ピンホール) 局所的な一点に腐食が集中し、周囲が健全なまま貫通穴が生じる腐食。発見が遅れやすい
すきま腐食 フランジ面・ガスケット下など水や異物が滞留するすきまで、酸素濃淡電池により進行する腐食
異種金属接触腐食 イオン化傾向の異なる金属を接続すると、卑な金属側が優先的に腐食する現象。絶縁継手で縁を切るのが基本対策
かい食(エロージョン・コロージョン) 流速が速い箇所・乱流部で保護被膜が削られ、腐食が加速して進む現象。銅管のエルボ部等で話題になりやすい
マクロセル腐食(埋設管) 土壌条件の違い等により埋設管の広い範囲で電池作用が生じ、局部的に腐食が進行する現象
電食(迷走電流腐食) 直流電気鉄道の漏れ電流など、外部からの迷走電流が埋設金属体に出入りする箇所で急速に進む腐食
電気防食 流電陽極方式(卑な金属を陽極として消耗させる)・外部電源方式(外部直流電源で防食電流を供給する)の2方式が基本
更生・更新の判断 残存肉厚・漏水履歴・稼働中建物での施工性を踏まえ、法定耐用年数ではなく実態劣化で判断する

腐食の種類|実務で押さえておきたいパターン

配管に生じる腐食は、進み方によっていくつかのパターンに分けて理解すると整理しやすい。

全面腐食は、管の内面あるいは外面が広い範囲でほぼ均一に薄くなっていく腐食である。厚みが少しずつ失われるため強度低下は緩やかに進むことが多いが、内面腐食が進行すると錆による赤水・出水不良の原因になりやすく、給水配管の維持管理では最も日常的に相談を受ける腐食のかたちでもある。

孔食(ピンホール)は、腐食が局所的な一点に集中し、周囲がほとんど健全なまま小さな穴が貫通する腐食である。管全体としての肉厚は保たれていても、その一点から漏水が発生するため、外観からの発見が遅れがちになる。ステンレス鋼管・銅管でしばしば話題になる腐食で、後述する水質条件が関係することが多い。

すきま腐食は、フランジの接合面・ガスケットの下・支持金具との接触部など、水や異物が滞留しやすい狭いすきまで進行する腐食である。すきまの内側は酸素が供給されにくくなり、すきまの外側との間で酸素濃度に差が生じる(酸素濃淡電池)ことで、酸素濃度の低いすきま側が優先的に腐食する状態になる。フランジ継手が多い配管ルートでは、目視点検の際にすきま部分を意識しておくとよい。

異種金属接触腐食・かい食・埋設管のマクロセル腐食や電食は、それぞれ発生条件と対策の考え方が独立したテーマとして重要なため、次の章から個別に見ていく。


異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)とイオン化傾向

金属にはそれぞれ「イオン化傾向」と呼ばれる、水中でイオンになりやすい度合いの違いがある。電位の異なる2種類の金属が水を介して電気的に接続された状態になると、電位の低い(卑な)金属側が電子を失いやすくなり、イオン化傾向の大きい金属側の腐食が優先的に進む。これが異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)と呼ばれる現象である。

配管の実務でよく問題になる組み合わせとしては、ステンレス鋼管と鋼製の支持金具・ボルト、銅管と鋼製の配管・部材などが挙げられる。両者が直接接触し、かつ水分が介在する環境にあると、鋼側の腐食が局所的に加速することがある。設計・施工の段階で異種金属同士が直接接触する箇所をあらかじめ洗い出しておくことが、この腐食を避ける第一歩になる。

対策の基本は、絶縁継手(絶縁フランジ・絶縁ユニオン等)を用いて異種金属同士を電気的に縁を切ることである。継手部分に絶縁材を挟み、金属同士が直接導通しない構造にすることで、電位差による電流の流れそのものを断ち切る考え方になる。

ここで注意しておきたいのは、等電位ボンディングの基礎で扱っている考え方との違いである。等電位ボンディングは、雷保護・感電防止の目的で建物内の金属部分をあえて電気的に接続し、電位差を生じにくくする仕組みであり、目的としては「導通を確保する」方向の対策になる。一方、異種金属接触腐食への絶縁継手は「導通を断つ」方向の対策であり、両者は目的も方向性も逆であることを理解しておく必要がある。実務では、電気安全上つないでおきたい部分と、腐食防止のために切っておきたい部分が同じ配管系統に混在することもあるため、電気設備の担当者と設備担当者が別々に検討を進めると、意図せず矛盾した施工になってしまう可能性がある点に注意したい。


銅管のかい食と青水|流速・水質との関係

銅管は耐食性・熱伝導性・施工性に優れ、給湯管を中心に長く使われてきた材料である。銅の管内面には、通常の使用条件下で酸化被膜(保護被膜)が形成され、この被膜がそれ以上の腐食の進行を抑える働きをしている。

この保護被膜が、配管内の水流によって物理的に削り取られ、削られた部分で腐食が加わって進行が速まる現象がかい食(エロージョン・コロージョン)である。エルボなど流れの向きが急に変わる箇所や、局所的に流速が高くなりやすい箇所で起きやすいとされ、給湯循環系統のように水が常時流れ続ける配管では特に意識しておきたい現象になる。具体的な許容流速の数値は配管口径・水質・メーカーの設計基準によって幅があるため、設計段階でメーカーの技術資料を確認することが前提になる。

もうひとつ、銅管の維持管理で話題になりやすいのが「青水」と呼ばれる現象である。これは、銅管内面から微量に溶け出した銅イオンが水に混じることで、水や設備の表面が青緑色に着色して見える現象で、新設の銅管や、pHの低い(酸性寄りの)水・遊離炭酸を多く含む水など、銅を溶かしやすい水質条件で目立ちやすいとされる。健康影響としての基準値の考え方は水道法の水質基準に基づいて別途整理される話であり、本記事では「水質条件によって銅管からの溶出が起こり得る」という考え方の紹介にとどめる。水質そのものの管理(pH・遊離炭酸等)については、次の防食対策の章でも触れる。


土中埋設管の腐食|マクロセル腐食と迷走電流による電食

地中に埋設された金属配管は、地上の配管とは異なる腐食のリスクにさらされる。埋設環境で特に問題になるのが、マクロセル腐食と、より狭い意味での「電食」である。

マクロセル腐食は、同一の配管であっても、通過する土壌の性質(土質・含水率・通気性など)が場所によって異なることで、埋設管の広い範囲にわたって電池的な作用が生じ、その結果として局部的に腐食が進行する現象を指す。土壌環境が均一でない長距離の埋設配管ほど、こうした電位差が生まれやすい。

これに対して、より狭い意味での電食は、迷走電流(本来の回路以外の経路に漏れ出して大地中を流れる電流)の影響によって金属が腐食する現象を指す言葉として使われる。代表例が、直流電気鉄道のレールから大地に漏れ出す漏れ電流である。埋設された金属配管がこの迷走電流の経路の一部になると、電流が配管から大地へ流出する箇所で急速に腐食が進行することがある。実務では「電食」という言葉が腐食全般を指す通称として使われることもあるが、本来は迷走電流に起因する腐食を指す用語であり、給水配管でより高い頻度で問題になる異種金属接触腐食とは発生の仕組みが異なる点を区別して理解しておきたい。電気鉄道近傍の埋設配管を計画・維持管理する場合は、鉄道事業者との協議や電位測定など、専門的な調査が前提になる。

埋設配管の深さ・離隔・保護方法といった基本的な計画事項は埋設配管の基礎で整理しているので、埋設ルートの計画段階ではあわせて参照してほしい。


材料別に見る腐食の弱点

金属配管は、材料ごとに弱点となる腐食の起きやすさが異なる。代表的な材料の特徴を整理すると次のようになる。

材料 弱点・注意点
亜鉛めっき鋼管(白ガス管) 内面腐食による赤水・出水不良が問題となり、給水配管の新設ではほとんど使われなくなった。既存建物では老朽配管として更新対象になりやすい
硬質塩化ビニルライニング鋼管 管の内面はライニングで保護されるが、切断・ねじ加工した管端は鋼が露出し腐食の起点になりやすい。管端コアを一体化した管端防食継手を用いることで鉄部の露出を防ぐのが基本
銅管 保護被膜が水流で削られるかい食、水質条件による青水(銅イオンの溶出)に注意が必要
ステンレス鋼管 耐食性には優れるが、施工時の鉄粉付着等による「もらい錆」や、フランジ・支持部のすきま腐食に注意が必要
樹脂管(架橋ポリエチレン管・ポリブテン管等) 金属腐食そのものは生じないが、紫外線劣化・熱による劣化という別の劣化要因があり、屋外露出や高温環境での使用可否を別途確認する必要がある

亜鉛めっき鋼管は、かつて給水配管の主流だった材料である。しかし内面の腐食が進みやすく、赤水・出水不良の原因になりやすいことが実務上の課題として広く認識されるようになり、給水配管の新設では硬質塩化ビニルライニング鋼管やポリエチレンライニング鋼管、あるいはステンレス鋼管・樹脂管への切り替えが進んだ。既存建物で亜鉛めっき鋼管が使われたままの給水系統は、老朽化した配管として更新のきっかけになりやすい部位である。

硬質塩化ビニルライニング鋼管は、管の内面を樹脂でライニングすることで内面腐食を大きく抑えた管だが、現場でねじ加工・切断を行う管端部分はライニングが途切れ、鋼が露出した状態になりやすい。この管端からの腐食を防ぐため、継手側にコア(内面保護材)を一体成形した管端防食継手(管端コア継手)を使うのが実務上の基本対応になっている。継手の選定・施工がこの管の耐久性を大きく左右する点は覚えておきたい。

樹脂管は金属ではないため、これまで見てきた腐食とは無縁だが、その代わり紫外線・熱による劣化という別の弱点を持つ。樹脂管の紫外線劣化・耐熱性の考え方はさや管ヘッダー工法と給水配管材料で詳しく整理しているので、金属管・樹脂管の弱点を対比して理解したい場合はあわせて参照してほしい。


防食対策の実務

腐食の種類ごとに発生の仕組みが異なる分、対策の考え方も一様ではない。実務で組み合わせて検討する代表的な対策は次のとおりである。

  • 絶縁継手(絶縁フランジ・絶縁ユニオン等):異種金属同士が直接導通しないよう電気的に縁を切る対策。異種金属接触腐食への基本対応になる
  • 防食テープ・ポリエチレンスリーブ:埋設配管の外面を土壌から物理的に絶縁し、土壌中の水分・イオンとの接触そのものを減らす対策。マクロセル腐食・外面からの腐食全般への対応として広く使われる
  • 電気防食:埋設配管そのものに防食電流を流し、腐食反応を抑え込む対策。流電陽極方式(イオン化傾向の大きい金属を陽極として意図的に消耗させ、配管側の腐食を肩代わりさせる方式)と、外部電源方式(外部の直流電源装置から防食電流を供給する方式で、長距離の配管や電流量の調整が必要な場合に用いられる)の2方式が基本になる。どちらを採用するかは配管の延長・土壌条件・周辺環境によって専門的な検討が必要であり、専門業者による設計・施工が前提になる
  • 水質側の要因への配慮:水のpH・遊離炭酸濃度などは、金属に対する水の攻撃性(腐食を進めやすいかどうか)に影響する要因のひとつとされる。水質そのものをコントロールする薬品注入等は建物設備の範囲を超える場合もあるが、水質検査の結果を踏まえて材料選定・維持管理の方針に反映させる視点は持っておきたい

これらの対策は単独で完結するものではなく、配管ルート・材料・設置環境に応じて組み合わせて検討するのが実務の基本である。


維持管理と更新の判断

配管は竣工後、時間の経過とともに腐食が進行していく設備であり、いつ・どのように手を入れるかの判断が維持管理の核心になる。

劣化の状態を把握する方法としては、次のようなものがある。

  • 超音波厚さ測定:配管の外面から超音波を当て、残存肉厚を非破壊で測定する方法。定期的に測定を続けることで腐食の進行速度を把握しやすい
  • 抜管調査:配管の一部を実際に取り外し、内面の腐食状態を直接確認する方法。より確実な情報が得られる一方、その部分は施工を伴う
  • 内視鏡(ファイバースコープ)調査:管内にカメラを挿入し、内面の状態を映像で確認する方法。抜管せずに内面の様子を把握できる

こうした診断結果をもとに、老朽化した配管を更生(既存の管を存置したまま内面を新たにライニングし直す工法)にするか、更新(配管そのものを新しいものに引き替える)にするかを判断することになる。更生は工事範囲・断水期間を抑えやすい一方、管そのものの強度低下(肉厚の減少)までは解消できないため、残存肉厚が一定以上確保されていることが前提になる。更新は工事範囲が大きくなりやすい反面、材料そのものを刷新できるため、長期的な信頼性を重視する場合に選ばれやすい。

ここで実務上大切なのは、法定耐用年数だけで判断しないことである。法定耐用年数はあくまで税務・会計上の減価償却の基準であり、実際の配管の劣化度合いとは必ずしも一致しない。同じ築年数の配管でも、水質・使用状況・埋設環境によって劣化の進み方は大きく異なるため、超音波厚さ測定や抜管調査といった実態調査に基づいて、更生・更新・部分補修のいずれが適切かを判断するのが実務の基本的な考え方になる。給水設備全体の計画・水質管理の視点は給水設備の計画でも整理しているので、更新計画をあわせて検討する際の参考にしてほしい。


まとめ

  • 配管の腐食には、全面腐食・孔食・すきま腐食・異種金属接触腐食・かい食・埋設管のマクロセル腐食や電食など、進み方の異なる複数のパターンがある
  • 異種金属接触腐食はイオン化傾向の違いで卑な金属側が優先的に腐食する現象で、絶縁継手による縁切りが基本対策。等電位ボンディング(導通を確保する対策)とは目的・方向性が逆であることに注意する
  • 銅管はかい食(水流による保護被膜の損傷)や青水(水質条件による銅イオン溶出)、埋設管は電気鉄道の迷走電流による電食に注意が必要
  • 亜鉛めっき鋼管は内面腐食のため給水配管の新設ではほぼ使われなくなり、ライニング鋼管は管端部の防食(管端コア継手)が実務上の要点になる
  • 防食対策は絶縁継手・防食テープ/ポリエチレンスリーブ・電気防食(流電陽極方式・外部電源方式)・水質管理を組み合わせて検討する
  • 更生と更新は、法定耐用年数ではなく超音波厚さ測定・抜管調査・内視鏡調査による実態劣化(残存肉厚・漏水履歴)を根拠に判断する

腐食は「配管が古くなれば起きるもの」という漠然とした理解で片づけられがちだが、実際にはメカニズムごとに発生条件も対策も異なる現象の集合体である。どの腐食が問題になっているかを見極めることが、防食対策・更新計画のいずれにおいても出発点になる。具体的な材料選定・工法・防食設計は、水質条件・埋設環境・建物の使われ方によって変わるため、設計者・設備管理者・専門業者への確認を前提に進めてほしい。


あわせて読みたい

参考書籍でさらに学ぶ

※ この欄は書籍のアフィリエイト広告(Amazon・楽天)を含みます。価格・在庫・最新の年度版はリンク先でご確認ください。

  • 建築設備士 必携テキスト

    建築一般知識・建築法規・建築設備の3科目を1冊で。分野全体の土台づくりに。

  • 空調・給排水衛生設備の実務書

    熱源・空調・給排水を体系的に整理した実務書で理解を定着。

→ 建築設備士のおすすめ参考書まとめ

関連記事